Blenderでは、物理演算機能を活用した流体シミュレーションを使用することで、リアルな水を表現できます。
特に、映像制作において、より説得力のあるシーンを演出可能です。
本記事では、Blenderの流体シミュレーションを利用して液体を作る方法について解説します。また、液体が表示されない場合の対処法も紹介するので、Blenderで液体表現をしたい方はぜひ参考にしてください。
Blenderとは
Blenderは、無料で利用できる3DCGソフトです。無料ながら、商業レベルの高品質な3Dモデリングやアニメーション、シミュレーションをできるとして、世界中で高いシェアを誇ります。
また、日本語にも対応しているため、日本人でも使用するハードルは高くありません。
さらに、WindowsやmacOS、Linuxなど、さまざまなプラットフォームに対応しているのも魅力です。
なお、Blenderの基本的な使い方については、以下の記事で解説しています。
Blender初心者は、移動や回転、拡大縮小など、Blenderを使ううえで最低限覚えておきたい機能について確認してみてください。
Blenderの物理演算について
Blenderには、3D空間内で物体の物理的な動きや変化をシミュレートする機能が備わっています。
その中でも、リジッドボディ、クロスシミュレーション、流体シミュレーションは代表的な機能です。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
機能 | 用途 |
リジッドボディ | オブジェクトの衝突や落下などの物理挙動のシミュレーション |
クロスシミュレーション | 布や旗、衣服など柔らかい物体の動きのシミュレーション |
流体シミュレーション | 水や煙などの液体や気体のリアルな挙動をシミュレーション |
これらの物理演算機能を活用することで、アニメーションやゲームにおいて、リアルでダイナミックな演出を作り出すことが可能です。
Blenderで液体を作れる流体シミュレーションとは?
Blenderの流体シミュレーションは、流体の動きをリアルに再現する物理演算機能です。
水のような液体だけでなく、煙やガスといった気体の挙動もシミュレートできます。
流体シミュレーションを活用することで、グラスに流れる水や、煙を出して燃える炎など、リアルな演出を実現可能です。
また、Blenderで炎を作る方法については、以下の記事で解説しています。
炎を作れるおすすめのアドオンについても紹介しているので、液体の作り方とあわせて確認してみてください。
Blenderで液体を作る方法
Blenderで液体を作る際は、以下の手順を踏む必要があります。
- オブジェクトを配置する
- ワイヤーフレームに切り替える
- 立方体に「流体」のドメインを設定する
- UV球に「流体」のフローを設定する
- シミュレーションを確認する
これらの手順について見ていきましょう。
1.オブジェクトを配置する
Blenderを立ち上げたら、液体を生成するための基本的なオブジェクトを用意します。
Shift+Aキーの「追加」メニューから立方体とUV球を選び、シーンに配置してください。
立方体は液体が動く空間(ドメイン)を表し、UV球は液体の出発点(フロー)として使用します。
オブジェクトを配置できたら、UV球をSキーを押した後に内側にドラッグで縮小、Gキーを押した後にドラッグで立方体の上部に移動させておきましょう。
2.ワイヤーフレームに切り替える
シミュレーションを確認するために、ビューポートシェーディングをワイヤーフレームに切り替えます。
3Dビューのシェーディングは、画面右上のアイコンから切り替え可能です。
これにより、立方体の内部が見えるようになり、UV球との位置関係を確認できます。また、あわせて右上のアイコンから透過表示もしておきましょう。
3.立方体に「流体」のドメインを設定する
立方体を選択した状態で、右側の物理演算プロパティを開きます。以下の手順で流体シミュレーションのドメインを設定してください。
- 「流体」を選択する
- 「タイプ」を「ドメイン」に変更する
- 「ドメインタイプ」を「気体」から「液体」に変更する
これにより、立方体内が液体のシミュレーション領域として認識されます。
また、このとき「分割の解像度」の数値を大きくすれば、より細かいシミュレーションを行えます。しかし、その分処理が重くなるため、自身のパソコンのスペックに合わせて数値を調整しましょう。
4.UV球に「流体」のフローを設定する
次に、UV球にフローの設定を行います。UV球を選択し、以下を設定してください。
- 物理演算プロパティで「流体」を選択する
- 「タイプ」を「フロー」に変更する
- 「フロータイプ」を「煙」から「液体」に変更する
- 「フローの挙動」を「流入口」に設定する
これで、UV球が液体を発生させる役割を持つようになります。
5.シミュレーションを確認する
すべての設定が完了したら、画面下部にあるタイムラインの再生ボタンか、スペースキーを押してシミュレーションを実行します。
液体がUV球から流れ出し、立方体内で動き始める様子が確認できればOKです。
