コロナ禍を経て、非対面学習の重要性が高まる中、オンライン学習サービス・eラーニングが注目を集めています。
しかし、eラーニングは個人学習という側面から、「学習進捗の管理が難しい」「思うような効果が得られない」といった課題も存在します。
この記事では、eラーニングの学習課題を解決する「LMS」について詳しく解説していきます。
LMSとは?
LMS(学習管理システム)とは、eラーニングに必要な機能を網羅したシステムです。
具体的には、動画教材を含むeラーニングのコース管理、受講者登録、学習進捗の記録・管理、テストの実施、学習コミュニティの運営などがあります。
1990年代、インターネットの普及とともに誕生したLMSは、時代と共に進化を遂げ、今ではeラーニングの効果的な運営に欠かせないツールとなりました。
LMSが注目を集める背景
近年、LMSへの注目が急速に高まっています。その背景には、インターネットの普及とコロナ禍という時代の変化があります。
2000年以降、高速インターネット回線やスマートフォンの普及により、インターネット環境が飛躍的に整備されました。
さらに、時間や場所を選ばずに学べるeラーニングが注目されるようになり、2019年のコロナ禍における非対面学習の必要性が加わったことで、そのニーズは一層高まっていったのです。
しかし、eラーニングの普及と共に、以下の課題も顕著になりました。
- 学習状況の把握が困難
- 個別学習管理の難しさ
- 不正アクセス対策の必要性
これらの課題解決には専門知識が必要とされ、従来のeラーニングでは対応が困難でした。
そこで注目されたのが「LMS」です。LMSは、動画教材やコースの管理、受講者の登録・進捗管理など、eラーニングを円滑に運営するための総合的な機能を提供し、eラーニングの課題を解決しました。
近年のLMSでは、受講者同士が交流できるコミュニティ機能、リアルタイムでの動画学習機能なども搭載され、eラーニングの学習効果と利便性をより一層高める工夫がなされています。
LMSの機能
LMSにはさまざまな機能があります。以下では、LMSの主な機能を一覧表にしました。
対象者 | 機能 | 内容 |
受講者 | 講座閲覧 | 受講可能な講座を一覧表示 |
学習 | 動画、資料などの教材を閲覧 | |
テスト | 選択式、記述式、実技など | |
管理者 | 講座管理 | 講座の登録、編集、削除など |
受講者管理 | 受講者の登録、割り当てなど | |
履修管理 | 学習状況や成績の記録 | |
セキュリティ | 不正アクセスや情報漏洩の防止 |
LMSを組織に統合する教育管理システム
LMSは個人の学習を支援するシステムですが、組織全体の人材育成を効果的に進めるためには、教育プログラムの策定から実施、評価まで一貫して管理する必要があります。
そのような組織的な人材育成を支援するのが教育管理システムです。
教育管理システムは、組織の人材育成計画の立案から、各従業員への最適な教育プログラムの実行と進捗管理、スキルや資格、教育履歴まで一元管理します。
教育管理システムについては以下の記事で詳しく解説しています。
一方、製造業では教育管理システムと同様の目的で、「PLM」の活用が注目されています。
PLMは製品ライフサイクル全体を通じた効率的な製品開発・管理をサポートするシステムです。
業界は異なりますが、PLMのようにサイクル全体の一元管理と最適化を実現しています。
LMSの種類
LMSには、導入形態や機能によっていくつかの種類があります。
以下では、LMSの種類を導入形態別と機能別に分けて解説します。
- 導入形態別
- 機能別
導入形態別
LMSは、主にオンプレミス型とクラウド型の2種類の導入形態があります。
オンプレミス型LMS
オンプレミス型LMSは、自社サーバーにLMSを導入・運用する形態です。
ネットワークやセキュリティ環境も自社で整備する必要があります。
オンプレミス型LMSは、自社のニーズに合わせてシステムを自由にカスタマイズでき、インターネット接続がなくても利用できます。データを自社サーバーで管理するため、「セキュリティレベルを高く保ちたい」という場合にも最適です。
クラウド型LMS
クラウド型LMSは、ベンダーが提供するクラウドサービスを利用する形態です。
導入時に専用サーバーが必要なく、インターネット環境さえあればすぐに利用できます。
オンプレミス型LMSより初期費用を抑えられ、保守やアップデートなどの手間もかかりません。
近年は低価格で高機能なクラウド型LMSもリリースされ、導入のハードルも低くなっています。
機能別
LMSを機能の違いで分けると、総合型と特化型の2種類に大別されます。
総合型LMS
総合型LMSは、eラーニング、対面研修、資格管理、スキル評価など、多様な学習活動を包括的に管理するシステムです。ニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能で、段階的に機能を拡張し、理想的な学習環境を構築できます。
機能が豊富な反面、システムが複雑という側面もあります。
特化型LMS
特化型LMSは、特定の学習形態に特化した機能を持っています。
eラーニング専用、研修管理、動画配信など、用途に合わせた使い方が可能です。
特化型LMSは、eラーニング、研修管理、動画配信など、特定の学習形態に特化した機能を持つLMSです。シンプルな構成で利用しやすく、コストも抑えられます。
LMSを利用するメリット
それでは、LMSを利用するメリットについて解説します。
- 研修の効率化
- 教育内容の均一化
- 人材育成の最適化
メリット①研修の効率化
