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自動車部品メーカーの倒産が過去最多!倒産の理由や国からの支援策

東京商工リサーチが実施した自動車部品メーカーの調査よると、過去10年で倒産数が過去最多を記録したそうです。生活に必要不可欠な自動車部品メーカーが、なぜ今倒産し続けているのでしょうか。

今回は、自動車部品メーカーの倒産ニュースをもとに、倒産が相次ぐ理由や、国が実施している支援策を紹介していきます。倒産回避のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

自動車部品メーカーの倒産数が過去最多

自動車部品メーカーの倒産グラフ
出典:東京商工リサーチ公式サイト

国内・海外の企業情報を提供する調査会社「東京商工リサーチ」によると、自動車部品メーカーの倒産数が35件あり、過去10年の記録を抜いて最多の数値を記録したと発表がありました。

主に経営不振による倒産が相次いでおり、今後も多くの自動車部品メーカーが倒産すると予想されています。

自動車部品メーカー倒産の企業傾向

ニューズで説明されていた「倒産した自動車部品メーカーの資本金」の割合を、以下にまとめました。

自動車部品メーカーの資本金 倒産件数
1億円以上 0
5,000万円以上~1億円未満 2
1,000万円以上~5,000万円未満 16
500万円以上~1,000万円未満 7
100万円以上~500万円未満 8
~100万円未満 2
個人企業等 0

上表の数値を見てわかるように、倒産が相次いでいるのは主に500万円〜1億円未満の小中堅の自動車部品メーカーです。資本金が1億円を超える大企業の倒産はありませんでしたが、中堅企業の倒産に足を取られて、倒産リスクが高まる恐れもあります。

ちなみに倒産している原因としては、販売不振・シワ寄せ・余波など、サプライチェーンとなる企業の倒産が影響している場面も多いようです。

また、今回の倒産により生じる負債総額は100億8,200万円にのぼると言われています。
高額な負債が全国的に生じることから、今後、動車部品メーカーが提供する部品・パーツの価格が高騰する可能性もあるでしょう。

自動車部品メーカーの倒産が増えている理由

倒産の理由

自動車部品メーカーの倒産は、決して自然的に生まれたものではありません。
まず、東京商工リサーチによると、倒産理由は次の通りだと分析されています。

コロナ関連支援策も終了し、業績の立て直しが後手に回った企業の息切れ倒産が増えている
引用:ITmediaビジネス「自動車部品メーカー、倒産件数が過去10年で最多 負債総額は100億円越え」

参考として、ニュースでも説明されている「倒産が増えた理由」を4つの視点に分けて解説します。

消費税増税に伴う需要の減少

自動車部品メーカーの倒産が増えだしたのは、2019年に消費税が8%から10%に引き上げられたのが原因のひとつです。自動車部品メーカーが受注する案件の費用が2%高くなったほか、提供されている部品購入費用も2%上乗せされます。

その結果、自動車製造に関わる企業の多くが安く生産できる自動車部品メーカーを求めて、契約の変更が発生しました。

最終的には、一部の自動車部品メーカーへの受注が減って経営不振に陥り、企業を運営し続けられないという理由から、倒産が相次いでいます。

新型コロナウイルスによるサプライチェーンの変化

自動車部品メーカーの倒産を加速させた理由のひとつに、2020年に発生した新型コロナウイルスのまん延が関係しています。新型コロナウイルスがまん延したことによって、経済活動が停滞し、サプライチェーンに次のような変化が生じました。

  • 自動車ニーズが減少したことに伴う受注の減少
  • 海外から材料輸入の減少

「人々が動かなくなる=自動車に乗る機会が減る」ということにつながるため、新型コロナウイルスがまん延した際には、自動車購入数が激減しています。

結果として、自動車を販売する自動車メーカーの売上が落ち、サプライチェーンのひとつである自動車部品メーカーが打撃を受けました。生産や販売が滞ったことにより、ここ数年で倒産率が増加しているのです。

半導体の不足・高騰

自動車に利用する半導体が不足し、価格が高騰していることも自動車部品メーカーを倒産に追い込む原因となっています。半導体不足に影響するポイントを以下にまとめました。

  • 新型コロナウイルスのまん延
  • ウクライナ情勢
  • 各国の自然災害の増加

日本では半導体を生産できず、海外輸入に依存しています。
その影響もあり、世界各国で問題が起きてしまうと、半導体が不足し、価格が高騰しやすくなったのです。

自動車部品メーカーでも半導体を活用するため、販売時の採算が取れなくなると次第に倒産へと追い込まれてしまいます。

品質問題の露呈

近年では、自動車部品メーカーを含め、ずさんな品質管理や改ざんといった問題のニュースが数多く報道されています。例えば、次のような品質問題が有名です。

  • ダイハツ工業による安全性の認証不正
  • パナソニック インダストリーによるデータ改ざん

複雑で難しい品質管理をスルーするために、昔から不正を続けていた企業の問題発覚により、自動車部品メーカーといった下請け業者にも問題が波及している状況です。

品質管理問題については、以下の記事でも詳しく解説しています。
問題として取り上げられている事例を知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

