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CAE解析を機械学習で効率化する方法!AIをCAE解析に導入しよう

ものづくりの現場において、効率的に製品を設計することが求められています。
そのため、CAE解析が製品をつくる工程で利用されてきましたが、機械学習・AIが注目されるなか、両者を合わせて高度な解析を行うことで、さらに品質のよい製品が生み出されています。
この記事では、CAE解析を機械学習で効率化する方法について紹介します。

CAE解析とは

CAE解析とは

「CAE(Computer Aided Engineering)」は、コンピューターを用いて物事を細かく、組織的・論理的に調べることです。
具体的には、バーチャル上でシミュレーションを行い、その製品の温度や強度、振動などの性能評価が行われます。

CAE解析を行うメリットとして、まず、製造にかかるコストをカットできることがあげられます。
通常行われる製品の試作段階で、作成したり実験を行ったりする回数を減らすことができ、不具合がみつかり、差し戻しや新たに試作品をつくるといったことがないため、工程の短縮のほかコストを抑えることもできるのです。
また、数値に基づく正確な計測を行うことができるため、解析結果の精度が高いといったこともあげられます。

CAE解析活用事例

CAE解析を活用した事例を紹介します。
まず、自動車の安全性をチェックするため、車を衝突させる実験の代わりにシミュレーションして解析する際に活用されています。

そのほか、「宇宙では製品がどう変化するのか」「マイナス80度の環境ではどうなるのか」といった再現が難しい環境のシミュレーションもできるでしょう。

そして、試作段階で無駄なエネルギーを消費したり、廃棄物を出したりがないため、環境にやさしいといったメリットもあります。

機械学習とは

機械学習は、AIを支える技術の1つで、「ML(Machine Learning)」とも呼ばれています。
経験による学習で、自動的に改善されるコンピューターアルゴリズムなどの領域では、人工知能の一種とみなされていて、「訓練」もしくは「学習」と呼ばれるデータを用いた学習の結果からタスクをこなしていきます
機械学習は、主に、計算機を使って予測する「計算統計学」や、定められた条件下における最適な解答を導き出す「数理最適化」などの分野と関わることが多いです。

機械学習活用事例

活用例として、まず顔認識があります。
たとえば、顔認証システムでは、膨大な「人の顔のデータ」から、機械がそれぞれの特徴を学習することで、人の顔を識別しています。

また、自動運転システムにおいても、機械学習が利用されています。
スマートカーの製造段階で搭載されたさまざまなセンサーによって、事故を未然に防ぐ運転を学習するのです。
具体的には、どのくらい距離を保てば周囲のものとぶつからないのか、前方を走行している車と安全な距離を保つためにどのくらい減速すればいいのか、といった内容について学習していきます。

そのほかに、大手ECサイト・通販サイトなどに利用されているレコメンド(おすすめ機能)は、ユーザーが検索・購入した商品やサービスを学習して、購買履歴をもとに似たような商品や関連するものをおすすめとして表示します。
マーケティング施策で欠かせない仕組みとなっています。

このように、機械学習は、私たちの身近なところで活用されているのです。

CAE解析を機械学習で効率化する方法

CAE解析を機械学習で効率化する方法

CAE解析は機械学習で効率化させることができます。
いくつかその方法を紹介しましょう。

3D形状生成AI

3Dを生成する際、さまざまな設計案をAIに学習させることでバリエーション生成することが可能です。

例として、深層学習用AI構築ツール「Neural Concept Shape(NCS)」があります。
深層学習システムによって、蓄積されたCAEの解析データを学習し、専門知識や高度な解析機能を有する学習モデルが構築され、経験値の高くない設計者であっても、レベルの高いシミュレーション結果を数分で予測できるようになります。
NCSではコア技術に「3D Geometric Convolutional Neural Network」が採用されており、インプットされた3次元形状の特性を忠実に学習しながら、高精度なシミュレーションの結果も学習できます。
そのため、構築された学習モデルに対して、新しく入力した形状に基づいた3次元結果を予測できるのです。

製造プロセス・生産パラメータの最適化

製品をつくる段階で、そのパラメータを人が調整するとなると、限界があるでしょう。
一方、AIを代用すれば、製造プロセス・生産パラメータを従来の方法ではできなかった組み合わせを含めて、あらゆる加工条件を予測し最適化できます。
その際、既存データで実行できる可能性を十分に考慮して自動化し、効率的に最適値を求めることが可能です。
これにより、これまで探し当てたことのないパラメータを対象として、加工する条件の予測や検証を行えるため、効率的に安定した品質を保つことができます。

サロゲートモデル(サロゲートモデリング)の活用

サロゲートモデルは、CAE解析に代わって、ニューラルネットワークなどの機械学習を活用し、現象を計算したり予測したりすることです。
CAEは、複雑で高精度になる必要のある分野もあるため、計算時間が膨大にかかってしまうということがあります。
サロゲートモデルを構築すれば、もともと物理現象をコンピュータ上でシミュレーションし、製品開発における試作を減らせるCAEの結果を、AIに学習させることができます。
そのため、さらにあらゆる工程を省くことができ、処理時間を短縮することが可能になるのです。

たとえば、CAEでは数週間程度かかっていた解析に要する時間が、わずか一秒にまで短縮できたといった事例もあります。

メッシュ自動生成AI

航空・宇宙業界で多く使用されるメッシュの生成において、流体現象が急激に変化する空間や特定部位に関して、メッシュを細分化する必要が生じます。
しかし、必要以上に解像度を高めるとデータの規模が大きくなってしまうため、コストが高くなってしまうのです。
また、確認したい物理現象の数値の解析には技術的なノウハウが必要となります。
そのため、計算精度を保ちつつコストを抑えられる方法として、機械学習を利用した「メッシュ自動生成AI」が活用されています。

Altairの機械学習

製品を開発する過程でAI技術を組み込めば、新製品の設計段階で、高性能な数多くの形状アイディアを効率的に生み出すことができるでしょう。
AltairのAIでは、製品の性能評価で採用されているツールによる解析結果を元にした機械学習モデルの作成や活用が行われています。
そのため、AltairのAIを利用することで、開発当初の段階で、実現するのが難しい構成を選別することができるので、無駄な工程を省いてよりスピーディーな設計が行われます。

たとえば、先進的な予測分析機能が搭載されているため、コードを一行も書くことなく、データを可視化して、理解しやすい分析結果が導きだされるのです。
そのほかに、製品の設計や製造に関するさまざまな課題にも応用されており、自動車の製造工程の一つ板金プレスにおいては、部品ごとのプロセスで最適で、かつコスト効率のある選別が行われています。
熟練者の経験や知識が必要とされる場面でも多用されているようです。

CAE解析に機械学習を活用しよう

CAE解析における機械学習の活用は、主に産業界の分野で行われてきました。
高齢化にともない、今後も労働人口の減少がすすめば、効率化を求めて機械学習・AIが利用される場面が増えるでしょう。

たとえば、AIによってコンピューターが音声や映像などの大量のデータを分析できるようになったことで、科学や医学など、さまざまな分野において、より一層活用されていくことが期待されます。

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