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【2024】すぐ分かる!PLMとは?おすすめソフトとPDMとの違い

PLMやPDMが話題となっていますが、「PLMと言われてもいまいち良く分からない」という人も多いのではないでしょうか。

この記事では、PLMの基本概念から導入のメリット・おすすめPLMソフトやPLMソフトの主な機能までを解説します。
PLMとPDMの違いや、PLM導入の際の注意点も解説するので、PLMについて知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

そもそもPLMとは?

そもそもPLMとは?

PLMは「Product Lifecycle Management」の略で、わかりやすく言うと製品のサイクル全体を1つで行える便利なシステムです。
製品を扱う会社は、基本的に製品の企画から保守・管理まで行わなくてはなりませんが、そのシステムがPLM1つで管理できます

例えばPLMを導入せずに製品を取り扱うと、企画の管理者や生産の管理者、販売の管理者やそれに付随するシステムを導入することになります。
それを全てPLMに要約してしまうことで、人件費やシステムのコスト削減ができる画期的なソフトです。

PLMとPDMの違い

PLMとPDMの違いは、PLMが製品開発の業務プロセス全体を統合的に管理するのに対し、PDMは設計データの管理に特化していることです。
具体的には、PDMは設計図面や3D CADデータの管理・共有・閲覧が中心であり、一方でPLMは製品のライフサイクル全体をカバーすることができます。
PLMは製品の企画・設計・製造・販売・保守などのプロセスを統合的に管理し、製品品質の向上や生産性の向上、コスト削減などの効果を期待できます。

PLMでなくPDMを導入される会社も多いので、PDMについては下記記事で詳しく解説しています。

【2023】PDMとはどんなシステム?機能やメリット、導入の流れをわかりやすく解説

PLMの主な機能4つ

PLMの主な機能4つ

続いては、PLMの主な機能について解説します。
PLMは下記4つのケースに対応した機能があるので、そちらを紹介していきます。

  1. 企画や開発
  2. 設計
  3. 生産や製造
  4. 保守・運用管理

PLMはこのように最初の企画の部分から、保守・運用まで一括で行うことが可能です。

1.企画や開発

PLMシステムは、企画から開発までの製品ライフサイクル全体を一元管理し、製品開発の各フェーズにおいて必要な情報を効率的に収集・活用できる機能を持っています。

たとえば、市場調査やアイデアの収集、コスト試算や技術調査、開発フェーズの進捗管理などを行うことができます。この機能を活用することで、市場のニーズに合わせた製品を迅速に開発し、市場投入までの時間を短縮することができます。

また、製品ライフサイクルの全体像を把握することができるため、将来的な製品開発の方向性や戦略の立案にも役立ちます。

2.設計

PLMシステムは、製品の3Dモデルを作成するためのCAD機能や、部品や素材の選定、性能評価やテスト結果の管理ができます。また、設計変更の管理や承認プロセスなど、品質管理のための機能も備わっています。

PLMシステムを活用することで、製品の設計段階での品質向上や、設計変更の効率的な管理を行うことができます。さらに、製品の設計情報を一元管理することで、多数の設計者や担当者が共同作業を行う場合でも、設計情報の不整合や誤りを防止することができます。

3.生産や製造

生産や製造においてPLMシステムは製品の生産ラインの全体像を把握し、生産計画やスケジュール管理、生産工程の把握、在庫管理などを行うことができます。
また、生産ラインの改善や品質向上のために不良品の追跡や品質管理を行い、生産の効率化や品質の向上を実現することができます。

生産ラインの把握には、製品の製造工程に関する情報や各種データの管理が必要です。
PLMシステムを使用することで、製品の設計図面や製品仕様書などを一元管理し、製品の製造プロセスの情報を簡単に共有できます。

また、製造プロセスにおけるデータや品質管理に関する情報を収集・分析することで、生産ラインの改善につながる情報を取り出すことも可能です。

4.保守・運用管理

保守においては、製品の寿命に合わせた保守計画を作成し、必要な部品の交換や修理などを管理することができます。PLMシステムを使用することで、製品の保守履歴や修理履歴、交換した部品の情報などを一元管理することができます。

