AIやデータサイエンス分野のスキルを証明するE資格ですが、多くの受験者が気になるのは「E資格の合格点はどれくらいなんだろう?」「合格するためにはどのように学習を進めるべき?」という点でしょう。
本記事ではE資格の合格点や試験内容について解説するとともに、合格に向けた効率的な学習法やおすすめの学習教材をご紹介します。これからE資格を目指す方々にとって、合格を実現するための重要な情報になりますので、ぜひ参考にしてください。
そもそもE資格とはどんな資格?
E資格とは、日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する、AI(人工知能)開発に必要なスキルを認定する資格です。ディープラーニングを用いたAIプロジェクトに関わるエンジニアや研究者を対象としており、AI開発における実務能力を証明するものとして注目されています。
試験内容は主にディープラーニングの基礎から応用までの技術、機械学習や数理基礎、プログラミングスキル、AI倫理などが出題されます。試験形式は多肢選択式で約120分間にわたり約100問が出題され、合格点は非公開となっています。
試験は年2回程度(例年2月と8月頃)開催され、受験費用は一般が33,000円(税込)、学生が22,000円(税込)です。また、「JDLAが認定する教育プログラムを修了すること」という受験条件が設けられているのも、他の資格にはあまりない珍しい特徴といえます。
E資格は自然言語処理、画像認識、音声認識、自動運転、ロボティクスなど幅広い分野での利用が可能で、取得者の専門性を証明できるため、キャリアアップや転職に有利になることは間違いない資格です。
なお、合格点を含めたE資格の概要を一覧にまとめると、以下のようになります。
主催 | 一般社団法人 日本ディープラーニング協会 (JDLA) |
目的 | ディープラーニングを用いたAI開発の実務能力を認定する資格 |
対象者 | ディープラーニング技術を活用し、AIプロジェクトに携わるAIエンジニア |
受験要件 | JDLA認定プログラム修了証の取得が必要 |
試験形式 | 多肢選択式 |
試験時間 | 約120分 |
出題数 | 約100問程度 |
実施方式 | CBT方式 |
試験日程 | 年2回(例年2月、8月ごろに実施) |
受験費用 |
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合格点 | 非公開(推定:正解率60%程度) |
E資格の合格点
E資格の合格点は公式には公表されていないので、「何点を取れば合格」なのかは不明なのが現状です。ただ、過去の試験データや合格率からおおよその合格点は推測できます。
2018年に試験が開始されてから、合格率は63%~78%の範囲を維持しており、そして直近の2024年第2回試験では906名の受験者中600名が合格し、合格率は66.23%です。この合格率から判断すると、合格点は全体の得点の6割強程度であると推測できます。
また最新試験の科目別平均得点率を見ると、応用数学が59.89%、機械学習が58.07%、深層学習が56.03%、開発環境が68.50%という結果が示されています。このデータから各科目の合格点を推定すると、応用数学は5~6割、機械学習と深層学習は5割台、開発環境は6割台以上という想定がつきます。
応用数学や機械学習、深層学習の得点率がやや低めであることから、これらの分野が特に難しいことが伺えます。一方、開発環境は比較的高い得点率を示しており、準備次第で合格点を稼ぎやすい分野といえるでしょう。
合格点はもちろん参考にすべき指標にはなりますが、それ以上にわからない問題や分野をひとつでもなくしていくことが、結果的に合格点を稼ぐもっとも有益な対策となりそうです。
E資格の難易度は?
