テクスチャを貼る作業は、3Dモデルを制作し終わった後、クオリティを上げるために実施する作業です。テクスチャを活用することで、モデル単体の形状だけでは表現できない細かい模様なども表現できるため、高品質のモデルを制作する際は重要な役割を担う操作です。
今回は、Blender(ブレンダー)のテクスチャの概要や、事前に知っておきたい基本事項、テクスチャをつける方法、テクスチャをつける際におすすめのツールについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
Blender(ブレンダー)のテクスチャとは
そもそもBlender(ブレンダー)のテクスチャとは、どのようなものを意味する単語なのでしょうか?結論からお伝えすると、モデルの表面を装飾する模様のことをテクスチャと呼びます。
3Dモデリングの作業は物体の形を構成する作業で、操作方法は異なるとはいえ、粘土で形を作っていく作業のようなものです。粘土は茶色の色がついているだけで、細かい模様を表現することは難しいでしょう。これは3Dモデルにおいても同じことです。
しかし、粘土でできたモデルを乾燥させ色を塗れば、より細かい模様を表現することができます。これは立体的な表現ではありませんが、細かい部分の表現であれば、立体的に見せることもできるのではないでしょうか。
たとえば、野球ボールのモデリングをする際に、単純な球体に縫い目の模様を描けば、あたかもそこに野球ボールがあるように見えます。このような作業を担うのが、Blenderにおけるテクスチャです。
ただし、Blenderのテクスチャにおいては、絵具を使って模様を描いていくのではなく、あらかじめ模様を書いた紙をモデルの表面に貼り付けて表現していきます。
Blenderのテクスチャ作業を学べば、こういった高度なモデルを制作することができます。つまり、Blenderの習得においては、テクスチャ作業が欠かせません。
Blender(ブレンダー)のテクスチャで知っておきたい基本事項
Blender(ブレンダー)のテクスチャを作成する場合、知っておきたい基本事項が2つあります。こちらは、上記で紹介したような「粘土の制作」と「Blenderでの制作」の違いになりますので、正しく理解しておくことが重要です。
オブジェクトの結合
同じ材質のテクスチャを表現するモデルは、モデルを結合し、異なるテクスチャを持つモデルは分離しておいた方が良いでしょう。
たとえば、人形のモデルを制作する場合、手と指はオブジェクトを結合し、腕と服は分離させておいた方が良いということです。
なぜなら、Blenderでテクスチャをつける場合、色の塗った表面をオブジェクトの表面に巻き、表現するからです。一枚の紙を球体に巻くときは、どの位置に模様を設定すれば良いかわかりやすいですが、球体に円柱がついたモデルの場合、どの位置にテクスチャをつければきれいに模様が表現できるか判断することは難しくなります。
つまり、作業の難易度を下げるために、オブジェクトを適切に結合、分割しておいた方が良いのです。
UV展開の基礎知識
テクスチャを作成する際に、一枚の紙のうち、どの面にどの位置のテクスチャが来るのかを決定する作業が必要です。この操作をUV展開といいます。
たとえば、立方体に6つの数字を書く場合、「1」の数字がどこに来るか基準を決めることで、他の面の数字を設定できるでしょう。
簡単な立方体のモデルの場合は、面の位置を決めなくても、おおよそで色をつけることができます。ところが、複雑なモデルを制作する場合、どの位置にどの面が来るのか決定する操作によって表現が大きく変わるため、Blenderのテクスチャ作成においては重要なポイントです。
Blender(ブレンダー)でテクスチャをつける方法
それでは、実際にBlender(ブレンダー)でテクスチャをつける方法について詳しく解説していきましょう。今回はわかりやすいように、立方体の6面に異なる色をつけていきます。
ステップ①:シームをつける
まずは、Blenderを起動し立方体のモデルを作ります。そのモデルに対して「シーム」をつけ、どの部分を切り離すかを設定します。
Blenderのシームとは、立方体を展開するために、どこに切り込みを入れるかを決める操作のことです。シームをつける場合は、次の手順で操作します。
- Shift+クリックでモデルの頂点を複数選択する
- 必要な辺を選択したらCtrl+Eを押す
- シームをマークする
そうすると、画像のように選択した辺が赤くなり、切り離す辺として認識されます。仮に誤った辺を選択してしまった場合は、選択した状態で同様にCtrl+Eを押し、「シームをクリア」を選択することでシームが解除されます。
シームの付け方によって展開後の形が変わるため、自身が管理しやすい状態を目指すことがおすすめです。ちなみに、シームをすべての辺につけ、バラバラにしてしまうことも可能です。
