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ロボットの可搬重量が向上!改良されたパレタイジングロボットの能力や期待される効果とは?

ロボット事業・ロボマシン事業を展開しているファナック株式会社が、新たに可搬重量800kgに耐えるパレタイジングロボットを開発しました。今まで利用されてきたパレタイジングロボットと何が違うのでしょうか。

今回は、ロボットの可搬重量の増加のニュースをもとに、改良されたパレタイジングロボットの魅力や期待される効果を深掘りします。進化しつづけるロボット技術の動向を探る参考にしてください。

パレタイジングロボットとは?

本記事で登場するパレタイジングロボットとは、ものや箱などを運び、仕分けし、移動用のパレットに積み上げてくれる自動ロボットのことです。人間の手のような形状をしており、小さな製品はもちろん大型の製品まで持ち上げて仕分けしてくれます。

また、人間の代わりに荷物を移動してくれることから、次のような業界でパレタイジングロボットが活用されています。

パレタイジングロボットが活用される業界 ロボットの用途
製造業 部品や製品の移動
物流業 製品の積み込みやパレット移動
建設業 建設資材の仕分けや荷運び

またパレタイジングロボットは、縦横無尽に移動できる複数の関節と、重い荷物を持ち上げるためのアームを備えたロボットです。可搬重量内の荷物を別の場所へ移動させる単純作業を得意とし、設定に合わせて自由な動きをつくり出せるため汎用的な使い方に対応できます。

ただし、パレタイジングロボットの最大可搬重量(ものを移動させる重量のことで「かはんじゅうりょう」と読む)は、一般的に80~700kg程度だと言われています。可搬重量700kgを超える大型の資材や製品には対応できず、別途人力での可搬や仕分けが必要となっていました。

パレタイジングロボットの可搬重量が800kgまで向上

ファナック株式会社のパレタイジングロボット
出典:ファナック株式会社「パレタイジングロボット」

ロボット事業・ロボマシン事業を展開するファナック株式会社が、従来機の最大可搬重量を100kgも超える最新のパレタイジングロボットを開発しました。

従来機の最大可搬重量700kgを超えることから、今まで以上に多くの産業分野に導入できると期待されています。またニュースによると、可搬重量が110~800kgの性能を活用し、次のような使い方が検討されているそうです。

飲料製造や物流倉庫を中心に幅広い産業分野で大型・重量物の搬送に活用できるほか、海外では、れんがや建材などの搬送も想定する。

引用:ニュースイッチ「可搬重量800kgの荷積みロボット、ファナックが市場投入」

またファナック株式会社の最新パレタイジングロボットは、可搬重量だけでなく動作領域も拡大されています。可搬重量の向上により、大型製品に対応できることはもちろん、繊細な動きを実現できるのが特徴です。

パレタイジングロボットの可搬重量が向上した理由とは?

ファナック株式会社が開発した最新のパレタイジングロボットは、ただ可搬重量が向上しただけでなく、さまざまな部分がブラッシュアップされています。紹介する特徴は、すべて可搬重量のきっかけとなったポイントです。

どのような理由で可搬重量を向上できたのか、ひとつずつ見ていきましょう。

駆動系の効率向上

ファナック株式会社の最新パレタイジングロボットは、ロボットの関節部である軸の動きがスムーズ化し、滑らかかつ素早く次のアクションを起こせるようになりました。ひとつの動作時間を短くできることから、製造効率の向上として役立ちます。

最大可搬重量である800kgの可搬物についてもスムーズな移動・仕分・積み込みを実現できることから、作業短縮効果を生み出せると注目されています。

アームの軽量化

最新のパレタイジングロボットは、高さを抑えたコンパクトなデザインへと変更されたことにより、アーム全体の軽量化が実現しています。

全体の軽量化のおかげでアームの動きが高速化したことはもちろん、ロボットの本体高を従来製品より70cmも低くできたことにより、天井が低い場所でも効率よく作業を進行できるのが魅力です。

アームが支える自重が軽くなった分、可搬重量に重量を回せることで、今回の可搬重量の向上につなげられました。

可動ケーブルの収納

最新のパレタイジングロボットは、むき出しの状態だった可動ケーブルがロボットの本体内に収容されたことにより、作業時の干渉リスクを防止できるようになりました。

パレタイジングロボットは、可搬重量内の荷物を移動させる際、周辺設備などに干渉し、ケーブルが破断するといった事故がたびたび発生します。対して、ケーブルを内部に埋め込めば、可搬重量内の荷物を移動する際に、衝突といったリスクを防止できます。

可搬重量の向上はもちろんアーム全体がなめらかかつスマートなデザインに一新されたことも含め、より現場に導入しやすい製品へと生まれ変わりました。

セキュリティ機能の向上

ファナック株式会社のパレタイジングロボットは、可搬重量の向上だけでなくセキュリティ対策の向上にも力が入れられています。特に大きな変化として挙げられるのが、ロボットの可搬重量の規定・規格などを定めてある国際規格「R-50iA」に対応できるようになったことです。

