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【2025】生産計画とは?その種類や立て方の手順、ポイントを徹底解説

生産が計画通りに進まない原因の多くは、実は計画そのものにあります。生産計画は、製品やサービスを無駄なく、スムーズに届けるためのガイド。

近年は工場だけではなく、IT業界やサービス業界にも応用されています。最新技術の進化で見える化が進み、計画と実行のズレをすぐに察知できるようになりました。

今回は、生産計画の種類や、生産計画の立て方の手順、そのポイントを解説します。

生産計画とは

生産計画とは、製品やサービスをいつ・どれくらい・どのように作るかをあらかじめ決めておく仕組みです。

生産を感覚で回している現場では、納期の遅れや在庫のムダなどが生じがち。生産計画はそうならないために、無駄なく効率的に動かすための基盤になります。

また、売上予測や需要変動に応じて調整され、企業の判断や他部署との連携にも関わる重要なものです。生産計画は、現場を支える裏方のようですが、全体の流れを左右する重要な存在です。

生産を最適化させるポイントについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

【2025】生産最適化の秘訣!無駄を徹底的に削減する5つのステップ

生産計画の重要性

生産計画は、ただのスケジュール表ではありません。以下で、なぜ生産計画が重要なのかを見ていきましょう。

指針を定めるため

どれだけ熟練した現場でも、計画が曖昧だったり存在したりしなければ、優先すべきものが不明になります。生産計画は誰が・いつ・何をやるのかを見える化し、全員が同じ方向を向いて動けるようにするためのもの。

迷子にならないための目印のようなものです。生産計画は前後の工程を理解しやすくし、トラブル時も冷静に復旧しやすくなる安心をもたらします。

無駄を削減するため

余らせるなら、少し多めに作っておこうという発想は、短期的にはリスク回避に見えるかもしれませんが、長期的には在庫過多や材料ロス、人件費の無駄に繋がることも。

このようなムダを削るには、計画力が不可欠です。生産計画をしっかり立てておくだけで、滞留や設備の無作業の時間を減らすことができ、コスト削減にも直結します。

柔軟な調整力が必要なため

精密な計画を立てても、全てが予定通りに進むとは限りません。天候や従業員の都合、取引先の事情など、予期せぬ要因は常に発生するもの。

そこで大切なのが、柔軟な調整力です。生産計画は、事前に作って終わりではなく、その都度変化する状況に合わせて見直し、修正を重ねるプロセスがあってこそ意味を持ちます。

その場しのぎではない、戦略的な判断ができる体制を整えることが、生産計画を成功に導く鍵になるでしょう。

利益の最大化に繋がるため

ムダのない生産計画はコストを抑えるのはもちろん、利益を生み出すための基盤にもなります。しっかりとした生産計画があれば、いつ・どれだけ・何を用意すべきかが明確になり、ムダなコストを避けられます。

さらに、在庫が溜まり倉庫を圧迫するような状況も防げるので、保管コストや滞留リスクも軽減できます。

空いたリソースを使い、新しいことに挑戦できる余裕も生まれるでしょう。ムダを削るだけではなく、次の利益を育てるきっかけを作る力もあるのです。

社内の連携がスムーズになるため

生産活動は製造部門だけでは完結するものではなく、営業や購買、物流、品質管理など、さまざまな部署との連携が求められます。

例えば、営業部門から突然「明日までに1000個追加して欲しい」と言われても、前もって在庫の状況を把握していたり、生産の余力を見込んでいたりすれば、冷静に対応できます。

逆に、このような情報を把握していないと、トラブルの種になることも。全社で生産計画を共有し、見通しを持てる環境を作るのも大切な役割の一つです。

生産計画の種類

生産計画の種類

生産計画といっても、その内容や役割は期間の長さで大きく異なります。以下で、生産計画の種類を見ていきましょう。

大日程計画

大日程計画とは、半年〜1年単位や、それ以上の長期的な生産の枠を決める生産計画です。企業の経営戦略や販売予測、季節要因などから、どの製品をいつ頃どれくらい作るかをざっくりと決めるイメージです。

重要なのは、設備や人員、資材などリソースの確保を早めに見積もること。この段階の読み違いが全ての工程に影響を与えるため、高精度な需要予測と市場動向の把握が求められます。

全体の方向性を決める重要な計画です。

中日程計画

中日程計画は、月単位や数週間先までのスパンで立てる中期的な生産計画です。大日程計画で決めた方向性から、月単位の生産量や稼働させるラインなどの実行レベルに近い内容に落とし込んでいきます。

ポイントは、全体の流れと現場の現状をバランスよく結びつけること。過剰でも不足でも困るため、常に成果を見ながら柔軟に調整することが求められます。

小日程計画

小日程計画は日単位や週単位で立てられる、短期的な生産計画です。今週はこのラインで何を何個作るのか、この作業の担当は誰かなど、細かいタスクの割り振りやタイミングを管理します。

柔軟な対応力が求められますが、無計画に動くと混乱を招きやすいため、的確な情報と判断が必要不可欠です。現場が迷わず動けるようにするためには、この小日程計画がしっかりしていることが大切です。

生産計画の立て方の種類

実は生産計画には、考え方にもいくつかの型があります。中でも代表的なのが押し出し方式と引っ張り方式の2つ。

製品や業種、経営方針により向き・不向きがあるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

押し出し方式 需要を先読みする
引っ張り方式 必要になってから作る

押し出し方式

押し出し方式(プッシュ型)は、このくらい売れるはずという予測から、事前に生産を進めていく考え方です。量産しやすく効率が高いため、家電や飲料など安定した需要がある業界でよく使われます。

