近年、PhotoshopはAdobeの生成AI技術「Adobe Firefly(アドビファイアーフライ)」によって生成塗りつぶしの機能が加わりました。
Photoshopを持っている方の中にはソフトを生かして、年賀状を作りたいけれど、イラストが描けないという方もいるかもしれません。
このPhotoshopの生成塗りつぶし機能を使うと自分でイラストを描けなくても簡単にイラスト作成が可能です。
今回は、Photoshopの生成塗りつぶしの機能を使った年賀状の作り方を紹介していきます。
Photoshopの生成AI機能は生成のたびに結果が変わるため、この記事で制作した年賀状と全く同じにはなりませんのでご了承下さい。
Photoshopを起動して年賀状のサイズを設定しよう
最初に、Photoshopで年賀状の大きさのキャンバスを作成する方法を解説します。
Photoshopの新規ドキュメントで年賀状のサイズを作成
まずPhotoshopを起動して、新規ファイルボタンから年賀状の大きさのキャンバスを作成します。
上に「印刷」欄がありますので、この中に年賀状で使うハガキサイズが入っています。
最初は、ハガキサイズが出ていないかもしれませんが、「すべてのプリセットを表示する」のボタンで年賀状や他のサイズを見ることができます。
この中の「ハガキ」で年賀状を作成します。設定で縦向きになっているかもしれませんが、横向きで作成したい場合は「横」をクリックして作成しましょう。
今回、年賀状は縦向きで作成していきます。解像度は300ピクセルで設定します。
カラーモードについて
年賀状など印刷する場合は、データはRGBでなくCMYKに設定します。
もしPhotoshopなどで作ったデータを印刷会社に出す場合は、印刷会社のデータの提出形式をまず確認しますが、基本的にデータをCMYKで提出する場合が多いでしょう。
(中にはRGBで印刷できる場合もありますので、印刷会社のデータの形式を確認して下さい。)
Photoshopでイラストを生成する方法
ハガキの設定ができたら、年賀状に合うイラストを作成していきます。
Photoshopのイラスト生成方法
今回の年賀状では2025年の干支のへびのイラストを生成します。
ステップ①なげなわツールでイラストを入れたい場所を囲む
まず、Photoshopのツールバーにある「なげなわツール」をクリックします。
その後に、年賀状の中でイラストを入れたい場所をクリックしながら、囲んでいきます。
ステップ②生成塗りつぶしをクリック
囲むと、年賀状内に選択範囲を作ることができますので、「生成塗りつぶし」をクリックしましょう。
ステップ③年賀状のイラストのプロンプトを入力
そして生成塗りつぶしの入力画面が出ますので、この中に年賀状で入れたい干支のイラストのプロンプトを入れます。
ステップ④年賀状のイラストが生成される
今回プロンプトはまず、「かわいいへび イラスト」と入れて、「生成」ボタンをクリックします。その後にいくつかバリエーションが出てきますので、この中から年賀状に合うものを選びます。もしイメージと違う、と思ったら、再度プロンプトを入れ直すことができます。
プロンプトについて
今回は年賀状の干支を生成するプロンプトを入力しています。
プロンプトとは、作業を進めたり、出力を生成したりするためのAIへの説明のことです。
プロンプトはAIの動きや生成の内容に大きく影響がありますので、プロンプトの内容によって生成されるものが変わってきます。
プロンプトはできるだけ説明できる方が、自分の意図に近かったり、様々な種類の画像を生成できます。例えば、犬のイラストを入れたい場合は単に「犬」と入れるだけよりも「かわいい 犬 イラスト」や犬の種類などを入れても良いでしょう。
このPhotoshopの生成塗りつぶしを私自身が使ってみて、1回で自分のイメージ通りに生成できることは少ない印象でしたので、何回か試して見ると良いでしょう。
Photoshopの画像生成のデータについて
生成塗りつぶしを使うと、データが重くなってPhotoshopが急に閉じてしまう可能性もありますので、まめにデータを保存することが望ましいです。
Photoshopのデータを保存する場合は、ファイルから保存をクリックします。
ファイル名を自分がわかるように入れましょう。
Photoshopの生成機能の注意点
Photoshopの生成機能は無制限ではなく、使用しているAdobeのプランごとで使用可能な生成機能の量が決まっています。
例えば、Creative Cloud コンプリートプランであれが月間の生成クレジットの数は1000で、Creative Cloud 単体プランであれば500になります。
もし他の制作物で、生成機能の使用量が多くて、生成クレジット数が足りなくなると制作できなくなるので注意しましょう。減った生成クレジットは、1ヶ月ごとに元に戻ります。
Photoshopの生成機能については以下の記事でも解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
Photoshopの文字ツールで年賀状に年号や言葉を入れる
イラストの生成ができたら、年賀状に年号や言葉などを入れます。
PhotoshopのツールバーのTのボタンが文字の入力機能になります。
画像の上で一度クリックすると、入力する場所を指定することができます。
今回は年賀状には「謹賀新年」と年号を入れていきます。
文字が小さい場合は、文字を選択して上の文字の大きさのタブからサイズ調整が可能です。
年賀状に合う言葉やメッセージも入れても良いでしょう。
年賀状の文例として、以下ご紹介します。
一般的な文例 |
旧年中は大変お世話になりました
本年もどうぞよろしくお願いいたします |
取引先向けの文例 |
旧年中は格別のお引き立てを賜り 厚く御礼申し上げます
本年も一層のご愛顧のほど 宜しくお願い申し上げます |
親族向けの文例 |
元気でお過ごしでしょうか