また、保守に必要なドキュメントやマニュアルを管理し、保守作業の効率化や品質の向上につなげることもできます。

PLMが使えるおすすめのソフトウェア

次にPLMが利用できるおすすめのソフトウェアをいくつか紹介します。

Windchill(ウィンチル)

Windchill

Windchill(ウィンチル)とは、PTC(パラメトリック・テクノロジー・コーポレーション)社が提供する製造業の製品開発において必要な情報管理を行うシステムです。
正式には「PTC Windchill」とも呼ばれています。
製品の企画から生産までのワークフローや部品表、コスト管理、品質管理ができる機能が備えられています。Windchillの導入によって、後戻りのない設計や開発が可能になるため、生産性の向上を期待できます。

Windchillには次のような機能があります。

  • 製品データの一元管理機能
  • CADとBOMの連携機能
  • キーワード検索機能
  • 文書管理機能
  • 閲覧機能
  • CADデータ集約機能
  • 変更管理機能
  • 工程管理機能

Windchillでは、製品開発に関するデータの一元管理や文書の電子化の実現による業務改善が期待できます。さらに、コストの最適化による無駄な経費の発見と削減に役立ちます。

これからPLMシステムの導入を検討されている方は、この機会にWindchillの導入を考えてみてください。

COLMINA 設計情報管理 部品表

COLMINAは富士通株式会社が開発したPLM用ソフトです。
その名の通り設計に関しての情報を管理できるソフトとなっていて、BOMデータを中心に管理することが可能となっています。
通過は円以外にもドルと元に対応しているので、ドルや元に対応したPLMソフトをお探しの方はこちらもおすすめです。

その他PLMソフト・システムに関しては下記記事でも比較しています。

【2023】PLMシステムを比較!価格・サービス内容・機能を解説

PLMを導入するべき4つの理由

続いては、PLMを導入するべき4つの理由を解説します。

  • 品質の向上
  • リードタイムの短縮
  • コストの削減
  • 在庫廃棄リスクの減少

このような事例にPLMは優れているので、ぜひPLMの導入を検討してみましょう。

1.品質の向上

PLMによって製品開発の各フェーズで発生するデータを一元管理できるため、製品品質に関する情報を容易に共有・活用することができます。たとえば、製品の設計図面や試験結果をすべての関係者が共有することで、問題点を早期に発見し、品質改善につなげることができます。

2.リードタイムの短縮

PLMを導入することで、製品の開発プロセス全体を統合的に管理し、製品の開発から市場投入までの時間を短縮することができます。

具体的には、製品開発の進捗状況をリアルタイムで把握し、関係者間で情報共有することで、設計や製造の並行作業が可能になり、市場投入までの時間を短縮することができます。
また、設計変更や品質問題の早期発見・解決ができるため、リードタイムを短縮することができます。

3.コストの削減

PLMを導入することで、製品開発にかかるコストを削減することができます。

たとえば、設計図面や試験結果などのデータを一元管理することで、情報共有・活用がしやすくなり、無駄な設計作業を省くことができます。また、部品調達の見通しが明確になるため、過剰な在庫を抱えることを避け、コストを削減することができます。

さらに、製品の品質向上によって、保証期間内の修理や返品にかかるコストも削減できます。これらのコスト削減によって、企業の利益率向上につながります。

4.在庫廃棄リスクの減少

在庫廃棄リスクの減少については、PLMシステムが製品開発から製造、保守までのすべての工程を一元的に管理できることが大きな要因となります。

たとえば、製品の設計図面や試験結果を一元管理することで、製品の品質管理を強化することができます。また、生産計画の最適化や生産ラインの改善により、不良品の発生を防ぎ、在庫過剰を回避することができます。

さらに、製品のライフサイクル全体を把握することで製品の需要予測を正確に行い、適切な数量の部品を調達することができます。これにより、過剰な部品在庫を抱えることを避け、在庫廃棄リスクを減らすことができます。

また、製品の保守や修理においても、PLMシステムは保守計画の立案や部品の交換・修理の管理を行うことができます。これにより、部品の在庫過剰や不良品の発生を防ぎ、製品の長期的なサポートが可能になります。

