HTC NIPPONは2024年9月24日、スタンドアロンとPC接続の両対応、さらにMR機能も搭載したVRヘッドセット「VIVE Focus Vision」を発表しました。VIVE Focus Visionは、ヘッドセット単体として利用できるだけでなく、DisplayPortケーブルでPCに接続し、高性能なGPUを活用することで、より高画質で滑らかなVR体験を楽しむことができます。
VIVE Focus Visionは、高性能なスペックと多機能性を備えた、VRとMRの両方を体験できる画期的なヘッドセットです。VR業界に新たな風を吹き込む存在となることが期待されています。今回は、VRヘッドセットの仕組みやできること、失敗しない選び方を詳しく解説します。
VRヘッドセットとは
VRヘッドセットは、VR(バーチャルリアリティ)の世界を体験するための装置です。頭にかぶると、視界がすべてVR映像に切り替わり、まるでその仮想空間と言われるメタバースの中にいるような感覚を味わえます。
中には、頭の動きや体の動きを感知し、VR空間での自分の動きと連動させることができるものもあり、リアルな体験を求める方に人気です。スマートフォンやパソコンでもVRを楽しむことはできますが、VRヘッドセットほどの没入感は得られません。
産業用メタバースについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
VRとMR・ARとの違い
VRヘッドセットに用いられるVRと似た言葉に、ARやMRといった言葉があります。それぞれ異なる特徴を持つ技術ですが、現実世界と仮想世界を繋ぐという点で注目されています。以下で、これらの技術の違いについて解説します。
VRは、VRヘッドセットなどのデバイスを装着することで、視覚や聴覚だけでなく、触覚や平衡感覚までも刺激し、没入感のある体験を提供します。例えば、ゲームやシミュレーション、遠隔地とのコミュニケーションなど、さまざまな分野で活用されています。
| VR(仮想現実) | 仮想空間に入り込んだかのような体験ができる技術 |
| AR(拡張現実) | 現実世界にデジタル情報を重ねる技術 |
| MR(複合現実) | VRとARを融合させ、相互作用させた技術 |
ARはスマートフォンやタブレット、専用のARグラスなどを用いて、現実世界に仮想のオブジェクトを表示したり、情報を付加したりすることができます。例えば、スマートフォンのカメラで街並みを映し出すと、その場所に関する情報が表示されたり、ゲームのキャラクターが現れたりする体験が可能です。
一方、MR空間では現実世界のオブジェクトと仮想のオブジェクトが共存し、ユーザーはそれらに直接触れたり、操作したりすることができます。例えば、建築設計や医療分野など、現実世界と仮想世界を連携させる必要がある分野で活用が期待されています。
VRヘッドセットの仕組み
ここでは、VRがどのようにして現実のような体験を作り出すのか、その仕組みを詳しく解説します。
各種センサー
VRヘッドセットには、ユーザーの動きを正確に追跡するための様々なセンサーが搭載されています。これらのセンサーが、手や顔の動き、体の位置や向きなどの情報をリアルタイムで収集し、仮想空間上のアバターに反映することで、まるでその空間の中にいるような臨場感あふれる体験を提供します。
例えば、コントローラーの動きを感知して仮想空間内のオブジェクトを掴んだり動かしたり、頭の動きに合わせて視点を変更したりすることができます。VRはこのような高度な技術により、ゲームやエンターテイメントだけでなく、教育や医療など様々な分野で活用されています。
自分だけのアバターが無料で作れる全身3Dスキャナーについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
両眼視差
