Blenderには、オブジェクトを切り抜きする際に便利な「ブーリアン」機能があります。この機能を使うことで、複雑な形状を簡単に作成できるだけでなく、モデルの細かな加工も効率的に行えます。
本記事では、Blenderのブーリアン機能の使い方を解説します。Blenderでオブジェクトを切り抜きたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
Blenderとは
引用:Blender
Blender(ブレンダー)は、オープンソースの3Dモデリングソフトですが、どのような特徴を持っているのでしょうか。Blenderは、主に以下の特徴を持っています。
- 無料で利用できるオープンソースの3Dモデリングソフト
- 幅広い用途に対応した多彩な機能
- 学習リソースが豊富で初心者にも安心
これらの特徴について確認していきましょう。
特徴①無料で利用できるオープンソースの3Dモデリングソフト
Blenderの最大の特徴は、完全無料で利用できるオープンソースソフトウェアであることです。
多くの3Dモデリングソフトでは、使用するのにライセンス費用が必要ですが、Blenderは無償で利用でき、かつ商用利用にも制限がありません。
そのため、個人からプロのクリエイターまで幅広いユーザーに活用されています。
コストを抑えながら、3Dモデリングを行いたい方や、とりあえず3DCGに挑戦してみたい方にとっては、魅力的なソフトといえるでしょう。
また、Blenderの基本的な操作方法について知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
3Dビューポートの移動や回転、オブジェクトの追加や削除などBlenderを使ううえで最低限覚えておきたい操作方法について解説しています。
特徴②幅広い用途に対応した多彩な機能
Blenderは、3Dモデリングだけでなく、アニメーションやシミュレーションなど、幅広い機能を搭載しています。
これにより、建築デザインやゲーム制作、アニメーション制作、さらには映画や広告制作にも活用可能です。
多機能であることから、Blenderはあらゆるクリエイティブプロジェクトに対応できるツールといえます。
また、Blenderでアニメーションを作成するなら、オブジェクトから粒子を放出できる機能であるパーティクルを使いこなすことが大切です。
以下の記事では、パーティクルの使い方について解説しています。アニメーション制作を行いたい方は、ぜひこちらのパーティクルの記事もあわせてご覧ください。
特徴③学習リソースが豊富で初心者にも安心
Blenderは世界中で利用されていることから、チュートリアル動画やオンライン教材など、豊富な学習リソースが存在します。
そのため、初心者でも独学でスキルを習得しやすい環境が整っています。
インターネット上には無料で学べる教材も多いため、コストをかけずに学習できる点も魅力です。
また、有料のオンラインコースやセミナーも数多く提供されており、自分のレベルや目的に合わせた学習方法を選べるのも特徴です。
これらのサポートにより、誰でも気軽に3D制作を始められるのがBlenderの強みといえるでしょう。
Blenderで切り抜きするのはどのような場面?
Blenderで切り抜き機能が活躍する場面は、複雑な形状を効率よく作成したいときです。特に、オブジェクトに穴を開けたい場面や、窪みをつけたい場面はよくあります。
頂点選択などで手動で形状を編集するのは手間がかかりますが、ブーリアンを使うことで、既存のオブジェクトを活用しながら短時間で目的の形状を作り出せます。
Blenderで切り抜きができるブーリアンとは
ブーリアンは、Blenderのモデリング機能の一つで、2つのオブジェクトを組み合わせて新しい形状を作り出したり、切り抜きをしたりできるツールです。
ブーリアンの差分機能を使えばオブジェクトの形で切り抜きができるので、特に穴の空いたモデルや窪みのあるモデルを作成する際には欠かせません。
また、交差機能を使えばオブジェクト同士の重なり部分だけを抽出できるので、アイデア次第で複雑な形も簡単に作り出せます。
Blenderで切り抜きをする方法
Blenderのブーリアン機能を使えば、簡単にオブジェクトを切り抜きして複雑な形状を作成できます。ここでは、立方体を円柱で切り抜く方法について見ていきましょう。
1.立方体と円柱を追加する
まず、切り抜きに必要なオブジェクトを用意しましょう。Blenderを起動したら、デフォルトの立方体やカメラ、ライトなどのオブジェクトは削除して、わかりやすいようにしておきます。
削除はオブジェクトをすべて選択した状態でキーボードのXを押し、「削除」を選択することで行えます。
不要なオブジェクトを削除できたら、新たに立方体を追加します。上部メニューの「追加」にある「メッシュ」から「立方体」を選択してください。
