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マイクロロボットが新登場!主な用途や活用するメリット・デメリットを解説

岡山大学で新たに、壁や天井を駆け上がるマイクロロボットが開発されました。
超小型のマイクロロボットにはいったいどのような魅力が詰まっているのでしょうか。

今回は、マイクロロボット開発のニュースをもとに、マイクロロボットの性能や用途、活用するメリット・デメリットを深掘りしていきます。さまざまな仕事で役立つ最新のロボットの魅力を、ぜひチェックしてみてください。

岡山大学が開発したマイクロロボットとは

マイクロロボットとは
出典:岡山大学「マイクロロボット」

岡山大学で、超小型のマイクロロボットが開発されました。
マイクロロボットは自動車と同じ4輪走行をしており、磁石の力で壁に張り付けるのが特徴です。

また、本体重量よりも磁力の力が強いため、鉄板などの場合には逆さまの状態でも走行できます。

マイクロロボットは、ただ小型というだけでなく専用のモーターを使って自走できるのが魅力です。狭い隙間に入り込みやすい形状であることから、撮影が必要な狭い場所などに適用できるロボットになるのではないかと期待が寄せられています。

マイクロロボットの概要

岡山大学が開発したマイクロロボットは、4輪小型移動機器のなかでも最小クラスの大きさです。

車長14mm・車幅10mm・車高5.4mmと小指の先ほどしかないのはもちろん、重さもたったの0.5gであり、手に乗せてもほとんど重さを感じません。

また、マイクロロボットは、走行するために超音波モーターが利用されており、振動子の摩擦の力を利用して車輪を回転させます。また減速機も設置されていることから、自動車と同じように加速・減速の両方に対応できるのがマイクロロボットの特徴です。

マイクロロボットに導入予定の機能

マイクロロボットに求められる機能

ニュースのなかでは、事業活用に向けた取り組みについて記載されており、現状の駆動用の本体と車輪しか取り付けていないマイクロロボットに、さまざまな機能を導入する予定だと説明されています。

追加機能についてわかりやすく整理しました。

データ取得用のセンサー

マイクロロボットには今後、データ取得用のセンサーが設置される計画です。
狭い場所に進入し、その先にある場所の情報をセンサーで取得することにより、今まで入り込むことができなかった場所の情報を手早く収集できると期待されています。

堆積物のある場所を進むための強力なモーター

岡山大学が開発したマイクロロボットは、滑らかな壁や天井を登れることはもちろん、少ない汚れがある場所でも、難なく走行できることが実証されています。

しかし、業務利用する際には、凹凸の激しい場所を走行する必要性のほか、液体が溜まっている場所なども想定されています。現状のモーターだけでは駆動できずに停止する恐れがあることから、険しい場所をスムーズに走行できるモーターへと改良される予定です。

マイクロロボットのメリット

マイクロロボットのメリット

マイクロロボットのように、ロボットを小型化することにはさまざまなメリットがあります。
業務に役立つのはもちろん社会貢献になる魅力をもっているため、主なメリットを以下にまとめました。

人間には不可能な場所で作業ができる

マイクロロボットがあれば、今まで人間には不可能だった場所で作業ができるようになります。

例えば、排水管の中など、チューブ型の小型カメラを挿入して確認されていた場所をマイクロロボットで自走し、チェックできるようになるのが魅力です。

人の手が届かない場所、目で見えづらい場所にも進入できることから、作業の詳細度を高めやすくなると考えられています。

稼働時の消費エネルギーを抑えやすくなる

マイクロロボットのような小型の機器は、少ない燃料で長距離を走行できるのが特徴です。

小型かつ軽量であることから、燃料の消費量も抑えやすくなります。
小さな部品でマイクロロボットを組み立てられることも含め、ロボットをつくるための材料の節約にもつなげられるでしょう。

近年では世界情勢や環境変化の影響で、燃料や電気代の高騰が続いています。
省エネ効果を生み出しやすいロボットであることから、マイクロロボットであるほど従来のロボットよりも費用対効果を生み出しやすくなるのが魅力です。

マイクロロボットのデメリット

小型で便利なマイクロロボットですが、電源供給や故障に関するデメリットが残っています。
今後の課題にも関係するポイントですので、現状のデメリットをチェックしてみてください。

継続的に燃料を供給できない

マイクロロボットは小型であるため、搭載できる燃料・バッテリーの量に限界があります。
短距離の走行であれば問題なく対応できますが、長距離移動を求められるほど燃料供給が難しくなるのがデメリットです。

例えば、マイクロロボットを遠隔操作した場合、ある一定の距離以上は走行させられないという問題が発生します。往復距離を考慮しなければならないため、現状ではまた近場のみしか走行できないのが特徴です。