E資格は例年約65~75%程度を推移しています。合格点含めた数字だけで見ると比較的高く、「それほど難しくないのでは」と思ってしまいがちですが、これは現役AIエンジニアや経験者が多く合格している背景もあります。
実際、E資格はAIエンジニアに求められる幅広い知識とスキルを網羅的に測る、高度な試験です。AIの理論から実装までの総合的な能力を問うため、その難易度は国内の資格試験の中でも最高水準とされ、合格点を稼ぐのが難しいとされています。
また、同じく高難易度と評される試験として「AI実装検定S級」があり、こちらもE資格とは異なる特徴をもっています。
E資格はAIの基本原理や仕組みを理解し、実践で活用する能力を評価します。一方のAI実装検定S級では、画像認識や自然言語処理といった特定分野における実装力を深く掘り下げて認定する内容となっています。
試験の難易度や合格点をさらに理解するには、それぞれのシラバスや対象となるスキルセットを確認するのがいいでしょう。E資格は理論と実務のバランスが重視されるエンジニア向けの資格のため、試験対策および合格点を稼ぐには両面の準備が必要です。
なお、E資格の難易度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事が参考になりますのでぜひご一読ください。
E資格に合格するための学習法・コツ
E資格に合格点を稼ぐためには、適切な学習法を実践することや、学習のコツを掴んでおくことは必須です。この章では、E資格に合格するための学習法およびコツについて、以下のとおり解説していきます。
- JDLA認定プログラムを活用する
- 過去問題を用いた模擬試験を反復する
- 不明点は公式テキストで深堀りする
学習法・コツ①JDLA認定プログラムを活用する
E資格受験のための必須条件として設けられているのが、「JDLA認定プログラムの修了」ですが、こちらのプログラムは合格点を稼ぐのにもうってうけの内容となっています。認定プログラムはディープラーニングやAIの基礎知識から応用技術まで体系的に学べるため、E資格試験に必要な知識を効率的に習得できます。
また、最短で合格を稼ぐのであれば、「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」の受講がおすすめです。この講座は修了率99%突破、合格率83%以上を誇る実績あるプログラムで、JDLA認定のカリキュラムに基づき効率的に学習を進められます。
eラーニング形式なら自分のペースで学べる点もポイントで、料金は54,780円とたいへん安価です。E資格の合格点を少しでも稼ぐために、ぜひ以下の公式サイトで詳細をご確認ください。
なおJDLA認定プログラム(E資格講座)は、さまざまな企業がさまざまな内容や期間、料金で提供しています。以下の記事ではそれらを踏まえ、おすすめの講座を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてお読みください。
学習法・コツ②過去問題を用いた模擬試験を反復する
E資格で合格点を得るには、インプットを最小限に抑え、アウトプットを優先する学習が重要です。アウトプットの中でもとくに、過去問題を活用した模擬試験形式の反復がもっとも効果的です。
資格試験ではただ知識を学ぶだけではなく、試験特有の出題傾向や時間配分に慣れる必要があります。そこで過去問題を繰り返し解くことで、試験問題に対する理解が深まるだけでなく、解答スピードや正確性を向上させることが可能になります。
さらに時間を測りながら実施することで、本番と同じ緊張感を体験し、集中力や時間管理能力を養うことができます。E資格に限らず、資格試験で合格点を稼ぐには、こうしたアウトプットを重視した学習がもっとも効果的です。
学習法・コツ③不明点は公式テキストで深堀りする
インターネットや動画コンテンツを活用すれば独学でも効率よく学べる時代ですが、それだけですべて把握するのは難しい場合ももちろんあります。とくにE資格のような専門性の高い試験では、どうしても理解できない概念や計算が出てくることが多々あります。
その際には、公式テキストを参照することがもっとも効果的です。公式テキストには試験範囲に基づく信頼性の高い情報や、体系的に整理された解説が含まれているため、不明点をしっかりと解消できます。
さらに深堀りした内容は記憶に残りやすく、試験本番での応用力にもつながります。E資格合格を目指すなら、最低でも1~2冊の公式テキストを用意し、ピンポイントで疑問を解消できるよう備えておくことが重要です。
E資格に関するよくある質問
この章では、E資格に関するよくある質問について回答していきます。よりE資格の不明点を潰し、確実に合格点に達するためにも、ぜひ参考にしてください。
E資格とG検定は何が違う?
大きな違いは難易度で、結論、E資格の方が難しいです。
どちらも日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する資格ですが、G検定はAIやディープラーニングに関する知識をもち、戦略的に活用できる人材を対象としており、非技術職も受験可能です。
一方E資格は、実際にディープラーニング技術を使ってAI開発や運用ができるエンジニアを対象としています。そのため、E資格ではPythonや機械学習に関する実装スキルが必要とされます。
またE資格は「認定プログラムを修了しないと受験できない」という条件がありますが、G検定にはそのような条件はありません。つまり、G検定はAIの「理解」、E資格はAIの「実践」に重きを置いているというニュアンスです。
E資格は意味ないって本当?
E資格はAI市場におけるキャリアアップにおいて、大いに意味のある資格といえます。専門的な知識や実装スキルを証明するものとなるため、信頼の獲得につながるためです。
一部で「E資格は意味がない」と言われる理由は、資格の認知度がまだ限定的であることや、資格がなくてもディープラーニングの開発が可能であることにあります。
E資格保持者の年収相場は?
所属する企業や職種、経験年数によって異なりますが、年収700万~1,000万円程度は期待できます。E資格保持者、かつ何らかの経験があれば管理系やリーダー系のポジションを任されることが多くなるためです。
とくにディープラーニングを用いたプロジェクトで成果を上げられる人材は、スタートアップや大企業からもより高く評価されます。
E資格の合格点まとめ
ここまでE資格の合格点をはじめ、勉強法やコツについて解説してきました。試験対策では深層学習を中心とした幅広い知識を身につける必要があり、効率的な学習計画を立てることが成功のポイントとなります。
E資格はAI開発における専門的なスキルが証明され、キャリアアップや新たな挑戦をよりスムーズにしてくれる資格です。合格点をしっかり把握のうえ学んだ知識を活かし、AI分野でさらなる活躍を目指していきましょう。
