売上の計算や在庫管理など、ビジネスのさまざまなシーンで、数値の切り上げが必要な場面は発生します。
エクセルのROUNDUP(ラウンドアップ)関数を使えば、自動的に切り上げ処理ができます。
本記事で、ROUNDUP関数を使った切り上げの方法について見ていきましょう。
エクセルの切り上げとは
切り上げとは、数値の端数を上に丸める処理を指し、特にビジネスの場面でよく使われます。
例えば、売上金額を算出する際、会社によっては消費税によって発生した端数を切り上げて計算する場合があります。
消費税込みで579.7円の売り上げを580円に切り上げるなど、小数点以下を無視して一括処理を行う際に便利です。
特に、小数点以下の扱いが不要な場面で、切り上げが使われます。
エクセルで切り上げをする方法
エクセルで切り上げをするケースでは、ROUNDUP関数を使いましょう。
ROUNDUP関数は、指示した桁数で切り上げができる関数で、構文は下記のとおりです。
一つ目の引数「数値」には切り上げしたい数値を直接入力するか、対象のセルを参照します。桁数には、揃えたい桁数に対応する整数を指定しましょう。
桁数 | 切り上げ |
-1 | 一の位 |
0 | 小数点以下 |
1 | 小数点第一位 |
桁数は、1桁目を0として右に行くとプラス、左に行くとマイナスになると覚えておきましょう。
切り上げたい桁数ではなく、揃えたい桁数を指定するという点に注意が必要です。
続いては、プロフィール表をもとに、実際に身長の切り上げを行ってみましょう。
B列に名前C列に身長が入力されている表を用意し、D列にROUNDUP関数を使って、C列の身長を切り上げで表示していきます。
fxボタンから入力
まずは、fxボタンからROUNDUP関数を使う方法を解説していきます。
- D3をアクティブにする
- 数式バー左にあるfxボタンをクリックする
- 「関数の挿入」ダイアログボックスが開くので「関数の分類」のドロップダウンメニューから「すべて表示」を選択する
- 半角入力の状態で「r」を打ち込みする
- 頭文字がrの関数が一覧で表示されるので、その中からROUNDUPを選択する
- OKボタンをクリックする
- 「関数の引数」ダイアログボックスが開いたら、「数値」のボックスをアクティブにしてC3セルをクリックする
- 「桁数」のボックスをアクティブにしたら、「0」と入力する
- OKボタンで確定する
田中さんの身長159.5を小数点以下で切り上げしたことで、D3のセルには160が入力されました。
fxボタンからの挿入は引数の説明が出るので、関数の構文を覚えていなくても使えます。
直接入力
fxを使わずに、セルに直接入力する方法を解説します。
- D4セルをアクティブにする
- 「=roundup」と入力してTabキーを押す
- C4をクリックする
- 「,」で引数を区切ったら「0」と入力する
- Enterキーで確定する
鈴木さんの身長171.3を小数点以下で切り上げたことで、D4には172が出力されます。
fxボタンよりも少ない工数で関数の挿入ができるため、構文を理解している場合はこちらの方法を使いましょう。
エクセルでできる切り上げ以外の端数処理
エクセルでは、切り上げ以外にも切り捨てと四捨五入で端数処理を行えます。これらの端数処理の方法についてもみていきましょう。
切り捨て
エクセルでは、下記の関数を使って切り捨てすることができます。
- ROUNDDOWN(ラウンドダウン)関数
- TRUNC(トランク)関数
- INT(イント)関数
それでは、これらの関数の使い方について詳しくみていきましょう。
関数①ROUNDDOWN(ラウンドダウン)関数
ROUNDDOWN(ラウンドダウン)関数は、指示した桁数で切り捨てができる関数で、構文は下記のとおりです。
例えば、「=ROUNDDOWN(521.58, 0)」とすれば、521.58の小数点以下が切り捨てられて、「521」と出力されます。
関数②TRUNC(トランク)関数
TRUNC(トランク)関数は、ROUNDDOWN関数と同様、指示した桁数で切り捨てができる関数で、構文は下記のとおりです。
桁数は省略ができるのが特徴で、省略すると小数点以下が切り捨てになります。
例えば、「=TRUNC(11.66)」と入力すれば、小数点以下が切り捨てられて「11」と出力されます。
関数③INT(イント)関数
INT(イント)関数は、小数点以下を切り捨てできる関数で、構文は下記のとおりです。
引数には数値だけを指定します。また、負の数を切り捨てする場合、INT関数だと絶対数ではなく、より小さい数値に合わさるのが特徴です。
そのため、「-14.2」にINT関数を適用した場合は、「-14」ではなく「-15」と出力されるので、この特性は押さえておきましょう。
四捨五入
ROUND(ラウンド)関数は、指定の桁数で四捨五入ができる関数で、構文は下記のとおりです。
例えば、「=ROUND(71.3, 0)」とすれば、小数点以下が四捨五入されて「71」と出力されます。
エクセルの切り上げ以外で便利な関数
