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【2025】二人羽織ロボットが登場!ロボットの用途や大勢の購入者が現れる理由を解説

総合電機メーカーの日立製作所が、日本の伝統芸能である二人羽織を模した「二人羽織ロボット」を開発しました。なぜ用途をイメージしにくい二人羽織ロボットがつくられたのでしょうか。

今回は二人羽織ロボットのニュースをもとに、搭載された機能や購入者が集まる理由を深掘りします。AI技術も関わっている面白いロボットですので、二人羽織ロボットの秘めた魅力をチェックしてみてください。

日立製作所が開発した二人羽織ロボットとは

日立製作所は、最新技術を導入した面白い研究を数多く実施する企業ですが、今回新たに「二人羽織ロボット」という機械が開発されました。

二人羽織ロボットには学習機能をもつAIが搭載されており、人間の動きを模倣して、二人羽織と同じ動作をするのが特徴です。取り付けられたアームを操作すると、二人羽織のように同じ動きを学習してくれます。

人間の動きをロボットが模倣できるため、人間では対応が難しいような作業をすべてロボットに任せられるようになるのではないかと、国内そして世界から注目が集まっているそうです。

伝統芸能である二人羽織とは

二人羽織ロボットの名前は、日本の伝統芸である「二人羽織」をもとに名づけられています。

二人羽織とは、2人が前後に並んだ状態で大きな羽織を使い、前方の人が頭だけ出す、後方の人が羽織の袖を通して手だけ出すという状態で、連携しながら食事をするコメディ要素のある芸です。

2人が連携しなければ、スムーズに食事ができないのはもちろん、見当違いな場所に食べ物などが運ばれるため、前方の人が慌てる様子などを楽しめます。

二人羽織ロボットも前方にロボット、後方に人間がいる状態で連携を取ることから、その名前が付けられているそうです。ただし、二人羽織ロボットはコメディのためにつくられたのではなく、人間の動きを模倣するという新たな技術活用のためにつくられているのが大きな違いです。

二人羽織ロボットの概要

日立製作所の二人羽織ロボット
出典:ニュースイッチ「すでに多くの購入希望者、日立が開発した『二人羽織ロボット』の性能」

日立製作所が開発した二人羽織ロボットのスペックや特徴を整理しました。

項目 二人羽織ロボットのスペック・特徴
自由度 8自由度
腕の長さ 72cm
最大高 160cm
移動方法 3輪式のタイヤ移動
カメラの位置 頭部・両手・足元

例えば、人間の腕の自由度(動く方向の数)が7自由度(肩前後・上腕・肘・前腕・手首前後)であることに対し、二人羽織ロボットは8自由度で構成されています。

また二人羽織ロボットは人間が椅子に座ったときの高さに合わせて設計されています。
現在は主に卓上での作業用として利用が検討されているそうです。

従来製品のアームロボットとの違い

市販でも卓上アームといった遠隔操作型のロボットが提供されていますが、次のような課題を抱えています。

  • 一定の動作しか対応できない
  • 移動ができないため作業範囲が限られている
  • アームが短く用途によっては使いづらい

一方で二人羽織ロボットは、自由自在に移動できるのはもちろん、8自由度のアームを使って広い範囲を作業に使えます。人間と変わらない作業をしやすいことから、従来のロボットアームと比べて高品質な作業を遂行できるのが魅力です。

また近年では指先よりも小さなマイクロロボットという最新のロボットも登場しています。
詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。

マイクロロボットが新登場!主な用途や活用するメリット・デメリットを解説

二人羽織ロボットの購入希望者が集まる理由

二人羽織ロボットに購入者が集まる理由

二人羽織ロボットはまだ販売されていない機械ですが、すでに大勢の購入希望者がいると言われています。なぜ二人羽織ロボットの購入希望者が現れるのか、模倣ロボットのニーズについて深掘りしました。

人間による作業の差を埋められる

人間の動きを模倣する二人羽織ロボットは、人間と寸分違わない動きができることから、ロボットを意のままに操れるのが魅力です。

人間の場合、筋力や身長の違いで重い荷物を運べないという差がある一方で、二人羽織ロボットを通じて作業をすれば、人間の差に関係なく同品質で作業に対応できます。

細かい作業に対応できることも含め、性別や体力、体の大きさといった差を埋め、業務効率化を図りやすくなると期待されています。

リモートで作業に対応できる

二人羽織りロボットをオンラインで操作できるようになれば、人間は自宅にいながら工場に配置されたロボットを操縦できるようになると期待されています。

わざわざ工場で勤務する必要がなくなるのはもちろん、好きな場所からロボットで作業ができるため、従業員のライフワークバランスを確保しやすくなるのが魅力です。

近年ではヘッドセットを用いて、遠隔的に作業できる環境が整ってきています。
いずれは工場が完全にロボティクス化し、工場勤務をする人が必要なくなるかもしれません。

危険エリアでの対応が可能になる

二人羽織ロボットは工場での活用だけではなく、次のような危険エリアでも効果を発揮すると期待されています。

  • 災害発生エリア
  • 危険物を扱う研究
  • 海底

例えば、災害発生により倒壊した建物内を探索するとき、救助のために人間が入り込むのは危険です。一方で二人羽織ロボットが代わりに進入し、人間と同等の作業ができれば、安全かつ効率的に救助を進められます。

