facebook

【2025】アシストスーツとは?その種類やメリット・使える補助金も網羅

近年、高齢化が進み、人手不足が深刻化している中、作業現場の負担軽減は避けて通れない課題となっています。そんな中、静かに注目を集めているのがアシストスーツです。

アシストスーツは、身体の一部のように人の動きをサポートし、作業の負担を軽くしてくれる最新技術です。今回は、アシストスーツの種類やメリット、導入時に使える補助金までを網羅的にご紹介します。

アシストスーツとは

アシストスーツとは、作業時の体への負担をやわらげるために身に着けるサポート機器のことです。特に、腰・肩・膝など負荷がかかりやすい部位を支えることで、姿勢を保ちやすくし、無理のない動作を助けてくれます。

着るロボットと呼ばれることもあり、介護や物流、製造、農業といった現場で活躍中で、人手不足や作業効率向上の頼みの綱として注目されています。

アシストスーツの基本的な仕組み

アシストスーツは、ユーザーの動作を補うことを目的とした装置。身体の一部に装着し、関節や筋肉への負担を軽減するための構造です。

機種によって異なりますが、基本的な考え方は力の分散と動作サポートがポイントです。特に、腰や膝など負担が集中しやすい部位に着目し、バネやモーター、エアバッグなどを使い負荷を和らげる仕組みです。

ユーザーの動きに応じたサポートが入るため、制限されない自然な動きができるのも特徴です。アシストスーツは支えるというより、寄り添うような感覚に近いかもしれません。

アシストスーツの主な種類

アシストスーツにはさまざまなタイプがありますが、大きく分けると電動型と非電動型に分類されます。それぞれに得意分野や使用環境があるので、目的によって選ぶべきタイプは異なります。

以下で、主なアシストスーツの特徴と違いを見ていきましょう。

電動型アシストスーツ 非電動型アシストスーツ
原理 モーターやバッテリーなど スプリングや空気圧など
サポート力
活用シーン 重労働 軽作業
電源 必要 不要
コスト 高価 安価

電動型アシストスーツ

電動型アシストスーツは、バッテリーやモーターを搭載し、自動的に力を加え身体の動きをサポートするタイプです。重い荷物を持ち上げるときや中腰で作業するときに、センサーが動きを感知し動きをサポートしてくれます。

機械的なサポートが入ることでユーザーの疲労を大きく軽減できますが、バッテリーの充電や重量、導入コストがかさむことも。

とはいえ、高性能なアシストスーツは高精度な動作サポートや長時間の使用も可能なため、今後も期待されている技術です。

非電動型アシストスーツ

非電動型アシストスーツは電力を使わず、スプリングやゴム、空気圧などの物理的な仕組みで身体をサポートするタイプです。構造がシンプルな分、軽量かつメンテナンスも少ないのが大きな魅力。

特に、農業や介護、軽作業など、柔軟な動きが求められる現場で重宝されています。電動型と比べ、コスト的にも導入しやすく、電源が要らないので場所を選びません。

ただし、電動型ほどのパワーはないため、用途に応じて選ぶことが大切です。

アシストスーツ導入で得られるメリット

アシストスーツ導入で得られるメリット

アシストスーツは、作業が楽になるだけの道具ではありません。導入することで、さまざまなメリットを得ることができます。

以下で、その具体的なメリットを掘り下げていきます。

身体への負担が軽減される

長時間の立ち仕事や重い荷物の上げ下げなど、現場での作業は知らず知らずのうちに腰や関節に負担がかかります。アシストスーツは、そんな身体へのダメージを軽減するための筋肉のような存在。

特に、腰を中心にサポートするアシストスーツは、重さを分散してくれるため、ぎっくり腰や慢性的な腰痛の予防に効果があるとされています。また、無理な動作を制限するアシストスーツもあり、事故や怪我のリスクを減らす役割も。

結果的に、休職や離職防止にも繋がるため、人材確保の手段としても注目されています。

人材不足問題を解消する方法については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

【2025】人材不足を解消する10の方法!現状・原因と企業への影響まで解説

作業効率が向上する

人手不足の中、限られた人員で多くの仕事をこなすのは、企業にとって重要な課題です。しかし、アシストスーツは作業者の体力的な限界を軽減することで、より長く安定したパフォーマンスを引き出しやすくなります。

