facebook

【2024】製造業の将来性とは?未来がないと言われる理由や日本のものづくりの今後について解説

少子高齢化によって働ける人材が減り続けている日本では、製造業が今、悲鳴を上げています。しかし、製造業は日本にとって欠かせない産業です。将来どのように変わっていくのでしょうか。

この記事では製造業の将来性についてわかりやすくまとめました。
「未来がない」と言われている原因、対策も含めて解説しているので、製造業の将来を考えるきっかけにしていただけると幸いです。

製造業の将来に関わる現状課題

製造業の将来性を見通すためにチェックしておかなければならないのが、将来起きるであろうリスクを理解しておくことです。今後製造業に起こると危惧されている課題を3つの段階に分けて紹介します。

製造業における2025年の崖

DXに対する中小企業の理解度
出典:中小企業基盤整備機構「DXに対する理解度」

まず直近の課題として挙げられるのが、製造業の2025年の崖です。

2025年の崖とは、現在国内で推進されているDX(デジタル・トランスフォーメーション)に日本企業が対応しなかった場合に、2025年よりも将来に最大12兆円もの経済損失が生まれてしまう問題のことです。

国内の経済状況をグラフに表し、がくっと減少してしまう期間が発生するため「崖」という名称が付けられました。

上画像からわかるように大手企業がDXを実現している一方、中小企業ではDX化の理解度がまだ半数を超えていない状況です。古く非効率的なレガシーシステムから、最新のシステムへ移行できていないことも含め、将来やってくる2025年問題が実現しようとしています。

製造業における2030年問題

製造業では、さらなる将来にやってくる2030年問題にも気を付けなければなりません。

2030年問題は経済産業省が提唱する国内課題のことです。
例えば、製造業が次のような課題を抱えると将来予想しています。

2030年問題の将来課題 製造業の将来像
人手不足・後継者不足 将来、人材が不足し製造業の向上を回せなくなる
DX化の停滞 中小企業を中心にDX化が停滞して将来、経済損失が生まれやすくなる
技術継承不足 引退する高齢者世代からの技術継承が不足して将来、能力不足に陥る
国際競争の激化 グローバル化の波についていけず将来、製造業の衰退が進む

2030年問題は、2025年問題が継続した場合に発生する将来の重要課題です。
すでに製造業の各企業で発生している課題でもあることから、近い将来、起こりうる可能性の高い重要課題だと言えます。

製造業における2050年問題

日本のカーボンニュートラルの実現目標
出典:経済産業省「製造業を巡る動向と今後の課題」

製造業ではさらに将来、2050年に起きる問題にも目を向けています。

2050年は日本がカーボンニュートラルの実現を目標としている年であり、また製造業等から排出されるCO2といった物質の削減が求められる年です。

現状のままDX化の停滞など、製造業に大きな変化が生まれなければ、今後さらなる経済損失が起きてしまうと言われています。他の先進国が積極的な脱炭素に取り組む中、日本だけが環境対策で取り残されてしまうかもしれません。

またカーボンニュートラルの実現には、CO2排出が顕著な自動車産業の改善が求められています。将来やってくる2050年問題の解決のために、経済産業省は次の対策を自動車産業に求めている状況です。

  • 蓄電池の国内生産基盤確保
  • 電気自動車の普及促進
  • インフラの整備

世界で定められている環境税が将来、日本だけ重くされ、巡りめぐって製造業へ負担を強いる結果になるかもしれないと不安視されています。

製造業の課題を解決するためには、将来を見据えたマーケティングが必要です。
詳しくは以下の記事をご参照ください。

製造業のマーケティングとは?基本や高等知識

製造業の将来を考える着眼点

製造業の将来性を訴える課題として多く登場するのが、次の3つです。

  • 人材不足
  • DX化の停滞
  • 技術継承不足

とにかく現代の製造業では人が足りず、DX化を実施する資金やリソースが不足していることが伺えます。また将来、これまでと同様の製造業の方針で業務を続けたとしても、売上や働き方が変わらず、将来も同じような問題に悩み続けることとなるはずです。

ここで大切なのが、不足・停滞する課題解決のために、スタートしやすい取り組みから徐々に取り入れていくことでしょう。小さな取り組みを継続して続ければ、いずれ大規模なDX実現が可能です。

製造業の将来が危ない、未来がないと言われる今、自社でできる取り組みを見つけて動き出すことが重要だと覚えておきましょう。

製造業の将来に欠かせない対策

製造業の将来性を安全なものに替えるため、現在さまざまな製造業の企業が新技術やシステムを導入しています。参考として、導入されている技術・システムをまとめました。

3DCAD・3Dプリンター技術の導入

製造業の3DCAD活用

製造業で設計業務を実施する際に役立つのが、3DCADを用いた設計の効率化です。

いままで製造業で用いられてきたのは、2次元上に作図する2DCADでしたが、図面をもとに機械で型を起こして製造するという手間が発生していました。対して、3DCAD・3Dプリンターを導入すれば、次のことが可能となります。

