3DCGソフトを選ぶときに、選択肢に挙がるのがBlenderと3ds Maxでしょう。
両者とも優れたソフトですが、特徴や用途が異なるため、選択に悩む方もいます。
そこで、本記事では、BlenderとAutodesk 3ds Maxの基本知識から違い、それぞれに向いている人まで解説します。
3DCGソフト選びに迷っている場合は、ぜひ参考にしてください。
Blenderと3ds Maxの基本知識
3DCG制作の世界で、BlenderとAutodesk 3ds Maxは有名なソフトです。
まずは、それぞれの基本的な特徴などを見ていきましょう。
Blenderとは
Blenderは、3DCG制作において万能型のソフトと言えるでしょう。
無料で使えるオープンソースソフトウェアながら、プロ仕様の機能を備えています。
モデリングからアニメーション、レンダリングまで3DCG制作に必要な作業をこれ1本でこなせます。
さらに、3Dモデリングはもちろん、2Dアニメーションや動画編集まで可能な多機能性も魅力です。
使い込むほどに新しい使い方が分かってくるので、上級者も満足できるできるでしょう。
とはいっても、初心者にも優しい設計で直感的な操作も可能です。
また、コミュニティの熱量も特徴的な部分でしょう。
世界中のクリエイターが情報を共有し、互いに高め合っています。
制作で困ったときは、クリエイターの知恵を借りることも可能です。
3ds Maxとは
一方、3ds Maxは業界標準として長年利用されてきた老舗ソフトです。
建築やプロダクトデザイン、ゲーム開発など、幅広い分野で利用されています。
特に精密さと安定性が特徴で、複雑な形状も正確に再現でき大規模プロジェクトでも安定して動作します。
また、プラグインの豊富さも魅力です。
さまざまな機能拡張が可能で、ニーズに合わせてカスタマイズでき、自分仕様に作り上げられるでしょう。
ただし、有料ソフトなので導入にはコストがかかります。
加えて、使いこなすには少し時間がかかるため、じっくりと向き合う必要があるソフトです。
Blenderと3ds Maxの違い
ここからは、Blenderと3ds Maxの違いについて、詳しく解説していきます。
価格
最も大きな違いは、価格です。
Blenderは完全無料で使えますが、3ds Maxは有料ソフト月額や年間のサブスクリプション形式で提供されています。
しかし、Blenderは無料でありながら、機能性も評価されており、人気が高まっているソフトです。
3ds Maxは長年、幅広い分野で使われてきた側面から有料でも利用者が多くなっています。
操作性
Blenderは、直感的な操作が特徴で、初めて3DCG制作に取り組む場合であっても、スムーズに作業できます。
また、独特のショートカットキーによって作業効率の向上も可能です。
対して3ds Maxの操作性は、やや複雑です。
しかし、操作や機能の使いこなしに時間がかかる分、慣れてくれば細かな調整ができるでしょう。
モデリング機能
両ソフトとも、高度なモデリング機能が特徴です。
Blenderは、スカルプティング（粘土細工のような造形）が得意なので、有機的な形状を作るのに向いています。
一方で3ds Maxは、建築やプロダクトデザインなど、正確さが求められる分野で重宝されるでしょう。
アニメーション機能
アニメーション機能も、両者とも充実しています。
Blenderは、キャラクターアニメーションに強く、リギング（骨組みの設定）も直感的に行うことが可能です。
3ds Maxは、複雑な動きや物理シミュレーションを得意としており、特に大規模な映像制作現場で活躍しています。
レンダリング能力
レンダリング（画像の生成）でも、それぞれに特徴があります。
Blenderは内蔵のCycles（レンダリングエンジンの1つ）が高性能であり、リアルな質感表現を可能にします。
大使て3ds Maxは、Arnold等の外部レンダラーと連携が容易なため、プロジェクトに応じて最適なレンダラーを選べるのが強みでしょう。
対応OS
Blenderは、Windows、Mac、Linuxと、主要なOSに対応しており、どの環境でも同じように使えるのが特徴です。
3ds Maxは、主にWindowsでの使用を想定しているため、Mac版はありません。
この点は、使用環境を検討する際の注意点です。
コミュニティとサポート
Blenderは、コミュニティがあり、他のユーザーからアドバイスをもらうことが可能です。
さらに、無料のチュートリアルも豊富にあるため、自分なりに学習できます。
一方、3ds Maxは、公式サポートが充実しています。
企業向けの手厚いサポート体制が整っているのが特徴です。
業界での評価
Blenderは近年急速に評価を高めています。
なぜなら、無料かつ高機能であり、個人クリエイターやインディーズスタジオが好んでいるためです。