人員が十分でなくても、人それぞれの生産性を高めることができるため、人手不足解消に繋がる一つの解決策として期待されています。

また、個人の体力差に関係なく同じレベルの作業が可能になり、業務の属人化を防ぐことも可能です。

気持ちにゆとりが生まれる

アシストスーツの導入は、現場の負担軽減だけではなく、従業員に自分の負担や働きやすさを会社が考えてくれていると感じさせる効果も。この配慮されている感覚が、モチベーションの向上に繋がったりするのです。

結果として、仕事への意欲が高まり、離職率の低下も期待できます。また、体力に自信がない人でも作業しやすくなるため、さまざまな人材の活用にも役立っています。

特に、介護や農業など、きついとされている現場では、こうした心理的なアプローチは、働き方そのものを変える可能性があります。

企業イメージが向上する

アシストスーツを導入すると、業務効率向上はもちろん、従業員の健康や安全にも配慮していると見なされやすいです。このような企業は、社会的にも評価されやすく、ブランディングの向上も期待できます。

アシストスーツの活用が世間に注目されることで、この企業は従業員を大切にしているという印象が広まり、差別化にも繋がるでしょう。

アシストスーツ導入における注意点

アシストスーツ導入における注意点

アシストスーツを導入しただけでは、期待していた効果が得られないことも。以下で、導入前に知っておきたい注意点を見てみましょう。

導入コストがかかる

アシストスーツの最大のハードルは、初期にかかるコストでしょう。機種や機能によって価格は異なりますが、電動型なら1台数十万円を超えることも。比較的安価とはいえ、非電動型でもそれなりのコストが必要です。

さらに、何人かで使用する場合は台数分の予算も必要となり、メンテナンスやバッテリー交換などの運用コストも考慮する必要があります。

しかし、長期的には労災リスクの軽減や人材定着などのメリットもあります。さらに、アシストスーツの導入を検討する際には、後述する補助金や助成金の活用を視野に入れると、現実的な選択肢になることもあります。

慣れるまでに時間がかかる

アシストスーツを装着すれば、すぐに作業が楽になると思いがちですが、実際は少し慣れが必要です。初めて着用するときは、思っていたよりも動きがぎこちなかったり、圧迫感を感じたりすることもあるでしょう。

特に、電動型の場合は、センサーの動きに慣れるまでに時間がかかることも。また、着脱の手順や扱い方に慣れるまで、多少の訓練も必要です。

ただし、一度慣れればスムーズに使えるようになるケースがほとんどです。導入時には研修期間や、段階的な運用が欠かせないので、現場の理解と協力を得ながら、徐々に定着させていくことが成功のカギです。

作業内容との相性がある

アシストスーツは、どんな作業にも対応できるわけではありません。例えば、狭い場所での作業や、繊細な手作業が求められる業務では、アシストスーツが動きの妨げになることも。

また、常に同じ姿勢や動作を繰り返す作業には適していますが、頻繁に姿勢が変わるような作業には合わないケースもあります。

重要なのは、実際の作業内容を把握し、アシストシーツがその現場に適しているのかを見極めることです。各々の現場でテストを行い、現場の声を反映させることが、導入の成功に繋がります。

耐久性を確認する

アシストスーツは日常的に使う技術だからこそ、耐久性は重要なポイントです。特に、屋外や湿気が多い場所や、粉塵の多い環境では劣化が早く進む可能性があります。

電動型なら、バッテリーの劣化や故障リスクも考慮しましょう。また、メンテナンスが不十分だと、せっかくのサポート機能が正常に働かず、逆に作業効率を下げてしまうことも。

また、メーカーによっては定期点検や管理体制が整っていないケースもあるため、導入前には必ずサポート内容を確認することをおすすめします。

失敗しないアシストスーツの選び方

現場にしっかり合うアシストスーツを選ぶためには、以下のようなポイントを確認することをおすすめします。

  • 目的と作業内容を明確にする
  • 作業負荷から考える
  • 長時間の装着を考慮する
  • 作業環境に適したアシストスーツを選ぶ
  • 装着のしやすさで選ぶ
  • サポート体制の充実度で選ぶ

