Blenderは、さまざまな3Dアニメーションを作れるソフトですが、その中でも、海の水面をリアルに表現する「海洋モディファイアー」は、手軽に波や水流を再現できる便利な機能です。
本記事では、Blenderで海を生成する海洋モディファイアーの特徴や設定方法、さらに簡単に海を生成できるアドオンについて解説します。
Blenderとは
Blenderは、3Dモデリングやアニメーション、レンダリングなど、多彩な機能を備えたオープンソースの3D制作ソフトウェアです。
無料でありながら商用利用もできるため、プロのクリエイターから初心者まで、幅広いユーザーに利用されています。
豊富なアドオンやコミュニティによるサポートが充実しており、カスタマイズ性に優れる点が魅力です。
Blenderを使えば、ゲーム開発や映画制作、建築シミュレーションなど、さまざまなクリエイティブなプロジェクトを実現できます。
Blenderで海を生成する海洋モディファイアーとは
Blenderの海洋モディファイアーは、海の表面を簡単に作り出すための機能です。海洋モディファイアーを使うと、波や泡などの海の特徴をリアルに再現できます。
さらに、時間の設定を変えることで、波が動くアニメーションも作成可能です。このように、海洋モディファイアーを使えば、特別な知識がなくても複雑な海の表現ができるようになります。
Blenderで海を生成する方法
Blenderを使ってリアルな海を作る方法を解説します。Blenderで海を生成する手順は以下のとおりです。
- オブジェクトにモディファイアーを適用する
- マテリアルを設定する
- 波を調整する
- アニメーションを設定する
以下の解説を参考に、海のモデリングに挑戦してみましょう。
1.オブジェクトにモディファイアーを適用する
まずは、Shift+Aキーの「メッシュ」から「平面」で平面のオブジェクトを生成します。続いて、スパナのアイコンをクリックして「モディファイアープロパティ」を開きましょう。
「モディファイアーを追加」ボタンから「物理演算」をクリックし、「海洋」を選択してください。
すると、平面オブジェクトに海の効果が適用されます。
2.マテリアルを設定する
次に、画面右上のアイコン、もしくはZキーからマテリアルプレビューに変更したら、マテリアルプロパティを開いて「ベースカラー」を変更しましょう。
色は、暗めの青色に設定してください。明るさは「明度」のバーから調節が可能です。
そのほかの設定は「粗さ」を0.1、「伝播」を0.9にすることで、リアルな水面の質感を表現できます。
3.波を調整する
再度スパナのアイコンをクリックしてモディファイアーの設定に戻り、波の「スケール」を2.5に変更しましょう。これで、波の大きさを調整できます。
4.アニメーションを設定する
「時間」の項目でキーフレームを設定します。アニメーションの開始時は「1.0」、終了時は「15.0」とし、動きのある海を表現します。
キーフレームは、タイムライン上でキーフレームを打ちたい箇所にバーを合わせた状態で、時間の右側にある菱形のアイコンをクリックすることで打つことができます。
キーフレームを打ったら、右クリックの「補完モード」から動きを「リニア」に変更して一定スピードでアニメーションするようにしましょう。
最後にスペースキーでアニメーションを再生して仕上がりを確認してみましょう。
また、Blenderでアニメーションを作成する具体的な方法については、以下の記事を参考にしてください。
モデリングしたサッカーボールに、回転しながら転がるアニメーションを付与する方法について解説しています。
Blenderの海洋モディファイアーのオプション
Blenderの海洋モディファイアーには、以下のようなオプションを利用できます。
- ジオメトリ
- リピートX/Y
- ビューポートの解像度、レンダー
- 時間
- 深度
- サイズ
- 空間サイズ
- ランダムシード
- 法線を生成
これらのオプションを使うことで、よりリアルな海を再現できます。オプションの詳細について見ていきましょう。
オプション①ジオメトリ
ジオメトリでは、海のシミュレーションを作るために、タイル状のメッシュを自動で作成します。「生成」にした場合、すでにほかのオブジェクトが設定されていても、すべて上書きされます。
オプション②リピートX/Y
海を広げるときに、X軸とY軸をどれくらい繰り返すかを決める設定です。数字を大きくするほど、広い海を表現できます。
オプション③ビューポートの解像度、レンダー
生成した海の見た目をどの程度細かくするかを決める設定です。数字を上げるとリアルに見えますが、パソコンの動作が重くなります。
一方で、数字が低いとパソコンにかかる負荷は少ないですが、細かい波の表現は減ります。
オプション④時間
海の波が動くタイミングを設定できます。アニメーションを作る場合は、この値を少しずつ変えることで、波が動いているように見せられます。
オプション⑤深度
海の深さを決める設定です。低い値にすると小さく細かい波ができ、浅い海域をシミュレーションできます。
オプション⑥サイズ
