エクセルは、業務の効率化やデータ管理を支える強力なツールですが、「計算」が中心的な役割を果たしています。基本的な四則演算から複雑な関数の活用まで、エクセルの計算機能をマスターすることで、日常業務の効率は飛躍的に向上するでしょう。
本記事では、エクセル計算の基礎から応用までを説し、実際の業務で活用できる具体的なテクニックを紹介します。
エクセル計算の基本
エクセルの計算機能を使いこなすことは、効率的なデータ処理や業務の簡略化につながります。
この章では、エクセルで計算を行う際に押さえておきたい基本操作や、計算式の入力方法について見ていきましょう。
エクセルで計算する際の基本操作
エクセルで計算を行うには、セルの操作方法と計算式の基本ルールを理解することが大切です。エクセルでは、セルを活用して数値や計算式を入力し、データを効率よく処理できます。
以下の表に、エクセルで計算を始めるための基本的な手順をまとめました。
操作手順 | 説明 |
---|---|
セルを選択する | 計算結果を表示したいセルをクリック(例: セル「B2」を選択) |
「=」記号を入力する | 「=」を入力して計算式の入力を開始 |
数値またはセルを入力 | 直接数値を入力するか、他のセルを参照(例:「A1+B1」など) |
Enterキーを押して確定 | 入力を終えたらEnterキーを押すと、計算結果がセルに表示される |
このように、計算は「セルを選択する」「計算式を入力する」「結果を確定する」の3ステップで完了します。エクセルのセルは、計算の基本単位となるため、正確に操作することが重要です。
また、エクセルでは数値だけでなくセル参照を利用することで、データを柔軟に扱えます。計算式に変更が必要な場合も、セルの内容を編集するだけで簡単に修正可能です。
まずは基本操作を確実にマスターし、計算作業をスムーズに進められるようにしましょう。
「=」記号の使い方と数式の入力方法
エクセルで計算を行う際は、すべての計算式を「=」記号から始める必要があります。この記号は、エクセルに対して「計算を行う」という指示を出すためのものです。
以下に、計算式の基本的な入力手順をまとめました。
- 計算結果を表示させたいセルを選択します
- キーボードで「=」を入力します
- 入力が終わったら、Enterキーを押して計算を確定します
計算式は入力後も編集が可能で、計算結果が間違っていた場合でも簡単に修正できます。セルをクリックして内容を変更し、再度Enterキーを押すだけで計算結果が更新されるため、効率的な作業が可能です。
エクセルの基本的な計算を正確に行うことで、データ処理の土台を築きましょう。
エクセルの基本的な四則演算
エクセルでは、足し算、引き算、掛け算、割り算といった四則演算を簡単に行うことができます。数値をセルに入力し、適切な記号を使って数式を作成するだけで、自動的に計算結果が表示されます。
四則演算の例を、以下の表にまとめました、
演算内容 | 演算記号 | 入力例 | 結果表示例 |
---|---|---|---|
足し算 | ∔ | =10+5 | 15 |
引き算 | – | =20-8 | 12 |
掛け算 | * | =7*6 | 42 |
割り算 | / | =56/7 | 8 |
エクセルの四則演算は、セル参照を活用することでさらに便利になります。
例えば、セル「A1」に10、セル「B1」に5を入力して、セル「C1」に=A1+B1と入力すれば、計算結果として15が表示されます。このようにセルの値を利用すれば、数値が変わっても計算結果が自動更新されるため、柔軟にデータを管理できるでしょう。
エクセルでよく使われる基本関数
エクセルの関数は、計算やデータ処理を効率化するための便利なツールです。中でも、SUM関数やAVERAGE関数といった基本的な関数は、日常業務で頻繁に使われます。
- 合計を計算するSUM関数
- 平均を求めるAVERAGE関数
- 最大値・最小値を求めるMAX/MIN関数
- セルの個数を数えるCOUNT関数
この章では、上記のよく使われる基本関数について見ていきましょう。
①合計を計算するSUM関数
SUM関数は、指定した範囲内の数値を合計するための関数です。大量のデータを効率よく処理したいときに役立ちます。
