エクセルのIF(イフ)関数は、条件に応じて異なる結果を表示できる便利な関数です。
条件に基づいて出力する文字列を制御できるため、データの仕分けをしたい場面で活用されます。
本記事では、イフ関数の基本的な使い方や、イフ関数に関連する関数について見ていきましょう。
エクセルのイフ関数とは
エクセルのイフ関数は、指定した条件に基づいた結果を返してくれる関数です。論理式が真の場合と偽の場合で、表示する値を分岐させられます。
イフ関数の基本的な構文は下記のとおりです。
論理式に設定した条件に当てはまる場合は、「値が真の場合」に設定した引数が、当てはまらない場合は、「値が偽の場合」に設定した引数が表示されます。
売上データの評価や、試験の合否判定といった場面でよく使用されます。
イフ関数を使うことで、手作業では面倒な条件分岐を自動化でき、データ分析の効率を向上させられるでしょう。
エクセルのイフ関数に使える比較演算子
エクセルのイフ関数に比較演算子をつかうことで、論理式の条件を詳細に設定できます。
比較演算子は二つの値を比較する際に使われる記号で、イフ関数には下記の演算子が使えます。
比較演算子 | 意味 | 例 |
= | 等しい | A1=10 |
> | より大きい | A1>10 |
>= | 以上 | A1>=10 |
< | より小さい | A1<10 |
<= | 以下 | A1<=10 |
<> | 等しくない | A1<>10 |
条件に応じて、これらの比較演算子を使い分けましょう。
エクセルのイフ関数を使う方法
具体的な例でイフ関数の使い方を見ていきます。上記の画像の表をもとに、「テストの点数が90点以上なら「合格」、それ未満なら「不合格」をD列に表示させる方法を見ていきましょう。
- D3に「=IF(」と入力する
- C3のセルをクリックする
- 「>=90, “合格”, “不合格”)」と入力する
- Enterキーを押す
- オートフィルでD7まで関数を反映させる
C3と90を以上の比較演算子でつなぐことで、C3に90以上の数値が入っている場合の論理式を指定しています。
これにより、C3のセルに90以上の数値が入っている場合は合格、90未満の場合は不合格が表示されます。
最後にオートフィルで関数をほかのセルにも反映させたら、80点以上か未満かで出力結果を変える関数の設定は完了です。
また、隣り合っているセルに一括で数式をコピーできるオートフィル機能について知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
オートフィルでできることや使い方、うまくできないときの原因について解説しています。
エクセルのイフ関数に複数の条件を指定する方法
AND(アンド)関数やOR(オア)関数を組み合わせることで、イフ関数に複数の条件を指定できます。
筆記の点数が70点以上かつ総得点が140点以上なら合格、それ以外は不合格としたい場合は、下記のように記述します。
また、筆記の点数が70点以上または実技の点数が80点以上なら合格としたい場合は、下記のように記述します。
例のように、イフ関数の中に、ほかの関数を入れ子構造にすることで、複数の条件指定が可能です。
エクセルで使えるイフを使った関数の種類
エクセルには、下記のようにイフ関数に関連した関数が多く存在しています。
- IFS(イフス)関数
- IFERROR(イフエラー)関数
- SUMIF(サムイフ)関数
- COUNTIF(カウントイフ)関数
- AVERAGEIF(アベレージイフ)関数
これらの関数の使い方について見ていきましょう。
種類①IFS(イフス)関数
イフス関数は、複数の条件を簡単に評価できる関数です。
従来のイフ関数では、複数の条件を評価するためにはイフ関数を入れ子にしたり、ほかの関数を活用したりする必要がありましたが、イフス関数を使用すればそれらが不要になり、シンプルに記述できます。
イフス関数の構文は下記のとおりです。
例えば、テストの点数によって評価を分岐させたい場合、下記のように記述します。
テストの点数が90点以上なら「A評価」70点以上なら「B評価」50点以上なら「C評価」それ未満なら「D評価」と表示されます。
このように、イフス関数は指定した複数の条件を次々にチェックし、最初に満たされた条件に対応する結果を返してくれます。
種類②IFERROR(イフエラー)関数
