エクセルのVBAは、作業の自動化ができる便利なツールです。特に、大量のデータ処理や繰り返し作業が必要な場合に役立ちます。
しかし、VBAはエクセルの入門者にとって少しハードルが高いイメージがあるかもしれません。
本記事では、VBAの基本的な特徴や、初心者におすすめの入門書を紹介します。VBAを始めたいけれど、何から手をつければいいのか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
エクセルのVBAとは?
VBA(Visual Basic for Applications)は、エクセルやほかのOffice製品で使用できるプログラミング言語です。
VBAを使うことによって、日常的な作業の自動化や、デフォルトの機能では実現できない操作を行えます。
マクロとの違いは?
エクセルのマクロは、VBAで書かれたコードを簡単に記録・実行できる機能です。
マクロは、VBAを直接書かなくても、操作を記録することで作成でき、ボタン一つで繰り返し作業を自動化できます。
一方、VBAはマクロの基盤となるプログラミング言語で、より高度なカスタマイズや複雑な条件処理を行う際に使用されます。
マクロは「VBAを利用した自動化ツール」で、VBAは「マクロを作るためのプログラム言語」です。
初心者はまずマクロを学び、必要に応じてVBAの学習に進むと理解しやすいでしょう。
エクセルのVBAでできること
エクセルのVBAを使うことで、主に以下のようなことができるようになります。
- データ集計の自動化
- グラフ作成の自動化
- メールの一括送信
これらのVBAでできることについて見ていきましょう。
できること①データ集計の自動化
VBAを活用すれば、データの集計作業を自動化できます。例えば、毎月の売上データを複数のファイルから取得し、1つのシートにまとめる作業もVBAを使えばボタン1つで実行可能です。
また、フィルターやソート、条件付きの集計も自動で行えます。
これにより、手動で行わなければいけない煩雑な作業を削減できるため、業務効率を大幅に向上させられます。
できること②グラフ作成の自動化
VBAを使えば、データに基づいたグラフの作成を自動化できます。
データの範囲を設定し、そのデータを元に棒グラフや折れ線グラフなどを動的に作成可能です。
これにより、月次の売上データなどを更新する際にグラフを手動で編集する必要がなくなるため、プレゼン資料用のグラフ作成なども効率的に進められます。
できること③メールの一括送信
VBAを利用すると、Outlookなどのメールソフトと連携してメールの一括送信が可能です。
ワークシートに記載された顧客リストを元に、事前に用意していた内容を差し込んだメールを一括送信できるため、大量の案内メールや請求書送付を短時間で効率的に行えるようになります。
さらに、送信先や送信履歴を自動で記録する機能も追加できるのでメールの管理も容易に行えます。
また、VBAでできることについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。VBAでできることや、できないことについて詳しく解説しています。
エクセルのVBAを使うメリット
エクセルのVBAを使う主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 作業を効率化できる
- 開発コストが低い
- 高度なスキルが必要ない
これらのメリットについて確認していきましょう。
メリット①作業を効率化できる
VBAを使えば、エクセル上で行う繰り返し作業や複雑な操作を自動化できます。例えば、大量のデータを処理する際に手作業では数十分かかるような作業でも、VBAを活用すれば数秒で完了します。
また、手動でのミスを減らせる点も大きな利点です。自動化によって正確な結果が得られるため、データの信頼性が向上します。
これにより、業務全体の効率アップにつながります。
メリット②開発コストが低い
VBAは、エクセルがインストールされている環境さえあれば追加の費用をかけずに利用可能です。そのため、ほかのツールと比較して、開発にかかるコストが低いのが特徴です。
VBAはコストパフォーマンス良く業務の効率化を実現したい場合に有効な選択肢といえるでしょう。
メリット③高度なスキルが必要ない
VBAは、プログラミング未経験者でも比較的習得しやすい言語です。また、マクロ機能を使えば、簡単な自動化であればコードを手書きする必要もありません。
さらに、インターネット上には学習リソースが豊富にあり、基本から応用までのスキルを独学で身につけられる環境が整っています。そのため、専門のエンジニアを雇う必要がなく、社内でスキルを共有しやすいのもメリットの一つです。
エクセルのVBAの使い方
実際にエクセルでVBAを使う方法について見ていきましょう。今回は、VBAを使えるエディターを表示させて、セルの値を変更する簡単なコードの実行方法について確認していきます。
1.オプションの設定を変更する
VBAを安全に使用するため、まずエクセルのオプション設定を確認し、必要であれば変更します。
まずファイルタブをクリックし、サイドメニューの「その他」から「オプション」を選択しましょう。
続いて、左側のサイドメニューから「トラストセンター」を選択し、右側の「トラストセンターの設定」ボタンをクリックしてください。
