Wrike Japanは、2024年10月に開催された会見で、クラウド型ワークフローシステム「Wrike」の新機能を発表し、日本市場におけるさらなる事業拡大を発表しました。Wrikeは、企業内のタスクやプロジェクトをワークフローベースで管理するプラットフォームとして、世界140カ国で利用されており、日本国内においても製造業を中心に導入が拡大しています。
今回は、製造業でワークフローシステムを導入するメリットやデメリット、ワークフローシステムの選び方を詳しく解説します。
製造業におけるワークフローシステムとは
製造業におけるワークフローシステムは、生産プロセス全体を効率的に管理する上で不可欠なツールです。従来、手作業で行われていた申請や承認などの一連の流れをシステム上で自動化することで、人的ミスを減らし、業務のスピードアップを実現します。
生産計画の作成から材料の発注や在庫管理、品質管理に至るまで、生産に関わるあらゆるプロセスを統合的に管理できるため、製造業におけるDXを促進させ、企業全体の生産性を大幅に向上させることが可能です。
製造業で用いられるワークフローシステムの機能
製造業で用いられるワークフローシステムは、業務プロセスを効率的に管理するために以下のようなさまざまな機能を備えています。
- 申請や承認の順番を設定
- 申請書フォームの作成
- 申請・承認・差戻しの決済機能
- 様々なシステムとの連携
- 運用状況の管理・監視
各項目を具体的に見ていきましょう。
申請や承認の順番を設定
ワークフローの申請や承認の順番を柔軟に設定できる機能です。これにより、承認の順序や役割に応じてタスクを自動的にルーティングし、上位管理者からの承認が必要な場合や、特定の役割による連続的な承認手続きなど、複雑な承認プロセスを効率化します。
また、フローの途中でのタスクの差し戻しやコメントの追加など、柔軟なフローの操作も可能であり、状況の変化に迅速に対応できます。さらに、タスクの進捗や経過時間の監視、期限の管理など、リアルタイムでの状況把握を支援することで、ボトルネックの早期発見や期限遅延の防止にも繋がります。
また、他のシステムとの連携や通知機能によって、業務効率を向上させ、コミュニケーションを円滑化することも可能です。
申請書フォームの作成
申請書フォーム作成機能を活用することで、企業は自社の業務に特化した、きめ細やかな申請書フォームを自由に作成することができます。従来、申請書の作成は定型書式への手書きや、Excelなどを使用した煩雑な作業が一般的でした。
しかし、フォーム作成機能が備わったワークフローシステムでは、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、誰でも簡単にフォームを作成できるようになっています。そのため、システムの導入によって、業務効率の向上だけでなく、従業員の負担軽減にも繋がるでしょう。
さらに、フォーム作成機能には、高度なカスタマイズ機能が搭載されています。カスタムフィールドの作成やテンプレートの利用により、企業のニーズに合わせた柔軟なフォーム設計が可能です。また、自動計算機能やデータバリデーション機能によって、入力ミスを防止し、データの正確性を確保することもできます。
申請・承認・差戻しの決済機能
申請・承認・差し戻し決済機能は、業務プロセスを大幅に効率化し、正確性を高めるツールです。この機能を用いることで、申請者はシステム上で直接申請書を作成し、必要な情報を漏れなく入力することができます。
作成された申請書は、関係する承認者に自動的に通知され、承認者はシステム上で申請内容を詳細に確認した上で、承認または差し戻しの判断を下します。もし、申請内容に不備があり差し戻された場合、申請者は承認者の指示に基づいて修正を行い、再度申請を行うことができるのです。
システム上で迅速に行われるため、申請の進捗状況をリアルタイムで把握することが可能になり、システムは過去の申請履歴やログを詳細に記録することで、高いトレーサビリティをもたらします。
様々なシステムとの連携
ワークフローシステムは、他のシステムと連携することで、業務の効率化を向上させます。この連携機能により、ワークフローシステムと様々なシステム間でデータの受け渡しを円滑に行い、重要な情報を自動的に共有することが可能です。
これにより、業務の正確性を高め、時間的なロスを削減することができるでしょう。さらに、リアルタイムなデータの連携により、ビジネスのスピードアップに繋げることができます。業務全体の進捗状況を可視化することで、ボトルネックとなる部分を特定し、業務改善に繋げることもできるでしょう。
運用状況の管理・監視
運用管理機能は、システムの運用状況を管理者が把握し、コントロールするための機能です。具体的には、ユーザーや役割の管理やアクセス権限の設定、ワークフローの設計や編集、統計情報の収集と分析などの機能が挙げられます。
