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品質問題はブラックボックス化が原因?不正改ざんした企業事例も紹介

近年、企業の品質問題に関するニュースをよく目にします。
一度の指摘で業界全体が改善されれば良いのですが、多くの企業で何度も不正問題が発生している状況です。

そこでこの記事では、最近よく見かける品質問題のニュースをもとに、よく取り上げられる企業事例を紹介します。また問題発生の原因や解決策、今後の展望もまとめているので、品質問題改善の参考にしてみてください。

品質問題の企業事例

まずは、ニュース等でよく取り上げられている品質問題の企業事例をまとめました。

品質問題は中小企業だけでなく、大手企業でも多発しています。
どのような問題が取り上げられているのか詳しく見ていきましょう。

ダイハツ工業による安全性の認証不正

自動車メーカーの「ダイハツ工業」は2024年1月16日、国土交通省の立ち入り検査によって、自動車安全性を不正認証した車種が販売停止されました。

ダイハツ工業が不正した項目は次の通りです。

  • エアバッグのタイマー機能
  • 自動センサー機能

事故が起きた際のエアバッグ動作が遅いのにもかかわらず、正常だと不正したことが発覚したことにより、販売の停止はもちろん、リコール対応を迫られています。また、国土交通省からダイハツに対し、業務運営体制や不正行為の再構築による是正を求められている状況です。

パナソニック インダストリーによるデータ改ざん

電子部品などの製造・販売を提供する「パナソニック インダストリー」は2024年1月12日、製造・販売している電子基板材料の中に複数の品質問題の不正行為があるとして、ニュースに取り上げられました。

例えば、アメリカの安全機関の承認において、監査で提出するサンプルを改ざんして作成する、指示された登録番号を変えずに生産していたといった問題が発覚しています。中には40年以上前から不正が続いていた製品も含まれており、現在、対応協議が進められています。

グリコ子会社によるデータ書き換え

お菓子メーカー・食品会社であるグリコの子会社「グリコマニュファクチャリングジャパン」は、2023年3月7日、100件近い水質分析データの不正な書き換えを実施したとして、品質問題がニュースに取り上げられました。

商品製造に適用されている水質規制値を上回っているのにも関わらず、そのうちの97件がデータ改ざんによって規制値を満足していると提出されています。

品質問題が発覚したのは工場内で事故が起き、県の立ち入り調査が実施されたからです。
また、工場内での情報共有がおこなわれていなかったことから、2023年3月末より、品質管理の順守体制の整備がスタートしています。

品質問題が発生する原因

品質問題が起こる工場

品質問題が発生する原因は、主に日本という国の企業運営状況、そして他国との認識の違いが原因です。

具体的な原因を3項目整理しました。
なぜ品質問題のニュースが頻発しているのか、詳しく説明します。

社内情報のブラックボックス化

日本企業の多くは情報の透明性が低く、自社だけにしかわからないようにデータをブラックボックス化して業務を運営しています。その結果、発生した品質問題を社内で処理しようと動き、データ改ざんを実施するケースが多いようです。

例えば、ある品質問題が浮上してきた際に時間をかけてデータを改ざんする、また対象となる必要情報を黒塗りにして提出するなど、保身に走りすぎてブラックボックス化が加速している状況です。

情報共有体制の未整備

データ改ざんや不正行為といった問題は、品質基準が厳しい製造工場等で発生することが多くあります。しかし、企業・工場内の体制がうまく整備されていない状況であるのも事実です。参考として、品質問題の発生に影響するポイントをまとめました。

  • 情報を社内共有できていない
  • 問題発覚時の対応ルールが定まっていない
  • そもそもルール自体明確化していない

品質管理における明確な動き方、チェック方法を定めないまま業務を進行していたり、問題の発覚を恐れて社内間で情報共有しなかったりと、問題発生の原因はさまざまです。

データの確認や修正のルールで定めず「従業員任せ」にしていることが、品質問題発生の原因だと言われています。

他国とのオープン化に対する積極性の差

品質問題が発生するのは、他国と比べてオープンな業務体制を確立できていないのが原因だと言われています。

例えばアメリカでは、情報開示するのが当たり前です。
逆に情報開示をしない会社は隠ぺいしていると強く非難される社会性が形成されています。

一方で日本は、情報を開示しないのが当たり前の社会です。
資料の黒塗りや情報開示に時間をかけても、大きく問題化しません。

ただし近年では、日本もグローバル化が浸透して品質管理が厳しくなっています。
その影響を受けて、これまでの「ぬるま湯」だった管理体制が露呈し、品率問題へと発展しているのです。

品質問題から発展する次の課題

品質問題によって起こる次の課題

品質管理を実施する企業が気をつけなければならないのは、なにも品質問題の改善だけではありません。品質問題が発覚した後の世論の考えについても注意が必要です。

例えば、品質問題がニュースになりやすい製造業界の場合、消費者となる日本国民からの反発が強まります。ネットやSNSを通じて炎上するほか、株価の暴落などさまざまな問題へと発展していくでしょう。

