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簡単な振動対策を紹介!苦情やクレームを減らす振動対策とは

工事現場において、必ずといっていいほど発生するのが「振動」。
行き過ぎた振動は周辺住民の健康に悪影響を与える可能性があり、総務省が指定する「典型7公害」の一つに数えられています。

この記事では、建設工事に起因する振動測定の重要性と、振動対策ツールとして注目を集める製品「揺れウォッチャー」について解説します。

現場で振動対策をしなくてはならない理由

振動被害について、周辺住民からひとたび苦情を受けてしまうと大変です。建設事業会社は振動規制法や公害紛争処理法に基づいて、振動の発生状況が適正な範囲内であることを証明しなければなりません。
適正な範囲を超えていれば是正の指導を受けることになりますし、長期間に渡る調査を受けることで、工事停止や計画変更を余儀なくされることもあるでしょう。

振動による住民への迷惑や、工事遅延リスクを防ぐためには、どのような対策を講じるべきでしょうか。

振動対策を怠った場合のクレーム件数

振動対策を怠った場合のクレーム件数
引用:環境省

令和3年の環境省の調査では、全国の地方公共団体が受理した振動に係る苦情の件数は4,207件だったそうです。
この数字は騒音での苦情は入っていない数値な上、令和2年からグッと振動の苦情が増加しています。
発生源別にみると、建設作業が2,902 件と全体の 69.0%を占めており、次いで工場・事業場が698件(16.6%)、道路交通関係が304件(7.2%)、鉄道29件(0.7%)となってることが分かります。

あくまでも振動だけのクレームでここまでの件数が報告されていて、報告されていないが周りの住民が不快になっている現場はまだまだあるでしょう。

振動対策の前に「振動」の定義を知ろう

振動の評価は、「振動レベル」という、振動の大きさを人間の感じ方に合わせて表示する方法が用いられます。
単位はdB(デシベル)で、振動の特性には「衝撃性・間欠性・連続性」などがあり、建物による揺れの増幅やガラスなどのビビリ音の発生、地盤の種類なども考慮に入れる必要があります。
振動の目安としては、65〜75dBで屋内で静かにしている人の大半が揺れを感じ、 眠っている人の中には目を覚ます人もいる程度といわれています。

一般に、50~55dB付近から苦情が増え始め、60〜70dBでは苦情件数が多くなるようです。
建設作業に関しては70〜80dBを基準としている自治体は少なくありませんが、実際は基準以下の振動でも苦情を受ける可能性があります。

振動の感じ方は人それぞれ

振動への感じ方は人それぞれであり、振動に対する苦情の多くが感覚的・心理的被害であるといわれています。
例えば、電車や自動車に乗っている時は、建設現場よりもはるかに大きな振動に晒されています。
しかし、これらの振動に対する苦情はあまり聞かれません。

このように同じ振動であっても、感じ方や状況によって人が耐え難いレベルは異なります。
もちろん振動によって、壁、タイルなどのひび割れ、建て付けの狂いなどの物的被害や、不眠、頭痛などのストレス症状が発生することもあります。
しかし、大部分の振動被害は人の主観によるものといって良いでしょう。
だからこそ、振動対策は難しく、現在も多くの建設事業会社を悩ませています。
解体工事や基礎工事など、どうしても振動が発生してしまう作業では、はっきりと「これで大丈夫」といえる現場はないといっても過言ではないでしょう。

振動はどのようなときに発生するのか

同じ作業をしていても、振動の大きさは現場の状況によって異なります。
一般に、地盤がゆるいほど揺れやすいといわれています。
使用する建設機械では、

  • 基礎工事用機械として用いられる油圧パイルハンマー
  • ディーゼルパイルハンマー
  • バイブロハンマー
  • 振動ローラ

などが特に振動を発生させやすく、7m離れた地点での振動は90dBに達します。
他にも、

  • 鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業
  • 舗装版破砕機を使用する作業
  • ブレーカー(手持式のものを除く)を使用する作業

などは、特に騒音・振動が発生しやすい特定建設作業として規制の対象になっています。

最近では、特定建設作業に含まれる工法は少なくなっており、騒音・振動が少ない建設機械や工法が採用されるようになってきています。
現在最も振動の苦情が多い工種は建築解体工となっており、バックホウやブレーカ、圧砕機の使用に注意が必要となっています。

振動についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事でも解説しています。

振動とは?現場の振動対策や家庭でできる振動対策

振動対策は難しい?

振動は、工事現場の周辺環境や地盤、工事の種類や重機によっても伝わり方が異なるため、振動がどこで起きているか、どの機械・作業が原因なのかを特定するのは困難です。
従来の工事現場では振動計測を行うのは一ヶ所程度であり、クレームや苦情が発生すると対策を講じるために膨大な時間と手間をかけなければならない現状があります。

もし、規制基準値などに違反していた場合は、振動規制法に基づき、市町村長や特別区長からの改善命令を受けることになります。これに従わない場合は1年以下の懲役、または10万円以下の罰金が課せられる可能性があり、適正に事業を運営するためには、振動対策は避けて通れません。
規制基準値に違反していなくても、地域住民からの苦情があれば、自治体は振動の測定評価をしなければなりません。その際は建設事業者にも協力が求められることとなっており、工事の計画に大幅な変更や遅れを及ぼす可能性があります。

