エクセルは会計業務をはじめ、多岐にわたる業務で有効活用されています。
一方で膨大な量のデータ入力や会計処理では時間や労力がかかるので、自動化できればとお考えの方も多いのではないでしょうか。
本記事ではエクセルの自動入力の方法を詳しく解説し、自動入力の条件や自動入力の方法を詳しく解説している、おすすめの実践ガイドも紹介します。
エクセルの自動入力の方法とは
エクセルの自動入力の方法とは、エクセルでのデータ入力の手間を省き、自動入力で効率的に作業を行うためのスキームです。
エクセルの自動入力の方法として、主に以下の5つの方法が挙げられます。
①オートフィルを利用する | ・オートフィルは、エクセルで連続データや規則性のあるデータを手軽に自動入力できる機能 ・オートフィルオプションを利用すれば、連続データの種類(日付、数値、書式など)の細かな設定も可能 |
②フラッシュフィルを利用する | ・フラッシュフィルは、エクセルが入力されたデータのパターンを認識し、規則性に基づいて残りのデータを自動入力する機能 |
③数式や関数を応用する | ・特定のルールや条件に基づいて他のセルの値を参照・計算し、結果を自動的に表示させる方法 ・数式や関数を組み合わせることにより、複雑なデータ管理や分析を自動化できる |
④VBA(Visual Basic for Applications)を作成する | ・特定の条件を満たす場合のセルへの入力や、複数のセル範囲に連続データの自動入力、ユーザーの操作に応じて自動的に処理を実行するなどの処理を記述できる |
⑤データ入力の規則を設定する | ・特定のセルに入力できるデータを制限して入力ミスを予防するなど、効率的な自動データ入力が可能 |
ではそれぞれの方法を詳しく解説します。
オートフィルを利用する
オートフィルは、エクセルで連続データや規則性のあるデータを手軽に自動入力できる機能です。
最初に日付や連番の最初の数値や曜日など、開始となるデータをセルに入力します。
入力セルを選択すると右下に現れるフィルハンドルを、入力したい方向へドラッグすればデータが自動的に連続入力されます。
数値の場合は初期値をコピーするだけでなく、「Ctrl」キーを押しながらドラッグすれば連番となり、複数のセルを選択した状態でフィルハンドルをドラッグすれば、選択範囲のパターンが認識されて連続して入力される仕組みです。
オートフィルオプションを利用すれば、連続データの種類(日付、数値、書式など)の細かな設定もできます。
フラッシュフィルを利用する
フラッシュフィルはエクセルが入力されたデータのパターンを認識し、規則性に基づいて残りのデータを自動入力する便利な機能です。
1列目に元のデータ(例えば、フルネーム)を入力し、隣の列に抽出したい形式のデータ(例えば、姓のみ)を1つまたは複数入力します。
自動入力を行う場合には、エクセルがパターンを認識しやすいよう、いくつかの例を事前に入力しましょう。
その後に目的の列の最初のデータ入力セルの下にあるセルを選択し、「データ」タブの「フラッシュフィル」をクリックするか、「Ctrl」+「E」キーを押します。
するとエクセルが元のデータのパターンを学習し、残りのセルに規則に従ったデータを自動的に入力します。
自動入力がスムーズに進まない場合は、さらに例を追加してフラッシュフィルを再度行えば、より正確な結果を得ることが可能です。
数式や関数を応用する
エクセルで数式や関数を応用した自動入力は、特定のルールや条件に基づいて他のセルの値を参照・計算し、結果を自動的に表示させる方法です。
商品リストの単価と数量が入力されたセルを参照し、合計金額を自動計算するには、掛け算の数式(例: =B2*C2)をD2セルに入力し、フィルハンドルで下方向にコピーします。
日付に基づいて曜日を自動表示させるには、TEXT関数を用いて =TEXT(A2,”(aaa)”) のように記述しましょう。
IF関数を使えば、在庫数が一定数以下になった場合に「要発注」と自動表示させる設定など、条件に応じて異なる値を自動入力することも可能です。
このように数式や関数を組み合わせることにより、複雑なデータ管理や分析を自動化できます。
VBA(Visual Basic for Applications)を作成する
VBA(Visual Basic for Applications ※以下VBAで記載)でエクセルの自動入力を作成するには、まず開発タブを開いて「Visual Basic」エディターを起動します。
エディター内でVBAコードを記述する標準モジュールを挿入し、自動入力の処理を記述するSubプロシージャを作成してセルの値の取得や書き込み、条件分岐、繰り返し処理などのVBAの構文を用いて具体的な動作を定義しましょう。
このような作業により、特定の条件を満たす場合のセルへの入力や、複数のセル範囲に連続データの自動入力、ユーザーの操作に応じて自動的に処理を実行するなどの処理を記述できます。
作成したマクロはボタンに登録したり、特定のイベント(シートの変更時など)が発生した際に自動実行するなどの設定も可能です。
VBAの活用により、エクセルの標準機能では実現できない高度な自動化処理を構築できます。
データ入力の規則を設定する
エクセルのデータ入力規則を設定することで、特定のセルに入力できるデータを制限して入力ミスを予防するなど、効率的な自動データ入力が可能です。
設定では最初に対象のセルまたはセル範囲を選択し、「データ」タブの「データの入力規則」をクリックします。
