Blenderは、3Dモデリングやアニメーション制作において高いシェアを誇るコンピューターグラフィックソフトです。そんなBlenderで使える機能の中にパーティクルがありますが、パーティクルは粒子のような動きや効果を表現するために使用されます。
本記事では、Blenderのパーティクルの基本や使い方、調整方法について解説します。パーティクルを活用して表現の幅を広げたい方はぜひ参考にしてください。
Blenderのパーティクルとは?
Blenderのパーティクルは、オブジェクトから粒子や糸のようなパーティクルを放出し、さまざまな効果を表現できる機能です。
パーティクルを使えば、雨や雪のような自然現象や、髪の毛や草のような複雑なオブジェクトを簡単に作成できます。この機能を活用することで、3Dシーンに動きや質感を加えることが可能です。
そんなBlenderのパーティクルには、主に以下の2種類があります。
種類 | 特徴 |
エミッター | 粒子状のパーティクルを連続的に放出する。雨や雪、煙、火花などの動きのある表現に適している。 |
ヘアー | 細い糸状のパーティクルを断続的に放出する。髪の毛や草のような表現に適している。 |
シーンの魅力を引き立てるために、ぜひこれらのパーティクルを活用してみてください。
Blenderのパーティクルの使い方
Blenderでは、以下の手順でパーティクルを作成できます。
- オブジェクトを作成する
- パーティクルプロパティを開く
- スペースキーでアニメーションを再生する
まずはシンプルな例を押さえることで、応用として雨や炎、煙なども作成できるようになります。
実際に、Blenderでパーティクルを作成する方法について確認していきましょう。
1.オブジェクトを作成する
Blenderを立ち上げたら、デフォルトで用意されている立方体やカメラ、ライトを削除します。初期オブジェクトをすべてドラッグで選択したら、Xキーから削除しましょう。
続いて、ShiftキーとAキーを押して、新たにオブジェクトを追加します。今回は、「メッシュ」から「UV球」を選択しました。
また、Blenderの基本操作について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
3Dビューの回転やオブジェクトの複製など、Blenderを使ううえで押さえておきたい基本操作について解説しています。
Blenderを始めたばかりの方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
2.パーティクルプロパティを開く
続いて、パーティクルを適用するUV球を選択したら、画面右側のプロパティエディターにある「パーティクルプロパティ」をクリックして開きましょう。
このプロパティで、パーティクルの種類や挙動を設定できます。パーティクルプロパティを開いたら、右上にあるプラスアイコンをクリックしてください。
これにより、新しいパーティクルシステムスロットが作成され、デフォルトの「エミッター」タイプの設定が適用されます。
このスロットに各種設定を加えることで、放出する粒子の動きや形状をカスタマイズできます。
3.スペースキーでアニメーションを再生する
初期設定のままでスペースキーを押すと、アニメーションが再生され、選択したオブジェクトから粒子状のパーティクルが放出される様子が確認できます。
再度スペースキーを押すことで、アニメーションを停止可能です。
Blenderで放出されたパーティクルの動きを調整する方法
パーティクルの動きは、さまざまな項目から調整できます。特によく使うのが、以下の調整項目です。
- 数
- シード
- 開始/終了フレーム
- 寿命
- 寿命のランダム化
- スケール
- スケールのランダム
- 重力
これらの項目の調整方法について見ていきましょう。
項目①数
発生の項目にある「数」では、パーティクルの数を指定できます。デフォルトは1,000ですが、必要に応じて増減させることで、密度の高い表現や軽量なシミュレーションを作成可能です。
項目②シード
発生の項目にある「シード」を変更すると、パーティクルのランダムな動きや分布が変化します。同じ設定でもシードを変えることで、異なる見た目を再現可能です。
項目③開始/終了フレーム
発生の項目にある「開始フレーム」と「終了」では、パーティクルが放出を開始するフレームと、終了するフレームを指定します。
短い間隔なら、短時間でパーティクルが放出されます。
項目④寿命
発生の項目にある「寿命」では、各パーティクルが表示され続ける時間を設定できます。寿命を短くすると、すぐに消える粒子を表現でき、長くすると粒子が長時間飛び続けます。
項目⑤寿命のランダム化
発生の項目にある「寿命のランダム化」は、パーティクルごとの寿命にランダム性を持たせる設定です。値を大きくするほど、パーティクルの消えるタイミングがランダムになります。
項目⑥スケール
レンダーの項目にある「スケール」では、パーティクルの大きさを変更できます。雨や雪のように細かな粒子を表現したい場合は数値を下げましょう。
項目⑦スケールのランダム
レンダーの項目にある「スケールのランダム」では、パーティクルのサイズをランダム化できます。
