近年、AI技術は目覚ましい進歩を遂げ、様々な分野で活用が進んでいます。画像認識・音声認識・自然言語処理などの技術は実用レベルに達し、
自動運転・医療診断・金融・マーケティングなど幅広い領域で導入する企業が増えてきました。
中でも、設計分野では設計構想の案出や図面作成の簡易化などの部分でAIの活用が注目されていおり、AIの画像生成機能や編集能力を活かして、製造や建築における設計にAIを活用している企業が増えています。
今回は、設計にAIを取り入れるメリットや初心者でも導入できる設計AIツールのおすすめ5選をご紹介します。
設計におけるAI活用とは
設計工程は従来、人間がそれぞれの手順や方法に従って進められてきましたが、これらの手順や方法はデータ化が可能です。AIは、これらの手順や方法を機械学習することで、人間よりも正確かつ確実に設計を行うことが可能になります。
このようなAI設計の進化は、建築設計や機械設計、回路設計など、様々な分野でAIが設計を支援するツールや技術が開発されています。
AI設計の導入により、設計者はより創造的な作業に集中できるようになり、設計の効率化や品質向上に繋がることが期待されます。
また、AIは人間には思いつかない斬新なアイデアを生み出す可能性も秘めており、設計分野に新たなイノベーションをもたらすことが期待されてるのです。
設計AIと従来の設計の違い
従来の設計業務は、人間の経験と知識に基づく手作業が中心でしたが、AIの登場により、データ分析や最適化などの工程を自動化できるようになりました。
これにより、設計の速度と品質が向上しています。AIを活用した設計と従来型の設計とでは、設計手順と効率性に大きな違いが見られます。
AIを活用した設計 | 従来型の設計 | |
設計手順 | 設計工程を自動化し、人間は監督に徹することができる | 設計者の経験と知識が影響を与えるため、時間がかかる |
効率性 | データ分析や最適化を高速で行うため、設計期間を短縮できる | 設計期間が長期化し、効率が悪い |
AIを活用した設計は、従来型の設計に比べ、設計手順の自動化と効率性の向上という点で大きなメリットがあります。
しかし、AIを適切に活用するためには、人間の専門知識が必要不可欠であり、倫理的な問題や技術的な課題にも注意を払う必要があります。
設計にAIを取り入れるメリット
AIを設計業務に導入することで、以下のような多くのメリットが得られます。
- 生産性向上が期待できる
- 設計期間の短縮ができる
- 複雑な構成にも対応できる
- 製品の質が向上する
- 人間が気づかない点の改善ができる
- 少人数で作業できる
各項目を詳しく見ていきましょう。
生産性向上が期待できる
AIを活用した設計による作業の自動化によって、従来よりも少ない人数で同等の生産量を実現できます。
さらに、自動化はヒューマンエラーを排除し、不良品の発生を抑制します。人手に頼る作業では、どうしても人的ミスが発生しやすく、それが不良品の発生に繋がりますが、自動化されたシステムでは、そのようなミスは起こりません。
また、これまで見えにくかった実態を把握できるようになることも生産性向上に繋がります。例えば、発注や在庫管理にAIを活用することで、現状に即した適切な仕入れが可能となり、無駄を減らすことができます。
生産設備の監視にAIを活用することで、故障の予知保全が可能となり、設備の稼働率を改善することもできるため、突発的な設備停止による生産ロスを減らすことができるでしょう。
設計期間の短縮ができる
従来、設計業務は仕様検討から始まり、設計、評価、改修というプロセスを人間の手作業によって進めてきました。そのため、多くの時間と労力を要し、設計期間が長期化することが課題となっていました。
しかし、AIの導入により、これらの工程を自動化し、設計期間を大幅に短縮することが可能になります。AIは過去の膨大なデータから最適な設計パラメータを高速に抽出するため、人間が手作業でパラメータを検討する手間と時間を削減できます。
また、高速なシミュレーションや設計の最適化も自動的に行います。設計の初期段階で問題点を発見するだけでなく、人間が試行錯誤を繰り返して設計を改善する手間を省き、効率的な設計が可能です。
AIを活用した設計業務では、設計期間を従来の数分の1まで短縮することが可能になり、新製品の市場投入スピードが飛躍的に向上し、企業は競争力を強化することができるのです。
複雑な構成にも対応できる
近年のシステムは構成が複雑化しており、従来の設計手法では、要素間の相互作用が複雑すぎて最適な設計を見出すことが困難になっています。
しかし、AIは機械学習によって、人間では気づきにくい潜在的な相関関係や非線形な依存関係を見出し、最適な設計パラメータを導き出すことが可能です。
さらに、高速なシミュレーション実行により、性能指標を最大化するような設計を提案することができます。これにより、設計者の負担を軽減し、より短期間で高品質なシステムを開発することが可能です。