表示されるダイアログボックスで、「設定」タブの「入力値の種類」から、許可するデータの種類(整数、日付、リストなど)を選択し、種類に応じた最小値や最大値、日付の範囲やリストの項目などの設定が可能です。
「入力時メッセージ」タブではセル選択時に表示する説明メッセージの設定、「エラーメッセージ」タブでは無効なデータが入力された際に表示する警告や、エラーのスタイルやメッセージをカスタマイズできます。
リスト形式を選択すれば、プルダウンメニューから選択する形式になり、定型的なデータの入力もできます。
エクセルの自動入力におすすめの実践ガイド
エクセルの自動化に成功すれば作業効率を向上して生産性を高めることができますが、前述のように多岐にわたる手順が必要で、自動化の設定にも専門的な知識やノウハウが欠かせません。
そこでおすすめなのが、株式会社VOSTが提供している「生成AIで業務改革を実現するための実践ガイド」です。
当ガイドではエクセル運用の課題を明確化し、エクセルの作業を生成AIで自動化するステップを細かく解説してくれます。
生成AIの導入により実現可能な事象やDX人材の育成など、自動化に関する幅広いスキルやノウハウを身に着けることも可能です。
エクセルの利用における、多岐にわたる業務の自動化を検討している企業様はぜひお試しください。
エクセルの自動入力の条件
エクセルの自動入力の設定を行うためには、以下の6つの条件を満たさなければいけません。
- 連続性のあるデータである
- 関数が正しく記述されている
- 入力規則が設定されている
- 参照範囲が適切である
- 書式設定が適切である
- 周囲との関連性がある
エクセルの自動入力を設定すれば、データ入力作業を効率化できるので条件を満たしているか細かく確認しましょう。
連続性のあるデータである
エクセルの自動入力機能の効果を発揮させるためにも、入力するデータに連続性がなければいけません。
これは数値の連番(1, 2, 3)や日付の連続(2025/5/1, 2025/5/2)、曜日の繰り返し(月, 火, 水)、あるいはあらかじめエクセルが認識しているリスト(例:1月, 2月)などが該当します。
オートフィル機能やフラッシュフィル機能は、このような連続性や規則性を認識して残りのデータを自動予測、効率的な入力を行います。
明確なパターンがないランダムなデータの場合、これらの自動入力機能は適切に動作しないことがあるので注意しましょう。
関数が正しく記述されている
エクセルで関数を用いた自動入力を正常に機能するためにも、数式や関数を正確に記述しなければいけません。
参照するセル範囲の指定ミスや関数のスペル間違い、引数の順序や種類の誤りがあれば意図した結果が得られず、自動入力も正しく行われないので注意が必要です。
特に複雑な関数の組み合わせや、複数のシートやブックを参照したりする場合には、入力ミスが起こりやすいため注意しましょう。
入力規則が設定されている
エクセルで設定された入力規則は、自動入力が効果的に機能するための重要な条件となります。
入力規則によって、各セルに入力できるデータの種類や形式が制限されるため、誤ったデータ入力を防いで自動処理や計算の精度を高めることも可能です。
具体的には、日付形式のみを受け付けるセルへの文字列による誤入力の予防や、リスト形式での選択肢の限定による入力データの一貫性保持など、オートフィルや関数による自動入力がスムーズに行われるようになります。
参照範囲が適切である
エクセルで数式や関数を用いた自動入力を行う際には、参照範囲が適切であることは非常に重要な条件です。
関数が正しい結果を導くためにも、計算や参照に必要なセル範囲を正確に指定しなければいけません。
仮に参照範囲が違えば、意図しないセル値の参照や計算範囲から一部のデータの漏洩が生じるなど、結果として不正確な自動入力が行われてしまいます。
特に行や列を挿入・削除した後などには、参照範囲が自動的に更新されているかを確認しましょう。
書式設定が適切である
エクセルの自動入力において、書式設定が適切であることはデータの見やすさだけでなく、その後の処理にも影響を与えるので自動化の条件の1つとして挙げられます。
日付として認識させたいデータに文字列形式の書式を設定すると、オートフィルで連続データを作成する際に意図しない結果となります。
一方で数値計算を行うセルに文字列形式の書式を設定すれば、エラーの原因となるので注意が必要です。
このような事態を防ぐためにも、データの内容と書式が一致させて正確なデータ管理を行いましょう。
周囲との関連性がある
エクセルの自動入力機能の中には、周囲のデータとの関連性を認識することで効果を発揮するものがあります。
フラッシュフィルはその代表例で、ユーザーが入力したいくつかの例を基に、隣接する列のデータとの関連性(例えば、姓と名がスペースで区切られている)を学習して残りのデータの自動保管が可能です。
数式や関数を用いた自動入力も、周囲のセルの値を参照することで関連性を利用するなど、エクセルは単独のデータだけでなく、周囲のデータとの関係性の中からパターンや規則性を見つけ出して自動入力の精度を高めています。
このように自動入力を効果的に活用するためにも、関連するデータが適切に配置されていることも条件の1つです。
エクセルの自動入力で業務効率化を実現しよう
エクセルの自動化に成功すれば、膨大な量のデータ入力の効率化も可能になり、作業効率を大幅に向上させることができます。
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