最終的には、企業の売上自体が下がり経営難に陥るケースもあるそうです。
「ちょっとした不正だからそこまで問題ないなろう」「いずれ落ち着くだろう」と、不正問題の改善をないがしろにしていると、さらなる問題化が起きてしまうかもしれません。

場合によっては政府からの業務停止命令を受けるケースもあるので、品質問題の改善はもちろん、消費者への真摯な対応が求められます。

もし品質問題を防止したい、予防したいと考えているのならDX化を検討するのがおすすめです。もしDX関連の講座をお探しなら、以下のセミナーに参加してみてください。

品質問題改善の解決策

品質問題の発生を未然に防ぎたい、対策環境を整備したい場合の解決策を整理しました。
現状の課題を解決するポイントをまとめているので、今後の動き方を検討してみてください。

PDCAに取り組む

まず重要なのが、PDCAを回しながら品質管理を向上することです。
PDCAの主な取り組み方を下表にまとめました。

検討手順 検討内容
P(計画) 品質改善の計画を立てる
現状課題の解決方法を明確化する
D(実行) 計画した内容を実施する
C(評価) 情報を集計する
実施した対策の成功の有無や問題点を抽出する
A(改善) 新たな計画に必要な改善策を検討する

PDCAのサイクルは、何順もサイクルを回しながら品質を高めていくことが重要です。
品質問題が発生しやすいポイントを適宜改善し、大きな問題に発展する前に対応できます。

品質管理ルールを浸透させる

今まで品質管理の運用を従業員に任せていたのなら、今後は事前にルールを浸透させたうえで運用することを心がけましょう。例えば次の方法で品質管理のルールを浸透できます。

  • 定期的な社内研修を実施する
  • 社内報で定期連絡する
  • 昇進テストとして導入する

情報共有や品質問題の改善策は、従業員全員が理解しておくべきポイントです。
従業員に任せるだけにしていると、うまく浸透できず情報がブラックボックス化してしまうため、ルール浸透の施策に取り組んで見てはいかがでしょうか。

企業の透明性を高める

日本の情報を隠すような動き方から、海外の透明性の高い動き方に変えることも重要です。
例えば、次の方法で品質問題発生を未然に防止できます。

  • 公式ホームページで情報を公開する
  • 社内・工場内の見える化を進行する
  • 運営状況を定期報告する

また、品質問題が発生した場合にすぐ情報を公開できるように、必要資料を整理しておくことも重要です。問題の早期対応が消費者からの理解につながるため、品質問題が発生してから長期間温存するのではなく、すぐに情報開示できる準備を始めましょう。

DXに取り組む

安全かつ効率的な品質管理を実施するためには、設備のDX化に取り組むことも重要です。

品質問題が発生する原因を突き止めてDX化すれば、すべての情報をデータとして収集して分析できるようになります。基準値に満たない状況ではエラー報告される仕組みをつくり出せるため、情報共有不足やルール化の浸透不足などの問題を解決できるでしょう。

また、DX化は業務効率化にも大きく貢献します。
製造の品質を向上できるのはもちろん、設備に異常が起きたらすぐに知らせてくれるため、メンテナンス・修理にかかる費用を削減できるのが魅力です。

製造現場におけるDXの方法を知りたい方は以下の記事がおすすめです。
導入手順や事例をわかりやすく解説しています。

製造現場のDXとは?解決すべき課題・導入手順・企業事例を紹介

品質問題の今後の展望

品質問題・管理の今後の展望

ニュースなどでも取り上げられる企業の品質問題は、製造工場の規模を問わず、すべての会社に関係する重要課題です。

現在、IT化・情報化が進んでいる日本では、これまで実施してきたブラックボックスによる隠した品質管理から、オープンな品質管理へと移行してきています。それに伴い、品質問題が露呈し安くなっているのも事実です。

またニュースでは次のような言葉が取り上げられています。

「誰がどう見ても正しいモノづくりであることを証明する」
引用:MONOist「モノづくり総合版メルマガ 編集後記」

今後ニュースとして話題になるような品質問題を起こさないためにも、今一度、自社に品質問題のリスクがあるか再確認してみてください。もしリスクが発生しそうな項目があるのなら、本記事で紹介した解決策やDX化を検討してみるのも良いでしょう。

DX化の中でもメタバースやデジタルツインに興味をお持ちなら、以下の記事を参考にしてみてください。

【2024】産業用メタバースとは?デジタルツインに活用できる最新技術・事例を紹介

品質問題についてまとめ

品質問題は、大企業を含め日本全国の企業で発覚している重大なトラブルです。
製造している商品・製品を購入する消費者の信頼を失うほか、株価や経営の存続にも影響してきます。

また近年では、製造業がオープンな品質管理へと移行中なのが現状です。
グローバル化が進む現代で正しいものづくりを実施するためにも、ぜひこの機会に品質管理や品質問題に目を向けてみてください。

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