  • 3Dモデルで製造設計そして製造業務を効率化できる
  • 3Dプリンターで出力が将来の生産力向上につながる

製造業では将来、自動化や効率化を求められる時代がやってきます。
ですが目指す将来に追いつけていない工場が多いのも事実です。

また3DCADは、現状利用しているデバイスに導入できます。
3Dプリンターも含めて導入すれば、生産工程の削減が可能となり、将来の売上向上へとつながっていくでしょう。

将来、3Dプリンターの導入を検討している方は、以下のページをチェックしてみてください。

製造工程のIoT化

データを用いて製造工程を実施する企業も多く、中には製造管理のシステムを導入している企業も多いでしょう。しかし、管理システムだけでは対応できず、別途人の手で対応しなければならない作業として、次の3つが挙げられます。

  • 資料・計画書の作成
  • データの取得
  • メンテナンス・修理

もし人手不足の影響で上記の負担が重荷なら、工場システムのIoT化に力を入れてみるのはいかがでしょうか。IoTとは「モノのインターネット」という意味であり、製造設備や製品をインターネットに接続して情報取得・分析を実施する技術のことです。

情報処理できるセンサーやカメラを導入し、既存システムと連携するだけで、すぐに情報を取得できます。製品の不備、ロスを見つけやすいことはもちろん、蓄積した情報を使って改善点や課題抽出ができるなど、将来の役に立つ情報を集められるのが魅力です。

製造業で将来伸びると期待されている業種一覧

将来性の課題を抱える製造業ですが、業界の中で活動している特定の業種はDX化によって今後伸びていくのではないかと期待が寄せられています。参考として、将来伸びる業種を一覧にまとめました。

将来伸びる業種 将来性
電子部品・半導体 ・国内電子部品・半導体の市場拡大により、将来、生産量が向上する期待されている
・新規参入する企業が多く、初期からDX化を実現しやすい
倉庫・物流 ・自動運転技術の発達により、将来、無人運転の輸送車ができると期待されている
・サプライチェーンとなる製造業の生産効率化に貢献できる

製造業関連で行くと、上記2つの業種が注目されています。
日本はもともと産業の強い国であることから、具体的な取り組みさえ整えば、将来性のある産業を生み出せると注目されている状況です。

また製造業の将来だけでなく、今のトレンドを知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

【2024】製造業のトレンドは?今後の動向や対策をチェックしよう

製造業の将来に役立つ国の補助制度

将来のことを考えて企業・工場のDX化を進めていきたいと考えているのなら、国が提供している補助制度を活用するのがおすすめです。システム導入やDX化に役立つ補助制度を整理しました。

事業再構築補助金

事業再構築補助金の補助
出典:事業再構築補助金制度公式サイト

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの影響を受けて、経営不振に陥りつつある中小企業の事業再構築を対象とした補助金制度です。上画像にある合計6つの申請枠が設けられており、最大5億円まで補助金を得られます。

製造業の場合、将来サプライチェーンの強靭化を検討している際には、補助率1/2の5億円の補助を利用できるのが特徴です。

ものづくり補助金

ものづくり補助金の補助
出典:ものづくり補助事業公式サイト

ものづくり補助金とは、以下に示す目的で利用できる製造業向けの補助金制度です。

  • ものづくり
  • 商業
  • サービス

企業の省力化、付加価値強化、グローバルという3つの枠が設けられており、企業規模によっては最大8,000万円まで補助を受けられます。

人材不足で悩む企業のスマート工場化を実現できる便利な補助金ですので、将来のDX化実現に向けて補助金を活用してみてはいかがでしょうか。

IT導入補助金

IT導入補助金の補助
出典:IT導入補助金公式サイト

IT導入補助金は、技術、システム導入を検討する際に活用できる補助金制度のことです。
主に次の枠が設けられており、導入するシステムの費用負担を一部まかなうことができます。

  • 通常枠(一般的なITツールの導入)
  • インボイス枠(インボイス対応のソフト導入)
  • セキュリティ対策推進枠(サイバーセキュリティ対策としてのソフト導入)
  • 複数社連携IT導入枠(サプライチェーンでのシステム導入)

製造業の場合、すべての枠が関係します。
中でも将来のことを考えて押さえておきたいのが複数社連携IT導入枠です。
サプライチェーンのDX化に役立ち、将来性のある取り組みをスタートできるのが特徴です。

製造業の将来性についてまとめ

製造業では2025年問題を筆頭に、将来のさまざまな課題を抱えている業界です。
ただし、対策できることがないわけではありません。

もし将来・未来が危ういと言われる状況を改善したいのなら、システム導入等によるDX化を検討することが重要です。予算の課題を解決できる補助金制度も多いことから、製造業の将来はまだ暗くはないと言えます。

製造業 将来のアイキャッチ
最新情報をチェックしよう!