データに極端な値が含まれている場合、平均値ではデータ全体の特徴を正確に表せません。
そのため、データ分析をする際、平均値よりも中央値の方が参考になる場合があります。
本記事で、エクセルで中央値を求められるMEDIAN関数の使い方についてみていきましょう。
エクセルの中央値とは?
中央値は、データの大きさ順に並べた際に、ちょうど中央にあたる値のことを指します。特に、データに極端な値が含まれている場合に有効な指標です。
異常なデータが含まれる場合や、偏りが大きいデータを扱う際に活用されます。
中央値と平均値の違い
中央値と平均値は、どちらもデータの中心を示せる指標ですが、その特徴は異なります。平均値は、すべてのデータの合計をデータの数で割った値です。
例えば、5人の年収が300万、300万、300万、400万、5,000万の場合、平均値は1,260万円となります。
このように、平均値を使うと、5,000万円という極端な値を持っている一人が平均を押し上げてしまい、実際の傾向が見えにくくなります。
一方、中央値はデータを小さい順に並べたときの中央の値で、この場合の中央値は300万円です。極端な値の影響を受けにくい中央値は、データが偏っている場合に、より現実的な値として使われます。
エクセルで中央値を求める方法
エクセルで中央値を求める場合は、MEDIAN関数を利用しましょう。MEDIAN関数は指定した数値の中央値を求められる関数で、構文は以下のとおりです。
引数に数値や参照するセル番地を指定することで、中央値を求められます。
MEDIAN関数の使い方
実際に名前と年収を記した表を使って、MEDIAN関数を使ってみましょう。
- 数式バー左にあるfxボタンをクリックする
- 「関数の分類」のドロップダウンメニューから「すべて表示」を選択する
- 「関数名」にある関数どれかクリックしたら、半角入力の状態で「m」と打ち込む
- 頭文字がmの関数が一覧で表示されるので、その中からMEDIANを選択する
- 「関数の引数」ダイアログボックスが開いたら、「数値1」にカーソルを合わせてC3〜C7をドラッグで選択する
- 「数値2」は入力せずにOKボタンで確定する
fxボタンからではなく、数式バーで直接指定する場合は以下のとおりです。
- セルに「=median」と入力してからTabキーを押す
- C3〜C7をドラッグで選択してEnterキーを押す
構文を覚えているなら、数式バーから直接入力する方が簡単に関数を使えます。
エクセルで中央値に色をつける方法
エクセルの条件付き書式を使えば、データ内の中央値を一目でわかるようにできます。
条件付き書式を使って、中央値のセルに赤い背景色をつける方法をみていきましょう。
- 条件の判定をしたい範囲をドラッグで選択する
- ホームタブの「スタイル」グループにある「条件付き書式」のアイコンをクリックする
- 「セルの強調表示ルール」にある「指定の値に等しい」を選択する
- 「次の値に等しいセルを書式設定」のボックスに「=MEDIAN($C$3:$C$7)」と入力する
- 「書式」を「明るい赤の背景」に変更して「OK」ボタンで確定する
中央値にあたる部分だけ赤い背景色がつきます。データ量が多くて中央値を探しにくい場合は、条件付き書式で色付けすると便利です。
エクセルで平均値を求める方法
エクセルで平均値を求めるには、AVERAGE関数を使います。AVERAGE関数は、指定した範囲の数値の平均値を計算するための関数で、構文は以下のとおりです。
C3からC7に5つの数値が入力されている場合、「=AVERAGE(C3:C7)」と入力すると、その範囲内の数値の平均が計算されます。
例えば、5人の年収やテストの点数が入力された列に対してこの関数を使用すれば、平均年収や平均点を簡単に算出できます。
AVERAGE関数は、日常的なデータ分析で役立つ機能です。
外れ値や偏りのないデータに対して特に有効で、データ全体の傾向をつかむのに役立ちます。
エクセルで最頻値を求める方法
エクセルで最頻値を求める場合に使われるのがMODE関数です。最頻値とは、データの中で一番頻出する値のことを指します。
MODE関数の構文は以下のとおりです。
A1からA5に「80, 75, 90, 80, 85」が入力されている場合、「=MODE(A1:A5)」と入力すると、80が最頻値として返されます。これは、80が最も多く出現するためです。
MODE関数は、顧客アンケートや品質管理などのデータ分析でよく使われます。
例えば、商品に対する評価で最も高いスコアを調べる場合や、製造工程で発生した異常値を特定する際に便利です。
最頻値は、データの傾向やパターンを把握するために役立ちます。
エクセルで使えるそのほかのMODE関数
エクセルで最頻値を求められる関数は、MODE関数のほかに、MODE.SNGL関数とMODE.MULTがあります。それぞれの関数の特徴は以下の表のとおりです。
関数名 | 構文 | 特徴 |
MODE.SNGL | =MODE.SNGL(数値1, [数値2], …) | 最頻値を一つ取得する。最頻値が複数ある場合は、最初に取得してきた値のみを出力する。 |
