映画やゲームなどで活用されている3DCGですが、近年は手軽に作成できるソフトウェアが増えています。
その中でも特に入門者向けに手軽に使用できるものが「Blender」になります。
今回は3DCGモデリングの入門者に向けて「Blender」のモデリング機能を中心に、基本的な操作方法を解説していきます。
Blenderについての入門知識
そもそもBlenderは他の3DCGとは何が違うのでしょうか?まずはBlenderの特徴について入門者にも分かりやすく解説していきます。
Blenderとは
Blenderは一般的な3DCGソフトウェアに備わっているモデリングやレンダリングといった基本的な機能の他に、アニメーションやシミュレーションといった幅広い機能を備えた高機能3DCGソフトウェアです。
本格的かつ高機能であるにもかかわらず、オープンソース・ソフトウェアとして開発されているため無料で使用でき、世界中のプログラマーによって日々改良が加えられています。
Blenderでできる機能
Blenderで使用できる主な機能は以下になります。
モデリング
3Dモデルを作成するモデリング機能がBlenderの基本的な機能になります。今回の記事ではモデリングの入門者向けの操作方法を説明していきます。
マテリアル
モデリングで作成した3Dモデルに材質を設定することができ、色や光の反射などの見た目の効果を加えることができます。
テクスチャマッピング
3Dモデルの表面に画像を貼り付けることで、より細かい模様を表現することができる機能です。
レンダリング
作成した3Dモデルを画像として書き出しすることをレンダリングと言います。3Dモデルに当たる光の向きや強さを調整し、カメラの向きやレンズを設定して画像を撮影します。
アニメーション
3Dモデルに動き方を設定してアニメーションを作成することが出来ます。
シミュレーション
流体や風、煙などの物理シミュレーションを行うことが出来ます。
スカルプト
スカルプトとは3Dモデルを粘土細工のように形状を編集して造形を行う機能です。通常のパラメトリックモデリングでは表現が難しい微細な作りこみを行うことが出来ます。
Blenderの機能については以下の記事でも入門者向けに解説しておりますので、こちらも併せてご覧ください。
このようにBlenderは3Dモデリングのみならず、様々な機能を搭載しており、幅広い用途で使用することが出来ます。今回の記事ではモデリング機能の基本的な使い方について解説します。
Blenderの入門者向け基本操作
Blenderを操作する前に画面の見方と操作方法を入門者にも分かりやすく解説していきます。
Blenderの画面表示
Blenderを起動すると上のような画面が表示されます。画面の各区画の名称と役割は以下の通りです。
①ヘッダーメニュー
ファイルメニューや編集メニューといった基本的なメニューが表示されます。
②ワークスペース切り替えタブ
モデリングやスカルプト、テクスチャマッピングなど、各編集作業に適した画面レイアウトに切り替えることができます。
③3Dビューポート
現在制作している3DCGが表示される画面です。3DCGモデリングをする際は、この画面上で作業します。
④アウトライナー
現在編集している全てのオブジェクトと、各オブジェクトのマテリアルやテクスチャ情報などが表示されます。
⑤プロパティ
レンダリングや背景のプロパティ、各オブジェクトのマテリアルやテクスチャのプロパティなどを確認・変更することができます。
⑥タイムライン
アニメーションの再生や、再生時間の制限など、アニメーションを作成する際に使用します。
Blenderの視点操作
3Dビューポートでの視点操作と視点変更は以下の通りになります。
視点操作
マウスを使った視点操作は以下の通りです。
回転 | マウスホイールのドラッグ |
ズーム | マウスホイールの回転 |
平行移動 | Shift + マウスホイールのドラッグ |
視点変更
テンキーを使用すると画面の視点変更を行うことが出来ます。
テンキー「0」 | カメラ視点に切り替え |
テンキー「1」 | フロントビューに切り替え |
テンキー「2」 | 視点を下方向に15°ごと回転 |
テンキー「3」 | ライトビューに切り替え |
テンキー「4」 | 視点を左方向に15°ごと回転 |
テンキー「5」 | 3Dビューの投影方法を透視投影と平行投影で切り替え |
テンキー「6」 | 視点を右方向に15°ごと回転 |
テンキー「7」 | トップビューに切り替え |
テンキー「8」 | 視点を上方向に15°ごと回転 |
テンキー「9」 | 現在の視点から反対側に切り替え |
その他、Blenderの基本設定については以下の記事でも入門者向けに解説しておりますので、こちらもご覧ください。
Blender入門者向けオブジェクトの追加方法
Blenderではオブジェクトと呼ばれる3Dの物体を追加・編集することでモデリングを行います。まずは基本的なオブジェクトを3Dビューポートに追加してみましょう。
- オブジェクトを追加する際は、3Dビューポートのカーソルの位置に追加されるため、追加したい場所にカーソルを移動させる。
- 3Dビューポートのヘッダーのモードが「オブジェクトモード」になっていることを確認し、その右にある「追加」をクリックして、追加したいオブジェクトを選択。
- 以下の形状のオブジェクトを追加可能。
- 平面
- 立方体
- 円
- UV球
- ICO球
- 円柱
- 円錐
- トーラス
- グリッド
