Illustratorのテキストをオブジェクトにしたいときは、アウトライン化する必要があります。
テキストをアウトライン化することで高度な編集ができるようになり、自由なデザインに仕上げられます。
また、作成したデータを入稿するときにはアウトライン化が必要になることもあるため、デザイナーの方はやり方を理解しておくことが大切です。
アウトライン化に難しい手順はありませんが、いくつか注意しておくべきポイントも存在します。
当記事では、Illustratorでアウトライン化する方法について詳しく解説します。
アウトライン化のテクニックについて理解できるので、ぜひ参考にご覧ください。
Illustratorのアウトライン化とは
Illustratorのアウトライン化とは、テキストをオブジェクトに変換する作業を指します。
通常はテキストデータとして処理されており、フォントや行間、文字サイズなどを変更することで編集できます。
ただし、対象フォントが含まれていないパソコンでファイルを開いた場合、同じテキストデータを再現することはできません。
テキストをアウトライン化することで、文字を図形化できるので別のパソコンで開いても置き換わることを防止可能です。
そのため社内や企業間でファイル共有をおこなうときは、テキストのアウトライン化が必須作業となっています。
Illustratorでアウトライン化する2つのメリット
Illustratorでアウトライン化することで、以下のような2つのメリットがあります。
- テキストを図形に変換できる
- 印刷時のデータ崩れを防止できる
それでは順番に説明します。
1.テキストを図形に変換できる
Illustratorでアウトライン化すれば、テキストデータを図形データに変換できます。
テキストデータはフォントや行間などを変更できますが、一部の形を変えることはできません。
テキストをアウトライン化すると、全体をパスにできるので自由な形に変換できるようになります。
例えばテキストの一部分を削除したり、形状を変化させたりといった編集が可能です。
作業によってはテキストのデザインを細かく変更することもあるため、図形データに変換できる点は大きなメリットです。
2.印刷時のデータ崩れを防止できる
Illustratorで特殊なフォントを使用すると、別のパソコンでファイルを開いたときにテキストデータが崩れてしまいます。
印刷時にデータ崩れが発生した場合、必要なファイルをパソコンに合わせて作り直さなくてはいけません。
事前にテキストデータをアウトライン化しておけば、別のパソコンでファイルを開いても正常に表示できるようになります。
結果的に印刷時のデータ崩れを防止できるため、複数のデバイスでスムーズに対応可能です。
作業によっては複数のメンバーが関わることも多いので、データ崩れを防止できる点はアウトライン化の良いメリットです。
Illustratorでアウトライン化が必要なシーン
Illustratorでアウトライン化が必要なシーンとして、以下のような項目が挙げられます。
- データ共有
- 複数のデバイス利用
- データ入稿
それでは詳しく解説します。
データ共有
Illustratorで作成したファイルを共有する場合、自分のパソコンにあるフォントデータが相手のパソコンには入っていないことがあります。
すると相手のパソコンでは正確なフォントデータを読み取れず、うまく表示されない問題が発生します。
テキストをアウトライン化すれば、相手のパソコンにフォントデータがなかったとしても問題なく表示可能です。
複数人で1つのファイルを編集できるようになるため、効率良く作業を進められます。
そのためデータ共有が必要なシーンでは、テキストのアウトライン化が重要な役割を担っているのです。
複数のデバイス利用
作業環境によっては、複数のデバイスを利用しながら同時編集することもあります。
ただし、データ共有と同じく、別のデバイスにフォントデータが含まれていなければ崩れる原因となります。
テキストのアウトライン化によって図形データとして扱えば、複数のデバイスでも問題なく編集可能です。
Adobe Creative ClowdでIllustratorを使用している場合、フォントが各端末で同期されるので崩れる心配はありません。
会社と自宅で利用するデバイスを変更することもあるため、テキストのアウトライン化はとても役立ちます。
データ入稿
Illustratorのデータを印刷するときは、入稿作業が必要になります。
フォントデータが正常に埋め込まれていない場合、印刷時にうまく印刷できないこともあります。
アウトライン化によってデータ崩れを防止すれば、正常に入稿作業を進めることが可能です。
印刷会社にデータ入稿するときは、細かな規定があるので注意が必要です。
規定通りにデータ入稿しなければ対応してもらえないため、テキストをアウトライン化して問題がないかチェックしておきましょう。
Illustratorでアウトライン化する方法
こちらでは、Illustratorでアウトライン化する方法について説明します。
事前準備として、アウトライン化前のデータは別で保存しておくことが大切です。
テキストをアウトライン化すると元のテキストデータは編集できなくなるため、以前の状態に戻したくても修正できません。