次に円柱を追加します。上部メニューの「追加」にある「メッシュ」から「円柱」を選択しましょう。
追加した円柱は、Gキーで立方体と重ならない位置に配置してください。
2.立方体にブーリアンを適用する
次に、ブーリアン機能を使って円柱で立方体を切り抜きます。その前に、RキーとYキーと90を入力して円柱の面が立方体に向くようにしましょう。
さらに、Sキーを使って、円柱を切り抜きするために最適な大きさに変更します。大きさを変更できたら、Gキーで立方体と重なる位置に円柱を配置してください。
続いて、立方体を選択し、右サイドバーから「スパナ」のアイコンをクリックして、「モディファイアー」を開きましょう。
次に、「モディファイアーを追加」ボタンをクリックし、「生成」の中から「ブーリアン」を選択します。
ブーリアンの設定項目が開いたら、モディファイアーの「オブジェクト」項目にあるスポイトアイコンをクリックしてください。
3Dビューポートで円柱をクリックすることで、円柱がブーリアンに適用されます。
また、Blenderのブーリアンには3つの種類があり、それぞれで異なる結果が得られます。
項目 | 説明 |
交差 | オブジェクトが交差された領域だけが表示される。 |
合成 | オブジェクト同士が合成される。 |
差分 | オブジェクトが切り抜きされる。 |
今回は「差分」を選択して、円柱で立方体を切り抜きしています。
3.円柱を非表示にする
ブーリアンを適用しただけでは、見た目に変化は起こりません。切り抜きをした後は円柱を非表示にして、完成形を確認しましょう。
右上のアウトライナーから、円柱の右側にある目のアイコンをクリックします。これで円柱が3Dビューポート上に表示されなくなり、円柱の形で切り抜きされた立方体が確認できます。
また、実際にブーリアンを使ったモデリングの方法を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
ブーリアンを含むBlenderのさまざまな機能を使いながら、鏡餅を作成する方法について解説しています。
一つの作品が作られる過程をチェックすることで、モデリングのイメージも掴みやすいでしょう。
Blenderで切り抜きができない原因
Blenderの切り抜きがうまくいかないことがケースでは、設定や操作に何らかの問題がある場合に起こることが多いでしょう。
Blenderで切り抜きができない場合は、以下の原因が考えられます。
- ブーリアンをかけるオブジェクトが逆になっている
- 面の向きが逆になっている
- オブジェクトが統合されている
これらの原因について見ていきましょう。
原因①ブーリアンをかけるオブジェクトが逆になっている
Blenderでブーリアンがうまく動作しない原因の一つとして、切り抜きの対象とするオブジェクトが逆になっているケースが挙げられます。
この対象が逆になると、想定した結果は得られません。ブーリアンは切り抜きの対象に適用し、切り抜きたい形のオブジェクトを設定することで行えます。
正しいオブジェクトを選択できているか確認し、必要に応じて操作をやり直しましょう。
原因②面の向きが逆になっている
円柱の外側に見えている面が、裏返しになっていることで内側の面が外側にきているケースでは、ブーリアンがうまくかかりません。
面の向きは、3Dビューポート右上にある「ビューポートオーバーレイ」の「面の向き」にチェックを入れることで確認可能です。
ビューポートオーバーレイでは、表面が青で裏面が赤で表示されるので、赤になっていると面が反対向いているとわかります。
裏返しになっている面の向きは、編集モードの画面左上にある「メッシュ」の「ノーマル」から「反転」をクリックすることで元に戻せます。
原因③オブジェクトが統合されている
ブーリアンが適用できない理由として、オブジェクトが統合されているケースも考えられます。統合されたオブジェクトは、一つのデータとして扱われるため、ブーリアンの対象として正しく認識されません。
統合されたオブジェクトは、「編集モード」から分離しましょう。分離させたいオブジェクトの上でLキーを押すと、つながったメッシュを選択できます。
Pキーの「分離」から「選択」をクリックすると統合されたオブジェクトが分離され、ブーリアンが正確に作用するようになります。
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Blenderの切り抜きのまとめ
今回は、Blenderで切り抜きをする方法について解説しました。切り抜きは、モディファイアーのブーリアン機能を使うことで行えます。
また、ブーリアンが正しく機能しないケースでの原因として、面の向きやオブジェクトの設定ミスが挙げられます。
Blenderのブーリアンを使いこなすことで、効率的にモデリングを進められるので、ぜひ今回紹介した方法やトラブルシューティングを参考にしてください。
