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エクセルの標準偏差の計算方法!コツや活用シーン

統計学の指標のひとつであり、ビジネスシーンでも活用される標準偏差。
標準偏差を手計算で行うのは一苦労ですが、エクセルを使えば簡単に値を求めることができます。

しかし、標準偏差を求める関数にはいくつか種類があり、どれを使えばよいか迷うかもしれません。そこで、今回はエクセルで標準偏差を求める計算方法について詳しく解説していきます。

エクセルの標準偏差とは

エクセルの標準偏差とは

標準偏差とは、データが平均値からどれぐらい外れているかという、ばらつき具合を表す指標です。

例えば、A・Bの2名にテストを実施し、結果がAさん80点・Bさん60点だったとします。
2名それぞれの偏差を算出すると、次の通りです。

  • Aさん:得点80点ー平均70点=平均との差(偏差)10点
  • Bさん:得点60点ー平均70点=平均との差(偏差)10点

上記の通り、数値と平均との差を「偏差」といい、ある一定のデータ内から標準的な偏差を求めたものを「標準偏差」といいます。
標準偏差を求めることで、平均値だけでは見えてこない特徴を捉えることができ、正しくデータを分析できます。

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「母集団」「標本」とは?

エクセルで標準偏差を求める時に、引数として指定するデータが「母集団」か「標本」かを判断します。例えば、中学一年生を対象とした標準偏差を取る場合、次のように分かれます。

  • 母集団:全国の中学一年生
  • 標本:東京都に在住する中学一年生

集計しようとしている対象の全体を「母集団」、母集団の中から調査のために選出された集団のことを「標本」といいます。

エクセルでの標準偏差の計算方法

エクセルで標準偏差を求めるときには、STDEV(スタンダードディビエーション)という関数を用います。STDEV関数には、

  1. STDEV.P
  2. STDEVP
  3. STDEVPA
  4. STDEV.S
  5. STDEV
  6. STDEVA

の6種類があります。種類が多くて分かりにくいように感じるかもしれませんが、引数とするデータが「母集団」「標本」かを判断できれば簡単に使いこなせるはずです。
まずは母集団と標本について理解し、それぞれの関数の計算方法も確認してみてください。

STDEV関数の種類①母集団を対象とした標準偏差の求め方「STDEV.P関数」

引数とするデータが母集団を対象としている場合、「STDEV.P」を使用します。
エクセルでの入力手順は、次の通りです。

  1. 計算結果を表示させたいセルに「=STDEV.P(」と入力
  2. 引数とするデータをドラッグして選択
    (例)A1からA2セルを選択した場合「=STDEV.P(A1:A10」と入力される
  3. Enterを押せば計算結果が表示

STDEV.P関数は、引数にある範囲の数値のみが計算対象となり、論理値や文字列はすべて無視されますので注意が必要です。

STDEV関数の種類②エクセル2010以前に使用していた「STDEVP関数」

STDEV.Pからドット(.)を除いた関数で、「STDEVP」があります。
STDEVPはエクセル2010以前に使われていた関数で、STDEV.Pと同じ機能を果たす関数です。
エクセル2010以前のバージョンを使う人とデータを交換する可能性があるなど、古いバージョンのエクセルとの互換性を持たせたい場合は、STDEVPを使用しましょう。

エクセルでの入力手順は、STDEV.Pと同じです。

STDEV関数の種類③引数にある文字列や論理値も含めて計算できる「STDEVPA関数」

STDEVPA関数は、母集団を対象として標準偏差を求めるという機能はSTDEV.Pと同じです。
違いは、引数とする範囲のデータについて、数値だけでなく文字列や論理値(TRUE、FALSE)も含めて計算する点です。
文字列や論理値「FALSE」が入っていた場合は0として計算し、論理値「TRUE」が入っていた場合は1として計算します。

例えば、製品テストの結果欄に、数字以外に「無効」「失格」などの文字列が入っている場合、0としてカウントされます。
STDEV.P関数の場合は、文字列や論理値が無視されるため結果が変わります。
引数のデータに、文字列や論理値を含む場合はSTDEVPA関数を使いましょう。