製品の質が向上する
AIは過去の膨大なデータから設計ルールを学習し、設計プロセスの様々な段階でその知識を活用したチェックを行うことができます。
例えば、設計の初期段階において、仕様の矛盾点を自動的に検出したり、シミュレーションを用いて性能を評価し、問題点を事前に発見したりすることが可能です。
人間が手作業で行うよりも効率的に、高品質な設計を生み出すことができるので、設計者の負担を軽減しつつ、製品全体の品質を大幅に向上させることができます。
人間が気づかない点の改善ができる
AIは機械学習によって大量のデータから新しい洞察を引き出すことができるため、人間では考えつかないような斬新なアイデアや微妙な要素間の相互作用を捉えた改善提案を行うことが可能です。
また、製品の設計パラメータを最適化する際に、人間では見落とされがちな重要な要因を見出すこともできます。
AIと人間が協力して設計プロセスに取り組むことで、より付加価値の高い製品やサービスを生み出すことができるのです。
少人数で作業できる
AIに作業をさせることで、これまでその作業を担当していた人員を削減し、他のより付加価値の高い業務に配置転換することが可能になります。
そのため、AI導入前よりも少ない人数で同量の作業をこなせるようになり、場合によってはより多くの作業量をこなせるようになるでしょう。
設計業務では、経験や知識に大きく依存する属人的な業務が多いことが課題として挙げられます。しかし、業務の属人化が進行すると、担当者が突然離職した場合に業務が滞ってしまうリスクや、少子高齢化による人手不足の影響を受け、将来的には専門人材の確保が困難になる恐れもあります。
AIを活用することで、専門性の高い業務を自動化し、属人化を解消することができるため、人材不足の解消やノウハウの継承が容易になり、安定的な業務遂行が可能になるでしょう。
初心者でも簡単!設計AIおすすめツール5選
コンピュータ上で図面を作成するツールのことをCAD(Computer Aided Design)と呼びます。CADソフトは、最先端テクノロジーを駆使して設計プロセス全体を強化し、建築や土木、機械、自動車、服飾など、さまざまな分野で利用されています。
CADソフトには、2次元の2Dと3次元の3Dがあり、業界や用途に応じて様々な種類があります。以下で、初心者でも簡単できる設計におけるAIおすすめツールをご紹介します。
3DCADについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
Autodesk Fusion
Autodesk Fusionは、Autodesk社が提供しているCADやCAM、CAE、PCBなど、幅広い機能を搭載した製品開発の統合プラットフォームです。設計から製造までのあらゆる作業に必要なツールを包括的に搭載しており、製品開発のプロセス全体をサポートします。
Fusionの特長の一つである「自動拘束」機能では、AIがスケッチを解析し、対称性や寸法拘束を自動提案して設計意図を維持します。
また、図面自動化機能では、3Dモデルから2D図面や製造寸法を迅速に生成することができ、ジェネレーティブデザインや自動モデリング機能により、最適な設計案を効率的に探索できます。
Autodesk Fusionセミナー講習
Autodesk公認のFusionセミナー講習は、Autodesk Fusionのプロになるための集中講座です。未経験の方でも安心してご受講いただける内容で、2日間でAutodesk Fusionの基礎をしっかりと理解することができます。
多くの初心者の方にご満足いただいており、3DCADの復習にも最適です。Autodesk公認の修了証明書が発行されるほか、本セミナーオリジナルの教材「Autodesk Fusion完全攻略セミナーガイド」も配布いたします。
AutoCAD 2025
AutoCAD 2025は、建築設計や機械、土木、エンジニア、施工など様々な分野で利用されている高精度な図面作成のためのCADソフトウェアです。
特に、Autodesk製品との連携機能を強化しており、搭載された「Autodesk AI」では、設計データの分析やパターン認識を通じて、設計者が繰り返し行う作業を自動化し、作業時間の短縮と精度向上をサポートします。
具体的には、作図作業の自動化やAIを活用したオブジェクト配置、図面比較、集計表作成、レイアウトのパブリッシュなどが可能です。
さらに、機械学習を活用して図面全体をスキャンし、ブロックに変換可能なオブジェクトを特定する機能や建築平面図のオブジェクトに最適化されたテクノロジープレビューも搭載されています。
AutoCAD基礎セミナー講習
AutoCAD基礎セミナー講習は、AutoCADのプロになるための集中講座です。未経験の方でも2日間でAutoCADの基本を理解することができます。
オンラインでも受講でき、実務ですぐに役立つ技術を習得できるため、受講後すぐにAutoCADを使いこなせるようになるでしょう。