海全体の大きさを設定します。波の高さには影響しませんが、全体のスケールを調整できます。
オプション⑦空間サイズ
シミュレーションされている海のサイズを変更できます。これにより、変異した領域が決定します。
オプション⑧ランダムシード
ランダムシードを変えると、海の波の形が毎回違うパターンで作られ、シミュレーションの結果が変わります。
オプション⑨法線を生成
チェックを入れることで、法線マップデータをシミュレーションできます。
Blenderのアドオンで海を生成する方法
Blenderでは、専用のアドオン「Alt Tab Ocean & Water」をBlender Marketからダウンロードしてくることで、簡単にリアルな海を生成できます。
アドオンを使って海を生成する手順は以下のとおりです。
- アドオンをインストールする
- 海のプリセットを選択する
- 海の見た目を調整する
以下で詳しく見ていきましょう。
1.アドオンをインストールする
Blender Marketの公式サイトから「Alt Tab Ocean & Water」をダウンロードします。
Alt Tab Ocean & Waterの画面から「Add to cart」ボタンをクリックすると「Added! View Cart」に表示が変わるので、そのボタンもクリックしましょう。
続いて、「Continue to Checkout」ボタンをクリックするとBlender Marketへのログインが求められるので、アカウントを持っていない場合は「Create Account」からアカウントを取得してください。
ログイン後遷移した画面で、「alt_tab_water_1.0.0.zip」のリンクをクリックすればZIPファイルをダウンロードできます。
ZIPファイルがダウンロードできたら、Blenderを立ち上げ、編集メニューから「プレファレンス」を開きます。
次に、サイドメニューの「アドオン」を選択し、右上にある下向きの矢印アイコンから「ディスクからインストール」をクリックしましょう。
パソコンのフォルダーが開くので、ダウンロードしたZIPファイルを選択すれば、アドオンをBlenderに追加できます。
2.海のプリセットを選択する
アドオンを追加できたら、Blenderの3Dビューで「Nキー」を押し、アドオンのプロパティを開きます。「Alt Tab Ocean & Water」のタブを選択してください。
使用したい海のデータを選択し、「アペンド」をクリックしてシーンに追加しましょう。
3.海の見た目を調整する
球体から好きなマテリアルを選択しましょう。マテリアルを選択したら、アドオンのプロパティ下部にある項目から波の高さや色など、海の見た目を細かく調整できます。
アドオンを活用することで、手軽に美しい海を表現することができ、アニメーション制作をより効率的に行えます。
また、Blenderのアニメーション作成にはパーティクルも欠かせません。以下の記事では、Blenderでオブジェクトにパーティクルを設定する方法について解説しています。
Blenderでもアニメーション作成に興味のある方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
Blenderの勉強方法を比較
Blenderを学ぶ際には、書籍やスクール、オンライン講座などさまざまな学習方法があります。それぞれの特徴を比較した表を以下にまとめました。
学習方法 | メリット | デメリット |
書籍 |
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スクール |
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オンライン講座 |
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効果的な学習方法を見つけることで、Blenderのスキルは着実に上達します。自分の目的やライフスタイルに合った方法を選びましょう。
Blenderが学べるおすすめのオンライン講座
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ライブウェビナーでは、オンラインながらいつでも講師からのサポートを受けられ、かつリアルタイムで質問もできます。
講座内容には、ノードを利用したマテリアルの設定も含まれているので、Blenderで海の調整ができるスキルも身につけられるでしょう。
オンラインで本格的な講座を受講したい方は、ぜひBlender基礎セミナーをチェックしてみてください。
Blenderで海を生成する方法のまとめ
今回は、Blenderで海を生成する方法について紹介しました。海洋モディファイアーを使用すると、リアルな海の動きを簡単に表現できます。
また、オプションでは波の高さや大きさ、解像度を調整できるため、こだわることでよりリアルな海を再現可能です。
さらに、アニメーションを加えることで、動きのある映像制作にも活用できます。
海洋モディファイアーを活用して、Blenderを使った3D制作の幅を広げてみてください。