VRヘッドセットで仮想空間が立体的に見えるのは、私たちの目が持つ「両眼視差」という仕組みを利用しているためです。両眼視差とは、左右の目で見たときにわずかに異なる映像が網膜に映る現象のことで、私たちの目が左右に少し離れて位置しているため起こります。脳はこのわずかな視差を手がかりにして、物体の奥行きや距離を認識して立体的な世界を構築しているのです。
VRヘッドセットでは、左右の目に異なる映像を意図的に表示することで、この両眼視差を再現しています。左目用のディスプレイと右目用のディスプレイに、それぞれ少し異なる角度からの映像を表示することで、まるで実際にその場にいるかのような立体的な視覚体験を実現しています。つまり、VRヘッドセットは、私たちの脳が普段行っている立体視の仕組みを利用しているのです。
広範囲なデータ
VRヘッドセットは、現実世界にいるような臨場感を生み出すために、様々なデータを活用しています。例えば、視覚に関しては人間の視野角よりも広い範囲の映像データを用意し、ユーザーの頭の向きに合わせて表示を切り替えることで、360度のパノラマ映像を実現しています。
聴覚に関しては、全方向からの音を捉えることができる専用マイクのデータがあれば、ユーザーの頭の向きに合わせて音が変化し、よりリアルな音場を再現できます。アバターの会話音声など、事前に収録されていない音源は、アバターの位置情報や顔の向きなどのデータを基に、現実の音の伝わり方をシミュレーションすることで、自然な音声を生成することができます。
VRヘッドセットでできること

VRの技術を使うと、以下のようなことが実現できます。
- 立体的な映像が体験できる
- 仮想空間にある物体を触ることができる
- 自発的に仮想世界を移動できる
- 顔の動きに合わせて映像を切り替えできる
- 音の方向を感じることができる
各項目を詳しく見ていきましょう。
立体的な映像が体験できる
VRの最大の特徴は、立体的な映像で現実のような体験ができる点です。これを「立体視」と言います。立体視のおかげで、VRはテレビや映画とは比べ物にならないほどの没入感と臨場感を提供します。
ただし、VRは立体視がない360度動画や3DCGなども含む場合もあります。しかし、今後VRがさらに発展していくにつれて、立体視は必須の要素になると考えられます。近い将来、VRを使ってスポーツ観戦や旅行をまるで現実のように楽しめるようになるでしょう。
仮想空間にある物体を触ることができる
VRでは、コントローラーを使って仮想空間内の物体を直接触ったり動かしたりすることができます。特に一般的なのは、手の動きを感知するモーションセンサー付きのコントローラーです。このコントローラーを使えば、まるで現実世界で物に触っているかのように、仮想空間内のものを掴んだり、操作したりすることができます。
従来は、コントローラーの操作と仮想空間内の反応にわずかなタイムラグがあり、臨場感が損なわれることがありましたが、最近の技術の進歩でタイムラグはほとんど気にならないレベルにまで短縮されています。
自発的に仮想世界を移動できる
VRの特徴の一つとして、仮想空間内を自由に移動できる点が挙げられます。従来の映像コンテンツのように受動的に情報を観るだけでなく、ユーザー自身が仮想空間を探索し、興味のある場所へと能動的に移動できるのです。
この移動には、コントローラーが用いられ、よりリアルな体験を求める場合は、足の動きと連動するタイプや人間の動きを捉えるカメラやセンサーとVR環境を連動させるタイプも存在します。
顔の動きに合わせて映像を切り替えできる
VRヘッドセットは、頭の動きに合わせて映像を変化させることで、まるでその場にいるような感覚を与えます。これは、VRシステムが360度の映像を球体状に保存し、頭の向きに合わせて表示する範囲を切り替えているためです。
さらに、最近のVRデバイスは目の動きも感知できるようになり、視線の先に高解像度の映像を表示する技術も登場しました。そのため、より自然でリアルな視覚体験が可能になっています。
音の方向を感じることができる
高度なVRシステムは、ユーザーの仮想空間内での位置や向きに合わせて、音がリアルタイムに変化します。例えば、左側から声が聞こえてくる場合、実際に左耳から音が大きく聞こえ、顔を左に向けると音が正面から聞こえる体験が可能になりました。