- モンキー(Blenderのマスコットキャラクターのスザンヌ)
これらのオブジェクトを追加してモデリングを行っていきます。
Blender入門者向けオブジェクトの編集方法
次に追加したオブジェクトの形状を編集していきましょう。
形状を編集したいオブジェクトをクリックして選択した状態で、3Dビューポートのヘッダーのモードを「オブジェクトモード」から「編集モード」に切り替えます。
編集モードでは以下のような操作が可能です。
①メッシュの作成
メッシュと呼ばれる面のデータを追加します。
- 「編集モード」からメッシュが何も選択されていない状態で Ctrl + 右クリックをすると、頂点が作成される。
- 頂点を3つ以上選択した状態で、3Dビューポートのヘッダーの「頂点」→「頂点から新規辺/面作成」を選択すると、選択している頂点の内側に面が張られる。
頂点を2つのみ選択した場合は、辺が作成されます。
②押し出し
オブジェクトのメッシュを押し出して、新規のメッシュを生成します。
押し出しする部分の頂点や辺、面を選択後、3Dビューポートの左側ツールバーの「押し出し」を有効にしてドラッグすると押し出しすることができます。
③面取り
モデルの辺のメッシュを分割して面取りを行うことが出来ます。面取りを行う辺をクリックして選択し、ツールバーの「ベベル」ツールを有効にします。
表示された黄色いラインの先端の丸をドラッグすると面取りを行うことが出来ます。
④分割
「ナイフ」ツールを有効にし、左クリックでラインを引くことで、ラインと交差するメッシュを分割することが出来ます。
「ナイフ」ツールの設定項目から「ジオメトリを塞ぐ」のチェックを外すと、メッシュの裏側の隠れている部分も分割されます。
⑤変形
Blenderにはメッシュを簡単な操作で変形させるツールが備わっています。
3Dビューポートの「メッシュ」→「トランスフォーム」→変形の方法を選択することで、通常のモデリングでは作成が難しいランダムな形状や丸みを帯びた形状に変形することが出来ます。
⑥モディファイヤー
Blenderにはオブジェクトに追加できるモディファイヤーが多数用意されています。
モディファイヤーを追加することで、オブジェクトの形状を更に変形させたり、新しい構造を追加したりすることが出来ます。
モディファイヤーを追加方法は以下の通りです。
- オブジェクトを選択後、プロパティの「モディファイヤー」をクリックし、追加したいモディファイヤーを選択
- 追加したモディファイヤーはプロパティ画面に表示され、順番を変えることでオブジェクトに与える効果が変化する
主なモディファイヤーは以下になります。
モディファイヤー①ブーリアン
重なった複数のオブジェクトに対して、オブジェクトを1つにまとめたり、交差した部分のみをオブジェクトとして生成するなどの効果があります。
モディファイヤー②ミラー
オブジェクトの原点を基準点として左右対称なオブジェクトを自動的に生成します。左右対称なオブジェクトを作成する際に必須のモディファイヤーです。
モディファイヤー③ソリッド化
面の形状であるメッシュモデルから、厚みのついたソリッドモデルを生成します。3Dプリンター用のデータをモデリングする際はソリッド化を行うことでエラーを回避することが出来ます。
Blenderでの3DCG作成入門
追加・編集したオブジェクトに見た目のエフェクトを与えることで3DCGとして完成します。3DCG完成までの一連の流れは以下のようになります。
ステップ①マテリアルの追加
作成したオブジェクトにマテリアルを追加することで、材料の質感を与えることができます。
- 3Dビューポートのヘッダーの「シェーディングの切り替え」→「マテリアルプレビュー」に切り替えるとオブジェクトを設定したマテリアルで表示できる。
- オブジェクトにマテリアルを追加するには、オブジェクトを選択後、プロパティ画面左の「マテリアル」アイコンをクリックし、「新規」から追加する。
ステップ②テクスチャの追加
マテリアルの追加のみではオブジェクトの質感・模様を表現できない場合は、画像ファイルをオブジェクトに貼り付ける「UVマッピング」も可能です。
オブジェクトを平面の形状にUV展開し、この平面にテクスチャ画像を貼り付けます。
ステップ③アニメーションの作成
作成したオブジェクトに動きの付いたアニメーションを作成したい場合は、ワークスペース切り替えタブを「アニメーションタブ」に変更します。
アニメーションタブでは画面下部にドープシートという時間軸のシートが表示され、ここに「キーフレーム」を追加することで、オブジェクトに動きを追加することが出来ます。
ステップ④レンダリング
オブジェクトのビジュアルの設定を編集後、画像や動画として書き出しする際にレンダリングが必要となります。
レンダリングを行う際にはライトの位置・種類・強さなどを設定するライティングの操作と、カメラの位置・レンズの種類・焦点距離などを設定する必要があります。
ヘッダーメニューの「レンダー」からレンダリングを実行することが出来ます。
Blenderの入門者向け解説のまとめ
今回はBlenderを使ったモデリング方法についての入門者向けの解説を行いました。今回開設したBlenderの機能はほんの一部であり、調べれば調べるだけ新しい情報が出てくるソフトウェアです。
Blenderソフトは無料で使用することができ、基礎セミナーも多数開催されています。Blenderは3DCGモデリングの入門者にピッタリのソフトウェアですので、この記事を読んでモデリングにご興味が湧いてきた方はぜひ気軽に試してみてください。