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【2024】リカレント教育とは?リスキリングとの違いやメリットを解説

若年層を中心に働き方というのは大きく変化しており、1つの企業に長年勤めることから自身のスキルアップのために企業を転々とする人が増えています。企業ごとに仕事で求められるスキルや知識は異なるため、変化に合わせて継続的に学び直す必要があるでしょう。

そのため、生涯にわたって学び続け就労と学習のサイクルを繰り返す「リカレント教育」が大きな注目を集めています。
特に製造業では人手不足が深刻化している業種でもあり、人材確保だけでなく既存従業員の成長を促すリカレント教育に取り組む必要があるでしょう。

本記事では、リカレント教育の概要をはじめ実施するメリットやデメリットなど企業視点で解説していきます。

リカレント教育とは?

リカレント教育とは、学校教育から社会に出た後も教育を受け続け、就労と学習を繰り返すことです。よく混同される生涯教育とは異なり、学ぶことが目的であるもののリカレント教育は「仕事に活かすための知識やスキルを学ぶ」ということです。

リカレント教育が大きな注目を集めている背景には、

  • 日本人の平均寿命の延び
  • 働き方の変化

による2点が挙げられます。

私たちの生活は学校を卒業後、就職、定年退職が一般的なルートでした。しかし、平均寿命が延びている・働き方の変化により会社を一定期間勤めたら転職や起業のために学びなおす人が増えています。

また、年金問題や定年退職後に充実した余生を送るためにもお金は欠かせず、そのために自身でお金を稼ぐ力を身につける必要があり「リカレント教育」が重要であり、注目を集めるキッカケとなりました。

リカレント教育とリスキリング教育・生涯教育の違い

リカレント教育と混同される言葉には「リスキリング教育」や「生涯教育」が挙げられますが、違いがあることを覚えておきましょう。

概要
リカレント教育 学校教育終了後も自身のタイミングで就労と教育が繰り返していくこと。自身の意志で決定し、学習内容は仕事に活かすための知識やスキルに限定される
リスキリング教育 企業側が軸となり、自社事業やビジネスの創出や成長のために従業員を育成すること。企業側の意志であり自身で決定することではない。また、学習する知識やスキルも企業側が決定する。
生涯教育 生涯にわたり「ビジネス」「趣味」「スポーツ」など仕事に関係ないこともあらゆる分野を学習する。

上記3つの違いとしては「学習する内容」「自身の意志であるかどうか」など学ぶ目的に違いがあります。
また、近年では多くの企業が「資格支援制度」という資格を取るために資金などを援助する仕組みもありますが、これもリスキリング教育に分類され、リカレント教育とは異なることを覚えておきましょう。

リカレント教育を企業が実施するメリット

リカレント教育を企業が実施するメリット

リカレント教育は個人の意志によって行うことですが、近年ではリカレント教育を推進する企業も増えています。企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。下記3点を解説します。

  • 採用コストの削減
  • 企業の売上向上
  • 新たな価値の創出

採用コストの削減

少子高齢化社会や若年層世代を中心に都市部に移住する傾向が多くみられます。そのため、地方の工場や農業などを中心に人材確保が非常に厳しくなっています。

一方でDX化に取り組む企業も増えておりIT人材の確保、事業成長のために優秀な人材を確保するための課題は大きく、人材の採用コストは膨大なものへとなるでしょう。しかし、既存社員に対してリカレント教育を実施すれば採用コストをかけることなく、優秀な人材の確保が可能になります。

企業の売上向上

リカレント教育を従業員が行えば、スキルや知識が身につき情報のアップデートにより企業の売上向上を期待できるでしょう。また、時代にあった新しいスキルを身につけられれば企業が商品やサービスもニーズを捉えた的確なものへとつながり、新しいビジネスを生み出すキッカケになるかもしれません。

特に業務の効率化や生産性の向上が見込めるため、企業の売上向上が可能になります。

新たな価値の創出

リカレント教育はリスキリング教育とは異なり、自社商材・サービスに関係ないスキルや知識を学ぶこともあります。しかし、今まで見えてこなかった新しい価値を創出でき、ビジネスの幅を広げることが期待できるでしょう。

特に今の時代に求められるスキルや知識をリカレント教育で学習する内容は消費者からのニーズも高い傾向にあり、売上の向上を見込める大きな価値の創出へと変わるかもしれません。

リカレント教育を企業が実施するデメリット

リカレント教育を企業が実施するデメリット

リカレント教育を企業が実施するのはメリットだけでなく、デメリットもあります。ここでは以下3点を解説します。

  • 金銭的コストがかかる
  • 人材の流出
  • 成果創出まで中長期的に時間がかかる

金銭的コストがかかる

リカレント教育は「大学で学びなおす」「留学する」「セミナーや講座を受講する」などどれをとっても企業が支援をするのであれば、金銭的コストがかかります。

また、学習期間によっては自社の仕事に携わらない、就業時間が減るということなので、人材の穴埋めをする必要があります。結果、従業員の残業コストの増加や採用コストなどがかかるでしょう。