PLMを導入するメリット

まだPLMの導入に迷われている方は、PLMを導入するとどんな良いことがあるのかを見ていきましょう。
PLMを導入することで、主に下記3つのメリットを得られます。

データをもとに製造できる

データをもとにした製造プロセスを実行できる点は大きなメリットです。PLMではBOMや製品情報の管理が行える上、必要な情報を検索機能で発見できます。

また、過去製造された製品の情報をもとに新製品の開発に活かせるため、工期短縮にもつながるはずです。

変化に対応しやすい

製品情報やBOM、作業工程などをデータで管理できるのがPLMのメリットです。
適宜管理者がデータを書き換えられるため、顧客から受けたフィードバックや市場の変化などをスムーズに取り入れやすいメリットがあります。

ニーズが変化してしまい、本来なら売れなくなってしまうような商品も少し変化を加えるだけで、プロモーション性が高まり、顧客の購買を促進させられるでしょう。

「QCD」を高められる

QCDとは、「Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)」の頭文字を並べた単語です。
製造業では欠かすことのできない3要素であり、競合に勝つためには良い製品を低コストで、素早く製造することが求められています。

PLMには、製品のライフサイクル全体を管理できる機能が備わっています。
PLMを駆使して適切に管理することで、QCDを向上させられるでしょう。
また、管理された各プロセスの情報をリアルタイムに共有できるため、変更点が発生しても慌てることなく対応できます。

PLMを導入する際の2つの注意点

PLMを導入する際の2つの注意点

次に、PLMを導入する際の注意点について解説します。
PLMを導入するのはとても良いことですが、気をつけておくべきことも事前に理解しておいてください。

PLMを導入する目的を明確にしておこう

初めに、PLMを導入する目的を明確にすることが重要です。
PLMには多くの機能があり、目的に応じた導入が必要です。

たとえば、生産性向上を目的としたPLMと製品品質向上を目的としたPLMでは、必要な機能やシステム設定が異なるためです。
導入前に目的を明確にすることで、適切なPLMシステム選定や導入計画の策定ができます。

社員全員でPLMの取り組みを行おう

PLMを全社的に導入へ取り組むことも重要です。

PLMは製品のライフサイクル全体をカバーするシステムであり、「企画」「設計」「生産」「保守」の各フェーズで情報共有が必要となります。
そのため、全社的にPLM導入への取り組みを進めることで、情報共有や意思決定の迅速化、生産性向上などの効果を期待できます。

全社的に導入するためには、上層部の支援や社員の意識改革、導入に関するトレーニングなどが必要となります。

PLMの主な活用事例

PLMの導入事例を知ることは、PLMシステムの実践的な活用方法を学ぶうえで非常に有用です。
ここでは、次の3社におけるPLM活用事例を紹介しましょう。

株式会社オーハマ

株式会社オーハマは、PLMを導入することで多数のメリットを得ることができました。
具体的には、施品の加工時間を短縮することができたため、製品の生産性が向上し、顧客の要望に迅速に対応することができるようになりました。

また、工程の見直しによって、製造にかかる時間やコストを削減することができ、品質の向上にもつながりました。さらに、目に見えないロスを削減することで在庫廃棄リスクを減少させ、費用削減にもつながりました。

ノウハウのスムーズな引き継ぎによって、社員のスキルアップにも貢献し、業務ナビの共有によって新人でもベテラン並みの設計ができるようになったと報告されています。

具体的な数値としては、PLM導入後、施品の加工時間を50%以上削減することができ、製品の生産性が向上しました。また、工程の見直しによって、生産コストを20%以上削減することができました。さらに、品質不良による返品率を30%以上減少させることができました。

このように、PLM導入によって多くのメリットを得ることができ、同社の競争力の向上に貢献しています。

キリンビール

キリンビールはPLMツールを導入することで、Excelを使用してシートを作成する必要がなくなり製品の素材を一つひとつ確認する必要がなくなったため、大幅な作業時間の削減を実現しています。