管理者は、この機能を活用してユーザーの追加や削除、役割の付与、ワークフローのフローデザインの変更などを行い、システムが円滑に運用されるよう支援します。統計情報に基づいた分析を行うことで、ワークフローの進捗状況や業務効率の改善点などを把握し、より最適な運用へと導くことができるでしょう。
製造業でワークフローシステムを導入するメリット
製造業において、ワークフローシステムを効果的に活用することで、組織はよりスムーズな業務遂行と組織全体の成果向上を期待できます。では、具体的にどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく解説していきます。
業務効率化ができる
ワークフローシステムの導入は、申請・承認作業を効率化する手段の一つです。従来の紙ベースの管理から脱却し、業務をデジタル化することで、作業時間の短縮と業務全体の効率化ができます。例えば、製造現場での作業報告や生産計画の承認などの業務をワークフローシステムで管理することで、迅速な処理が可能です。これにより、製造プロセス全体のスムーズな進行に繋がり、生産性の向上にも繋がります。
デジタル化の目的については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
内部統制の強化ができる
ワークフローシステムの導入は、内部統制の強化にも効果的です。業務プロセスが標準化され、例外的な処理が抑制されることで、人為的なミスや不正を防止し、経営リスクを軽減することができるでしょう。
このように、ワークフローシステムは、業務効率化ツールにとどまらず、組織全体のガバナンス強化に不可欠な基盤となります。
働き方の柔軟性が向上する
ワークフローシステムは、モバイル端末からの操作に対応しているため、テレワークやリモートワークなど柔軟な働き方を可能にします。従業員は場所や時間に縛られずに業務を行うことができ、働きやすさが大幅に向上するでしょう。
特に製造業においては、現場の管理者や技術者が工場外で業務を行う機会が多く、どこからでもシステムにアクセスできることは大きなメリットです。例えば、外出先からでも進捗状況を確認したり、承認を行ったりすることが可能になります。
製造業の在宅ワークについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
データの一元管理ができる
ワークフローシステムを導入することで、企業のあらゆるデータを一か所に集約し、一元管理できるようになります。データの一元化はデータの整合性を高め、分析を容易にするという大きなメリットをもたらします。
例えば、生産現場における生産データや品質データを一元管理することで、リアルタイムな生産状況の把握ができ、品質問題の発生を早期に検知することができます。迅速な対応が可能となり、製品の品質向上に繋がることが期待されます。
さらに、一元化されたデータを分析することで、業務の効率化につながる新たな発見や、経営戦略の立案に役立つ貴重なインサイトを得ることができるでしょう。
運用コストの削減ができる
紙ベースの申請・承認業務を電子化することで、紙の使用量を削減し、書類の保管スペースを必要としなくなるため、運用コストを削減できます。また、手作業による入力ミスや書類紛失のリスクが軽減され、業務の効率化が図られ、間接的なコスト削減にも繋がるでしょう。
従業員のストレス軽減ができる
ワークフローシステムの直感的な操作性とリモートワークの推進は、従業員の業務効率化に大きく貢献します。従業員は自身の業務を明確に把握し、スムーズな作業が可能となり、結果としてストレスが軽減され、働きがいを実感できるようになるでしょう。
さらに、事務作業の簡素化は従業員が本来の業務に集中できる環境を創出し、企業全体の生産性向上にも繋がります。
意思決定のスピードが短縮できる
ワークフローシステムの導入は、ビジネスにスピード感をもたらします。リアルタイムなデータ共有と分析が可能となり、経営判断の迅速化を実現するでしょう。必要な情報が即座に共有されることで、意思決定のプロセスが短縮され、市場の変化や新たなビジネスチャンスへの迅速な対応が可能になります。
製造業におけるワークフローシステム導入のデメリット
ワークフローシステムを導入する際は、そのメリットだけでなく、デメリットや注意点についても十分に理解しておくことが重要です。以下では、製造業におけるワークフローシステム導入のデメリットを解説します。
自社の業務の特性に合わない場合がある
ワークフローシステムを導入する際、自社の目的や業務特性に合致していないシステムを選んでしまうと、かえって業務効率を低下させる可能性があります。例えば、過度なカスタマイズが必要なシステムや操作性が複雑なシステムは、導入初期の学習コストが大きくなり、業務に支障をきたす傾向があります。