LMSでは、研修コンテンツの制作、配信、受講状況の管理などを一元管理します。
これにより、研修の企画・運営にかかる時間やコスト効率が大幅に高まります。
従来の研修は、時間と場所の制約があり、受講者全員に同じ機会を提供することが難しいという課題がありました。しかし、LMSを利用すれば、場所や時間を問わず自由なスタイルで学習できるため、研修プロセス全体の効率化が図れます。
メリット②教育内容の均一化
LMSは、すべての受講者が同じ学習コンテンツを利用できるため、教育内容の均一化を実現できます。これは、組織全体で知識やスキルを共有し、共通の理解基盤を構築する上でも重要です。
LMSは、受講者の学習状況を分析し、理解度に差が生じないように個別指導やフィードバックなどの学習サポートを提供します。これにより、一人ひとりに最適な学習環境を提供し、学習効果を最大限高めてきます。
メリット③人材育成の最適化
LMSは、受講者の学習履歴や評価結果を詳細に収集・分析できます。
これらのデータを活用することで、教育プログラムの改善や個々のニーズに合わせた教材開発が可能となり、教育施策の効率化が促進されます。
LMSは、教育の質向上に取り組む企業にとっても非常に有効なツールです。
LMSを利用するデメリット
LMSを利用するデメリットとして以下の2点があげられます。
- 導入コストの負担
- 従業員のITリテラシー格差
デメリット①導入コストの負担
LMS導入におけるコスト負担は、多くの企業にとって大きな課題です。
特に、オンプレミス型LMSや総合型LMSは、初期費用が高額になる傾向にあります。
導入コスト以外にも、ランニングコスト、人件費、コンサルティング費用など、導入するLMSによってさまざまなコストがかかります。
デメリット②従業員のITリテラシー格差
LMS導入における課題の一つが、従業員のITリテラシー格差です。
LMSはITシステムの一種であるため、操作や理解に習熟度が求められます。
そのため、ITリテラシーの高い社員と低い社員で、システムの利活用に大きな差が生じる可能性があります。
LMS導入を成功させるコツ
LMS導入は、企業にとって大きな決断です。
しかし、適切な準備と実行により、大きな成果を得ることができます。
ここでは、LMS導入を成功させるコツを紹介します
- 導入目的を明確化する
- 複数製品を比較検討する
- サポート体制をチェックする
成功させるコツ①導入目的を明確化する
LMSの導入は、社内の人材育成における具体的な課題解決が目的です。
まずは、現状の課題を的確に把握し、LMSに求める役割や目標を明確化しましょう。
目的があいまいだと、適切なLMSを選べない上、活用が滞る恐れがあります。
成功させるコツ②複数製品を比較検討する
LMSには様々な製品があり、機能やコスト、ベンダーのサポート体制なども異なります。
自社のニーズに合ったLMSを選ぶには、複数の製品を比較検討することが重要です。
機能や導入形態を確認し、自社の要件に不必要な機能を除外するなどして、コストパフォーマンスの高いLMSを選びましょう。
成功させるコツ③サポート体制をチェックする
LMS導入後も、運用でさまざまな疑問や課題が出てくることが予想されます。
例えば、従業員におけるITリテラシー格差に対するフォロー、メンテナンス対応、保守レベルなどです。
LMS導入に対する投資を生かし、導入後も安心して運用していくためにもサポート体制の充実度を確認しておきましょう。
人材育成に効果的!おすすめのLMSを紹介
それでは最後に、人材育成に効果的なおすすめLMSを紹介します。
- CAREERSHIP
- AirCourse
- KnowledgeDeliver
おすすめのLMS①CAREERSHIP
CAREERSHIPは、eラーニング、研修管理、スキル評価など、人材育成に必要な機能を全て備えた統合型LMSです。
複雑な組織構造にも柔軟に対応し、eラーニング教材、集合研修をはじめ、キャリアマップ機能やスキル管理機能など、人材育成をトータルサポートします。
トヨタ、三菱商事、ソフトバンクなど、名だたる企業が導入している実績と、複雑な組織構造にも対応可能な柔軟性が魅力のLMSです。
おすすめのLMS②AirCourse
AirCourseは、900コース、5,000本以上の動画研修が受け放題のクラウド型LMSです。
新人研修から管理職研修まで、幅広いテーマを網羅し、自社オリジナルコース作成や、充実した管理機能など、人材育成を効率化する機能も豊富にそろっています。
ITが苦手な方でもスムーズに使える見やすいインターフェースと直感的な操作も特長。
動画やスライド、テストなどを組み合わせて、自社に最適なコースを作成することも可能です。
おすすめのLMS③KnowledgeDeliver
企業研修、教育機関、組織内情報共有など、幅広い分野で活用されているKnowledgeDeliver。
2,000以上の導入実績を持ち、教材作成から学習、運用管理まで、eラーニングに必要な機能を網羅したLMSです。
質問、テスト、アンケートなど、双方向的な学習環境を提供。
運用を効率化する直感的な操作性と豊富な機能、Web会議ツールとの連携によりライブ授業やオンラインセミナーも実施しています。
LMSについてまとめ
自由なスタイルで学習できるeラーニングの学習効果を高めるLMS。
近年、eラーニングのニーズが高まるとともに、LMSの重要性にも注目が集まってきました。
LMSにはいくつもの種類があり、導入形態や機能によって使い分けることが重要です。
真の「人材育成」を実現するためにも、自社に適したLMSを選んでeラーニングを効果的に活用しましょう。