Blenderを使っていると、複雑なシーンで作業効率が落ちてしまうことはありませんか?
そんな悩みを解決するのが、オブジェクトのグループ化です。
グループ化を活用すれば、作業時間の短縮や修正の簡素化など、多くのメリットを得られます。
本記事では、Blenderの基本からグループ化の方法、そしてグループ化する際の注意点まで解説します。
Blenderでより効率的な作業を実現したい場合は、ぜひ参考にしてください。
Blenderとは
Blenderは、無料で使える3DCG制作ソフトウェアです。
無料ではあるものの、有料ソフト顔負けの機能を備えています。
具体的には、モデリングからアニメーション、レンダリングまで、3D制作の全工程をこれ一つでカバーできるのが特徴です。
また、オープンソースという特徴もあります。
オープンソースと言う特徴から、世界中の開発者が日々改良を重ね、進化し続けています。
そのため、最新の技術をいち早く取り入れられるのが強みです。
商用利用も可能なので、趣味で始めたことが仕事につながることもあるでしょう。
ただし、使い方は少し難しく感じる場合もあるため、操作方法などの学習が必要です。
Blenderでオブジェクトをグループ化するメリット

Blenderでオブジェクトをグループ化すると、作業効率が向上します。
ここでは、その主なメリットを詳しく解説します。
- 作業の効率化
- シーンの整理
- 再利用性の向上
- アニメーション制作の効率化
- レンダリング設定の簡略化
- チームワークの向上
- 修正作業の簡素化
作業の効率化
グループ化の最大のメリットは、作業時間の短縮です。
複数のオブジェクトを1つのグループにまとめれば、一度の操作で全体を動かせます。
また、同じ変更を複数のオブジェクトに適用する際も便利です。
スケールの調整や回転など、グループ全体に一括で適用でき、細かな調整に費やす時間を大幅に削減できるのです。
シーンの整理
複雑なシーンを扱う際もグループ化は有効です。
たとえば、関連するオブジェクトをまとめることで、シーンの構造が明確になるからです。
さらに、グループ単位で表示・非表示を切り替えられるのもメリットでしょう。
作業中に不要な部分を隠せば、集中力も高まります。
加えてレイヤー機能と組み合わせれば、より効果的なシーン管理が可能になるでしょう。
再利用性の向上
グループ化したオブジェクトは、他のプロジェクトでも簡単に再利用できます。
また、グループのコピーも簡単です。
同じ要素を複数配置する際にグループごとコピーすれば手間が省けます。
アニメーション制作の効率化
複雑なアニメーションを作る際も、グループ化がメリットになります。
関連する部品をグループ化しておけば、動きの制御が容易です。
また、グループ単位でキーフレームを設定できるのもメリットでしょう。
全体の動きを一度に設定できるため、アニメーション作業の効率が大幅に上がります。
レンダリング設定の簡略化
グループ化は、レンダリング設定の管理にも役立ちます。
グループ単位でマテリアルを適用できるため、複雑なシーンでも設定が簡単です。
たとえば、建物のグループに一括でテクスチャを適用できます。
また、グループごとにレンダリング設定を変更できるのも便利です。
特定の部分だけ高品質でレンダリングしたい場合など、柔軟な対応が可能になります。
チームワークの向上
複数人で1つのプロジェクトに取り組む際にも、グループ化がおすすめです。
具体的には、担当範囲をグループ化しておくと、作業の区分けが明確になります。
結果的に、他のメンバーの作業を誤って変更してしまう心配も減るでしょう。
また、グループ単位でファイルを分割し、後で統合することも可能です。
大規模なプロジェクトでは、この機能が作業の効率を大きく左右するでしょう。
修正作業の簡素化
グループ化は、修正作業も大幅に簡素化します。
たとえば、キャラクターモデルの一部を変更する場合、関連する部分をグループ化しておけば、修正箇所の特定が容易です。
また、グループ単位で変更履歴を管理できるのも便利です。
必要に応じて過去の状態に戻せるため、大胆な変更も安心して試せます。
その結果、クリエイティブな挑戦がしやすくなるのです。
Blenderでオブジェクトをグループ化する方法!
ここからは、Blenderでオブジェクトをグループ化する具体的な方法を見ていきましょう。
| ①オブジェクトの選択 | ・グループ化したいオブジェクトを選択する ・選択時は、アウトラインが黄色く変わるので、間違いなく選べているか確認できる |
| ②グループ化の実行 | ・Ctrl + G」を押すと、グループ化される ・マウス操作の場合は、上部メニューの「Object」から「Group」を選び、「Create New Group」を選択するとグループ化される |
| ③グループ名の設定 | ・名前を変更するときは、右側のプロパティパネルを開き、「Object」タブを選択する ・分かりやすい名前をつける |
| ④グループの確認 | ・3Dビューポートの左上にある「オブジェクトモード」のドロップダウンメニューを開く ・「Group」というオプションがあれば、グループ化できている |
| ⑤グループにオブジェクト追加したいとき | ・既存のグループを選び、「Ctrl + L」を押し、表示されるメニューから「Link to Group」を選択する |
| ⑥グループからのオブジェクトを削除したいとき | ・削除したいオブジェクトを選択し、「Object」メニューから「Group」を選び、「Remove from Group」をクリックすると、選択したオブジェクトがグループから外れる |
| ⑦グループを解除したいとき | ・グループ化されたオブジェクトを全て選択し、「Ctrl + Alt + G」を押すと、グループが完全に解除される |
| ⑧グループを複製したいとき | ・グループを丸ごと複製したい場合は、グループを選択した状態で「Shift + D」を押す |
1. オブジェクトの選択