ただし、予測が外れたときに、在庫過多や廃棄のリスクがあるのが難点。だからこそ、市場動向や過去データを正確に読み取れる計画力や、見直しの柔軟さが成否を分けます。

引っ張り方式

引っ張り方式(プル型)は、注文が入ってから生産を開始する考え方です。在庫はなるべく持たず、必要なときに必要な分だけ作るので、アパレルや受注生産など、需要の変動が大きい業種に適しています。

ムダが出にくいのでコスト面では有利ですが、スピードと柔軟な対応力が欠かせません。準備が遅れると納期にも関係するため、現場との密な連携が成功のカギになります。

効果的な生産計画の立て方と4つの手順

効果的な生産計画の立て方と4つの手順

生産計画を立てるには、以下のような段階を踏み、情報を整理しながら練り上げていく必要があります。

  1. 基準生産計画を策定する
  2. 所要量計画を作成する
  3. 生産能力計画を確認して調整する
  4. 詳細な生産計画を作成する

以下で、各項目を順に見ていきましょう。

1.基準生産計画を策定する

基準生産計画(MPS)は、生産全体の基盤となる計画です。製品ごとにいつ・何を・どれだけ作るのか、週や月単位で決めていきます。

重要なのは営業や在庫、需要予測などの情報をできる限り正確に取り入れながら、リアルな数量とタイミングを見極めること。曖昧なまま進めてしまうと、工程全体が崩れてしまうので、丁寧な見極めと確かな根拠が求められます。

2.所要量計画を作成する

何を、いつ、どれくらい作るかが決まったら、必要な部品や材料を割り出します。これが、所要量計画(MRP)です。

例えば、ある製品を100個つくるには、部品Aが300個、部品Bが200個必要というように、製品構成表(BOM)から必要な資材を計算し、在庫と照らし合わせて発注する在庫の個数や納期などを導き出します。

ここでミスがあると、ライン停止や過剰在庫の原因にもなり得ます。正確なデータ入力と在庫管理の徹底が求められる部分です。

3.生産能力計画を確認して調整する

生産能力計画(CRP)は、所要量計画で決まった作業を本当にこなせるのか確認するための工程。例えば、必要な作業時間に対し、人手や設備の稼働時間が足りているかどうかを確認します。

ここで無理とされれば、人員の追加や外注の検討、スケジュールの見直しが必要になります。立てた生産計画が、現場の能力を超えていないかのすり合わせが目的です。

4.詳細な生産計画を作成する

最後に行うのが、実際の生産作業をいつ、どの順番で、どの設備を使い進めるかを決める、詳細な計画作りです。

現場の設備稼働状況や作業員のスキル、他製品との兼ね合いなども考慮しながら、無理のない計画を組むことが求められます。きちんと整った生産計画があれば、従業員も迷わず動けるうえ、ミスも減ります。

生産計画を立てるうえで考慮すべきポイント

生産計画を立てる際は、手順に沿ってただ作ればいいというわけではありません。特に最近では、原材料の供給不安や需要の急変が起こりやすいため、柔軟性のある計画作りがますます重要になります。

最後に、生産計画を立てるうえで考慮すべきポイントを解説します。

現状のリソースを把握する

まず、今の現場が本当にどう動いているかを把握することが重要です。設備の稼働状況や在庫数、作業工数などを現状把握できれば、計画もズレにくくなります。

現場に行かなくても状況が見える仕組みを取り入れることは大変有効です。

柔軟性のある計画を立てる

需要の急変やトラブルは避けられないからこそ、生産計画には変化に対応できる余裕をあらかじめ組み込んでおく必要があります。

予測と現実のギャップを埋める調整力が重要です。柔軟性を持たせることで、計画が生きたものになるでしょう。

生産計画を一つの流れとして繋げる

生産計画は以下のように一連の流れがスムーズに機能することで、計画と現場がうまく噛み合います。

①大日程計画 年間の生産方針を決める
②中日程計画 月ごとの生産量を調整する
③小日程計画 具体的な作業スケジュールに落とし込む

それぞれの役割を明確にしつつ、状況に応じて柔軟に連携できる体制があれば、急な変化にも対応しやすいです。

全体の意図を理解したうえでの現場の動きこそが、計画を実効性のあるものに変えていくのです。

何かあったときの備えを準備しておく

自然災害や機械の故障、人員不足、取引先の遅延など、リスクは至るところにあります。生産計画では、このようなリスクを事前に想定し、対応策を準備しておくことが重要です。

何かあったときの備えがあるだけで、現場の判断にも余裕ができます。

人手不足に効果的な解決策については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

【2025】人手不足に効果的な12の解決策とは?原因と成功事例も紹介

品質基準を生産計画に組み込む

効率を重視しすぎて品質管理が後回しになると、ムダなやり直しやクレーム対応が増えてしまいます。そのため、生産計画を立てる段階で、品質確認や基準を明確にしておくことはとても重要です。

例えば、ある工程の後に中間検査を入れたり、新規スタッフが担当する場合は追加で確認を行ったりなど、品質の確保プロセスを組み込めば、ミスや不良を未然に防げます。

計画と品質を両立できてこそ、信頼される製品が生まれるのです。

生産計画は、企業の成長を支える柱

今回は、生産計画の重要性や種類、生産計画の立て方や4つの手順を解説しました。生産計画は、限られたリソースをどのように配分し、活かすかを決める戦略で、企業活動の柱とも言える存在です。

大日程から小日程、押し出し方式と引っ張り方式、それぞれに役割があり、状況に応じた選択と調整が求められます。

変化の激しい時代だからこそ、先を見通しつつ、柔軟に動ける力が何よりも価値を持ちます。地道な計画の積み重ねが大きな成果に繋がるでしょう。

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