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【2024】TOPcamとは?機能・使い方・メリット・導入企業事例

近年の金型設計において、2Dデータから3Dデータに移行を進める企業が増えている中で、設計のあり方について見直しを行う必要性に迫られています。自社の課題解決のためにCADとCAMの機能を一体化したTOPcam(トップキャム)が注目されています。

しかし、TOPcamの導入にあたって、自社にもたらす効果について気になる企業も多いでしょう。そこで今回は、TOPcamの機能やメリット、企業の導入事例について解説します。

TOPcamとは?

TOPcam
引用元:TOPcam

TOPcam(トップキャム)とは、フランスのMissler Software社が開発したCAD・CAM統合型ソフトウェアです。現在は、3DCADシステム「TopSolid」と統合されたため「TopSolid’CAM」という名称で販売されています。

TopSolidのCADデータをCAMで利用することで、ツールパスに形状変更の反映が可能です。
ツールパスは、自動生成機能を使用することで、ドラッグアンドドロップで作成できます。

また、従来のCAMが苦手としていた穴あけや2軸加工を強化しているため、高精度な加工を実現します。一つのシステムで、設計プロセスで必要な作業を完結できるため、生産性の向上に役立つでしょう。

TOPcamの価格

TOPcamの価格は、自社の課題解決に合わせた機能によって変動します。
そのため、開発元や国内の販売代理店に見積もりを依頼しましょう。

コダマコーポレーション株式会社の公式サイトから体験版をインストールすると、TOPcamのCADシステム「TopSolid’Design」を30日間の無料で体験ができます。
これから導入する場合は、体験版で操作してから検討してみましょう。

TOPcamの機能・使い方

TOPcamの主な機能は次のとおりです。

  • 複合加工機能
  • CAD機能
  • 自動修正機能
  • 同時5軸加工機能
  • PDM機能

各機能と使い方について解説しましょう。

複合加工機能

TOPcamの複合加工機能は、次のようなケースで使用します。

  • 複雑なデータ変換を自動化したい場合
  • 複数の加工機能を使いたい場合

複合加工機能は、連携しているCADシステムで動作するため、複雑なデータの変換作業が不要になります。CADで形状を修正するだけで、レーザー加工のパスや図面に自動反映されるため、手戻りやミスを削減します。

2D曲線や3Dモデルのフェースでパスの作成を行い、データに合わせてレーザー加工が可能です。
作業の自動化により、担当者の負担軽減に役立ちます。

CAD機能

TOPcamのCAD機能は、次のようなケースで使用します。

  • 1つのシステムで2D・3D設計をしたい場合
  • 変更事項をリアルタイムで更新したい場合

2Dまたは3DのCADシステムで設計変更すると、常に連動しているため、両方の設計図面の自動修正が行われます。

ソリッドモデルは、スケッチを作成してから穴や切断の溶接フィーチャを活用すれば、簡単に作成が可能です。加工に必要な展開図は、迅速に自動作成できるため、リアルタイムで更新された図面と部品表を出力できます。

CAD機能を導入することで、手作業によるミスの防止につながります。

自動修正機能

TOPcamの自動修正機能は、次のようなケースで使用します。

  • 曲面の不正を一括で自動修正したい場合
  • 個別で作成する必要がある図面を自動作成に移行したい場合

自動修正機能には、モデルの曲面に対する不正の自動修正が可能です。

従来では、自動修正の設定をファイルごとに行う必要がありました。
しかし、TOPcamでは一括設定ができます。

また、展開図や組立図、部品図、部品表を自動作成できる機能が搭載されています。
一般的に新規プロジェクトを開始する際に、個別で作成しなければなりませんでしたが、初期段階の工数を削減するのに役立つでしょう。

同時5軸加工機能

TOPcamの同時5軸加工機能は、次のようなケースで使用します。

  • 高精度な金型部品の加工がしたい場合
  • 加工条件をもとにツールパスを自動作成したい場合

TOPcamでは、従来の3DCAMシステムが苦手としていた高精度の穴あけや2軸加工を強化しているため、複雑な形状の加工に適しています。

たとえば、ドリル穴やタップ穴の配置に必要な穴のデータを持つため、迅速に穴の作成が可能です。工具の使用順序や切削条件を登録できるため、加工条件をもとにツールパスが自動生成されます。

技術者のスキルのバラつきを削減できるため、業務の標準化に活用できます。

PDM機能

TOPcamのPDM機能は、次のようなケースで使用します。

  • 設計プロセスにおいて手戻りを防止したい場合
  • 設計に必要なデータを一元管理したい場合

PDM機能では、設計に必要なCADやCAEなどのアプリケーションが連動しているため、変更が生じた場合に各データの自動更新が行われます。一つひとつ修正する手間がなくなるので、手戻りによる納期遅れを防止できます。

また、製品開発に関するデータを一元管理できるため、必要なときに参照したいデータの利用が可能です。ファイル名や保存先を変更した際は、ツリーで確認できるので、参照先の紛失を回避できます。

