営業研修とは、ビジネスマナーや営業力を身につけることができる研修のことです。営業研修のカリキュラムにはさまざまな種類があります。そこで今回は、どのような内容の営業研修があるかの紹介しながら、実践に活かすためのポイントを解説します。
「新人営業スタッフが多く、スキル不足を感じている」「成績が伸び悩んでいるから、個人の課題ごとに営業研修に参加させたい」このようなお悩みを持っている企業や営業スタッフに向けてぜひ読んでもらいたい内容です。最後まで読んで、営業のスキルアップに活かしてみてください。
営業研修とは
営業研修とは、営業活動におけるさまざまなシーンでのふるまいや必要なスキルを学ぶことができるものです。ビジネスマナーや基礎知識を学ぶものから、商談スキルをアップさせるものまで内容はさまざまです。
今回は、営業研修の詳しい内容についても後述します。
営業研修のターゲット
営業研修は、新人の営業からベテランの管理職まで、ターゲットや業務内容によって幅広く用意されています。
新人であれば、基礎的なビジネスマナーを学んだり、3年目くらいの中堅層であれば営業テクニックを磨く研修を受けたりと、それぞれの年次が抱えやすい悩みや課題に沿って豊富なテーマがあります。
どのような課題を抱えているか把握し、適切な研修を探すと良いでしょう。
営業研修の目的
営業研修は、目的を持って受講しなければ意味がありません。一般的な目的や目標を4つ解説するので、あらかじめ把握しておきましょう。
- モチベーションの向上
- 目標の策定
- 営業のスキルアップ
- 関係性構築
モチベーションの向上
1つ目の目的は、モチベーションアップのためです。
モチベーションに左右されるのは良くありませんが、モチベーションの高い状態を維持することは良いパフォーマンスの発揮につながります。自分で自分のモチベーションを保てない場合、営業研修で刺激を受けることは効果的です。
講師が教えてくれる新しい知識やテクニックがマンネリを防止させ、「頑張ろう」という前向きな気持ちにしてくれるでしょう。
また、対面で参加型の営業研修であれば他社の社員と交流することもあります。自分と同じくらいの年次で高い視座を持っている人や異なる観点を持っている人と会話することで、良い影響を受けやすくなります。
目標の策定
2つ目の目的は、目標を策定することです。
3年目以降の営業マンが、「ここまで頑張ってきたけど、何を目標にこれからも仕事をしたら良いのだろう」「経験を積んできたことでなんとなく将来も予測できるようになり、やりがいを持てなくなった」といった悩みを持つケースは珍しくありません。目標もなく、なんとなく仕事をしてしまうと成果を出しにくくなり覇気がなくなってしまいます。
たとえば、「これまで営業として数字を追いかけてきたけれど、自分のノウハウを共有するためにも新人の育成にチャレンジしたい」といった新しい目標は、日々の業務の中では作りにくいものです。研修を受けることで新しく視野が広がり、目標の策定がしやすくなります。
営業のスキルアップ
3つ目の目的は、営業力を高めることです。
営業力は、経験とともに自然と高まっていけば良いのですが、経験を上手く踏めないまま年次が経過してしまうと、求められる営業スキルに到達しない可能性があります。
顧客に対して常に高いパフォーマンスを発揮するためには、研修やセミナーなどで学ぶ必要があります。営業セミナーなどを受講することで、新しいテクニックなどを身につけることが可能です。
関係性構築
4つ目の目的は、顧客との関係性を構築するにあたって必要なスキルを身につけることです。
顧客から信頼を獲得するためには、表面的な会話をしているだけでは足りません。顧客の課題を想定してヒアリングし、同業他社と比較して強みを発見する顧客理解や、仮説立てが重要となります。
また、顧客の心理状態を把握するために心理学と営業を組み合わせた講座もあります。関係性を構築するためにどういった考え方をすれば良いのか、あらゆる観点から営業研修を通して学ぶことができます。
営業研修の内容・カリキュラムの例
続いては、営業研修のコンテンツについて、具体的にどういったものがあるのか解説します。自分の伸ばしたいことや苦手なことについて受講していくと良いでしょう。
営業知識講座
まずは、営業としての知識を学ぶ講座です。営業の仕組みや電話のかけ方、メールの書き方、名刺交換の仕方など基礎的な知識をつけることができます。
営業としてどういったマインドで仕事に取り組めば良いか、姿勢について教えてくれる講座もあります。
新人に向けて開催されていることが多く、入社して間もない社員が受けるケースが多いです。顧客の好印象を獲得するために、営業をまったく経験していない中途社員や新卒社員が受講すると良いでしょう。
ヒアリング研修
