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工作機械のサブスクがスタート!製造業で起きるDXに向けた新たな取り組み

近年、相次いで工作機械のサブスクがスタートしているのをご存じでしょうか。
製造業で用いられる高額な工作機械を、低額の支払いに抑えられる便利なサービスが工作機械会社からスタートしています。

今回は工作機械のサブスクに関するニュースをもとに、サブスクを提供している会社や提供サービスの概要、製造業に起こる変化について深掘りします。DXに向けて工作機械の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

工作機械各社でサブスクがスタート

製造業のDX化が進行しつつある現代、新たな取り組みとして工作機械のサブスクがスタートしました。通常だと数千~数億円規模の費用がかかる高額な機械を、低額で借り続けられることから向上に最新機械やシステムを導入しやすいと話題を集めています。

参考として、現在提供されている工作機械のサブスクサービスを整理しました。

サービス名 提供会社 概要
サブスクTRY ソディック ワイヤ放電加工機を提供
OKAMOTOサブスク 岡本工作機械製作所 研削盤を提供
ジャスタ エンシュウ マシニングセンターの提供

それぞれ簡単に購入できる代物ではありませんが、サブスクとして契約期間を定めれば必要期間だけの貸し出しが可能です。また、契約完了後は別の契約工場で利用されるため、無駄のない工作機械の提供が可能となりました。

ソディックによるワイヤ放電加工機のサブスクとは

ソディックは工場で用いる機会の製造・販売を担う会社です。
主に工作機械事業、産業機械事業、食品機械事業といったサービスを展開しており、工作機械事業のひとつとして、ワイヤ放電加工機のサブスクを開始しました。

「サブスクTRY」という名称で提供されているサブスクサービスでは、次の工作に欠かせないワイヤ放電加工機が提供されています。

  • 航空機部品の製造
  • 金型の加工

サブスクでは1・3・4・5年契約を選択でき、月額の利用料金のほか、年1回のメンテナンス費用やもしものトラブルに対する保険加入費用を加えた金額を含め、月額19万円から利用できます。

ワイヤ放電加工機は安いものでも50万円、高額なものになると100万円を超える製品です。
またソディックに対するインタビューによると以下のような回答があります。

新機種を短期間で使い続けたい、または仕事の先行きが不透明で投資判断が難しいといったお客さまのニーズに応えたい

引用:ニュースイッチ「「加工機」サブスク…工作機械各社が相次ぎ提供、浸透へのポイントは?」

現在2種類の工作機械のサブスクが提供されていますが、今後はさらに機械が拡充される予定です。

岡本工作機械製作所による研削盤のサブスクとは

平面研削盤国内トップシェアを誇る岡本工作機械製作所は、世界唯一の総合砥粒加工機メーカーとして有名な会社です。製造・販売されている研削盤を対象としたサブスクがスタートしており、安いものでも300万円以上、高いものだと1千万を超える製品を低額で提供しています。

また岡本工作機械製作所では、サブスク提供に合わせて油圧油の交換や研削盤に用いる砥石(といし)軸の振れ幅調整といったサポートも料金内に含めて提供している状況です。

エンシュウによるマシニングセンターのサブスクとは

治具・工具・ロボットといった周辺機器の生産システムを提供するエンシュウは、以下の工作作業をまとめて実施できる大型機械「マシニングセンター」のサブスクをスタートしました。

  • フライス削り
  • 中ぐり
  • 穴あけ
  • ネジたて

大型であり豊富な機能を持つことから、安いものでも1千万円を超え、高額なものになると1億近い費用がかかる手を出しづらい工作機械です。そのような高額製品をサブスク提供しているということで、契約の申し込みが殺到しています。

またエンシュウでは、マシニングセンターのサブスク提供に合わせて「加工プログラムの説明・実習」といった教育支援サービスを提供しています。導入した工場ですぐ活用できるように、徹底したサポートが提供されている状況です。

レガシーシステムからスマート工場化へと変えていきたいと考えているのなら、以下の記事をチェックしてみてください。企業の取り組みを詳しく紹介しています。

レガシーシステムの課題とは?スマート工場の実現に向けた解決策・企業事例

工作機械サブスクの魅力

工作機械サブスクの魅力

ほとんどのサービスがサブスク化している現代において、工作機械をサブスク化することにどのような魅力があるのでしょうか。主に費用面や導入しやすさに関するポイントの魅力を深掘りしていきます。

必要最小限の費用で高額機械を導入できる

工作機械は、安いものでも数十万円、高額なものになると1億円を超えるような製品が多数提供されています。製造業を営む企業にとって高額な買い物は大きな痛手となるほか、ローンを組んで支払い続けるというリスクを抱えなければなりませんでした。

また、購入した工作機械をずっと利用できるわけではありません。
場合によっては受注数が減り、高額な費用を支払って導入した工作機械の出番がなくなることもあったでしょう。対して、工作機械のサブスクを活用すれば、次のメリットがあります。