どうぞ穏やかな新春をお過ごしください |
Photoshopのマジック消しゴムツールで背景を消す
年賀状にイラストや文字が入りましたが、さらにこのイラストを整えていきます。
イラスト以外の表示マークをオフにすると、イラストのレイヤーのみになりますが、年賀状のイラストの周りに白い背景があります。
この背景は不要なため、Photoshopの機能であるマジック消しゴムツールで消していきます。
ステップ①イラストのレイヤーだけの表示にする
文字がない方が見やすいので、年賀状のイラストのレイヤーを残して他のレイヤーのチェックをはずします。
イラストだけの画面になったら、Photoshopの消しゴムツールを選択します。
「スマートオブジェクトをラスタライズしますか?」とメッセージが出ますが、OKで進みます。
ステップ②マジック消しゴムツールを選択
消しゴムツールの「マジック消しゴムツール」を選択します。
ステップ③イラストの周りの白い部分を消そう
マジック消しゴムツールで、周りの白い部分をクリックすると消すことができます。
この後、文字は戻して表示しましょう。必要あれば、年賀状のイラストや文字の位置の調整をしましょう。
Photoshopのグラデーションマップでイラストの色を調整
今回は、仕上げで年賀状のイラストの色をPhotoshopのグラデーションマップ機能を生かして変えていきます。この年賀状のイラストは色が落ち着いているので、もう少し違う印象の色に変えていきたいと思います。
ステップ①グラデーションマップを選択
Photoshopのレイヤーの下の方に「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」のボタンがあります。この中にグラデーションマップ作成があるので、選択します。
ステップ②年賀状のイラストだけにグラデーションマップをかける
グラデーションマップを作成したら、ヘビだけのイラストにかかるようにします。
グラデーションマップを制作したこの時点では、ヘビのイラストと一番下のレイヤー1にかかっているため、これをヘビのイラストだけにかかるようにしていきます。
グラデーションマップのレイヤーを選択してから、Macの場合はoption、Winの場合はAltを押します。そしてグラデーションマップのレイヤーとイラストのレイヤーの間にカーソルを持ってきて、クリックします。(写真の赤い丸で囲んだところのように小さい下向きの矢印が出たらOKです。)
ステップ③グラデーションマップ色の選択
これでヘビのイラストのみにグラデーションマップがかかるようになりました。
グラデーションマップの右側の矢印をクリックすると、色のファイルが出てきますので、選んでいきます。
ステップ④さらに色を選ぶ
年賀状に合いそうなイメージで、きれいで爽やかそうな虹色を選びました。
虹色の中にもいくつか種類があります。
元が明るいところに入るのが左側の薄い色、元が暗いところに入る色が青系の色になります。
そしてさらに色を変えたい場合は、グラデーションマップをクリックします。
ステップ⑤グラーデーションから色を選ぶ
グラデーションマップをクリックすると、最初のグラデーションを大きくした表示が出ます。
ここから、元が暗いところの色を変えることができます。
- 例えば左側の四角の部分をクリックすると、カラーピッカーが表示されるので、ここから使いたい色を選ぶことができます。
- 色を選んだらOKボタンを押します。この図では、最初にグラデーションの中で設定された青よりも濃い青を選んでいます。
- 選択した色に変わります。
同様に薄い色も違う色に変えたい場合、右側の四角をクリックするとカラーピッカーが表示されますので、ここから年賀状に使いたい色を選ぶことができます。
色を選んでOKボタンをクリックします。
この図では、薄い黄色に変更しました。自分のイメージに合う色に仕上がったら、年賀状の完成です。
グラデーションマップを使うことで、最初の色とは違う、爽やかな印象の色に変えることができました。今回のように年賀状などで生成塗りつぶしで作ったイラストの色を変えたい時に役立ちますので、生かしてみて下さい。
この他に、Photoshopのレイヤーマスク機能も画像などの編集に生かせるので、年賀状作りで参考になります。以下の記事はレイヤーマスクについて解説しています。
Photoshopで作った年賀状データを印刷に出す場合
年賀状など、Photoshopで作ったデータは印刷会社などに出す場合、レイヤーをまとめて提出する場合が多くあります。
その際は入稿データはすべてのレイヤーを統合して、1枚にします。
ただし印刷会社によって、データの提出形式が異なりますので、必ず確認して下さい。
また、入稿データは「psd」や「pdf」など決まっていますので、データの形式も確認しましょう。
Photoshopの基礎を学ぶなら
Photoshopの基礎を学ぶ際におすすめなのはProSkilllの「Photoshop基礎セミナー講習」です。
手頃な価格ですが、Photoshopの基本となるバナーや写真のレタッチ・合成やポスターの作成を2日で学ぶことができます。今回の記事の年賀状のように身近な制作物の作成にも役立てることができます。
受講形式は会場受講・ライブウェビナー・eラーニングから選べます。
このPhotoshopのセミナーを受けることで副業や独立に役立ちますので、ぜひ検討してみてください。
Photoshopの生成塗りつぶしで年賀状を作ってみよう
Photoshopの生成塗りつぶし機能を使ったイラストでの年賀状の作成について紹介しました。
Photoshop生成塗りつぶしを使えば、イラストを描けない人でも手軽にイラスト入りの年賀状を作ることができます。
またグラデーションマップなどの機能でイラストの制作だけでなく、色の調整も可能です。
今回のようなPhotoshopの生成塗りつぶしなどを生かした年賀状作りに、ぜひ挑戦してみて下さい。