ただし、リカレント教育を実施する際に一定の条件を満たしていれば国から補助金や助成金を給付できる可能性もあります。詳しくは厚生労働省のHPをご確認ください。

人材の流出

リカレント教育は自社商品・サービスに関係する知識やスキルを身につけるとは限りません。転職を目的としてリカレント教育を実施する従業員も存在するでしょう。そうなれば人材の流出も否めません。

転職を理由としたリカレント教育の実施を企業側が止めることはできず、人材の流出へとつながる恐れもあるためリカレント教育を実施する前には双方の意志を確認しておきましょう。

成果創出まで中長期的に時間がかかる

リカレント教育は実施する学習内容によっても異なりますが、

  • セミナーや講座:半年〜1年
  • 学校:2年〜4年
  • 留学:1年〜

といったように学習期間を考慮する必要があります。また、学習を終え仕事に復帰してもすぐに成果が出るわけではありません。上記はあくまでも目安であり学習期間でもあるため、中長期的に時間がかかることを考慮しておきましょう。

リカレント教育導入時の注意点

リカレント教育導入時の注意点

リカレント教育を導入する際には以下2点を注意しましょう。

  • 明確な目標を持って取り組む
  • 取り組みやすい環境を構築する

明確な目標を持って取り組む

リカレント教育を実施する際には、明確な目標を持ってその目標に達成できるかどうかを精査しなければなりません。場合によっては会社を休職することもあるため、従業員のなかには休職期間でスキルや知識を身につけられず無駄の時間になる恐れもあります。

実施したいという従業員がいれば「どんなスキルや知識を身につけたいのか」「どんな目標のためにリカレント教育を実施したいのか」をヒアリングし、実施しましょう。

また、休職期間中は定期的にスキルや知識がどれくらい身についているのかなど確認を実施することで学習の進捗具合や習熟度を図ることができるでしょう。

取り組みやすい環境を構築する

リカレント教育を実施するにあたって従業員が学習に取り組みやすいような環境づくりを行う必要があります。また、既存従業員のフォローも忘れてはいけません。従業員が一人抜けることになれば、全員で担当していた業務のカバーをする必要があります。

もちろん、既存従業員の残業時間が増加し負担になるようなことはNGです。また、仕事をしながら教育を実施する場合は就業時間外ではなく時間内に学習できる環境を構築しましょう。

リカレント教育に取り組む企業の成功事例

リカレント教育に取り組む企業の成功事例

最後にリカレント教育に取り組み成功した事例下記3社を紹介します。

  • ソニー株式会社
  • サントリーホールディングス株式会社
  • 株式会社ミクシィ

ソニー株式会社

ソニー株式会社

引用:ソニー株式会社

ソニー株式会社は「フレキシブルキャリア休職制度」を導入しており、配偶者の海外赴任による退職では「最長5年の休職」、学習を目的とした休職は「最長2年」といった制度を設けています。

また、スキルや知識を身につける学習目的での休職は最大で50万円まで会社が負担をしており、取り組みやすい環境を構築しています。さらに退職させると優秀な人材を流出させてしまう恐れがあるため、休職扱いにしてリカレント教育導入の成功へとつながっています。

サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングス株式会社

引用:サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングス株式会社は「自己啓発支援プログラム」を導入しており、従業員のリカレント教育を積極的に推進しています。プログラム内容は、

  • 応募型研修
  • 英語力強化
  • eラーニング
  • 通信教育通学費補助制度

が用意されており、従業員が幅広く学習することが可能です。応募型研修では40種類あるコースから選択でき、学習にかかる費用の一部を企業が負担します。

また、国内のグループ会社間で同じ研修を受けられるため人脈形成や効率的な学習も期待できるでしょう。

株式会社ミクシィ

株式会社ミクシィ

引用:株式会社ミクシィ

株式会社ミクシィは業務の成長につながる自己成長を支援する目的で「スキルアップ支援プログラム」を福利厚生として実施しています。各種資格の取得や英会話などを優待価格で利用できます。

また、ビジネス書や自己啓発本などの購入費用を補助する「書籍支援制度」や社外の教育機関が実施する研修を受講できる「選択型研修」も実施しています。選択型研修は全額会社負担となっており、リカレント教育を積極的に推進しています。

企業の未来を担うリカレント教育

企業の未来を担うリカレント教育

リカレント教育は個々のスキルアップだけが目的ではなく、企業全体の売上向上や業務の効率化にもつながります。しかし、人材の流出を恐れてリカレント教育を実施しない企業も少なくありません。

従業員が自発的に学び続けられる環境を構築できれば企業の競争力を高め、新しい人材の確保にもつながるでしょう。本記事を参考にリカレント教育を導入し、従業員のスキルアップを図ってみてはいかがでしょうか。

リカレント教育とは?リスキリングとの違いやメリットを解説
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