例は、以下の通りです。
- セルA1からA5までの合計を計算する場合
=SUM(A1:A5)
- 複数のセルを個別に指定して合計する場合
=SUM(A1, B1, C1)
- セルの中に空欄や文字があっても、数値だけを合計可能
SUM関数はシンプルで使いやすく、データの集計作業には欠かせないツールです。特に、数値のまとまりが大きい場合に効率的に合計を求めることができます。
②平均を求めるAVERAGE関数
AVERAGE関数は、指定した範囲の平均値を計算するための関数です。データの傾向を把握する際に便利です。
例は、以下の通りです。
- セルA1からA10までの平均値を計算する場合
=AVERAGE(A1:A10)
- 特定のセルを選択して平均を求める場合
=AVERAGE(A1, B1, C1)
- 範囲内に空白やエラーがあっても無視して計算可能
AVERAGE関数を使えば、膨大なデータから瞬時に平均値を求められるため、分析や報告資料の作成に大いに役立ちます。
③最大値・最小値を求めるMAX/MIN関数
MAX関数とMIN関数は、それぞれ指定した範囲の中で最も大きい値と小さい値を求めるために使用します。
例は、以下の通りです。
- セルA1からA5までの最大値を求める場合
=MAX(A1:A5)
- セルA1からA5までの最小値を求める場合
=MIN(A1:A5)
データの極値を簡単に見つけることができるため、特定の条件を探す場面で非常に有効です。
④セルの個数を数えるCOUNT関数
COUNT関数は、指定した範囲内で数値が入力されているセルの個数をカウントします。
例は、以下の通りです。
- セルA1からA10までの数値が入力されているセルの個数を数える場合
=COUNT(A1:A10)
- 特定のセルを選択して個数を計算する場合
- 空欄や文字列は無視してカウント
=COUNT(A1, B1, C1)
COUNT関数を使えば、大量のデータから数値が入力された箇所を正確に特定でき、データ整理が効率的に進められます。
エクセルの条件付き計算
エクセルでは、データの中から特定の条件を満たす値を計算するために、条件付き計算の関数を利用できます。単純な計算だけでなく、条件に応じた集計や判断を効率的に行うことが可能です。
- IF関数を活用した条件付き計算
- SUMIF/COUNTIFで条件に応じた計算
この章では、上記の条件に応じて値を返す「IF関数」と、条件付きでデータを合計・カウントする「SUMIF」および「COUNTIF」について解説します。
①IF関数を活用した条件付き計算
IF関数は、指定した条件が「真」か「偽」かを判定し、応じた値を返します。条件に基づいて異なる結果を表示させたい場合に便利です。
例えば、売上データに基づいて目標達成の可否を判定する場合を考えます。セルA1に売上データが入力され、目標額が100,000円の場合、次のような式を使います。
100,000以上なら「達成」、それ未満なら「未達成」と表示されます。例は、100,001のため「達成」です。
このように、IF関数は条件分岐に基づいて異なる出力を得られるため、勤怠管理や在庫チェックなど幅広い場面で活用できます。
②SUMIF/COUNTIFで条件に応じた計算
SUMIF関数は、特定の条件に一致する値を合計します。一方、COUNTIF関数は、条件に一致するセルの個数をカウントします。条件付きでデータを集計する際に役立つ関数です。
例えば、特定の商品カテゴリーの売上を合計する場合、以下のように設定します。
この場合、「B列に食品と入力されている行のC列の値」を合計します。
また、特定の商品がいくつ販売されたかをカウントする場合は、COUNTIFを使用します。
この式は、「B列に食品と入力されているセルの個数」を返します。
エクセルで日付と時間を計算する方法
エクセルでは、日付や時間を使った計算が可能で、作業スケジュールの管理や期間の算出、勤務時間の計算などに活用できます。日付や時間は特別な形式で処理されるため、適切な関数や計算方法を理解することが重要です。
日付と時間の計算の例を、以下の表にまとめました。
計算内容 | セル | 式 | 結果 |