一方の3ds Maxは、長年にわたり業界標準として使われており、大手スタジオでの採用実績も豊富です。
Blenderと3ds Maxのどちらを選べば良いか
BlenderとAutodesk 3ds Maxは、価格や特徴が異なるため、それぞれで向いている人にも違いがあります。
Blenderが向いている人
Blenderは、3DCG制作初心者や個人クリエイターなどを中心におすすめです。
3DCG制作初心者
3DCG制作の初心者であれば、Blenderがおすすめです。
無料で使えるため、気軽に始められ、思う存分試せます。
また、初心者向けのチュートリアルも豊富にあり学習面でも心配はいらないでしょう。
YouTubeなどでは、基礎から学べる動画が多く提供されています。
個人クリエイター
予算に制限がある個人クリエイターにも、Blenderは最適です。
なぜなら、高額なソフトに投資する必要がなく、プロ級の作品を作れる機能を備えているからです。
さまざまな機能を使えるようになれば、自己表現の幅が広がり、より高度な制作に挑戦できるでしょう。
多機能なツールを求める人
先述のとおり、Blenderは3Dモデリングだけでなく、アニメーション、テクスチャリング、レンダリングまで、一通りの作業をこなせます。
動画編集機能も含め、オールインワンのツールを求める方には、適するソフトです。
そのため、複数のソフトを使い分ける手間が省けるのもメリットでしょう。
クリエイティブな表現を追求したい人
Blenderは、芸術的なな表現に強みがあり、有機的なモデリングやスタイライズ（型にはめる）されたアニメーション制作に向いています。
よって、自由な発想を形にしたい方、独自の表現スタイルを追求したい方には特におすすめです。
オープンソースの理念に共感する人
Blenderは、オープンソースソフトウェアであり、ソースコードが公開されています。
そのため、誰でも改良や拡張ができる点が特徴です。
この理念に共感し、コミュニティと共に成長したい方は、Blenderが適しているでしょう。
3ds Maxが向いている人
3ds Maxが向いている人は、よりプロ志向の方に向いています。
プロの現場で活躍したいな3DCGアーティスト
3ds Maxは、長年にわたり3DCG制作の分野で使われてきたので、プロの現場で活躍したい方には、必須ソフトともいえるでしょう。
大手スタジオでの採用実績もあり、キャリアアップを目指す方にはにもおすすめです。
精密なモデリングを行いたい人
建築やプロダクトデザイン、工業デザインなど、精密さが求められる分野で3ds Maxによる3DCG制作は実力を発揮します。
正確な寸法や複雑な形状を扱う機会が多い方には、最適なツールです。
大規模プロジェクトに携わる人
3ds Maxは、大規模なプロジェクトでの使用を想定して設計されています。
複雑なシーンでも安定して動作し、チームでの共同作業もスムーズです。
映画やゲーム開発など、大規模な制作現場で働く方にはおすすめといえます。
カスタマイズ性を重視する人
3ds Maxは、豊富なプラグインやスクリプトでカスタマイズできます。
そのため、自分の作業フローに合わせて、ソフトをカスタマイズしたい方に向いています。
特に効率的な作業環境を追求したい方には、魅力的なソフトです。
企業向けサポートを求める人
3ds Maxは、Autodeskによる公式サポートが充実しています。
よって、技術的な問題やライセンス管理など、企業レベルのサポートが必要な方には最適です。
安定した制作環境を求める企業や大規模なスタジオには、このサポートが欠かせないでしょう。
両方を使いこなすことも可能
BlenderとAutodesk 3ds Maxの両方を使いこなす方法もあります。
具体的には、それぞれの長所を生かし、場面に応じて使い分ける方法です。
たとえば、アイデアの初期段階ではBlenderで素早くモックアップを作成し、詳細な仕上げは3ds Maxで行う、といった具合です。
両方のスキルを持つことで、さまざまな現場や案件に対応できる、オールラウンドな3DCGアーティストになれるでしょう。
結局のところ、「正解」は1つではありません。
目標、予算、作業スタイルに合わせて選んでみてください。
Blenderと3ds Maxについてまとめ
BlenderとAutodesk 3ds Maxは、それぞれに魅力があります。
Blenderは無料で多機能、3ds Maxは精密で安定性が高いという特徴があります。
どちらを選ぶかは目標や予算、作業スタイルによって変わってきます。
大切なのは、自分に合ったツールを選び、それを使いこなすことです。
また、両方のスキルを身につければ、さらに可能性が広がるでしょう。
どちらが良いか迷っている場合は、無料で試せるBlenderから始めてみてはどうでしょうか。