以下で、それぞれの項目を詳しく解説します。

目的と作業内容を明確にする

まず明確にしておくべきなのが、使う目的と現場での具体的な作業内容です。

アシストスーツでも、重い荷物を持ち上げることに適したアシストスーツや、長時間の立ち作業をサポートすることに適したアシストスーツなどがあり、求められる機能が異なります。

例えば、物流現場での荷物の持ち上げには、身体の負担を軽減できる電動型が有効ですが、農作業のようにしゃがんだり、立ったりする動作を繰り返す時は、軽量な非電動型が適している傾向にあります。

現場での動作を観察しながら、どの部位にどんな負荷がかかっているのかを把握してから選ぶことが成功に繋がります。

作業負荷から考える

持ち上げ作業が多い現場では、荷物の重さや1日の作業回数も選定のカギになります。例えば、10kg前後の荷物を一日中上げ下げするような作業なら、強力なサポート力を持つ電動型がピッタリ。

一方、軽量物が多い場合や、持ち運びの回数が限られているのであれば、非電動型で十分でしょう。高性能すぎる機種を選ぶと、かえって重さや動作の制限がストレスになる可能性もあるので注意して下さい。

長時間の装着を考慮する

アシストスーツを8時間以上装着するときは、軽さや通気性、違和感の少なさがとても重要です。特に夏場は、熱がこもりにくいかどうかもチェックすべきポイントです。

また、毎日の着脱が面倒だと、使用が億劫に感じてしまうこともあるため、装着のしやすさも大切です。長時間でも着けていることを忘れるくらい、自然な装着感を重視しましょう。

作業環境に適したアシストスーツを選ぶ

どんなに性能が優れていても、使用する環境に合っていないアシストスーツでは、その能力が十分発揮されません。

例えば、湿気が多い場所や屋外作業では、防水性や防塵性のあるアシストスーツが最適。逆に、室内作業では静音性や通気性、動きやすさが重要となるでしょう。

また、狭い場所や入り組んだ場所では、可動域の広さやスマートさも大切です。現場環境から選ぶポイントを決めることで、その能力が発揮されるでしょう。

装着のしやすさで選ぶ

アシストスーツは毎日使うものだからこそ、着やすさは重視すべきです。特に、作業前後に時間をかけずに脱ぎ着できるかどうかは、運用のしやすさに関わります。

また、身体に合わないアシストスーツは動きづらくなるだけでなく、サポート機能が十分に発揮されないことも。身体自体や動きに合うかどうか、圧迫感を感じる部分はないかなど、細かいフィット感にも注目しましょう。

最近では、性別や体格に合わせた設計やユニセックス仕様、サイズ展開が豊富なアシストスーツも登場しています。実際に試着して動きやすいと感じられるかどうかが、ストレスなく日常のサポートとして活用できる基準です。

サポート体制の充実度で選ぶ

アシストスーツ導入後のサポート体制がしっかりしているかどうかは、重要なポイントです。例えば、以下のようなサポート内容を確認をしておくと安心です。

  • 使い方のレクチャーや指導
  • トラブル時の修理交換対応のスピーディーさ
  • 定期的な点検やメンテナンスサービス

特に、電動型の場合、故障時のダウンタイムが作業に与える影響が大きいため、特に重視すべきです。また、担当者が現場に理解があるかどうかも、運用する上での重要ポイントでしょう。

アシストスーツのおすすめをご紹介

現在はさまざまなメーカーがあり、用途に応じて最適なアシストスーツを選びやすくなっています。以下で、おすすめのアシストスーツをいくつかご紹介します。

HAL®

サイバーダイン社のHALは電動型のアシストスーツで、国内外から高い評価を受けています。ユーザーの生体電位信号をセンサーで検知し、それに応じて動作をサポートするのがポイント。

動きたいという意思に反応するため、自然なサポートが得られます。装着指導やアフターサポート体制も整っており、導入後も安心です。

マッスルスーツ®

イノフィスが提供するマッスルスーツ®は電源を使わず、圧縮空気式のポンプを使うアシストスーツ。人工筋肉で腰や腕をサポートします。

介護や物流、農業などの現場で活躍しており、神楽坂に無料体験できるショールームもオープンしています。

Laevo(レイボ)