MODE.MULT | =MODE.MULT(数値1, [数値2], …) | 複数の最頻値を取得する。最頻値が複数ある場合は、すべての値を出力する |
MODE.MULT関数はすべての値を確認できるため、最頻値が2つ以上あると考えられる場合は、MODE.MULT関数を使いましょう。
エクセルの関数を学ぶなら
手間のかかる計算も、中央値を求められるMEDIAN関数のように関数を使うことで効率的に処理を行えます。
エクセルには、ほかにもたくさん便利な関数が用意されていますが、独学で理解するのは難しいと考えている方もいるでしょう。
Excel基礎セミナー講習では、エクセルで使える基本的な関数の使い方について学べます。ほかにも、グラフの作成方法や条件付き書式の使い方などについても学習できるので、エクセルの学習を始めたばかりの方におすすめです。
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エクセルの中央値以外にデータ分析で役立つ機能
エクセルには中央値以外にもデータ分析に役立つ機能が揃っています。データ分析に使える以下の機能について見ていきましょう。
- 小計
- ピボットテーブル
- グラフ
機能①小計
エクセルの小計は、項目をグループに分けて合計や平均を算出できる機能です。
小計を使用すると、個別の項目ごとの合計や平均が自動的に計算されるため、データ分析の際に役立ちます。
1.項目を並び替える
項目が表内でバラバラになっている場合は、並び替えでグループ化しておく必要があります。
グループ分けしたい列を選択し、ホームタブの「編集」グループにある「並び替えとフィルター」から、「昇順」もしくは「降順」で並べ替えを行いましょう。
2.小計を出す
表を選択した状態で、データタブの「アウトライン」グループにある「小計」をクリックします。
ダイアログボックスが開いたら、「グループの基準」を小計を出すために並び替えでグループ分けをした項目を選択しましょう。
「集計の方法」から任意の集計方法を選択して、「集計するフィールド」に集計を出したい項目を設定します。
OKボタンで確定したら、設定した項目に応じてる小計の項目が新たに作られます。
また、小計以外でデータの集計をする方法については、以下の記事を参考にしてみてください。関数を使った方法や、統合を使った方法について解説しています。
機能②ピボットテーブル
ピボットテーブルは、参照するデータをもとに集計ができる表を新たに作成する機能です。
項目は自由に並び替えられるので、データの分析によく使われます。
1.表をピボットテーブル化する
作成した表を選択した状態で、挿入タブの「テーブル」グループから「ピボットテーブル」を選択します。
ダイアログボックスが開いたら、OKボタンで閉じましょう。
すると、新しく作成されたシートにピボットテーブルが反映されます。
2.ピボットテーブルの設定をする
新規シートには「ピボットテーブルのフィールド」が表示されており、項目をそれぞれ下のエリアにドラッグすることで、テーブル内の並び替えや集計ができます。
自由に並び替えをして、見やすいテーブルを作成しましょう。
また、エクセルでは、データのばらつきを示す分散の分析もできます。以下の記事では、エクセルで分散分析を行う方法について解説しています。
機能③グラフ
エクセルのグラフは、データを視覚的に表現するのに便利な機能です。データをグラフ化することで、数値の傾向やパターンを一目で把握できるため、プレゼン資料やレポートの作成に役立ちます。
グラフの種類には、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなどがあります。
1.グラフを作成する
グラフを作成するには元となるデータが必要です。
元データを表で作成したら、その表を選択した状態で、挿入タブにある「グラフ」グループから作成したいグラフの種類を選択しましょう。
2.グラフのデザインを調整する
作成したグラフは自由にデザインを変更可能です。グラフをクリックすると、グラフのデザインタブが表示されます。
「グラフスタイル」グループから好きなレイアウトを選択し、見やすいグラフにカスタマイズしましょう。
また、グラフの見出しはデフォルトで「グラフタイトル」になっています。
見出しを変更するには、見出しの上で右クリックして表示されるメニューから「テキストの編集」を選択します。
すると、見出しを変更できる状態になるので、好きな見出しを自由につけましょう。
エクセルの中央値についてのまとめ
今回は、エクセルで中央値を求める方法について紹介しました。中央値は、データを並べた際に中央に位置する値で、特に極端な値が含まれるデータに対して有効な指標です。
エクセルのMEDIAN関数を使えば、簡単に中央値を値を求められます。データ分析をする際は、状況に応じて中央値も活用するようにしましょう。
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