ヒアリングの仕方や確認するポイントを学ぶのがヒアリング研修です。ヒアリングとは、ただ相手の言われたとおりに話を聞くことではなく、目的を持って行うことが重要です。
<ヒアリングの目的>
- 顧客の課題を把握する
- 決裁者、担当者の悩みや業務内容を把握する
- 顧客が目指すゴールを把握する
- 自社の商材との相性を確認する
- 顧客の商材に対する知識レベルを把握する
言われるがままの「御用聞き」の営業では、本来の意味で顧客に寄り添う営業にはなりません。パートナーのように信頼され、依頼や相談を増やすためには深掘りを重ねたヒアリングが重要視されます。
どうやってヒアリングを行えば良いか、営業研修で身につけることができます。
プレゼンテーション研修
営業に必要なスキルの一つに、提案の際に重要なプレゼンテーション力があります。プレゼンテーションのテクニックを集中的に学べる研修が、プレゼンテーション研修です。
商談では、顧客との会話をもとに、相手に納得してもらえるような伝え方を意識する必要があります。
論理的に話を組み立てるコツや、身振り手振りを含めた話し方を身につけることで、同じ内容を伝えるにしても、説得力が増します。また、価格を伝えるタイミングを習うことができたり、顧客へこちらから要望を切り出す交渉術なども学べたりします。
提案力や交渉力に悩んでいる営業は、この研修を通してテクニックを身につけることができます。
グループワーク研修
グループワーク研修とは、複数の参加者と協力して課題を解いたり、アイディアを出し合ったりしながら参加する研修です。参加することで、受け身にならず能動的に知識を習得することができます。
多くの場合、テーマとなる議題について複数名のグループで意見を交わします。そのため、一人で考えていても気がつかないことや新しい発見につながります。
他の参加者から刺激を受けることで、モチベーションアップにもつながる参加型の営業研修です。
ロールプレイング研修
ロールプレイングとは、実際の営業シーンを想定して演技をしながら商談の練習をすることを指します。
ロールプレイング研修では、担当役と営業役を参加者が実践することでスキルを身につけていきます。インプットがメインの座学とは異なり、実践に近いため緊張感を持ちながら参加することが可能です。
繰り返し練習することにより、短時間で営業力を伸ばすことができ、頭で理解するだけではなく身体で覚えることができるようになります。
ロープレをしてみると、客観的なアドバイスを受けることができるため自身の課題も見つけやすくなります。たとえば、「焦りからダラダラと長く話している」「尋問のようにヒアリングをしている」「商品紹介がわかりにくい」など、具体的な指摘をもらえるでしょう。
参加することで、これまで見えなかった課題が見え、営業力アップにつながる可能性があります。
マネジメント研修
マネジメント研修とは、マネージャーや管理職のメンバーに向けて開催される、組織マネジメントのノウハウ研修です。マネジメントこそ社内で教わる機会が少ないため、より専門的な知識やノウハウを必要とします。
プレイヤーでいるときとマネジメントをするときでは、視座が高くなるためプレイヤーのときと同じようにふるまっていては、部下の信頼を獲得することはできません。相手の立場に立ってものごとを考えつつ、「組織の売り上げ」「会社の売り上げ」「事業の成功」など会社から要求される目標をクリアすることが求められます。
重要なのは、自分に向いているマネジメント方法を見つけて実践することです。自ら最前に立ってメンバーを引っ張っていくマネジメントが向いている人がいれば、後ろからそっと背中を押してあげるタイプのマネジメントが向いている方もいます。
正解はありませんが、自分に合っていないマネジメントを続けると、成果が出ないうえにストレスが溜まりやすくなってしまいます。そのため、それぞれのマネジメント手法の適性をチェックしながら、強み・弱みを確認しましょう。
周りを巻き込みながら多様化の進む社会に適応できるようなマネジメントは、研修に参加することで深く学べるものです。
ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修では、営業だけではなく社会人として身につけておきたいビジネス上のマナーを学ぶことができます。オフィスカジュアルについて、名刺の渡し方や企業への訪問ルール、挨拶の仕方やメールの書き方などを講師が指導してくれます。
営業マンは特に、企業の役員や社長に会う機会が多いため、ビジネスマナーを一通り身につけておくことが重要です。
「周りに自分がどう見せたいか」の前に、「周りからどう見られるか」という観点を常に持ち続けるコツを教わることができます。研修を通して営業の基礎を学んだ上で、実践に活かすと良いでしょう。
良い営業研修の選び方