オランダ発のレイボは非電動型のため、軽量で装着もスムーズ。特に、前かがみでの作業に強く、身体への負担を効果的に分散してくれるアシストスーツです。

医療や、介護現場はもちろん、製造などさまざまな業種で導入されており、日本国内でも体験会や貸出プログラムが展開されています。

アシストスーツ導入に使える補助金や助成金

アシストスーツ導入に使える補助金や助成金

アシストスーツが魅力的でも、気になるのはやはり導入コストでしょう。しかし、先述したように、国や自治体が提供している補助金や助成金を活用すれば、アシストスーツを導入する負担を大幅に軽減することが可能です。

最後に、アシストスーツ導入に使える補助金や助成金をご紹介します。

補助金と助成金の違いについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

【2025】DXの最新補助金・助成金11選を一覧表で徹底解説!東京都・経済産業省の中小企業5大補助金も紹介

中小企業省力化投資補助金

中小企業省力化投資補助金は、人手不足や、省力化、効率化のための設備投資をサポートする制度。アシストスーツは対象機器の一つとなっており、一定の条件を満たせば補助を受けることができます。

対象企業 中小企業や小規模事業者
条件 導入予定の機器が業務の省人化や省力化に貢献すること
補助率 1/2
補助上限額 200万〜1,000万円

なお、この補助金には従業員の給与を一定割合以上引き上げると、補助率が2分の1から3分の2へ引き上げられる大幅賃上げ特例が設けられています。

そのため、アシストスーツ導入のタイミングで従業員の処遇改善も予定していれば、一石二鳥の制度でしょう。

参照:中小企業省力化投資補助金

エイジフレンドリー補助金

エイジフレンドリー補助金は、高齢者が安心して働ける職場環境を整えることを目的とした制度です。60歳以上の労働者が働く中小企業に、職場環境改善のための設備導入としてのサポートを受けられます。

アシストスーツは特に、介護や清掃、運搬作業など、身体に負担がかかる業務での導入が推奨されています。

対象企業 60歳以上の労働者が働く中小企業
条件 職場環境改善のための設備導入
補助率 1/2
補助上限額 100万円

安全対策と働きやすさを目指す企業にとっては、見逃せない制度でしょう。

参照:エイジフレンドリー補助金|厚生労働省

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は、労働時間の短縮や業務効率化、生産性向上を図る中小企業をサポートする制度です。

さまざまな取り組みがある中で、「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」に、アシストスーツのような作業サポート機器の導入が対象に含まれることがあります。

対象企業 小規模事業
条件 労働時間の短縮や、労働条件の改善計画が明確なこと
補助率 最大3/4
補助上限額 最大250万円

制度の内容が定期的に見直されることもあるため、導入前に最新情報を確認し、必要に応じて専門家などに相談すると安心です。

参照:働き方改革推進支援助成金|厚生労働省

その他の補助金

国の補助金に加えて、都道府県や市区町村、団体が独自に展開しているサポート制度も存在します。また、農業協同組合や介護保険関連団体が独自にサポート枠を設けていることも。

各制度は地域により条件や内容が大きく異なるため、まずは自治体や業界団体の公式サイトや、商工会議所などの窓口で最新情報を確認することが大切です。

もし、アシストスーツ導入の可能性があるなら、早めの情報収集をおすすめします。

アシストスーツを味方につけて、働き方をアップデート

今回は、アシストスーツの種類やメリット、導入時に使える補助金までをご紹介しました。従来は重い荷物を持ち上げたり、負担となる姿勢で長時間作業したりするのは、仕方がないことだったかもしれません。

でも今はアシストスーツを着けることで、仕事のやり方そのものを見直すきっかけが生まれています。もちろん、アシストスーツの導入にはコストや相性、慣れなどの課題もあります。

でも、それらをクリアすることで従来は避けられがちだった仕事にも、新しい風が吹き込むはずです。

キャド研では、御社の業務内容を詳しくヒアリングし、最適なCADのご提案から、3DCAD導入に必要なスキルの教育、実際の導入まで、一連のサポートをいたします。

数多くの現場経験を持つコンサルタントが、他社事例や御社の状況を踏まえ、無料でご相談に応じます。お電話やメール、ご訪問など、お気軽にご連絡ください。

アシストスーツとは?その種類やメリット・使える補助金も網羅
最新情報をチェックしよう!