また、以下の記事ではBlenderの海洋モディファイアーを使って海を作る方法について解説しています。海洋モディファイアーは、海の波や泡などをリアルに再現できる機能です。
Blenderでどのような海が作れるのか知りたい方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
Blenderのクイックエフェクトを使って液体を作る方法
Blenderのクイックエフェクト機能を活用すると、液体シミュレーションを簡単に作成できます。
クイックエフェクトでは、ドメインとフローの設定が自動で行われるため、素早く液体を作成可能です。
Blenderのクイックエフェクトを使って液体を作る手順は以下のとおりです。
- UV球を追加する
- クイックエフェクトを適用する
- メッシュにチェックを入れる
- シミュレーションを確認する
上記の手順について詳しく見ていきましょう。
1.UV球を追加する
Shift+Aキーの「メッシュ」から「UV球」を追加します。このUV球が液体の発生源となります。
なお、デフォルトの立方体が残っている場合は、Deleteキーで削除しておきましょう。
2.クイックエフェクトを適用する
続いて、画面上部にある「オブジェクト」メニューの「クイックエフェクト」から「クイック液体」を選択してください。
この操作で、液体のフローとドメインが自動的に作成されます。
3.メッシュにチェックを入れる
物理演算プロパティから「メッシュ」にチェックを入れることで、液体がメッシュ化されて、より滑らかな動きを実現できます。
4.シミュレーションを確認する
すべての設定が完了したら、画面下部にあるタイムラインの再生ボタンか、スペースキーを押してシミュレーションを再生します。
液体がUV球から生成され、ドメイン内を流れる様子が確認できるはずです。
Blenderで液体が反映されない場合の対策
Blenderで液体が反映されない場合の対策として以下が挙げられます。
- ワイヤーフレームに変更する
- メッシュにチェックを入れる
- 再起動する
これらの、Blenderで液体が反映されない場合の対策方法について確認していきましょう。
対策①ワイヤーフレームに変更する
立方体が邪魔で液体が確認できない場合、ビューポートシェーディングが左から二つ目の「ソリッドモード」になっていないか確認しましょう。
3Dビューポート右上にあるアイコンから、ビューポートシェーディングを一番左の「ワイヤーフレーム」に変更することで、液体のパーティクルを確認できるようになります。
対策②メッシュにチェックを入れる
ソリッドモードでプレビューを確認したい場合は、メッシュにチェックを入れましょう。
物理演算プロパティにある「液体」の項目の「メッシュ」にチェックを入れることで、パーティクルがメッシュに変換されます。
その結果、「ソリッド表示」でもシミュレーションを確認できるようになります。
対策③再起動する
設定を行ってもシミュレーションが再生されない場合は、一度Blenderを再起動してみましょう。特に、途中で設定を変更した後に動かなくなった場合では、再起動で対処できるケースがあります。
Blenderで液体を作れるおすすめのアドオン
Blenderで液体をよりリアルに表現するためには、専用のアドオンを活用するのがおすすめです。Blenderで液体を作れるおすすめのアドオンを以下の表にまとめてみました。
アドオン | 特徴 | 料金※ |
FLIP-Fluids |
|
$76 |
Aqua Flow Pro |
|
$19 |
Vortex |
|
$29〜$119 |
Liquid Bubble Addon |
|
無料 |
※2025年1月時点での料金
アドオンを使えば、高品質なシミュレーションを手軽に使用できます。気になるものがあれば、インストールして使用してみてください。
Blenderのシミュレーション知識を身につけるなら
Blenderでリアルなシミュレーションを行うには知識が必要です。ProSkilllのBlender基礎セミナーでは、Blenderの基礎的な使い方から、スキルの応用方法までを体系的に学習できます。
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また、講師と対面で受講できる会場受講と、オンラインから参加できるライブウェビナー、動画学習ができるeラーニングと、3つのコースから選べるのも魅力です。
さらに、講座修了後はスキルアップのためのセミナーガイドが配布されるので、いつでもセミナーの内容を復習できます。
Blenderのスキルを効率的に身につけたいなら、ぜひProSkilllのBlender基礎セミナーをチェックしてみてください。
Blenderで液体を作る方法のまとめ
今回は、Blenderで液体を作る方法について解説しました。Blenderの流体シミュレーションは、リアルな液体表現を簡単に実現できる機能です。
特に、クイックエフェクトを使えば、簡単な設定で液体の表現を行えます。
Blenderで液体を自在に表現できるようになれば、プロジェクトの幅が大きく広がるので、ぜひ今回の内容を参考にBlenderでの液体作りに挑戦してみてください。