イフエラー関数は、エラーが発生したときに特定の値を返す関数です。計算式がエラーを返した場合にそのままエラーが表示されると困ることがありますが、この関数を使用すると、エラー時に指定のテキストや値を返すことができ、表の見やすさが向上します。
イフエラー関数の構文は下記のとおりです。
例えば、参照セルに数値がない場合に、エラーではなく「-」と表示したい場合は、次のように記述します。
エラーが予測される箇所があれば、あらかじめイフエラーを使っておくことで、問題の対処に手間がかからないでしょう。
種類③SUMIF(サムイフ)関数
サムイフ関数は、特定の条件を満たすセルの合計を求める関数です。指定した範囲内で条件に一致する値だけを合計するため、条件付きの合計を簡単に算出できます。
サムイフ関数の構文は下記のとおりです。
例えば、売上リストにおいて、特定の商品の売上合計を計算したいとき、次のように記述します。
C列に商品の名前が入力され、D列に売上が記録されている場合、「商品A」の売上の合計のみが求められます。
また、サムイフ関数のより詳しい使い方については、下記の記事で解説しています。
サムイフ関数を応用する方法や、うまく使えない場合の原因についても解説しているので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
種類④COUNTIF(カウントイフ)関数
カウントイフ関数は、指定した条件に一致するセルの個数をカウントする関数です。指定の条件に合致したデータがいくつ存在するかを簡単に数えることができます。
カウントイフ関数の構文は下記のとおりです。
例えば、テストで90点以上の生徒の人数を数えたいという場合は、次のように記述します。
カウントイフ関数を使うことで、手作業で数える手間がかからず、データ集計の時短になります。
また、カウントイフ関数のより詳しい使い方については、下記の記事で解説しています。
カウントイフ関数で文字列の部分一致を判定する方法や、文字の重複を除いてカウントする方法についても解説しているので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
種類⑤AVERAGEIF(アベレージイフ)関数
アベレージイフ関数は、指定した条件を満たすセルの平均を求める関数です。
条件付きで平均を算出したい場合に便利で、範囲内の条件に一致するセルの値のみを平均化します。
アベレージイフ関数の構文は下記のとおりです。
例えば、プロフィールの中から男性のみの平均身長を算出したいとします。その場合、次のように記述します。
この例では、C列に入力された性別が男性の場合、D列に入力された身長の平均が計算されます。
エクセルのイフ関数でよくあるエラー
エクセルのイフ関数を使っていると下記のようなエラーが出る場合があります。
- #VALUE!エラー
- #NAME?エラー
これらのエラーの意味と対処法について見ていきましょう。
エラー①#VALUE!
#VALUE!エラーは、イフ関数の中で無効なデータを処理しようとした場合に発生します。
例えば、論理式や参照しているセルに適切でない値が入力されている場合などに起こります。
#VALUE!エラーが表示された場合は、論理式や参照先のセルの値が適切か確認しましょう。
エラー②#NAME?
#NAME?エラーは、イフ関数やそのほかの関数名が正しく入力されていない場合に発生するエラーです。
関数名のスペルミスや、定義されていない名前を使用しているときにこのエラーが表示されます。
例えば、「SUMIF」と入力しなければいけないところを「IFSUM」と入力してしまっていたり、関数名の一部が抜けていたりする場合などが挙げられます。
#NAME?エラーが発生した場合は、関数が正しい形式で記述されているかを確認し、間違っている箇所を修正しましょう。
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エクセルのイフ関数についてのまとめ
今回は、エクセルのイフ関数について紹介しました。イフ関数は、エクセルの中でも使用頻度の高い関数で、条件に基づいた判断を行う際に使われます。
さらに、アンド関数やオア関数を組み合わせて複雑な条件を設定したり、サムイフ関数やカウントイフ関数などのイフ関数に関連した関数を使うことで、効率的にデータを処理したりできます。
まずはイフ関数の基礎的な使い方をマスターし、実務でも積極的に活用していきましょう。
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