---|---|---|---|
2つの日付の差を求める | A1: 2025/01/01 A2: 2025/01/06 |
=A2-A1 | 5 |
日付に特定の日数を追加する | A1: 2025/01/01 | =A1+7 | 2025/01/08 |
営業日数を計算する(祝日除外) | 範囲 B1:B10 に祝日がリスト | =NETWORKDAYS(A1, A2, B1:B10) | 4 |
2つの時間の差を求める | B1: 10:00 B2: 12:30 |
=B2-B1 | 2:30 |
時間の合計が24時間を超える場合 | 24時間を超える時間計算を正確に表示可能 | [h]:mm 表示形式で計算 |
26:45 |
日付や時間の計算を正確に行うためには、エクセルが日付や時間を内部的に数値として処理していることを理解することが大切です。
日付と時間を計算する機能をマスターすることで、日々の業務における効率化を図り、データ管理の精度を高めることができるでしょう。
エクセルの日付に関しての詳細を知りたい方は、下記をご覧ください。
エクセルで使われる複雑な関数
エクセルには、複雑なデータ処理や条件に応じた計算を効率的に行うための高度な関数が豊富に用意されています。関数を組み合わせて活用することで、より柔軟なデータ操作が可能になります。
- VLOOKUP関数でデータを検索
- INDEXを活用した柔軟なデータ参照
- IF関数とAND/OR関数を組み合わせた条件付き計算
この章では、上記のデータ検索や条件付き計算に役立つVLOOKUP関数、INDEX/MATCH関数、およびIF関数とAND/OR関数について見ていきましょう。
①VLOOKUP関数でデータを検索
VLOOKUP関数は、表形式のデータから特定の値を検索し、対応する値を返す関数です。
VLOOKUPの例として、表の「商品コード」に対応する「商品名」を検索する場合は、商品コード「A001」に対応する商品名を取得しましょう。
- “A001″:検索する値
- A1:C10:検索範囲
- 2:取得する列番号
- FALSE:完全一致で検索
結果は以下の通りになります。
関数は大規模なデータセットから特定の情報を素早く取得するのに非常に便利です。
②INDEXを活用した柔軟なデータ参照
INDEX関数とMATCH関数を組み合わせると、VLOOKUP関数よりも柔軟なデータ参照が可能になります。特に、参照範囲が変動する場合や、検索方向が縦横混在している場合に有効です。
例として、商品名を検索し、対応する価格を取得しましょう。
まず、商品名がセル「E1」に入力されている場合、商品に対応する価格を取得します。
- C2:C10:取得したい値がある範囲(価格の列)
- B2:B10:検索範囲(商品名の列)
- MATCH(E1, B2:B10, 0):E1の値がB列で何行目にあるかを取得
結果は以下の通りです。
この方法では、参照範囲が列の位置に依存しないため、データの構造が変わっても柔軟に対応できます。
③IF関数とAND/OR関数を組み合わせた条件付き計算
IF関数にANDやORを組み合わせることで、複数の条件を考慮した計算が可能になります。より複雑なロジックを構築できるでしょう。
例として、売上が50,000円以上かつ利益率が20%以上の場合、「優良」と表示させましょう。
また、在庫数がセルA1、発注日がセルB1の場合は以下の通りです。
AND/ORを組み合わせることで、複数条件を簡潔に処理できるため、業務の自動化や判断基準の明確化に役立ちます。
その他のエクセルの機能を知りたい方は、下記をご覧ください。
エクセルでよくあるエラー表示の対策方法
エクセル計算をマスターして日々の業務を効率化しよう
エクセルの計算機能を使いこなすことで、業務の効率化やデータ分析の精度を大幅に向上させることができます。基本的な計算から高度な関数の活用まで、一度身につけたスキルは、どのような業界でも役立つ財産となるでしょう。さらにスキルを深めたい方は、プロから学ぶことで、短期間で実務に直結した知識を習得することが可能です。
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