  • 必要な期間だけ導入できる
  • 低価格での導入を実現できる

使いたい期間だけ導入する、高額な工作機械を迷わずに導入しやすいというポイントが魅力です。DXといった取り組みには興味があるものの、予算の都合上、手を出せなかったという企業の導入ハードルを下げられるのも魅力的な点だと言えます。

継続的なメンテナンスを受けられる

自社で工作機械を購入した場合にネックだったのが、維持管理やメンテナンスを自社対応しなければならないことでした。

工作機械を利用すると細かな材料片が飛び散り、工作機械のスキマに入り込む場合があります。機械が不具合を起こした際には自社対応が必要なほか、トラブルが起きた際に部品交換が必要になれば、追加の支払いも必要です。

対して、工作機械を提供する各社では、サブスクサービスと一緒にメンテナンス・保守サービスを提供しています。サブスク料金内にメンテナンス・保守の費用が含まれているため、トラブル等が起きた場合には、連絡するだけで担当者が駆けつけてくれます。

工場自ら工作機械を管理する手間を削減できることも含め、導入の負担を軽減しやすくなるでしょう。

製造業ではほかにもさまざまなソリューションが登場しています。
システム関連の情報を知りたい方は以下の記事をチェックしてみてください。

データ可視化システムの開発がスタート!国内製造業を救うDXソリューションを紹介

工作機械サブスクを利用する注意点

工作機械サブスクの注意点

工作機械のサブスクは、導入時のハードルを下げやすい一方で注意しなければならない点もあります。導入前に理解しておきたいポイントについて詳しく整理しました。

サブスク費用が製品価格を上回る場合がある

工作機械のサブスクを利用する際には、利用する期間によってはサブスク費用が製品価格を上回る場合があります。サービス利用で損をしたくない場合には、以下のポイントに気を付けてください。

  • 契約期間が長いほど製品価格に近付きやすい
  • 利用するサポート数が多いほどサブスク費用が高額になりやすい

例えば、1千万円で購入しなければならない工作機器を、月20万円でサブスク契約したとしましょう。単純計算すると1年間で240万円、4年と少しの期間で1千万円の費用をオーバーします。

つまり4年以上利用する場合には、サブスクよりも工作機械を購入したほうがお得になる場合があるのです。「機器をどれくらいの期間利用したいのか」を考えたうえで導入しなければ、後々損をする恐れもあると覚えておきましょう。

提供企業によってサブスク費用・対応範囲が異なる

サブスク契約できる工作機械を提供している会社が複数あるのなら、必ずサービス内容や費用の比較検討を実施してください。なぜなら、提供する会社によってサービス内容やサブスクの費用が異なるからです。

もしかすると、同じサービス内容・品質でありながら毎月の支払いが数万円変わるかもしれません。トータルコストを考えると大きな金額差が生まれるため、必ず複数の会社から見積もりを取得して比較検討してください。

工作機械サブスクがおすすめの会社

工作機械サブスクがおすすめの会社

工作機械のサブスク利用に悩んでいる方も多いでしょう。
もし次の項目にあてはまるのなら、工作機器のサブスク契約がおすすめです。

  • 複数の発注を受けており利用する工作機械が変わりやすい
  • 特定の発注に合わせて短期間だけ工作機械を利用したい
  • 工作機械の性能を知るためにお試しで利用したい

工作機械は簡単に購入できる代物ではないため、お試し導入として契約してみるのもひとつの手段です。高額な製品だからこそじっくり検討したい人に工作機械のサブスクをおすすめします。

またDX関連の知識を学びたいなら、オンラインセミナーなどに参加してみてはいかがでしょうか。例えば次のようなセミナーがおすすめです。

工作機械サブスクで製造業に起こる変化

工作機械のサブスクがスタートしたことにより、今後製造業ではさまざまな変化が起こると言われています。参考として、想定されている変化について整理しました。

製造業DXが加速する

人手不足や高齢化に悩んでいる製造業では、業務のDXが急がれています。
しかし、中小企業の場合、予算の都合上DXに力を入れられないという会社が数多くあるのも事実です。

対して、工作機械のサブスクを活用すれば、小額からDXの第一歩を踏み出せます。
サブスクの活用によってDXを実現しやすい環境が整うことから、今後は、大企業だけが実施していたDXを中小企業でも実施しやすくなるでしょう。

環境対策を実現できる

工作機械を購入したけれど、使う機会が減りほこりをかぶっているような会社も多数ありました。一方サブスクを活用すれば、必要な会社が必要な期間だけ工作機器を利用できます。

製造した機械を無駄にせず利用できるため、必要な製造数を抑えることにより、現代の問題である材料不足といった状況を解決できるかもしれません。

工作機械サブスクについてまとめ

工作機械のサブスクがスタートしたことにより、製造業ではDXが実現しやすくなります。また、小額から工作機械を導入できるため、中小企業の費用負担を抑えやすいのが魅力です。

工作機械サブスクは、今後さまざまな企業が提供を開始します。
自社に最適なサブスクが開始する可能性もあるため、今後の動向から目が離せません。

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