そのため、ワークフローシステムを導入する際には、自社の業務ニーズや要件を十分に検討し、導入するシステムが自社の業務に最適であるか慎重に判断することが重要です。
操作に不慣れだと上手く活用できない
システム操作に不慣れな従業員がいる場合、新しいシステムの導入によって業務効率化が遅れる可能性があります。ワークフローシステムを導入する際は、従業員がスムーズに操作できることを第一に考え、ツールを選ぶことが大切です。
直感的に操作でき、分かりやすい画面設計や手順書が備わっているシステムであれば、従業員は短時間でシステムに慣れ、業務に活かすことができるでしょう。
既存のシステムと連携ができない可能性がある
ワークフローシステムを導入する場合、既存のシステムとの連携性が重要です。連携がスムーズに行えないと、業務の手間が増えたり、連携のためのカスタマイズに多額のコストがかかったりするリスクがあるためです。ワークフローシステムを選ぶ際には、以下のような機能が付いているシステムを選ぶことをおすすめします。
API | システム同士を接続し、機能や仕組みを共有することができる |
外部サービスとの連携 | クラウドストレージ、コミュニケーションツールなどの連携ができる |
これらの機能があれば、既存のシステムとの間でデータをスムーズにやり取りし、情報を共有することができるでしょう。また、システムのカスタマイズに関しても、導入前に十分な検討を行い、既存のシステムとの連携性を考慮しながら、最適なカスタマイズを行うことで、業務効率化を最大化することが期待できます。
製造業におけるワークフローシステムの選び方
ワークフローシステムは、多くのシステムが直感的な操作性を備えており、専門知識がなくても導入しやすいという特徴を持っています。以下では、製造業におけるワークフローシステムの選定において、特に注意すべき点について解説します。
自社のニーズに見合った機能があるか
ワークフローシステムを導入する際は、自社の業務内容を精査し、必要な機能を明確にすることが重要です。例えば「どの程度の複雑な承認フローが必要か」「どのような種類の書類をデジタル化したいか」などの点を具体的に検討することで、最適なシステムを選択することができます。
ワークフローシステムは、自社のニーズに合ったシステムを選択し、効果的に活用することで、業務の生産性向上とコスト削減を実現することができるしょう。
既存システムと連携が可能か
製造業においては、会計システムや販売管理システムなど、様々な既存システムが導入されていることが一般的です。このような環境下では、ワークフローシステムがこれらのシステムと円滑に連携できるかどうかが、導入の成否を大きく左右する重要なポイントとなります。
例えば、得意先情報や仕訳データをシステム間で自動的に連携させることで、二重入力の手間を省き、人為的なミスによる計算間違いや入力漏れを防止することができます。これにより、業務効率の向上だけでなく、データの正確性も担保され、より信頼性の高い情報に基づいた意思決定が可能となるのです。
シンプルで扱いやすいか
ワークフローシステムは、多くの従業員が利用するため、シンプルで直感的な操作性が求められます。特に、機械操作に慣れていない従業員でも容易に扱えるよう、ドラッグアンドドロップなど、視覚的な操作が可能なインターフェースが理想的です。
さらに、既存のExcelフォームをそのまま活用できるシステムであれば、従業員の学習コストを大幅に削減できるでしょう。近年では、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からの操作にも対応したワークフローシステムが登場しており、場所を選ばずに承認や申請を行うことが可能です。この機能は、遠隔地からでも迅速な業務処理が可能となり、企業全体の生産性向上に繋がります。
製造業におけるワークフローシステム導入で業務を効率化
今回は、製造業でワークフローシステムを導入するメリットやデメリット、ワークフローシステムの選び方を解説しました。製造業において、ワークフローシステムは生産管理や業務プロセスを効率化し、企業競争力を高める上で欠かせないツールとなっています。
従来、手作業で行われていた生産計画の申請や承認、在庫管理などの手続きは、ワークフローシステムの導入により、システム上で一元管理されるようになります。これにより、申請から承認までの時間が大幅に短縮され、データの正確性も向上します。
このように、ワークフローシステムは、製造業における様々な課題を解決し、生産性向上、コスト削減、品質向上など、多岐にわたる効果をもたらします。結果的に、企業競争力の強化に大きく貢献することが期待できるでしょう。