アウトライン化前の状態でファイルを複製保存しておき、修正が必要なケースの備えていくことをおすすめします。
Illustratorでアウトライン化するときは、以下のステップでおこなってください。
ステップ①テキストを全選択する
上記「選択」メニューから「すべてを選択」でテキスト全体を選択します。
ステップ②「アウトラインを作成」を選択する
テキストを右クリックして「アウトラインを作成」を選択します。
以上の手順で、テキストのアウトライン化が完了です。
ウィンドウから「文字」を選択し、フォントを変更しても表示が変わらなければアウトライン化されています。
問題がなければ、そのままファイルを保存しておきましょう。
Illustratorのアウトライン化で使用できるショートカットキー
Illustratorのアウトライン化をおこなうときは、ショートカットキーを使うことでスピーディに対応できます。
下記に表としてまとめたので、作業効率を向上させたいときはぜひ活用してください。
ショートカットキー【Mac/Windows】 | 動作内容 |
command+A、Ctrl+A | 全選択 |
Shift+command+O、Shift+Ctrl+O | アウトラインを作成 |
command+alt+2、Ctrl+alt+2 | すべてのロックを解除 |
テキストのアウトライン化は幅広い用途で使用できる
Illustratorのアウトライン化は、テキストだけでなくロゴ編集にも活用することが可能です。
テキスト周辺に図形を加えることでオリジナルデザインのロゴを作成できるため、作業の幅が広がります。
YoutubeにはIllustratorのアウトライン化について、さまざまなテクニック動画が投稿されています。
これまで知らなかったテクニックを身につけられるので、ぜひ当記事と合わせてご覧ください。
PDFのテキストをアウトライン化する方法
Adobeでは、IllustratorのほかにAcrobatというデザインソフトが展開しています。
Acrobatとは、PDFのデータを自由に編集できるデザインソフトです。
PDFのテキストデータをアウトライン化することもできるため、デザイン作業に役立ちます。
PDFのテキストをアウトライン化するときは、以下のステップをおこなってください。
ステップ1.プリフライトを選択する
上記「編集」メニューから「プリフライト」を選択します。
ステップ2.「フォントをアウトラインに変換」を選択する
「PDFフィックスアップ」から「フォントをアウトラインに変換」を選択します。
ステップ3.保存をクリックする
ファイル名を入力して保存をクリックします。
以上の手順で、PDFのテキストをアウトライン化できます。
作業内容によってはPDFを共有することもあるので、こちらの方法も合わせて利用してください。
Illustratorでアウトライン化できないときの原因
Illustratorでアウトライン化できないときは、以下のような原因が考えられます。
- テキストレイヤーがロックされている
- テキストがパターン化されている
- テキストに変形がかかっている
それでは詳しく解説します。
テキストレイヤーがロックされている
Illustratorでは、レイヤーにロックをかけることで編集できない状態にできます。
テキストレイヤーがロックされていると、アウロライン化できない原因となります。
オブジェクトのロックを外す場合、上記「オブジェクト」メニューから「すべてのロックを解除」をクリックすれば解除完了です。
ほかにも、右側のレイヤーパネルからテキストレイヤーを選択し、南京錠のアイコンをクリックすれば解除できます。
まずはテキストレイヤーがロックされていないかチェックし、アウトライン化するときは解除しておきましょう。
テキストがパターン化されている
テキストがパターン化されていると、アウトライン化することはできません。
パターン化とは、オブジェクトメニューのパターンによってさまざまな形状に変更できる機能です。
テキストがパターン化されている場合、上部「オブジェクト」メニューから「分割・拡張」をクリックしてアウトライン化をおこないます。
「分割・拡張」によってアウトライン化されないときは、複数回実行するようにしましょう。
テキストに変形がかかっている
テキストに変形がかかっていると、アウトライン化できない原因になります。
テキストが変形している場合、右クリックを押しても「アウトライン化」が押せない状態になっています。
こちらの問題を解消するには、上部「オブジェクト」メニューから対象の変形を選択して「拡張」をクリックしてください。
拡張が反映されるとアウトライン化できるため、一度チェックしてみましょう。
まとめ
今回は、Illustratorでアウトライン化する方法について詳しく解説しました。
アウトライン化することで、テキストを図形データとして扱えるのでファイル共有のときに役立ちます。
また、印刷時のデータ崩れを防止できるため、複数人で編集が必要なときにも便利です。
アウトライン化できないときは、テキストレイヤーがロック・パターン化されていないか、変形がかかっていないかなどをチェックしてください。
ぜひ当記事で紹介した方法を参考にしながら、テキストのアウトライン化をおこなってみましょう。