まずは、グループ化したいオブジェクトを選択します。
複数のオブジェクトを選ぶには、Shiftキーを押しながらクリックしていきます。
全てのオブジェクトを一度に選択したい場合は、「A」キーを押すと便利です。
選択時は、アウトラインが黄色く変わるので、間違いなく選べているか確認できます。
なお、選び忘れがないよう、慎重に作業しましょう。
2. グループ化の実行

オブジェクトの選択が完了したら、いよいよグループ化です。
キーボードショートカットを使うのがスムーズなのでおすすめです。
具体的には、Ctrl + G」を押すと、瞬時にグループ化されます。
もし、マウス操作が好みなら、上部メニューの「Object」から「Group」を選び、「Create New Group」をクリックします。
3. グループ名の設定

グループ化が完了すると、自動的に名前が付けられます。
ただし、分かりやすい名前をつけたほうが良いでしょう。
名前を変更するときは、右側のプロパティパネルを開き、「Object」タブを選択します。
そこに「Group」という項目があるので、クリックして展開します。
その後、グループ名を変更できるフィールドが表示されるので、適切な名前を入力しましょう。
4. グループの確認

グループ化が正しく行われたか、確認しておきましょう。
手順としては、3Dビューポートの左上にある「オブジェクトモード」のドロップダウンメニューを開きます。
そこに「Group」というオプションがあれば、グループ化は成功です。
このモードに切り替えると、グループ全体を1つのオブジェクトとして扱えます。
グループにオブジェクト追加したいとき

後からグループにオブジェクトを追加したくなることもあるでしょう。
その場合は、追加したいオブジェクトを選択します。
次に、既存のグループを選びます。
そして、「Ctrl + L」を押し、表示されるメニューから「Link to Group」を選択します。
これで、新しいオブジェクトがグループに追加することが可能です。
グループからのオブジェクトを削除したいとき

逆に、グループからオブジェクトを削除したい場合もあります。
その際は、削除したいオブジェクトを選択し、「Object」メニューから「Group」を選びます。
そして、「Remove from Group」をクリックすると、選択したオブジェクトがグループから外れます。
ただし、グループ自体は残るので、ご注意ください。
グループを解除したいとき
グループ全体を解除したい場合は、グループ化されたオブジェクトを全て選択します。
そして、「Ctrl + Alt + G」を押すと、グループが完全に解除され、各オブジェクトは元の状態に戻ります。
これでグループ化前の状態を完全に復元できるので、安心して使えるでしょう。
グループを複製したいとき
グループを丸ごと複製したい場合は、グループを選択した状態で「Shift + D」を押します。
これでグループ全体のコピーが作成されるので、複雑な構造物を複数配置するときなど、とても便利な機能です。
Blenderでオブジェクトをグループ化する時の注意点
Blenderでオブジェクトをグループ化する際、いくつかの注意点があります。
これらを押さえておけば、スムーズな作業が可能になるでしょう。
ここでは、注意点とその回避方法を解説します。
- 階層構造に注意する
- 変形の影響を確認する
- 名前付けのルールを統一する
- 不要なグループ化を避ける
- アニメーションへの影響を考慮する
- レンダリング設定を確認する
階層構造に注意する
グループ化すると、オブジェクト間に階層関係が生まれます。
親子関係を意識せずにグループ化すると、予期せぬ動作の原因になります。
たとえば、キャラクターの腕をグループ化する際は、上腕を親、前腕を子にすといいでしょう。
階層構造を整理してからグループ化するのがポイントです。
変形の影響を確認する
グループ化後、スケールや回転を適用すると、個々のオブジェクトに予想外の変形が起きることがあります。
特に原点が異なるオブジェクト同士をグループ化した場合は要注意です。
変形を適用する前に、必ずプレビューで確認しましょう。
名前付けのルールを統一する
グループ名は、後々の作業効率に大きく影響します。
「Group_001」のような自動生成名をそのまま使うのは避けましょう。
たとえば、「Character_Head」「Prop_Table」など、分類しやすい名前を付けるのがおすすめです。
チーム作業の場合は、特に命名規則の統一を意識しましょう。
不要なグループ化を避ける
やみくもにグループ化すると、かえって作業効率が落ちます。
本当に必要な部分だけをグループ化しましょう。
たとえば、背景の小物を全てグループ化するより、重要な部分だけをまとめる方が効率的です。
アニメーションへの影響を考慮する
グループ化したオブジェクトにアニメーションを適用する際は注意が必要です。
なぜなら、個別のオブジェクトに設定したキーフレームがグループ化によって影響を受けることがあるからです。
そのため、アニメーション作業の前にグループ化するのが安全です。
レンダリング設定を確認する
グループ単位でレンダリング設定を変更できるのは便利ですが、思わぬ結果を招くこともあります。
グループ全体に適用された設定が、個々のオブジェクトの設定を上書きしてしまう可能性があります。
よって、レンダリング前に各オブジェクトの設定を再確認しましょう。
Blenderでオブジェクトをグループ化する方法についてまとめ
Blenderでのオブジェクトのグループ化は、3DCG制作の効率を大きく向上させます。
作業の効率化やシーンの整理、再利用性の向上など、多くのメリットがあります。
ただし、グループ化の手順は難しくないものの、階層構造や命名規則など、いくつかの注意点も押えておきましょう。
これらのテクニックを活用すれば、複雑な3DCG制作もスムーズにこなせるようになります。
ぜひ、グループ化に取り組んで、作業をスムーズに進めてください。