本セミナーでは受講者の皆様に、より効果的な学習と理解を深めていただくため、オリジナルの教材「AutoCAD完全攻略セミナーガイド」をご提供するほか、受講者特典として、セミナーで紹介されていないAutoCADの役立つ動画を無料で視聴できます。
SOLIDWORKS
SOLIDWORKSは、3D設計や製品開発の分野で広く利用されているCADソフトです。AI技術を活用しており、以下のような機能で設計プロセスの効率化や自動化を可能にしています。
デザインアシスタント | ユーザーのワークフローを学習し、次の操作を提案することで、繰り返し作業を自動化する |
選択支援ツール | 過去の操作に基づき、選択対象を予測することで、迅速な作業をサポートする |
合致作成支援ツール・スマート合致 | アセンブリ作業を効率化し、手動操作を削減する |
スケッチ支援ツール | AIによる予測でスケッチ作業を簡素化する |
SOLIDWORKSは、これらのAIを活用した機能により設計者の負担を軽減し、効率的な設計環境を提供しています。
SOLIDWORKSセミナー講習
ProSkilllでは、SOLIDWORKSセミナー講習を開講しております。SOLIDWORKSセミナー講習では、2日間の集中講座で3DCAD未経験者や初心者でも安心して受講でき、マスターレベルまで学習することが可能です。
本セミナー講習では、オリジナル教材「SOLIDWORKS完全攻略セミナーガイド」を配布します。受講期間中の復習はもちろん、セミナー終了後も参考書として活用できるでしょう。
会場受講のほか、ライブウェビナーやe-ラーニングでも受講できるため、ご自身のニーズに合った受講が可能です。会場受講の場合は、SOLIDWORKSのライセンスがインストールされたPCを貸し出していますので、手ぶらで参加できるのも魅力です。
BricsCAD
BricsCADは2D製図や3Dモデリング、BIM、機械設計ツールセットを含む5つの製品レベルを備えた高性能CADソフトウェアです。
BricsCADの「アシストAI」機能は、モデリング中に使用すべきコマンドを提案したり、3Dモデルの診断や改善点を指摘することで、生産性向上をサポートします。
また、同じ形状のオブジェクトを一括でブロック化する「ブロック化」機能やパラメトリックな情報を付加してブロック化する「パラメトリックブロック化」機能があります。
さらに、ポリラインやスプラインなどのオブジェクト簡略化機能や外れ図形を探す機能や、点群の自動分類など豊富なツールにより、設計の精度と効率を高めることができるでしょう。
BricsCAD基礎セミナー講習
ProSkilllのBricsCAD基礎セミナー講習は、未経験者でも安心して受講でき、2日間でBricsCADの基礎をしっかり理解することができます。
受講形式は会場受講やライブウェビナー、e-ラーニングの3種類あり、ご自身の学習スタイルに合わせて選択可能です。
本セミナーでは、オリジナル教材「BricsCAD完全攻略セミナーガイド」を配布いたします。セミナー終了後も参考書として活用できる充実した内容です。
Creo
Creoは、主に製造業で利用されている3D CADソフトウェアです。PTCが開発しており、AIを活用したジェネレーティブデザインやジェネレーティブトポロジー最適化(GTO)といった設計支援ツールを備えている点が大きな特徴です。
Creoは、小規模な製品開発から大規模な製品開発まで幅広く対応できる利便性を持っています。
ジェネレーティブデザイン | 設定された要件や制約に基づき、AIが最適な設計案を自動生成する |
GTO | 設計目標や製造可能性を考慮しながら最適なモデルを生成する |
ジェネレーティブデザインにより、製品の軽量化や強度向上などの課題解決に貢献することができ、GTOは設計における試行錯誤のプロセスを大幅に削減できます。
Creoの強みは、リアルタイムでフィードバックを得ながら設計変更に対応できる点にあります。設計精度と効率が向上し、製品開発のスピードと品質を大幅に高めることができるため、製品開発の現場に革新的な変化をもたらしています。
Creoのメリットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
設計業務はAI活用で効率化と競争力強化を実現しよう
今回は、設計にAIを取り入れるメリットや初心者でも導入できる設計AIツールのおすすめをご紹介しました。AIの進化は、設計業務におけるジェネレーティブデザインや自動化機能により設計プロセスが最適化され、作業負担が軽減されています。
AIはデータ解析を通じて設計精度を向上させ、作業時間の短縮やミス検出や修正提案により設計の信頼性も向上するでしょう。
今後もAIは進化を続け、設計業務の効率化と競争力強化に貢献することが期待されます。設計業務におけるAI技術の導入は、企業の競争力を高める上で重要な選択肢となるでしょう。