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STDEV関数の種類④標本を対象とした標準偏差の求め方「STDEV.S関数」

引数とするデータが標本を対象としている場合、「STDEV.S」を使用します。
STDEV.Pと同じく引数は数値のみが計算対象となり、論理値や文字列は無視されます。
エクセルでの入力手順も、STDEV.Pと変わらず簡単です。

  1. 計算結果を表示させるセルに、「=STDEV.S(」と入力
  2. 引数とするデータをドラッグして選択
    (例)A1からA2セルを選択した場合、「=STDEV.S(A1:A10」と入力される
  3. Enterを押せば計算結果が表示

ただし、あまりにもデータの数が膨大だと、STDEV.P関数を使用した時とほぼ同じ計算結果になってしまいます。

STDEV関数の種類⑤エクセル2010以前に使用していた「STDEV関数」

STDEV.Sから「.S」を除いた関数で、「STDEV」があります。
STDEVはエクセル2010以前に使われていた関数で、STDEV.Sと同じ機能を果たします。
エクセルでの入力手順も同じです。

STDEV関数の種類⑥##引数にある文字列や論理値も含めて計算できる「STDEVA関数」

STDEVA関数は、標本を対象として標準偏差を求めるという機能はSTDEV.Sと同じです。
引数とする範囲のデータについて、数値だけでなく文字列や論理値(TRUE、FALSE)も含めて計算する点が異なります。
文字列や論理値「FALSE」が入っていた場合は0、論理値「TRUE」が入っていた場合は1として計算します。エクセルでの入力手順も同じです。

エクセルで標準偏差を活用するシーン

エクセルで標準偏差を活用するシーン

エクセルで標準偏差を活用するシーンには、次のようなパターンが考えられます。
あらゆるビジネスシーンに活用されているため、ぜひ参考にしてください。

品質管理

標準偏差が大きいと、平均値のばらつきが大きくなります。
標準偏差を利用すれば、商品の品質管理に活用することが可能です。

例えば、完成品サイズが10cmと規定した部品を作成する工場だとします。
完成したサイズが、10.5cmや9.1cmのようにバラバラだと、品質が良いとは言えません。
標準偏差が大きいと品質の差が大きくなるため、クレームが来る可能性も考えられます。

標準偏差は品質管理の場面で、規格外の製品がどれぐらい出るか、個体差の許容範囲をどうするか、というような判断をするシーンで役立つでしょう。

リスク管理

標準偏差は、ビジネスや投資におけるリスク管理にも利用できます。

例えば、ある日には200個売れ、ある日には150個売れるという売れ行きの標準偏差を把握しておきます。標準偏差が分かれば在庫数の目安になるため、商品在庫を抱えすぎて赤字になることを避けることが可能です。
生鮮食品のような、在庫リスクを取れない製品のリスク管理に役立ちます。

また、資産運用におけるリターン広がりを示す指標としても、標準偏差が利用されています。
リスクと期待リターンの振れ幅を確認することで、分散投資する際の目安となるでしょう。

データ分析

標準偏差は、アンケートなどのデータ分析にも使われています。

例えば、飲食店で顧客満足アンケートを行った結果、平均点が70点であった店舗AとBがあったと仮定します。一見すると、平均点が同じなので、AもBも同程度の品質水準であると思うかもしれません。

しかし、Aの内訳が100点・40点で平均70点、Bの内訳が75点・65点で平均70点であった場合、Aの方が標準偏差が大きくなります。
標準偏差が大きいAは、平均70点でも顧客ごとの評価にばらつきがあるので、品質水準に問題があるかもしれません。

このように、ビジネスに重要な指数のデータ分析にも、標準偏差が参考になります。

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エクセルの標準偏差についてまとめ

エクセルで標準偏差を計算するには、まずは引数とするデータが、母集団なのか標本なのかを判断しましょう。古いバージョンのエクセルとの互換性や、引数の中に文字列や論理値を含むかどうかで、使うべき関数が変わってきます。
品質管理・リスク管理・データ分析と言ったシーンでも参考になりますので、標準偏差を活用してみてください。

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