値を大きくすると、粒子ごとに大きさがバラバラになるため、より自然な表現が可能です。
項目⑧重力
フィールドの重みの項目にある「重力」は、パーティクルが受ける重力の影響を調整できます。値を0にすると、パーティクルが重力の影響を受けなくなり、自由に飛ぶような動きを表現可能です。
Blenderでオブジェクトをパーティクルに設定する方法
Blenderでは、特定のオブジェクトをパーティクルとして設定し、シミュレーションに活用できます。Blenderでオブジェクトをパーティクルに設定する方法について見ていきましょう。
1.パーティクルに設定したいオブジェクトを作成する
まずは、ShiftキーとAキーから、パーティクルを設定するためのUV球を作成しましょう。
続いて、パーティクルを放出するオブジェクトとは別に、パーティクルに設定するオブジェクトを作成する必要があります。
今回は、立方体を作成しました。
また、Blenderを使って3Dモデリングを行う方法に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
実際にサッカーボールを作りながら、どのような手順でモデルが出来上がっていくのかを知ることができます。
3Dモデリングの方法を詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
2.オブジェクトをパーティクルに設定する
UV球を選択し、レンダーの項目の「レンダリング項目」を「ハロー」から「オブジェクト」に変更しましょう。
続いて、オブジェクトの項目の「インスタンスオブジェクト」からスポイトのアイコンをクリックし、パーティクルに設定したい立方体のオブジェクトを選択してください。
スペースキーを押してアニメーションを再生すると、指定した立方体のオブジェクトがパーティクルとして表示されて放出されるのを確認できます。
Blenderのパーティクルの実用例
パーティクルの実用例として、シーンに雨を降らすアニメーションを作成するケースがあります。
Blenderのパーティクルを使って、実際に雨を降らす編集をしてみましょう。
1.雨のオブジェクトを作成する
雨のパーティクルを作るためには、もととなる雨のオブジェクトが必要です。ShitキーとAキーの「メッシュ」から「UV球」を作成しましょう。
作成したUV球は、上部を尖らせて雨粒のような見た目に調整します。Tabキーで編集モードに移行したら、UV球の頂点だけを選択しましょう。
続いて、画面上部にある「プロポーショナル編集」のアイコンをクリックします。プロポーショナル編集は、選択した頂点以外も一緒に変形をかけられる機能です。
プロポーショナル編集モードからGキーで頂点を上に変形させましょう。マウスの中ボタンを回したら適用範囲を変更できるので、雨粒の形になるように調整してください。
2.平面を作成する
パーティクル用のオブジェクトを作成できたら、雨を降らす用のオブジェクトを作成します。今回は、上部に平面を追加して、その平面から先程作成した雨のオブジェクトを降らします。
ShitキーとAキーの「メッシュ」から「平面」を作成しましょう。作成した平面はGキーで画面上部に移動させ、かつSキーで拡大をかけておきます。
作成した平面を選択した状態で、プロパティエディターにある「パーティクルプロパティ」をクリックして開き、右上にあるプラスアイコンをクリックしてください。
続いて、レンダーの項目の「レンダリング項目」を開き「オブジェクト」に変更します。
さらに、オブジェクトの項目の「インスタンスオブジェクト」からスポイトのアイコンをクリックし、雨粒のオブジェクトを選択してください。
すると、パーティクルの対象が雨粒のオブジェクトになります。
3.アニメーションを再生する
作成した雨粒のオブジェクトは、画面右上にあるシーンコレクション内の目のとカメラのアイコンをクリックして非表示にしましょう。
非表示にできたら、スペースキーでアニメーションを再生してください。
上部から雨粒が降ってくる表現ができていれば完成です。
Blenderのパーティクルを効率的に学ぶなら
Blenderのパーティクルシステムを効率的に学ぶには、Blenderに特化したセミナーの受講がおすすめです。例えば、ProSkilllが提供するBlender基礎セミナーでは、Blenderの基礎から応用までを幅広く学べます。
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特に、eラーニング形式では、場所を問わず自分のペースで学習できるため、忙しい方にも最適です。さらに、オリジナル教材も提供されるので、受講後の復習として活用できます。
Blender基礎セミナーでは、リアルなモデリングの一環としてパーティクルの使い方も学べるので、理解の難しいパーティクルシステムも効率的に習得できるでしょう。
Blenderのパーティクルについてのまとめ
今回は、Blenderのパーティクルの使い方や編集方法について紹介しました。Blenderのパーティクルシステムは、雨や雪、煙といった自然現象や髪の毛、草のような細かいオブジェクトの表現に活用できる機能です。
設定次第でさまざまな効果を加えられるため、Blenderで表現のバリエーションを増やしたい方は、ぜひ活用してみてください。