エクセルには切り上げのROUNDUP関数以外にも、下記のような関数を利用できます。
- SUM(サム)関数
- AVERAGE(アベレージ)関数
- IF(イフ)関数
- MAX(マックス) / MIN(ミン)関数
これらの関数の使い方について一つずつ詳しく見ていきましょう。
関数①SUM(サム)関数
SUM(サム)関数は、指定もしくは参照した数値の合計を出力する関数で、構文は下記のとおりです。
例えば、C3からC7の売上を合計する場合、「=SUM(C3:C7)」と入力すれば、C3からC7までの数値の合計が表示されます。
SUM関数は、長いリストの数値を瞬時に合計できるため、売上集計やデータ分析で非常に役立ちます。
関数②AVERAGE(アベレージ)関数
AVERAGE(アベレージ)関数は、指定もしくは参照した数値の平均出力する関数で、構文は下記のとおりです。
例えば、テストの点数がC3からC7のセルに入力されている場合、「=AVERAGE(C3:C7)」と入力すれば、これらの点数の平均を簡単に算出できます。
AVERAGE関数を使えば、一度合計を出してから対象の数で割る必要がないので、平均を求めたい場面で効率的に作業可能です。
関数③IF(イフ)関数
IF(イフ)関数は、論理式が真か偽かに応じて異なる結果を表示する関数で、構文は下記のとおりです。
例えば、セルB列に入力した参加人数が10人以上なら「開催」、それ未満なら「中止」と表示したい場合、「=IF(B3>=10, “開催”, “中止”)」と入力します。
このようにIF関数を使えば、条件に応じた判定を自動化できるため、イベントの開催管理などに有効です。
また、IF関数についてより詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
IF関数の基本的な使い方から、IFを使ったさまざまな関数の使い方まで解説しています。
関数④MAX(マックス) / MIN(ミン)関数
MAX(マックス)関数とMIN(ミン)関数は、最大数と最小数を出力できる関数で、構文は下記のとおりです。
MIN(数値1, [数値 2], …)
例えば、テストの点数がC3からC7のセルに入力されているとします。
「=MAX(C3:C7)」と入力すると、その範囲内の最高点を表示します。逆に、「=MIN(C3:C7)」と入力すれば、最低点を表示します。
このように、MAX / MIN関数は、最大値や最小値を簡単に取得できるため、成績や売上データの中でのトップスコアや最低値を確認したいときに有効です。
エクセルはどうやって学習するのがいい?
エクセルのスキルを身につけるなら、下記の方法で学習を行いましょう。
- 書籍で学ぶ
- パソコン教室で学ぶ
- 講座で学ぶ
これらの学習方法について詳しくみていきます。
学習方法①書籍で学ぶ
初心者のうちは書籍でエクセルの基礎を学ぶのがおすすめです。
エクセルには初心者用の書籍が多く出版されているので、自分のレベルに合った書籍を選ぶことで効率的に学習を進められます。
また、書籍で学ぶ際の目標としてMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)の合格を目指すのもおすすめです。
MOSは、Microsoftが提供するOffice製品のスキルを証明できる資格で、合格すると転職市場で有利に働くため、学習の目標にピッタリです。
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学習方法②パソコン教室で学ぶ
エクセルを本格的に学びたいなら、パソコン教室に通うのも一つの選択肢です。
パソコン教室では、エクセルやワード、パワーポイントといった一般的なOffice製品の使い方を学びながら、仕事で活かせるパソコンのスキルを身につけられます。
パソコン教室によって用意されているカリキュラムは異なるため、自分に合った内容のところがあれば、ぜひチェックしてみてください。
また、エクセルを学習する際のコツについて知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。エクセルを効率的に学ぶための方法について解説しています。
学習方法③講座で学ぶ
エクセルの基礎を学ぶなら、講座でプロの講師に教えてもらうのもおすすめです。Excel基礎セミナー講習では、データ入力やグラフ作成といったエクセルの基本的な操作を学べます。
また、基礎だけでなく応用も学べるので、講座を受講することで、すぐに実務で活用できるスキルを身につけられます。
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エクセルの切り上げについてのまとめ
エクセルでは、ROUNDUP関数を使うことで、簡単に切り上げができます。
しかし、桁数の位置を間違えると意図しない位で切り上げされてしまう点には注意が必要です。
関数をうまく活用して、日々のデータ管理を効率化しましょう。
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