「マクロの設定」メニューから「警告を表示してマクロを無効にする」の項目をアクティブにして「OK」をクリックします。
これにより、マクロ処理が施されているブックを開いた際、手動でマクロの有効化を行えるようになります。この設定をすることで、自動でマクロが作動して予期せぬエラーを引き起こすことを防止できます。
2.開発タブを表示させる
VBAを操作するには、エクセルの「開発タブ」を有効化する必要があります。まず、エクセル画面のリボン上で右クリックし、「リボンのユーザー設定」を選択しましょう。
続いて、表示されたウィンドウの右側にある「リボンのタブ」一覧から「開発」にチェックを入れ、「OK」をクリックします。
これにより、リボンに「開発タブ」が追加され、VBAエディターへのアクセスやマクロの操作が行えるようになります。
3.標準モジュールを作成する
VBAのコードを書くためには、標準モジュールを作成する必要があります。まず、開発タブを開き、「Visual Basic」ボタンをクリックしましょう。
これで、VBAが使用できるエディターであるVBEが起動します。続いて、VBEの画面上部にある「挿入」メニューをクリックし、「標準モジュール」を選択します。
標準モジュールはコードを記述する場所です。この中にVBAのコードを記述していきます。
4.コードを記述する
VBAの基本的なコードをエディターに入力することで、セル操作を自動化できます。以下はVBAコードの簡単な例です。
Range(“A1”).Value = 10
End Sub
このコードは、A1セルに「10」を出力するものです。コードの入力後、「F5」キーを押すか、メニューの「実行」ボタンをクリックすることで動作を確認できます。
また、「F8」キーを押すことで、コードを一つずつ実行することも可能です。こうした簡単なコードから始めることで、VBAの基礎を理解しやすいでしょう。
なお、VBAのコードについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。VBAの基本的なコードについて詳しく解説しています。
エクセルのVBAが学べるおすすめの入門書
エクセルのVBAを学ぶなら、以下の入門書がおすすめです。
- 今すぐ使えるかんたんぜったいデキます!Excelマクロ&VBA超入門
- できる イラストで学ぶ 入社1年目からのExcel VBA
- マンガで学ぶエクセル VBA・マクロ “自動化の魔法” Microsoft 365対応
これらの入門書の特徴について見ていきましょう。
入門書①今すぐ使えるかんたんぜったいデキます!Excelマクロ&VBA超入門
引用:Amazon
本書は、VBAの基本文法から実践的なプログラムの作成方法までを丁寧に解説した入門書です。
マクロやVBAがなにかというところから始められるため、入門者でも段階を踏みながらしっかりスキルを身につけられます。
サンプルファイルも付属しているので、学習もストレスなく進められるでしょう。
著者 | 井上 香緒里 |
出版社 | 技術評論社 |
発売日 | 2024年4月24日 |
入門書②できる イラストで学ぶ 入社1年目からのExcel VBA
引用:Amazon
本書は、理解の難しいVBAの使い方をイラストを用いて解説している入門書です。VBAの文法から語彙を、ケーススタディ形式で学習できます。
イラストベースで解説されているので、テキストの参考書では学習が捗らないという方におすすめです。
著者 | きたみあきこ、できるシリーズ編集部 |
出版社 | インプレス |
発売日 | 2018年12月13日 |
入門書③マンガで学ぶエクセル VBA・マクロ “自動化の魔法” Microsoft 365対応
引用:Amazon
本書は、漫画ベースでエクセルのVBAやマクロについて学べる入門書です。
ただ操作方法を見て学ぶだけでなく、ストーリーを楽しみながら学習できるため、複雑なVBAやマクロでも頭に入ってきやすいでしょう。
一度VBAの学習で挫折した経験のある方は、ぜひこちらの入門書で楽しくVBAを学び直してみてください。
著者 | きたみあきこ、秋内常家、トレンドプロ |
出版社 | マイナビ出版 |
発売日 | 2024年9月19日 |
エクセルのVBA入門者におすすめのセミナー
エクセルのVBA入門者は、独学よりもセミナーでプロから学ぶことで、効率的にスキルを習得できます。
エクセルのVBA入門者におすすめなのが、Excelマクロ・VBAセミナーです。
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- VBAプログラミングの基礎
- 既存マクロの改良
- 表記の統一と転記の自動化
- 表とグラフの一括作成
VBAをこれから始めてみたいと考えてる方は、ぜひExcelマクロ・VBAセミナーをチェックしてみてください。
VBAの入門についてのまとめ
今回は、VBAの入門として、VBAでできることやエクセルでの使い方について解説しました。
VBAは、エクセルの作業を効率化し、複雑な業務を簡略化するツールです。
特に、データ集計やグラフ作成、メールの一括送信など、日々の業務でよく使う作業を自動化できる点が魅力です。
また、マクロとの違いとして、VBAはより高度で柔軟な操作ができる点が挙げられます。
VBAを習得することで、エクセルの活用範囲が大きく広がるでしょう。