故障した場合にマイクロロボットを回収できない

マイクロロボットは狭い隙間などに進入できる一方で、次のように進入した場所で故障や不具合が起こってしまうとマイクロロボットを回収できなくなります。

  • 燃料が切れて動かなくなる
  • 故障して稼働しなくなる
  • 足元を取られて動けなくなる

特に悪路を走行させると、小さな振動などでマイクロロボットが故障するかもしれません。
また、水たまりなどに足を取られて動かなくなる恐れも考えられます。

動かなくなった状態で放置すると、隙間を詰まらせるなど、別の問題を引き起こす場合もあるため、回収方法などを確立しなければ実用化するのが難しいでしょう。

マイクロロボットに期待されている活用例

マイクロロボットの活用例

岡山大学が開発したマイクロロボットは、様々な業界で役立つ機能を備えています。
現時点で導入が期待されている活用方法をシーン別にまとめました。

インフラ保守事業での配管点検ロボット

ニュースのなかでは、マイクロロボットをインフラ保守事業の配管点検ロボットして活用できるのではないかと項目が挙げられています。

例えば、狭い径の配管のなかをマイクロロボットが走行し、管内の損傷などを確認できるのではないかと期待されています。ただし現時点では車輪で進む関係で管内に液体や堆積物があるとうまく侵入できなくなるといった障害が起こると判明している状況です。

現状課題の解決方法として、あらかじめ配管内を清掃士、内部を確認できるようにした状態でマイクロロボットを進入させるなど、マイクロロボットが動きやすい状態にすることが重要だと言われています。

災害救助用の探査ロボット

マイクロロボットは災害発生時に倒壊した建物のなかに侵入できるのではないかと注目されています。

人間では入り込めない狭い隙間を抜けて被災者を探し回れるほか、建物が倒壊して救助員が事故に巻き込まれる心配を減らせるのが魅力です。また、マイクロロボットにマイクとスピーカーを取り付ければ、被災者と声でやり取りできるようになるかもしれません。

現状では、大きな障害物を乗り越えたり、凹凸の多い場所を走行できないという問題を抱えていますが、今後の技術発展により悪路を走行できるようになれば、災害現場でも活用できると期待が寄せられています。

医療用のサポートロボット

マイクロロボットがさらに小型化し、水中でも対応できるようになれば、医療用のサポートロボットとして活用できるのはないかと期待されています。

例えば、薬物と一緒にマイクロロボットを飲み込むことで、内蔵の患部まで薬物を的確に届けてくれるようになるかもしれません。また、体内にできたキズを治療したり、誤飲した異物を取り除くなど、人間の手では対応できない場所に入り込めるのが魅力です。

現在は4輪駆動のシンプルなマイクロロボットであるため、陸上かつ平地しか走行できませんが、今後の技術発展に伴い、医療用としての価値が高まっていくのではないかと注目が集まっています。

ロボティクス技術はすでに製造業で豊富に導入・活用されている状況です。
製造業であたらに起きているロボットのニュースを知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

ロボットの可搬重量が向上!改良されたパレタイジングロボットの能力や期待される効果とは?

海外におけるマイクロロボットの事例

マイクロロボットは日本だけでなく、世界でもさまざまな機能をもつ機器が登場しています。
参考として、実用化に向けて着実に進化を続けている2つのマイクロロボットの事例をまとめました。

南カリフォルニア大学で自立型マイクロロボットを開発

アメリカの南カリフォルニア大学では「RoBeetle」と呼ばれるカブトムシを模した自立型のマイクロロボットを開発しました。

全長15mm・重量88gという小型のロボットでありながら、本体よりも2.6倍も重いものを持ち上げられるのが特徴です。

RoBeetleには人工筋肉が使われており、バッテリーの代わりにメタノールを原動力として稼働します。最大2時間動き回れることから、稼働中のバッテリー切れを防止できるマイクロロボットとして注目されています。

ミシガン大学が変形型のマイクロロボットを開発

アメリカのミシガン大学では、日本の折り紙を模した「Origami Microbot」というマイクロロボットを開発しました。

このマイクロロボットは折り紙と同じように折り畳み機能を有しており、自由にサイズを調整できるのが特徴です。Origami Microbotは主に、誤飲した異物を掴み体外へ排出する目的で利用されています。

1秒間に80回ものスピードで折りたたむことができるほか、異なる形状に変形できるのが魅力です。

ロボットの技術は研究分野でも自動化として活用が進んでいます。
ロボティクス技術の進化について知りたい方は以下の記事をチェックしてみてください。

ラボラトリーオートメーションとは?ロボット・AI技術が研究業界を進化させる

マイクロロボットについてまとめ

岡山大学が開発したマイクロロボットは、重さを感じないほど小さなロボットであり、将来的に事業活動が期待されている魅力的なロボットです。

ロボティクス技術が発達している現代における新たな一歩を踏み出すロボットであることも含め、今後の動向から目が離せません。

マイクロロボットのアイキャッチ
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