また、お客様のニーズにあった最適な問い合わせ対応ができるようになったため、迅速かつ正確な情報提供が可能となり、商品規格書の作成負担が軽減され、品質管理の向上につながっています。

さらに、原材料の見直しやサプライヤの監査を行い、製品の品質を向上させることで、消費者からの信頼性向上にもつながっています。PLM導入によって、キリンビールは食品安全・安心意識の高まりに応え、迅速な情報開示を実現し、消費者に信頼される企業ブランドを確立しました。

理想科学工業

理想科学工業は、NECのPLMツール「Obbligato Ⅱ」を導入し、BOMや製品情報、図面の承認処理を効率化しました。
その結果、設計者の入力作業を最小限に留めながら、3次元CADで作成したBOM情報や製品情報を全社内で導入できるようになり、人的ミスや情報漏れを防ぐことができるようになりました。

また、3次元CADから全社PLMシステムまでをシームレスに連携することで、設計データ登録の省力化、自動化が実現され、設計者が登録作業から解放され、本来行うべき設計業務に時間を割けるようになったとされています
このように、PLM導入によって効率化が実現され、時間とコストの削減につながりました。

その他の活用事例はこちらの記事でも解説しています。

シーメンスのPLMソフトウェアとは?PLMの特徴や活用事例を紹介

PLMの導入に成功するコツ

前述したように、PLMは製造業においてさまざまなメリットをもたらします。
しかし、実際にPLMソフトの選定を誤ってしまうと、導入効果が薄いものになってしまうでしょう。
ここでは、PLMの導入に成功するコツをいくつか紹介していきます。

業務システムとの連携も意識する

PLMは、PDMやERP、SCMといったあらゆるシステムと連携でき、そのことで導入効果を高められます。たとえば、ERPと連携することで、開発スケジュールや製造に必要なコストなど財務部門に必要なデータをリアルタイムで共有できますし、SCMと連携することで、材料の調達から発送までのデータをより詳細まで管理できるでしょう。

このように、PRMはさまざまな業務システムと共有することでツールの使い勝手を最大化できるため、他のシステムと連携しやすい拡張性の高いPLMを導入することが重要です。

小規模からスタートする

PLMの導入は、企業全体の方針を決める重要なプロジェクトとなります。
気づかぬうちに、大きな失敗に発展しないため、慎重に導入を進めていく必要があるでしょう。
いきなり高額のPLMツールを契約し導入に踏み切ると、現場が適応できないケースがあります。

また、実際に使用し始めたのはいいものの効率的に扱えなかったり、自社に必要な機能が備わっていなかったりと問題に発展するケースもあります。そのため、ツールのトライアルを試したり、試しに数ヶ月導入してみたりしながら、最適なツールを探すことがおすすめです。

PLMの導入方法が不安な方はこちらの記事を参考にしてください。

PLMの導入方法とは?ソフトでの導入やアナログ導入の方法を解説

PLMについてよくある質問

ここではPLMについて、よくある質問に回答して見ました。

PLMとは何のこと?
PLMは「企画→開発・設計→生産→販売→製品のメンテナンス→保守・運用→製品廃棄」という流れのことを指します。この流れ全てをPLMソフト1つで管理することができます。
PLMの導入は必要?
製品会社はまだまだデジタル化が進んでおらず、無駄な作業やコストも多くかかっています。それを解決するためにPLMを導入すると、初心者でも簡単に作業の効率化やデジタル化・コスト削減を図ることができます。

PLMについてまとめ

今回はPLMとはどのようなものなのか、分かりやすい特徴や活用事例などについて解説しました。

PLMとは製品ライフサイクル管理を指し、商品業務の効率化を図るうえで今や必要不可欠なシステムです。業務効率化のほか、品質向上、コスト削減といった面でも大きな威力を発揮します。
各社のソフトによって特徴が異なりますので、利用するにあたっては実際に導入されている活用事例などを参考に、自社の課題を解決してくれるPLMシステムがどれなのかを見極めることが大切です。
ぜひこの機会にPLMを導入し、会社のコスト削減や業務の効率化を図ってみてください。

【2023】すぐ分かる!PLMとは?おすすめソフトやPDMとの違い
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