TOPcamを導入するメリット

続いては、TOPcamを導入することで得られるメリットについて解説します。
TOPcamを導入する主なメリットは次のとおりです。

  • 工数を大幅に削減できる
  • 1つのシステムで複数の加工ができる
  • 加工プロセスを標準化できる

工数を大幅に削減できる

従来の3DCADでは、自動車のバンパーや冷蔵庫などの膨大なデータへの対応が困難でしたが、TOPcamでは快適に作業を進めることができます。

具体的には、大型部品の金型設計において各図面のデータが相互に連動することで、工数を大幅に削減できます。作業に時間がかかる部品図や部品表の作成は、3Dデータから自動生成できるため、手戻りのない設計が可能です。

一つのシステムで複数の加工ができる

TOPcamは2軸加工、3軸加工、5軸加工などに対応しているため、一つのシステムで必要な加工が完結します。従来のCAMでは困難な形状の加工を高精度な仕上がりにできるため、自社の加工業務の範囲を拡げるのに役立ちます。

加工では単純な作業の繰り返しが多く、人的なミスが頻繁に起こる場合は、業務改善が必要です。TOPcamを導入すればミスを減らせるため、結果的に時間とコストの削減につながります。

加工プロセスを標準化できる

TOPcamでは、ユーザーの加工ノウハウを登録できるため、登録内容を活用したパスの自動生成により、工数を大幅に短縮できます。加工プロセスの標準化を実現できるため、技術者のスキルの偏りをなくします。

部品加工用のCAMと連携することで、工具の使用順序や加工条件をもとにツールパスの自動作成が可能です。

TOPcamのセミナー

TOPcamの導入を始めた企業の中には、使い方がわからないケースも少なくはありません。

日本国内では、TOPcamの使い方を学べるセミナーが定期的に開催されています。加工プロセスの作成方法やNCデータの出力方法など基本的な機能を理解するときに役立ちます。

機能ごとにカリキュラムが分かれているため、必要な学習内容に合わせて時間のあるときに参加してみましょう。

TOPcamの企業導入事例

最後に、TOPcamを導入している企業の活用事例を紹介しましょう。

株式会社東海ヒット

株式会社東海ヒットは、顕微鏡周辺の機器の設計から販売まで行っている企業です。
同社でTOPcamを導入した結果、次のような実績を出しています。

  • CADからCAMまでのデータをまとめて作成ができた
  • 設計ミスを導入前と比べて半分以上の減少に成功した

同社では、TOPcamを導入するまでに2DCADを使用していました。
干渉や配線のチェックに限界があったため、手書きの外観図を作成していました。

業務改善のためにTOPcamを導入した後は、一つのシステムで設計から製造に必要なデータの作成を実現しています。設計の段階で、干渉や嵌合の不具合を解消できるため、3Dデータを活用することで受注件数が増加したようです。

設計ミスが導入前の半分以下まで減少したため、大きな導入効果を得れられています。

有限会社米山金型製作所

有限会社米山金型製作所は、樹脂成型金型の設計から製造まで行っている企業です。同社でTOPcamを導入した結果、次のような実績を出しています。

  • 設計から製造のリードタイムを半分以上の短縮に成功した
  • 意匠性の高い形状の設計が可能になった

同社で使用していた3D CADの操作性に不便を感じていましたが、TOPcamの導入後は操作が簡単になり、実務でフル活用しているようです。

結果として、設計から製造までのリードタイムが半分以上の短縮に成功しています。また、TOPcamで作成したモデルがコンテストで受賞していることから、意匠性の高い設計に貢献しています。

現在では、複雑化する形状と短期間の納期が求められる中で、TOPcamの3D化は欠かせないようです。

株式会社モルテック

株式会社モルテックは、プラスチック射出成形用金型の設計から販売まで行っている企業です。
同社でTOPcamを導入した結果、次のような実績を出しています。

  • 納期を大幅に短縮できた
  • データ変換・図面・部品表の作成などを省力化できた

同社の取引先のデータが3Dデータに移行していることから、設計のあり方の見直しをするとともに、TOPcamの導入に至りました。

TOPcamの操作性と機能性を活用することで、モールドベースの標準化が可能になり、納期までの期間を大幅に短縮しています。また、CADデータの変換や図面と部品表の作成を省力化にしたことで、設計者の負担を減らしているようです。

TOPcam以外におすすめのソフト

TOPcam以外におすすめのソフト

TOPcam以外におすすめのCAMソフトは「Fusion 360」です。
Fusion 360はCADとCAM・CAEが同時に利用できるので、CAMのシミュレーションも確認できる優れたソフトウェアです。また、クラウドベースの環境を活用することで、社内チームでの協力やデータの共有が容易にできます。

Fusion 360のライセンスは下記ページで導入できるので、予算に合うならぜひ検討してみてください。

Fusion 360のCAMライセンスはこちら

まとめ

TOPcamの機能から企業の導入事例まで紹介しました。
TOPcamを導入した方が良いケースは次のとおりです。

  • 2Dデータから3Dデータに移行する必要に迫られている場合
  • 納期を大幅に短縮したい場合
  • CADデータの作成を省力化したい場合

実際にTOPcamを導入している企業では、3Dデータへの移行を実現したことで受注件数が増加したり、納期の短縮に成功したりした事例があります。
業務の省力化により、設計ミスを防止できるため、手戻りの負担を減らすことができます。

これからTOPcamを導入する場合は、自社の課題を明確にしてから検討してみてください。

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