ZBrushとBlenderは、3DCG制作において広く利用されているソフトです。どちらも定番のソフトですが、得意分野や機能、料金体系はそれぞれ異なります。
そのため、建築やフィギュア作成など、用途によって使い分けることが大切です。
本記事では、ZBrushとBlenderの違いや使い分け方について解説します。これから3DCGを始めるにあたって、どちらのソフトを導入すべきか迷っている方はぜひ参考にしてください。
ZBrushとBlenderの違い
ZBrushは、Pixologic社が開発したスカルプティングに特化した3Dモデリングツールです。一方でBlenderは、非営利団体であるBlender財団が開発した3DCGソフトです。
それぞれのソフトの大きな違いを表にまとめてみました。
| ZBrush | Blender | |
| モデリング方法 | 粘土をこねるようにモデルを形成していく | オブジェクトを組み合わせたり、頂点や辺を編集したりしてモデルを形成していく |
| 専門性 | スカルプトモデリングに特化 | オールインワンツール |
| 価格(税込み)※ |
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※2025年10月時点
また、ZBrushとBlenderの細かな特徴の違いについては、以下の見出しで確認しましょう。
ZBrushの特徴

引用:ZBrush
ZBrushには以下のような特徴があります。
- 直感的に操作できる
- 高度なブラシエンジンを搭載している
- マテリアルが豊富に揃っている
これらのZBrushの特徴について詳しく見ていきましょう。
①直感的に操作できる
ZBrushは、粘土をこねるような感覚でモデリングできるのが最大の特徴です。3Dモデルリングの経験がない初心者でも、立体的なモデルを直感的に作成できます。
これにより、自由度の高いデザインを作れるのが魅力です。
②高度なブラシエンジンを搭載している
ZBrushには高度なブラシエンジンが搭載されており、ストロークの調整やカスタマイズによって繊細な表現が可能です。
リアルな絵筆を使ったような自然なタッチを再現できます。
また、標準で多数のブラシが用意されているため、目的に応じて使い分けられるのも特徴です。
③マテリアルが豊富に揃っている
ZBrushには、デフォルトで多彩なマテリアルが揃っています。さらに、プロパティも細かく調整できるため、作品に合わせて質感を自由にコントロール可能です。
加えて、ワンクリックで簡単に適用できる点も魅力です。
また、ZBrushのより詳しい特徴については、以下の記事で解説しています。ZBrushのメリットや注意点、学習方法などを知りたい方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
Blenderの特徴