同様に、危険な薬品を扱う研究所の作業、人が対応できない海底での工事など、二人羽織ロボットの模倣技術を活用できるでしょう。現在もつ二人羽織ロボットの機能はもちろん、その将来性にも多くの人たちから期待が寄せられています。

他企業における二人羽織ロボットの開発例

二人羽織りロボットは、日立製作所だけでなく数多くの企業・大学で開発が進められています。

すでに形や性能が異なるさまざまなロボットが登場しています。
性能や役割、活用の仕組みを含めて最新の開発事例を整理しました。

東京大学における遠隔二人羽織ロボットの開発

東京大学は、慶応義塾大学と協働し、遠隔二人羽織ロボット「Fusion」を開発しました。

Fusionはロボットヘッドとロボットアームを搭載した二人羽織ロボットであり、VRデバイスのようなヘッドセットを装着することで、遠く離れた場所にいるアームの装着者と連携して作業を開始できるのが特徴です。

装着者と操作者が同じ視点で作業できることから、連携のとれた効率的な作業に役立つと期待されています。共同作業が必要となる複雑な工程で活用できることから、研究分野・製造分野での活用が検討中です。

スタンフォード大学が遠隔操縦できる2本腕ロボットを開発

二人羽織ロボットは、日本だけでなく海外でも開発が進んでいるロボット技術です。
例えば、スタンフォード大学では、家事や単純な業務作業に対応できる移動式の2本腕ロボットを開発しました。

海外のロボットであるため日本特有の「二人羽織ロボット」という名前ではありませんが、人の動きを模倣するAI機能が搭載されていることから、二人羽織ロボットの特徴と変わりません。

「Mobile ALOHA」と呼ばれるそのロボットは、2本の腕を使って料理をしたり、椅子を並べたり、ベッドメイキングをしたりと、人間の動きを細かく模倣できるのが特徴です。

人間が遠隔的に操作をすればするほど精度が上がり、まるで人間の手で作業しているかのような手さばきを実現できます。

日立製作所における二人羽織ロボット以外の開発事例

日立製作所が開発するロボット

日立製作所は二人羽織ロボット以外にも、新技術を用いたさまざまなロボット・テクノロジーを生み出しています。特に注目されている開発事例を詳しく解説します。

現場拡張メタバースの開発

日立製作所は、二人羽織ロボットのようなロボットだけでなく、メタバースの技術を活用した「現場拡張メタバース」という技術を開発しました。

現場拡張メタバースとは、既存工場をまるごとメタバース上に読み取り、その空間上で疑似的に設備の配置変更や新設備の導入などを検討できる技術です。

あらかじめ導入・運用のテストを実施できることから、合意形成を得やすくデータの可視化により、大勢の人にイメージを伝えやすくなると期待されています。

また現場拡張メタバースにはデジタルツインと呼ばれる技術が活用されています。
詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

【2024】産業用メタバースとは?デジタルツインに活用できる最新技術・事例を紹介

水圧の力で動く柔構造作業ロボットを開発

日立製作所は、二人羽織ロボットと似た作業用ロボットとして、電子回路を必要としない柔構造作業ロボットを開発しました。

当ロボットはモーターやセンサーなどが搭載されておらず、水圧のシリンダーとばねだけで構築されています。ポンプによって送られる水圧の力でアームを操縦できることから水中での作業にも対応できるのが特徴です。

また自由自在に形状を変更できる柔構造のロボットであるため、狭い場所に潜り込めるのはもちろん、障害物に衝突しても本体がダメージを受けにくいと言われています。危険な現場に投入しやすいことから、福島第一原子力発電所の廃炉作業などで利用を検討中だそうです。

建築・建設現場で活用される自動墨出しロボットを開発

日立製作所では、建築・建設現場で、設置位置や方向を表す「墨出し作業」を効率化するために、自動墨出しロボットを開発しました。

「SumiROBO」と呼ばれるその機械は、CADデータに登録されている座標をもとに、自動で墨出しの位置に移動して、線や文字情報を書いてくれるロボットです。

人間の手でひとつずつ作業をする必要がなくなることから、工数やミスを削減しやすくなると期待されています。同様に、夜間中も自動で動き続けるため、人がいない時間帯に墨出し作業を完結してくれるのが魅力です。

二人羽織ロボットについてまとめ

日立製作所が新たに開発した二人羽織ロボットは、業務への活用用途が極めて高く、すぐにでも現場活用できる品質をもっています。また工場作業だけでなく、災害現場など屋外の危険な場所にも導入しやすいと注目を集めています。

情報が公開された段階からすでに購入希望者が集まるなど、高いニーズをもつ魅力的なロボットです。日立製作所はほかにも新技術を活用した面白いロボットを開発しているため、今後の発表や続報もチェックしてみてはいかがでしょうか。

二人羽織ロボットのアイキャッチ
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