R-50iAを適用した場合のセキュリティ機能の変化をまとめました。

  • センサートラッキング機能が従来の2倍向上した
  • 500万画素の内臓ビジョン機能で広範囲の視野をカバーできるようになった
  • エコモードの導入によりロボット稼働時の消費電力を削減可能になった
  • ファイアウォール機能により不正アクセスを防止できるようになった

パレタイジングロボットを稼働する際の情報がすべてデータ化され、管理PC等に記録されるため、リモート保守に対応できるなど、可搬重量の向上以外の面で、機械の自動化にも貢献できると期待されています。

製造業といった生産分野ではほかにもデータ可視化に役立つソリューションが登場しています。
可搬重量の向上の話に合わせて、以下の記事をチェックしてみてください。

データ可視化システムの開発がスタート!国内製造業を救うDXソリューションを紹介

ロボットの可搬重量の向上で変化すること

改良されたパレタイジングロボットに期待されること

ファナック株式会社が開発したパレタイジングロボットなど、可搬作業を伴う機械の可搬重量が向上することには、導入企業にとってさまざまなメリットがあります。

参考として、可搬重量の向上によって起こる良い変化を以下にまとめました。

人的コストの縮小化

パレタイジングロボットの可搬重量が向上すると、最大可搬重量よりも重い製品を動かせない問題を解決できます。

例えば、最大可搬重量を超える製品については、別途クレーン取った可搬機械を用いて別の場所へ移動しなければなりませんでした。この時発生するのは機械のリース費や人件費です。

一方、可搬重量が向上したロボットを導入すれば、作業を自動化することで人的コストの縮小化を図れます。もちろん初期導入コストはかかりますが、長期的なトータルコストと比較した際に、パレタイジングロボットを活用したほうがコストを抑えやすくなるのが魅力です。

可搬作業の効率化

パレタイジングロボットの可搬重量が向上すれば、今まで慎重かつ時間をかけて可搬しなければならなかったアナログ作業を自動化し、効率的に可搬できるようになります。

まずパレタイジングロボットを導入できなかった場合、人がクレーンなどの可搬機械を動かす必要がありました。対して、新たにパレタイジングロボットを導入すれば、人的操作が必要な可搬機械が不要となり、次のように一定のスピードで製品を可搬できます。

人的操作の場合 パレタイジングロボットによる自動化の場合
作業手順 1.壊さないように荷物を掴むため慎重に作業する
2.周辺設備に干渉しないように慎重に荷物を運ぶ
3.荷物が傷つかないように慎重にアームを離す
事前に設定した動き・力で荷物を可搬する

作業員ごとのスキルや経験を問わず効率的に可搬できるため、可搬重量や人的スキルといった差が生まれないのが魅力です。

可搬重量が向上したロボットを導入する際の注意点

著しく進化を遂げているロボット事業ですが、便利である一方で、導入する企業は複数のポイントに注意しなければなりません。参考として、金銭面・システム面における注意点をわかりやすくまとめました。

従来機器よりも導入コストがかかりやすい

今回紹介した可搬重量が向上したパレタイジングロボットのように、新たな技術が導入され性能が向上したロボットは、従来機器よりも高額で提供されるのが一般的です。

便利であるがゆえ高額の導入コストがかかるため、導入前に次のポイントを確認したうえで「本当に導入が必要なのか」を検討するのが良いでしょう。

  • 現在の可搬作業と比較し、5年先、10年先どちらがコストを抑えられるか
  • 利益率をベースとして人件費と可搬重量が向上したロボットの導入費のどちらが効果的か

近年では、費用面に悩む事業者のために、ロボットのサブスクといったサービスが始まっています。詳しくは以下の記事で解説しているので、可搬重量の話と合わせてチェックしてみてください。

工作機械のサブスクがスタート!製造業で起きるDXに向けた新たな取り組み

システムの変更が必要になる

可搬重量の向上はもちろん、IoTなどデータを活用できる最新ロボットを導入した場合、ロボット導入だけでなくシステムの変更といった部分にもコストが発生します。

例えば、業務システムの変更が必要なことはもちろん、従業員への周知を徹底し、新たなルールを定めなければなりません。

ロボット導入・システム変更・ルール化といった知識に疎いせいで、導入後に計画が頓挫する場合もあるため、可搬重量が増加したパレタイジングロボットの導入に対応できるのか検討してから動き始めるのが良いでしょう。

もし社内で対応できないとお悩みなら、セミナー等に参加してDXやIoTについて学ぶのがおすすめです。次のようなセミナーも開催されているので可搬重量が向上したロボット導入について学ぶため、参加を検討してみてください。

ロボットの可搬重量についてまとめ

ファナック株式会社が開発したパレタイジングロボットの可搬重量の向上は、生産分野の作業を効率化につながる要素です。

今まで可搬できなかった製品も運べるようになったため、費用面やシステム変更といったポイントを検討したうえで、新たに導入すべきか検討してみてはいかがでしょうか。

ロボット可搬重量のアイキャッチ
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