製造工程を一元管理し、飛躍的な業務効率化とコスト削減を実現するPLMシステム。
しかし、高額な初期投資を理由に、導入に慎重な姿勢を見せる企業も少なくありません。
本記事では、PLMシステムの価格について詳しく解説します。
PLMシステムの価格とは
PLMシステムとは、製品のライフサイクル全体を統合管理するソフトウェアです。
製品のライフサイクルは、企画、設計、製造、販売、サービス提供、そして廃棄・リサイクルまでのフェーズで構成されます。
従来、各フェーズは個別のシステムで管理されていました。
しかし、PLMシステムは全てのフェーズを統合的に管理し、業務の効率化・迅速化、コスト削減、品質向上に大きく貢献しています。
PLMシステムの機能
PLMシステムは、製品のライフサイクル全体を支える多彩な機能を備えています。
主な機能は以下の通りです。
主な機能 | 内容 |
ポートフォリオ管理 | 複数の製品を戦略的に管理 |
要件・設計管理 | 製品情報の一元管理 |
モデリング・シミュレーション | 3Dモデル作成・検証 |
データ解析 | データ解析 |
スケジュール・BOM・原価管理 | 開発状況・コスト管理 |
CADデータ・3Dデータ管理 | データの安全・効率的な管理 |
PLMシステムでCADデータ・3Dデータを一元管理
PLMシステムの「CADデータ・3Dデータ管理」機能を活用すれば、CADで作成した3Dモデルデータを一元管理し、関係者間での共有が容易になります。
例えば、高度な3D設計、解析、シミュレーション機能を備えたCADソフトであるCreoは、PLMシステムとの連携により、製品開発プロセスをスムーズに進めることができます。
数々の大手企業でも採用されているCreoの導入事例については以下の記事を参照してください。
PLMシステムの価格
PLMシステムの価格は、導入する企業の規模やニーズによって大きく異なります。
一般的な価格は以下の通りです。
中堅企業向けオンデマンド型 | 約104万円~最大260万円(実装コスト込み) |
社内実装型 | 130万円~300万円(ライセンス費用+実装、トレーニング費用) |
大企業向け | 数千万円 |
PLMシステムの価格は、機能やベンダー(販売会社)によって大きく異なります。
導入を検討する際には、価格、機能、サービス内容などを比較検討した上で最適なシステムを選ぶことが大切です。
PLMシステムが必要とされる理由
PLMシステムは、製品ライフサイクルを統合管理することで、企業の課題を解決し、競争力向上をサポートします。以下では、PLMシステムが必要とされる理由について詳しく解説します。
- 顧客ニーズへの迅速な対応
- 業務効率化の推進
- 開発期間の短縮
PLMシステムが必要とされる理由①顧客ニーズへの迅速な対応
PLMシステムの活用により、市場の動向や顧客の声を素早くキャッチし、設計・製造の各段階でスムーズに改善できます。
さらに、設計・製造現場との密接な連携により、迅速な設計変更・改善も実現します。
ユーザーニーズが日々変化する現代社会において、迅速な顧客対応は企業の成長・飛躍に欠かせない要素なのです。
PLMシステムが必要とされる理由②業務効率化の推進
PLMシステムは、製品情報の一元管理と重複作業の排除により、業務効率化を推進します。
また、設計・製造現場の情報伝達ミスを防止し、正確な業務遂行を支援する「データ連携強化」実現もメリットの一つです。
これにより、無駄やロスを削減し、コスト削減にも大きく貢献しています。
PLMシステムが必要とされる理由③開発期間の短縮
PLMシステムは、設計データの共有を促進することで、設計変更にかかるコストを削減し、開発期間全体の短縮に貢献します。
さらに、設計・製造現場のCADと接続して設計データを一元管理すれば、試作品製作や製造工程のシミュレーションを効率化し、開発リードタイムの短縮や品質向上も可能とします。
製造現場で活用されている3DCAD「Creo」「Onshape」
製造現場におけるPLMシステムでは、汎用性の高い3DCADが活用されています。
PLMシステムで活用されている代表的な3DCADには、「Creo」や「Onshape」があります。
これらのCADは、機械設計、製品設計などの製造業を中心に多くの企業で導入されており、高い信頼性と実績を誇っています。
以下のページでは「Creo」と「Onshape」の機能や特徴をわかりやすく解説しています。
PLMシステム導入を検討している事業者の方はあわせてお読みください。
Creoの主要な機能の一つには「シミュレーション機能」があります。
以下の記事ではCreoのシミュレーション機能やメリット、注意点について詳しく解説しています。
PLMのシステムの価格を徹底比較
以下では、人気のPLMのシステムを5選ピックアップし、それぞれの価格を比較します。
- Windchill
- PLEMIA
- Obbligato III
