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一輪車を電動化!専用キットの工場新設で手押し車のロボティクス化を実現

施工・運搬機器の製造販売を提供する「キューボレックス」が、一輪車(手押し車)の電動化キットを対象とした製造工場の操業をスタートしました。

今回は、電動一輪車工場のニュースをもとに、工場新設の目的や製造中の電動一輪車について詳しく深掘りします。ロボティクス技術の動向について詳しく見ていきましょう。

キューボレックスが電動一輪車の工場を新設

東京都葛飾区で施工・運搬機器の製造や販売を展開する「キューボレックス」が、新たに一輪車(手押し車)を電動化できる製造工場を新設しました。

今回新たにつくられた工場は、主に電動一輪車を組み立てるキットを製造することが目的であり、すでに操業がスタートしています。

操業時の製造目標は月あたり200台規模の生産に対応していますが、販売が好調である理由から、今後生産台数を増やし月あたり400台まで規模を拡大する予定です。

一輪車の電動化キットを製造する新工場の概要

キューボレックスが新設した工場は、農業や建設業、製造業向けのロボティクス技術を使った機器の製造を目的として建設されました。

新工場の敷地面積は約4,400m²、そのうち工場の規模は約1,300m²であり、大規模工場の中では、次のような電動化キットが製造されています。

  • 一輪車の電動化キット
  • 足回り専用ユニットのクローラロボット

すでに増産の計画も立っており、今後さらなる電動化キットの普及を目指しています。

キューボレックスが製造する電動一輪車キットとは?

一輪車の電動化キットとは?
出典:キューボレックス公式サイト

今回、新工場でキューボレックスが製造しているのは電動式の一輪車ではなく、既存の一輪車を電動化できる専用キットです。参考として、既存の一輪車に取り付けられるキットの種類を表にまとめました。

電動一輪車のキット キットの取り付け方
電動タイヤ 既存のタイヤと交換してボルトで固定する
アクセル・レバー 持ち手部分に専用のアクセル・レバーを装着する
バッテリー・モーター 邪魔にならない場所(側面等)に専用のバッテリー・モーターを取り付ける

ねこ車と呼ばれている手押し車の一部パーツを取り換えるだけで、一輪車の電動化が可能です。一部のパーツだけを電動化するキットとして販売することで購入コストを抑えやすく、オフロードにも対応できます。

電動式でありながら雨や泥にも強い素材でできているため、泥汚れが多い建設現場の険しい道を楽に走行できるのが電動一輪車の魅力です。

電動化キットの仕様

一輪車の電動化キットは既存の一輪車に取り付けできる便利な製品です。
参考して、製品の仕様や性能の情報を表にまとめました。

項目 製品の仕様
サイズ 187×370×370mm
重量 8kg
最高速度 空荷の場合:9km/h
100kg積載の場合:4km/h
最大積載重量 100kg
登坂能力(坂をのぼる能力) 100kg積載で25度まで対応
稼働時間 バッテリー満タンで約2時間
※36V 4Ahバッテリー搭載
モーター出力 350W
防塵・防水等級 IP54相当の性能

キット自体の重量が8kgと、重いように感じますが、アクセルだけで走行が可能であるため、ほとんど重量の負担を感じずに済むのがメリットです。

また、人間の歩行速度は一般的に4km/hといわれているため、100kgの積載時でもストレスを感じることなく資材を運搬できます。

ただし、バッテリーの最大稼働時間が2時間と短いのが課題です。
1日当たり5~7時間ほど作業が必要な現場では、充電のタイミングなどを考慮しつつ、運搬の計画を立てることが重要になるでしょう。

建設業界ではほかにも面白い技術が多数登場しています。
振動対策の見える化に興味をお持ちの方は、以下の記事をチェックしてみてください。

工事・建設現場の振動対策!振動を見える化する方法

電動一輪車の特徴

キューボレックスが製造・販売している電動一輪車キットは、既存の一輪車に取り付けして電動化できる便利な製品です。詳しいキットの特徴を3つ紹介します。

誰でも簡単に一輪車を電動化できる

キューボレックスが販売する電動化キットは、タイヤとアクセルレバーを取り付けるだけで簡単にアナログな一輪車を電動化できます。

既存タイヤを取り外して新しいタイヤに交換し、持ち手の部分に固定型のアクセル・レバーを取り付けたら、あとはバッテリーとモーターを側面に固定して接続するだけで電動化が可能です。

ものの数分で普段使っている一輪車を電動化できるため、機会に詳しくない初心者でも難なく準備が完了します。

パワフルモーターで重労働から解放される

一輪車を電動化すれば、今まで人間の力で動かす必要があった手押し車の負担を必要最小限に抑えられます。

まず一般的な建設用の手押し車は、1回の最大積載量が100kgまで耐えられるのが特徴です。
しかし、その積載量を作業員のパワーだけで押さなければなりません。
そのため、中には積載された資材をこぼすほか、転倒する危険がありました。

対して電動化された一輪車は、パワフルなモーターの力によって大量の積載物を楽々と運搬できます。5段階のパワー調整に対応しており、険しい道も難なく走行できるため、作業労力50%、運搬走行スピード66%削減が可能だと言われています。