引用:Blender
Blenderには以下のような特徴があります。
- 完全無料で使える
- 3DCGに必要な機能が網羅されている
- 学習リソースが豊富にある
これらのBlenderの特徴について詳しく見ていきましょう。
①完全無料で使える
Blenderは、オープンソースとして開発されたフリーソフトです。そのため、ライセンス契約を行う必要はありません。
多くの有料ソフトでは、サブスクリプション契約や高額な購入費用が発生するため、完全無料で使えるのは大きな特徴です。
また、機能面においても有料の3DCGソフトに劣らず、高品質な作品制作ができます。
②3DCGに必要な機能が網羅されている
3DCG制作では、工程ごとに異なるソフトを使い分けるケースも珍しくありません。
しかし、Blenderではモデリングやリギング、アニメーション、レンダリングなど、3DCG制作に必要な機能がすべて揃っています。
そのため、ほかのソフトを併用しなくてもBlender一本で制作を完結できるのが大きな強みです。
③学習リソースが豊富にある
Blenderは世界中で使用されているソフトであるため、学習リソースが豊富にあるのが特徴です。
書籍や講座に加え、インターネット上には無料で学べるチュートリアル記事や動画が多数公開されています。
そのため、ほかの3DCGソフトと比較して初心者でもスキルの習得をしやすく、初めに触れるツールとして最適です。
また、Blenderを効率的に学ぶなら、講座の利用がおすすめです。Blender基礎セミナーでは、Blenderの基礎知識から操作方法までを短期間で学習できます。学習リソースが豊富にあり、なにから初めてよいのか迷っている方は、ぜひ当セミナーをチェックしてみてください。
ZBrushとBlenderの使い分け方は?
ZBrushはデジタルスカルプトに特化したソフトで、細部の彫刻表現に優れています。そのため、キャラクターデザインやフィギュア制作など、造形の精密さを追求したい場合におすすめです。
一方で、Blenderはモデリングやアニメーション、レンダリングなど、幅広い機能を備えたオールインワンのツールです。汎用性が高く、1つのソフトでさまざまな工程を完結できるため、総合的に3DCGを学びたい人や幅広い用途で使いたい方に適しています。
また、ZBrushはサブスクリプション形式で費用がかかるのに対し、Blenderは無料で利用できます。そのため、コストを抑えつつ3DCG制作を始めたい方は、まずBlenderを試してみるのが良い選択肢といえるでしょう。
建築で使うならどっちがおすすめ?
建築モデリングで使用するのであれば、Blenderの方がおすすめです。Blenderでは、3Dモデリングだけでなく、高度なレンダリング機能も備えています。
そのため、リアルな質感で完成イメージを共有できます。ZBrushは造形力に優れていますが、建築のような空間表現をしたい場合はBlenderの方が最適です。
また、以下の記事では、Blenderを使って建築パーツを作成する方法について解説しています。手順を画像付きで紹介しているので、どのような流れで建築モデリングをするのか知りたい方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。
ZBrushとBlenderの基本的な使い方
ZBrushとBlenderの基本的な使い方について見ていきます。使い方にどのような違いがあるのか確認してみてください。
ZBrushの使い方
ZBrushの基本的な使い方として、球体プロジェクトの選択とブラシを使ったスカルプトについて見ていきましょう。
球体プロジェクトの選択
スカルプトモデリングをするための土台となる素材を選択します。画面左にある「ライトボックス」をクリックで開きましょう。
ライトボックスは、ZBrush内のデータにアクセスできるツールです。「球体」をダブルクリックして選択することで、球体の形からモデリングを始めることができます。

ほかにもさまざまな形状のデータが格納されているので、作りたいモデルに合わせて選択しましょう。
ブラシを使ったスカルプト
ZBrushでは、ブラシを使ってスカルプトをしていきます。画面左上にあるブラシのアイコンから好きなブラシを選択できます。
ブラシは、左クリックやドラッグで盛るようにモデリング可能です。

一方で、Altキーを押しながらドラッグでへこんだような形状になります。また、Shiftキーを押しながらドラッグでメッシュの表面をならせるので、こちらも覚えておきましょう。
ダイナメッシュの適用
ダイナメッシュは、メッシュの再計算ができる機能です。モデルの変形によってメッシュが伸びてしまっても、ダイナメッシュによってポリゴン密度を均等にできます。
右側にあるメニュの「ジオメトリー」にある「ダイナメッシュ」から「ダイナメッシュ」をオンにしましょう。

続いて、スカルプトをした後に3Dモデルがない箇所をCtrlキーを押しながらドラッグすれば、ポリゴンが再計算されます。
特定の部位にマスクをかける
ZBrushのマスクは、特定の部位を変形できなくするためのマスキング機能です。方法は簡単で、Ctrlキーを押しながら対象の箇所をドラッグするのみです。

かけたマスクはCtrl+Altキーを押しながらドラッグすることで削除できます。
Blenderの使い方
Blenderの基本的な使い方として、オブジェクトの追加と編集の方法について見ていきましょう。
オブジェクトの追加
オブジェクトの追加は、画面上部にある「追加」の「メッシュ」もしくは、Shiftキー+Aキーの「メッシュ」から行えます。