従来のステレオ音声や5.1chサラウンドは、固定された音源からの音を再現する技術でしたが、VRは、まるでその場に自分がいるかのような自然な音の広がりを再現します。VR技術の進歩により、視覚だけでなく聴覚からも仮想世界をよりリアルに体験できるようになり、今後ますます高度な音響表現が実現されることが期待されます。
VRヘッドセットの失敗しない選び方

VRヘッドセットは種類がたくさんあって、どれを選べばいいか迷ってしまうでしょう。最後に、VRを初めて使う方でも分かりやすく、失敗しないための選び方のポイントを解説します。
着け心地で選ぶ
VRヘッドセットを選ぶ際は、着け心地が非常に重要です。メタバースでは長時間装着することが多いので、事前に試着して、自分の頭にフィットするか確認することをおすすめします。
購入前に必ず試着し、自分に合ったものを選びましょう。
対応機器で選ぶ
VRヘッドセットは、単体で使えるタイプやPC向けやゲーム機向けなど、対応する機器によって性能や使えるコンテンツが異なります。選ぶ際は、自分に合った機器との組み合わせを考えましょう。例えば、PC向けのVRヘッドセットは、ゲームや動画などの幅広いコンテンツに対応しており、高性能なモデルやコントローラーが付属するものが多く揃っています。
VRはPCの性能に大きく左右されるため、高画質な映像を滑らかに表示するには、高いグラフィック性能が求められます。現在はVR対応のPCも増えてきているので、購入を検討する際は、自分の利用用途に合わせて、PCのスペックも合わせて確認することをおすすめします。
機能で選ぶ
VRヘッドセットには様々な機能があります。それぞれの機能がVR体験の質にどのように影響するのか、どのような機能を重視すべきか、購入前に知っておきたい主な機能を解説します。
トラッキング機能
トラッキング機能とは、装着者の頭の動きや視線などを感知し、仮想空間内のアバターに反映させる技術のことで、以下の動きをそれぞれ追跡します。
| ヘッドトラッキング | 頭の角度や動き |
| ポジショントラッキング | 空間内での位置 |
| アイトラッキング | 視線の動き |
トラッキング機能によって、より没入感のあるVR体験が可能になります。利用用途に合わせて、必要なトラッキング機能が異なるため、自分に合ったVRヘッドセットを選ぶことが大切です。
ピント調整機能
ヘッドセットを装着した際にピントが合わないと、映像がぼやけて見え、没入感が損なわれたり、VR酔いを引き起こしたりする可能性が高まります。そのため、VRヘッドセットを選ぶ際には、ピント調整機能が搭載されているか確認するようにしましょう。
ディスプレイ性能で選ぶ
VRヘッドセットを選ぶ上で、ディスプレイ性能は没入感に大きく影響する重要な要素です。ディスプレイ性能の2つの指標には「視野角」と「リフレッシュレート」があります。
視野角
視野角とは、VRヘッドセットを装着した際に、どれくらいの範囲まで映像が表示されるのかを示す角度のことです。視野角が広いほど、より自然で広範囲な視界を確保でき、VR空間への没入感を高めることができます。
リフレッシュレート
リフレッシュレートとは、1秒間に画面が何回書き換えられるかを示す数値です。この数値が高いほど、映像が滑らかに表示され、残像感が少なくなり、目が疲れにくくなります。
一般的に、液晶テレビのリフレッシュレートは60Hzですが、VRではより高いリフレッシュレートが求められます。
VRヘッドセットを上手に選んで、よりメタバースを楽もう

今回は、VRヘッドセットの仕組みやできること、失敗しない選び方を解説しました。VRヘッドセットは、メタバースをよりリアルに体験するための装置です。本体だけで使える手軽なタイプから、高性能なパソコンと繋いで使う本格的なタイプまで、様々な種類があります。
それぞれのヘッドセットには得意なことが違うので、自分の目的に合ったものを選ぶと、メタバースをもっと楽しむことができるでしょう。