ステップ②:UV展開する
シームがつけ終わったら、UV展開を行います。主な流れとしては次のとおりです。
- すべての面を選択する
- 展開をクリックする
まず、すべての面を選択する場合は、キーボードの「Aキー」を押し、モデルをすべて選択します。
その後「Uキー」をクリックし、「展開」をクリックすることで、UV展開が実施されます。
この状態では何も起こっていないように見えますが、上部の「UV Editing」タブを開くと、しっかりとUV展開できたことが理解できるでしょう。シームがうまく設定できていない場合は、再度シームをつけて展開します。
ステップ③:画像を作成する
次に、立方体に色を塗るための画像を作成します。
ただし、そのままテクスチャを描き始めても、テクスチャとなる画像がまったくない状態なので、画像を作成したとしても立方体には反映されません。そのため、テクスチャが反映されるよう、Blenderの画面で認識させるための画像を作成します。その操作方法は次のとおりです。
- 上部のTexture Paintを選択する
- +新規をクリックする
- カラーを白で作成する
すると、次のように、UV展開後の真っ白な画像ができ上がると思います。
この画像を立方体に反映させるためには、マテリアルを設定する必要があります。この操作によって、画像を反映させることが可能です。
- プロパティタブの「マテリアル」を選択する
- 「+新規」をクリックする
- ベースカラー隣の丸いアイコンをクリックする
- 「画像テクスチャ」を選択する
- 「リンクする画像を選択」をクリックする
すると、立方体がまったく色のついていない真っ白なオブジェクトに仕上がります。
ステップ④:画像に細かい模様を描画する
最後に、画像に細かい模様を描画します。
Blenderの描画方法には、「描画自体をBlenderでする方法」と「ペイントソフトを使用して描く方法」の2種類があります。詳細については後述しますが、ここでは、Blenderを使用してペイントしていきます。
- プロパティ上部「アクティブスペースとワークスペースの設定」を選択する
- ブラシでペイントする
ちなみに、Blenderの場合は、はみ出して色を塗ったとしてもその部分は反映されないため問題ありません。ただし、基本的には平面表示されている画像を画像編集ソフトで編集するのがおすすめです。
ステップ⑤:テクスチャを適用する
今回は、Blenderに直接書き込んだため、適用の操作は必要ありませんが、他のソフトで作った画像を埋め込む場合には必要な操作となります。
たとえば、上の画像を適用する場合は、次の手順で操作します。
- マテリアルプロパティを選択する
- 画像を開くをクリックする
下のようになります。
画像に細かい模様を描画する方法
細かい模様を描画する場合は、次の2つの方法が考えられます。それぞれの方法を詳しく解説します。
Blenderで描画する
1つ目は、Blenderで直接描画する方法です。先ほども取り上げた方法ですが、「ペイント」では、ブラシの太さと強さを変更できます。そちらをうまく活用することで、細かい模様も描くことが可能です。
ただし、より精密な模様を描きたい場合は、外部ペイントソフトを使用した方が、豊富な機能が搭載されているため、使い勝手が良いです。そのため、基本的には以下で紹介する「外部ソフトを使用して描画する」方法をおすすめします。
外部ソフトを使用して描画する
外部ソフトを使用して描画する場合は、テクスチャを外部ソフトで制作し、その画像をマテリアルに適用することで、細かい模様を描画可能です。
この後にBlenderのテクスチャ作成におすすめのツールを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Blender(ブレンダー)のテクスチャ作成のおすすめのツール
Blender(ブレンダー)のテクスチャ作成においては、次の4種類のツールを使用すると良いでしょう。
Photoshop
画像引用元:Photoshop
Photoshopは、Adobeが開発したペイントソフトです。画像をイラスト化するなど、3Dモデリングに最適な豊富な機能が備わっています。また、描画用のブラシも豊富で、高クオリティのイラストを作成できます。
ただし、月額料金を支払う必要があるサブスクリプションサービスとなっているため、手を出しづらい方が多いことも事実です。
Paint Palettes
Paint PalettesはBlenderに標準搭載されているアドオンで、一覧から有効化するだけで使えるようになります。有効化は、編集 → プリファレンスを選択で簡単に行えます。
【画像19】
基本的には、3Dビューにペイントができる機能となっており、UV展開画像に対して書き込まなくても良いため、直感的な操作が可能となります。
Tex Tools