簡単にできる振動対策

簡単にできる振動対策

工事振動はさまざまな要因のもと発生していることから、振動対策に悩む建設工事事業者は少なくありませんでした。このような状況を解決するため、CACH(カック)株式会社(東京都江東区、代表取締役:鈴木良昌)によって2021年3月に開発されたのが「揺れウォッチャー」です。
揺れウォッチャーは名前の通り、建設工事現場の揺れを計測し、振動源の特定・振動の抑制を目指す、振動モニタリングシステムです。
ここからは、業界が注目する揺れウォッチャーの特徴について解説していきます。

揺れウォッチャーの特徴

揺れウォッチャーは、タテ75mm×ヨコ75mm×高さ35mm、重量約300gと、手のひらサイズのコンパクトな外見が特徴です。従来の振動計測器と比べると、随分小さいと感じるかもしれません。
しかし、揺れウォッチャーのメリットは小さいだけではありません。
大手ゼネコンとの共同開発から誕生した製品だけあり、「現場にとっての嬉しいポイント」が満載なのです。

多点計測を実現

揺れウォッチャーは、工事現場の複数地点に設置して使用します。
それぞれの筐体が振動を計測するため、多点計測が可能になります。

従来の振動表示板や振動計測器では、計測できるのは一ヶ所のみだったため、「いつ」「どこで」「何が」振動を発生させているのかはっきりと特定できませんでした。広い敷地内で複数の建設機械が稼働する場合、振動の原因を特定するためには、多点計測は必要不可欠です。複数箇所に設置できる揺れウォッチャーなら、現場全体の振動発生状況を把握することができます。

小型で電池駆動のため簡単設置

揺れウォッチャーは、従来の計測機器のように外部電源は必要ありません。
電池駆動のため電源をいれるとすぐに計測が開始されます。
磁石が内蔵されているため、鉄板などの垂直面にも取り付けることができます。
初期設定や設置のために技術担当者を呼ぶ必要もなく、工事の進捗状況などによって自由に設置場所を変更することも可能です。
設置場所に悩む必要がなく、技術者の手を借りる必要がないのは大きなポイントです。

機器内部でデータ分析、スマホやタブレットですぐに確認

揺れウォッチャーが計測したデータは、スマホ・PC・タブレットなどでタイムリーに閲覧できます。現場写真や図面を重ね合わせて表示できるので、各所の振動値が一目瞭然です。
振動レベルは8段階で色分けされているので、視覚的にもわかりやすい工夫が施されています。

また、WEB上で管理画面が確認できるため、ソフトウェアなどのインストールは一切不要なのも嬉しいポイントです。
パソコンなどIT系が苦手な担当者さんも安心ですね。

データ分析は機器内で実施

従来の計測機器では、現場で振動を計測後、事務所に持ち帰ってPCにデータを入力し、専用ソフトウェアで周波数分析、といった作業をする必要がありました。

揺れウォッチャーは、振動を検知すると機器内部で自動振動分析を行います。
分析結果はスマホなどからリアルタイムで確認できるので、振動の発生状況を常に把握することができます。
一定の振動値を超えた場合には、振動源に近い重機オペレーターへアラートメールを通知する機能もあるので、苦情・クレームにつながりかねない振動に対してのみ、ピンポイントで対策を行うことができます。

振動源を特定する

機材や重機によって、振動の周波数には特徴があります。
例えば、解体などに使用するハンドブレーカーの主要な周波数は60ヘルツ、H形鋼などの打ち込みに使うバイブロハンマーは12〜20といったように、周波数分析データを蓄積していくことで、振動源を特定できるようになります。苦情につながりやすい作業や建設機械が把握できれば、効果的な振動対策を講じることができるようになるでしょう。

また、振動被害に対して寄せられる苦情・クレームの中には、「実は付近を通過する鉄道による振動だった」といったケースもあります。周波数分析を行うことで、万が一苦情を受けた際にも振動の発生状況をしっかりと説明できるようになるのは心強いですね。

実際に振動を受けた被害者の口コミ・体験談

まず私自身が工事現場の振動の被害を受けたことがあり、建築を取り壊す作業現場の近くで暮らしていました。
すると取り壊しの振動で窓ガラスにヒビが入ってしまい、驚きましたがどうしていいか分からずそのままにしてしまったのです。
そして退去する際に、不動産業者に「このヒビはなんですか?」と言われて「近くで工事してる際に…」と説明しましたがあまり信じてもらえず、結局修復費用として3万円を払うことになりました。
その時は現場にクレームを入れたいなと思いましたが、取り壊しの工事から数ヶ月経ってしまっていたので諦めましたが、今後このようなことがあれば一報しようと決めた体験でもあります。

このように振動がたくさんのクレームになる前に対応することが大切でしょう。

振動対策の方法についてまとめ

今回は振動対策の重要性や簡単にできる振動対策を紹介しました。
揺れウォッチャー以外にも防振マットやパーテーションなどの騒音・振動対策もありますが、ひとまず現場がどれくらい振動しているのかを確認するのが良いでしょう。
振動対策が簡易的で良くなる可能性もあるため、まずは揺れウォッチャーの導入がおすすめです。

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