品質問題はブラックボックス化が原因?不正改ざんした企業事例も紹介

自動車部品メーカーの倒産を回避するポイント

倒産回避のポイント

このまま自動車部品メーカーの倒産が続くと、日本の大規模産業である自動車メーカーの衰退が加速してしまいます。このまま何も手を打たずにいると、倒産への道は避けられないでしょう。

一方で、自動車部品メーカーを倒産させないためにできることが3つあります。
どのように自動車部品メーカーの倒産を回避すべきなのか、企業の動きを検討する参考にしてみてください。

半導体企業を国内へ誘致

半導体不足によって自動車部品メーカーが経営不振に陥っているのなら、日本の半導体への取り組みを理解して新たな確保ルートを見出すことが重要です。

日本では半導体を国内生産できるように、大手半導体企業「TSMC」を熊本に誘致しました。
これに伴い、今後は国内でもある程度の半導体を生産できる体制が整っています。

また熊本県を中心として、さらなる半導体生産の環境を整備しようと、国主導で取り組みがスタートしている状況です。国内で半導体の確保ルートが整いつつあるため、現在の海外輸入の確保ルートからのシフトすることが倒産回避につながるかもしれません。

また、半導体産業の最新動向を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
大規模イベント「SEMICON Japan 2023」の概要を紹介しています。

半導体産業はどう変わる?SEMICON Japan 2023の注目ポイント

自動車部品メーカーをDX化する

自動車部品メーカーの倒産を回避したいのなら、現在の製造環境を改善して低コスト・高効率化を目指すことが重要になります。この際に役立つのが、製造業全般で取り組みがスタートしているDX(デジタル・トランスフォーメーション)です。

DXとは、デジタル技術を駆使して人間活動・企業活動を効率化する取り組みのことを指します。参考として、自動車部品メーカーのDX化に役立つ技術を以下にまとめました。

  • IoT
  • AI
  • RPA

また、近年では自動車部品メーカーで役立つ基幹システムや生産管理システムなどが多数登場しています。デジタル技術を活用し作業を自動化・効率化することによって、コストを削減しつつ倒産リスクを下げていくことが重要になるでしょう。

DXに関する知識を身に付けたいのなら、ぜひセミナーに参加してみてください。

EVシフトを正しく判断する

2015年のパリ協定をきっかけに、最近ではEV(電気自動車)の需要が高まっていると聞きます。ただし、EVには半導体が大量に必要なほか、ガソリン車と比べて充電スポットが少ない、寒冷地でバッテリー残量が減りやすいといった問題があるのも事実です。

中には、EVシフトを目指している自動車部品メーカーも多いと思いますが、将来性はまだ未知数な状況です。

経営不振が起きやすい現在の状況において、完全にEVシフトするのは得策ではありません。
ガソリン車の部品等の生産を辞めず、世界情勢や環境配慮の動向をチェックしつつ、シフトするタイミングを伺うのが最適です。

自動車部品メーカー向けの国の支援策

倒産防止に向けた国の支援策

ニュースで説明されている自動車部品メーカーの倒産は、今後も増加すると予想されています。
そして現在、国が自動車部品メーカーなど自動車関連の業界向けに支援策を検討しています。

参考として、現在実施されている事例を3つまとめました。

セーフティネット保証2号

中小企業庁は、ダイハツ工場と取引を実施する自動車部品メーカーへの支援策として「セーフティネット保証2号」の発動を検討しています。セーフティネット保証2号では、次のような支援策が実施される予定です。

  • 資金繰りの支援サポート
  • 特別枠での信用保証協会の保証(融資)

他社に足を引っ張られて経営不振に陥る企業を救うため、現在、制度発動の最終方針が話し合われています。

ミカタプロジェクト

経済産業省では、現在のEVシフトやガソリン自動車の生産状況を踏まえて、今後安定した経営活動を実施できるように「ミカタプロジェクト」という事業を進行しています。

ミカタプロジェクトでは、大手社員たちを中堅企業、中小企業に派遣して、事業転換のサポートを実施する取り組みです。事業転換の成功事例を紹介するなど、世界情勢を含めて自動車部品メーカーの将来を見据えたサポートを受けられます。

自動車部品メーカーについてまとめ

東京商工リサーチが実施した自動車部品メーカーの調査にて、自動車部品メーカーの倒産が相次いでいるとわかりました。また、倒産は今後も続いていくことが予想されます。

しかし、課題解決のために実施できることが複数あるのも事実です。
自社に必要な対策を検討しつつ、今後の世界情勢や国内動向を見据えていくことが重要であるため、この機会に、自社に最適な対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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