- PDM/PLM
- OpenPDM核
①PTC社「Windchill」
Windchillは、PTC社(Parametric Technology Corporation)が提供する製品ライフサイクル全体の効率化と企業競争力強化を実現するPLMソフトです。
設計図や部品表を一元管理することで、関係者全員が最新情報をリアルタイムで共有できます。
プロジェクト管理機能により、製造から販売までの全プロセスを可視化し、迅速な情報共有と意思決定を実現します。
さらに、クラウドベースの機能により、ITコストと管理負担を大幅に削減。
導入から運用まで安心して利用できるPTCのグローバルサポート体制も充実しています。
Windchillの各エディションの価格(年額)は以下の通りです。
- Windchill Base:108,000円
- Windchill Advanced:271,000円
- Windchill Premium:470,000円
②富士通株式会社「PLEMIA」
PLEMIAは、富士通株式会社が提供している図面管理システムです。
製造業における各種エンジニアリングデータを活用・共有するための便利なツールで、データ管理・共有やドキュメントワークスペース、ワークフロー管理、検索などさまざまな機能が搭載されています。価格は以下になります。
- PLEMIA M3シリーズ:360万円
- PLEMIA M3/EDM:276万円
③NEC「Obbligato III」
Obbligato IIIは、NECが提供するPLMシステムです。
豊富な機能と拡張性を備え、設計から販売、アフターサービスまで製品ライフサイクル全般をサポートします。
BOM/BOPを核にした情報集約とシームレスなコラボレーションにより、環境変化に対応した持続可能なものづくりを推進します。
30年以上の事業継続と1000社以上の導入実績を誇るObbligato III。
最新機能を搭載した「Obbligato III R4.3」の価格は以下になります。
- Obbligato III R4.3:360万円~(税別)
参照:TechFactory
④オラクル株式会社「Oracle Fusion Cloud PLM」
Oracle Cloud PLMは、製品のライフサイクルを可視化・管理するクラウド型PLMソフトです。
製品データの一元化、チーム間のコラボレーション強化、設計変更に伴う作業工数削減、開発期間短縮など、あらゆる側面から業務効率化を推進します。
幅広い業種・規模の企業で導入され、大きな成果をあげているOracle Cloud PLM。価格は
- Oracle Cloud PLM:約3万8,000円/ユーザー/月(最低10ユーザー)
⑤株式会社コア「OpenPDM核」
株式会社コアが提供するOpenPDM核は、設計業務のノウハウを30年以上凝縮した、使いやすく機能豊富なPDM/PLMシステムです。
Web操作に特化しているので、設計者以外の社員も容易に利用可能。
細かいカスタマイズなく標準機能だけで利用でき、図面データだけでなく多様なデータを効率的に保存・管理できます。
さらにCAD連携でPDM情報を図面に記載でき、二度手間を防ぎます。OpenPDM核の価格は以下です。
- OpenPDM核:最小構成100万円~(税別)
参照:キーマンズネット
PLMシステムの価格別選び方
PLMシステムの価格は数百万円から数億円と幅広いため、適切な選択が重要です。
自社の規模に合わせる
PLMシステムは自社の規模に合ったものから検討しましょう。
中小企業は基本機能が揃ったモデル、大企業は拡張性の高いモデルが適しています。
一般的に、機能の充実度に比例して、価格も高くなります。
必要な機能を洗い出す
PLMシステムは業務で必要な機能を洗い出し、それをカバーするシステムを選びましょう。
機能数や同時接続ユーザー数でライセンス料金が変動します。
例えば、設計データ管理や製造工程管理、サプライチェーン管理などの機能が挙げられます。
適した導入形式を選択する
PLMシステムは導入形式も重要です。
オンプレミス型は初期投資が必要ですが、クラウド型はランニングコストのみで利用できます。
選択する際には、自社のITインフラやセキュリティ要件に合わせて慎重に検討しましょう。
PLMシステムは価格も重要ですが、将来性を考えて選ぶことが重要です。
拡張性や柔軟性のあるシステムを選べば、将来の業務拡大にも対応できるでしょう。
PLMシステムの価格についてまとめ
PLMシステムの価格は、導入規模や選定する機能、ベンダーによって大きく異なります。
効果的なPLM活用には、優れたCADシステムと連携が欠かせません。
3D設計・解析・シミュレーションに優れたCreoと連携すれば、PLMシステムの効果を最大限に引き出し、製品開発プロセスの効率化とコスト削減を加速できます。
開発プロセス全体を一元化し、競争力を強化するためには、最適な組み合わせが大切です。