営業研修を行っている会社は複数あります。そのため、ここでは研修を選ぶ4つのポイントを解説していきましょう。
導入実績の多さ
1つ目は、どのくらい導入実績があるかチェックすることです。実績の中に大手企業が含まれていたり、同業他社の実績が多かったりすれば、安心して申し込みやすいでしょう。
有形の商材と違い、研修はどのくらい成果が出るのか受けてみるまでわかりにくいでしょう。迷ってしまうようであれば、成果事例を載せている研修会社や、導入実績が多い会社を探すようにしてみると良いです。
オンライン対応の有無
2つ目は、オンラインで受講できるかどうかを確認してみることです。
コロナ禍を機に、対面型の研修もオンラインへ移行している傾向が強いため、多くの企業がオンライン研修を用意しています。eラーニングのようにインプットメインのオンラインセミナーや、オンライン上で参加することができる参加型のセミナーまで幅広く開催されています。
オンラインであれば、パソコンやスマートフォン、タブレットを使用して場所や時間を問わずに参加することができ、繰り返し同じ研修を受けることもできます。
忙しい営業マンのために、1講座10分といった細かく受講できるプログラムもあります。日々の営業活動や自身の悩みに合わせてオンラインで気軽に受講することができるでしょう。
充実した講師の経歴
3つ目は、登壇している講師の経歴をチェックすることです。研修は内容も重要ですが、「誰が話しているか」という話し手も非常に重要な要素です。
入社3年目の営業マンが「売れる営業のコツ」について話すのと、入社10年目のトップセールスが話す「売れる営業のコツ」では、まったく説得力と内容が異なるでしょう。経験をもとにした、その講師だからこそ話せるノウハウというものが必ずあります。
研修プログラムだけに注目せず、講師の経歴や実績についても確認してから参加すると良いでしょう。
具体的なテクニックの有無
4つ目は、マインドだけではなく、具体的なテクニックも教わることができることです。
営業において仕事に向き合うマインドは非常に重要ですが、同時にノウハウも学べなければ業績をアップさせることは難しくなります。「〇〇をしたら成約率が●%上がった」といった成功体験を積んでいくことが業績につながります。
ベースとしてモチベーションを高める精神論を教えてもらった上で、具体的なトーク内容・商談に使える資料・分析方法などを学べる研修を選ぶと良いでしょう。
営業研修を効果的に活かすために重要なポイント
営業研修を効果的に活かすためには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。方法について順番に解説していきます。
- 研修のゴール設定をする
- 繰り返し復習する
- 実践に落とし込む
研修のゴール設定をする
1つ目のポイントは、研修を受ける際にあらかじめゴールを設定しておくことです。
「新規営業のスキルを身に付ける」といった曖昧な目標ではなく、「学んだトークスキルを活かして週1件はアポイントを取得する」といった数値化したゴールを設定しましょう。振り返りがしやすく、研修の知識を活かして成果に結びついているという成功体験を積むことができるためです。
繰り返し復習する
2つ目のポイントは、研修後に何度か繰り返し復習をすることです。
研修で学んだ内容は、時間が経つにつれ、どんどん忘れてしまいます。せっかく学んだ内容も、自分のものにできなければ意味がありません。
受講した後に、3日後、1週間後と数回復習しましょう。レポートにまとめて提出することも、効率良く復習ができておすすめです。
「どんな研修だったか?」と聞かれたときに、自分の言葉で内容を語れるくらいかみ砕いて理解できている状態を目指しましょう。
実践に落とし込む
3つ目のポイントは、実際の現場で活用することです。すぐに行動しなければタイミングを逃してしまうため、あらかじめルールを決めておきましょう。
<ルール例>
- 商談のときに研修で使用したヒアリングシートを元にヒアリングを進める
- テレアポのトーク内容を研修で習ったトークに変更する
- 事前準備のときに顧客理解研修で学んだプロセスに沿って調べてみる
少しずつ日々の営業活動に組み込んでいくことが重要です。慣れてきたら自分なりにやりやすい方法も見えてきますので、最初は学んだとおりに繰り返し実践し、徐々にカスタマイズすると良いでしょう。
まとめ
営業研修は、普段忙しい営業にとって「機会がなければ受けられない」ものかもしれません。しかし、オンラインセミナーであれば、知識やノウハウを得る手段として気軽に活用しやすくなっています。
営業力に限界を感じ始めている営業マンや、業績を伸ばして成果を出したいと強く思っている営業マンは、ぜひ営業研修で外部講師のテクニックを学んでみてください。前向きに営業活動に専念するためのヒントがきっと学べるはずです。