Tex Toolsは無料で利用できるアドオンで、導入すると、UV展開の便利な機能が活用できます。具体的には、UV editing画面で複雑な形のUVを自動的に四角形に変更してくれ、描画しやすくなります。また、UVを自動で並び替える機能なども3Dモデル制作には便利です。
アドオンは別サイトからダウンロードする必要があるため、興味がある人はダウンロードしてみてください。
参考サイト
Auto Reload Images
Auto Reload Imagesは、別ソフトで編集した画面を即座にBlenderに反映してくれるツールです。
たとえば、Photoshopで編集している画像をBlenderに自動で反映してくれるため、画像を毎回移動し、モデルの結果を確認する作業が不要となります。そのため、別ソフトを使用してモデルのテクスチャを作成することが多い人には役立つツールとなっています。
参考サイト
Blender(ブレンダー)のテクスチャ関連のショートカットキー
テクスチャを貼る作業は、3Dモデルを制作し終わった後、クオリティを上げるために実施する作業です。テクスチャを活用することで、モデル単体の形状だけでは表現できない細かい模様なども表現できるため、高品質のモデルを制作する際は重要な役割を担う操作です。
ここでは、Blender(ブレンダー)のテクスチャの概要や、事前に知っておきたい基本事項、テクスチャをつける方法、テクスチャをつける際におすすめのツールについて詳しく解説します。また、操作を早くするために必要なショートカットキーも交えて紹介しますので、テクスチャを使用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Blenderでテクスチャを貼り付ける場合、ショートカットキーを活用するのがおすすめです。ここでは、Blenderで使えるテクスチャ関連の主要ショートカットキーについて紹介します。
シームをマークする操作:Ctrl+E
シームのマークは、テクスチャを貼り付ける際に多用する「UV展開」を行うための操作です。そのため、ショートカットキーを覚えると、素早く操作を行うことができ、作業の効率化を図れます。
シームのマークは辺を選択した状態で「Ctrl+E」をクリック、「シームをマークする」を選択すれば操作が行えます。ちなみに、選択の際に複数選択が行いたい場合は、「Shift」を押しながら、また、Alt(Option) を押しながらクリックすることで 変一列を選択することが可能です。
全選択の操作:A
UV展開の際には、すべての面を選択する必要があります。しかし、Blenderはマウスで全選択することが難しく、角度を変えながらすべての面を選択するのは複雑なモデルになるほど難しくなります。
その際に使えるのがショートカットキー「Aキー」です。画面に存在しているモデルすべての面を選択することが可能です。ただし、複数のモデルが同時に存在しており、その1モデルのみを選択したい場合には使うことができません。その場合は、選択したくないモデルを非表示にして「Aキー」を押しましょう。
UVマッピングを開く操作:U
UVマッピングのショートカットキーは「U」です。前述したシームの位置でUV展開を行ってくれます。
視点切り替えの操作:テンキー
UV展開を行い、テクスチャをつけた後、テクスチャが正しくついているかを確認する操作が発生します。その際に役立つのがテンキーによる視点切り替えです。テンキーで任意のキーボードを押すと、次のように変化していきます。
- 0キー:カメラの視点
- 1キー:正面
- 2キー:下方向に15°回転
- 3キー:右正面
- 4キー:左方向に15°回転)
- 5キー:投影方法を切り替え
- 6キー:右方向に15°回転
- 7キー:真上
- 8キー:上方向に15°回転
- 9キー:反転
- . キー:表示されているオブジェクトをすべて表示
- / キー:選択しているオブジェクトを表示
テクスチャより高度な技術はBlenderセミナーで学ぼう
Blender(ブレンダー)のテクスチャや作り方・貼り付け方等の基本操作をマスター出来たら、実践的に活用していく為にさらに練習や理解を深めていく必要があります。
中々実践的に活用する機会が限られてしまう人は、Blender(ブレンダー)のセミナーで効率的に学ぶ事をおすすめします。
まとめ
Blender(ブレンダー)のテクスチャの概要や、事前に知っておきたい基本事項、テクスチャをつける方法、テクスチャをつける際におすすめのツールについて詳しく解説しました。
Blenderのテクスチャ作成は奥が深く、操作方法を知ったからといって理想のモデルを制作できるというものではありません。そのため、操作方法を覚えるとともに、自分にとって最適なテクスチャの制作方法を模索し、練習する必要があります。
3DCGに興味がある方は、ぜひ本記事の内容を基礎としてテクスチャ制作を進めてみてください。