平面や立方体、UV球などから好きな形状を選択しましょう。
Blenderでは追加したオブジェクトを組み合わせながら、モデルを作成していきます。また、不要なオブジェクトはDeleteキーもしくは、Xキーの「削除」から削除可能です。
オブジェクトの編集
オブジェクトは位置を移動したり回転をかけたりして、自由に編集ができます。オブジェクトの編集は、オブジェクトモードにあるツールバーから、使いたいツールを選択してドラッグすることで行えます。

また、以下のショートカットキーを使うことで、オブジェクトの編集作業をより作業効率的に行えます。
| 編集 | ショートカットキー |
| 移動 | G |
| 回転 | R |
| 拡大・縮小 | S |
これらのショートカットキーを使いこなせるようになると作業効率が格段にアップするので、優先的に覚えておきましょう。
ループカットの挿入
作成したモデルをより細かく編集したい場合は、ループカットを挿入しましょう。ループカットはオブジェクトに頂点を追加できる機能です。
対象のオブジェクトを選択した状態で、Ctrl+Rキーを押すことで、黄色いの線画表示されます。マウスカーソルを移動させるとカットの位置、中ボタンをホイールするとカット数を変更できます。

位置と数を調整したらクリックで確定しましょう。
モデルの分離
作成しているモデルの一部分を分離させて編集したい場合は、分割機能を使います。
編集機能で分割したい場所を選択し、上部メニューにある「メッシュ」の「分割」から「選択」をクリックしましょう。
続いて、移動ツールでオブジェクトの位置を移動させると、モデルが分割されていることがわかります。

ZBrushとBlenderの学習方法
ZBrushとBlenderのスキルを身につけるには、自分に合った学習方法を見つけることが大切です。
特におすすめの方法は以下の3つです。
- 本で学ぶ
- インターネットで学ぶ
- 講座で学ぶ
これらの学習方法について詳しく見ていきましょう。
①本で学ぶ
手軽な方法としておすすめなのが、本を使った学習です。ZBrushやBlenderには、レベル別にさまざまな書籍が出版されています。
特に、Blenderは日本でもシェア率が高いため、多くの選択肢があるでしょう。本なら動画や記事で断片的に検索する場合と違い、体系的に操作方法や応用スキルを学べるのが特徴です。
そのため、基礎から順を追って学習したい方に最適です。特に、計画的に学習できる方にとってはコスパの良い選択肢となるでしょう。
②インターネットで学ぶ
インターネットには、ZBrushとBlenderのチュートリアル記事や動画が数多く公開されています。これらを活用することで、一切コストをかけずに学習が可能です。
ただし、インターネットでは断片的な情報になりやすく、体系的に学ぶのは不向きです。そのため、特定のスキルやテクニックをピンポイントで学びたいときに活用するとよいでしょう。
また、以下はBlenderの使い方を解説したチュートリアル記事です。BlenderのおすすめYouTube動画まで紹介しているので、インターネットで学習を進めたい方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。
③講座で学ぶ
効率的にZBrushやBlenderのスキルを身につけたいなら、講座を利用してプロから教わるのがおすすめです。講座なら用意されたカリキュラムに沿って学習が進むため、基礎から応用までを段階的に学べます。
また、わからない箇所を質問できる環境も講座ならではの強みです。疑問を一つずつ解消することで、独学でつまずいた経験のある方でも確実にレベルアップできるでしょう。
Blenderが学べるおすすめの講座としてBlender基礎セミナーがあります。Blender基礎セミナーではプロからBlenderの使い方を学べるため、効率的にスキルアップできます。無駄なく学習を進めたいという方は、ぜひ以下のリンクから詳細をチェックしてみてください。
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ZBrushとBlenderについてのまとめ
今回は、ZBrushとBlenderについて解説しました。ZBrushとBlenderは、どちらも3DCG制作に使われるソフトですが、特徴や強みは大きく異なります。
ZBrushはスカルプトに特化しており、緻密な造形表現を追求したい場合におすすめです。一方でBlenderは幅広い機能を備えたオールインワンツールで、無料で利用できる点も大きな魅力です。
用途や予算に合わせて使用するソフトを決めるとよいでしょう。