直感的な操作で走行できる

専用キットを使って電動化する一輪車は、シンプルな操作性のおかげで初心者から簡単に操作できるのが特徴です。

一輪車に装着するアクセル・レバーはバイクと似た仕組みであり、ハンドルを握ってアクセルを回すだけですぐに走行をスタートできます。自分で前側に力をかける必要がないため、バランスを取ること以外で負担がかからないのが魅力です。

また、電動化のせいで重量が増えたりバランスが悪くなったりする心配もないことから、狭い現場でも小回りを利かせながら走行できます。

一輪車の電動化が求められる理由

一輪車の電動化が求められる理由

キューボレックスが製造・販売している一輪車の電動化キットは、現在需要の高まりを受けて増産の目途が立っています。では、なぜ電動一輪車が必要とされているのでしょうか。

参考として、電動一輪車が求められる理由を建設現場の問題を踏まえながら詳しく解説します。

現場人員不足による作業員への負担増

現在、建設業では現場ごとの人員が不足する影響で、作業員1人当たりの作業負担が増加しています。そのような状況で一輪車を動かすのは重労働であり、効率よく現場作業を実施できなくなります。

また、人員不足が続くと作業員の疲労がたまり、継続的かつ長期的に安定した作業を見込めません。そのため、体力を消費しやすい一輪車の走行をアシストするキューボレックスの電動化キットに注目が集まりました。

作業員の負担を減らせることから、国内のさまざまな現場で使われる一輪車が電動化されつつあります。

建設現場の高齢化

現在、建設業界では著しい高齢化が進んでいます。
国土交通省の調査によると、建設業の平均年齢は44.6歳と、他の業界よりも高く若い人材が減り続けている状況です。

そういった中、加齢の影響で体力の衰えのある作業員も増えており、従来の一輪車を満足に走行できない状況が増えてきています。

対して、一輪車を電動化すれば、体力や筋力の使用を必要最小限に抑えながら、軽々と重量物を運搬できます。建設現場では荷物や資材を短距離移動するシーンが多いことから、体力を問わず誰でも重量物を運べるため、電動化キットが注目され始めました。

時間外労働の増加

建設業界は仕事柄、慢性的に忙しい状況が続きやすいため、時間外労働が必要になるほか、休日出勤を要請されることが多々あります。

特に現場作業ではあらかじめ竣工日が決定したうえで動くことから、遅れを取り戻すために超過残業が発生するケースも少なくありません。このとき、電動化した一輪車があれば、運搬にかかる時間を削減して、残業時間の短縮が可能となります。

同様に負担なく資材等を運搬できるようになれば、効率的に工事作業を進められます。
また、従業員1人あたりの負担も減らせることから、社内満足度の向上にもつなげやすいのが電動化の魅力です。

ほかにも建設DXに関わる取り組みを知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
導入手順も含めてわかりやすく解説しています。

建設DXとは?具体的な導入手順や技術内容をわかりやすく解説

電動化した一輪車の活用用途

電動化した一輪車は、建設現場だけでなくさまざまな用途で活躍します。
参考として、導入しやすい業種・シーンをまとめました。

製造工場

電動化した一輪車は、製造工場の材料や荷物を運ぶ際に役立ちます。

最大積載重量が100kgまで対応できるほか小回りが利くため、製造工程を自動化していない工場など、人力で材料の運搬する場所に適用しやすいキットです。

普段から一輪車を使って荷物等の移動をしているなら、既存の一輪車に電動化のキットを装着してみてはいかがでしょうか。

教育機関

教育機関の場合、授業の一環として学生が学内清掃を行うシーンが数多くあります。
しかし、学年の違いによって体力に差があるため、低学年であるほど清掃時に利用する一輪車の走行に負担を伴うのが特徴です。

対して、校内の一輪車をすべて電動化すれば性別や年齢の差が埋まり学生の負担を削減しやすくなります。また、日常的に清掃作業を担当する用務員の作業負担も削減できるのが魅力です。

企業や教育機関のDX化に興味をお持ちなら、セミナーに参加して新しい知識を見つけるのがおすすめです。次のようなオンラインセミナーも開催されているので、ぜひチェックしてみてください。

一輪車を電動化する注意点

電動一輪車の注意点

一輪車を電動化すれば、運搬時の負担を削減でき作業効率を向上しやすくなります。
一方で、次の注意点ができることに気を付けてください。

  • 高温の場所に放置できない
  • 定期的なメンテナンスが必要になる
  • 充電のタイミングを検討する必要がある

例えば、バッテリーを積載しているため高温の場所に長時間置くと故障の原因になります。
また、装着したキットのメンテナンスを実施しなければ、機械部分が壊れやすいことにも注意が必要です。

ほかにも、最大稼働時間が2時間であることから、充電のタイミングを忘れないことにも注意してください。

一輪車の電動化についてまとめ

一輪車を電動化すれば、積載物を運搬する負担を削減し、作業効率が向上します。

またキューボレックスでは、すでに電動化キットの増産にも着手しているため、建設現場のみならず一輪車を使用するさまざまな場所で電動化キットが活用されていくでしょう。

ほかにもロボティクス技術を活用した電動化の機器が登場しているため、今後の進展から目が離せません。

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