AI業界において近年注目されている資格に「E資格」があります。名前を聞いたことのある人は多いかと思いますが、試験内容や多くの人が受験を希望する理由など、具体的な情報は知らないという人は多いのではないでしょうか?
そこで今回は、エンジニアにこそおすすめしたい「E資格」の概要や、おすすめの理由について解説します。
E資格はAIのスキルを証明する数少ない資格
E資格の「E」は「Engineer」の略で、日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定するディープラーニングを実装するエンジニア向けのスキルを証明するための資格です。まずは、試験日程や受験資格、試験範囲など、E資格の基本情報について解説しましょう。
試験日
直近のE資格の試験日は次のとおりです。
- 2023年8月25日(金)
- 2023年8月26日(土)
- 2023年8月27日(日)
なお、これらの試験予約期間は「2023年6月1日(木)午前9時00分〜受験日前日の午後11時 59分」です。毎年8月と2月の年2回開催なので、2月の受験に間に合わない場合は上記の8月の試験日程で受験しましょう。
上記以降での受験を計画する場合は、学習範囲と当日の試験範囲が合っているか申込前に確認しましょう。
申込方法
E資格の申込方法は、E資格受験サイトから、下記の手順で手続きを行うだけです。
- 新規ユーザー登録
- 試験予約
- 予約完了メールの受領
なお、予約の変更・キャンセルは受験日時の24時間前までです。
受験資格
E資格を試験するためには、「JDLA認定プログラム」を修了することが必要です。
『JDLA認定プログラム』とは、日本ディープラーニング協会(JDLA)の認定するセミナーです。
JDLA認定プログラムは、主にディープラーニングのスキルとして重要な「実技」のスキルを補うものであるため、試験本番とは異なり、実技演習を中心としたセミナーになります。また、期間が数ヶ月単位と長く、受講料も数十万円程度必要なので、E資格受験までの計画をしっかり立ててセミナーを受講しましょう。
G検定との違い
ディープラーニングに関連する資格には、E資格の他に「G検定」もあります。G検定もJDLA主催のディープラーニングに関する資格ですが、G検定の「G」は「Generalist」の略称で、ビジネススキル中心の資格です。E資格はエンジニア向けの「生み出す」スキルを確認する資格で、G資格はディープラーニングの「活用方法」に重点を置いた試験内容です。
また、G検定には受験資格がないため、まずはG検定を取得し、その後にE資格を取得することもできます。
E資格を取得するメリット
E資格を取得することにより得られるメリットには、次のようなものがあります。
- 需要の高いAI分野のスキル証明になる
- 業界内での転職の際に有利になる
- 合格者限定コミュニティで人脈を広げられる
- 名刺に合格者の証としてロゴを使用できる
ここでは、E資格の取得で得られるメリットを解説しましょう。
需要の高いAI分野のスキル証明になる
AI・ディープラーニングは日々技術進歩を遂げており機能向上すると共に、さまざまな分野での応用も積極的に進められています。
エンジニアが保有しているスキルを証明するのは、ビジネスにおいて重要ですが、AI・ディープラーニングに関する資格は多くないため、それがなかなか困難です。E資格は数少ない資格のうちの一つなので、取得することで保有スキルを可視化するのに役立てられます。
業界内での転職の際に有利になる
AI・ディープラーニングのスキルを保有するエンジニアは、業界内で需要が高く、年収アップも十分に目指せます。ただし、その際には他の応募者への差別化を図る必要があります。E資格を保有しておくことで、単純に面接や書類選考時にPRできる項目となり、転職活動を有利に進めることができます。
合格者限定コミュニティで人脈を広げられる
E資格には、合格者専用のコミュニティ(Slack)が存在します。コミュニティ内で、最新の市場動向や最新情報を得ることで、最新の知識を習得できます。
さらに、人脈作りをしておくことで、のちのビジネスチャンスにつなげられることもあるため、業界内で仲間づくりをしておくこともメリットになります。
名刺に合格者の証としてロゴを使用できる
E資格の合格者には、名刺やプロフィールにE検定合格者のロゴを使用できる権利が与えられます。
取引先や社内の重要人物がE資格の内容や重要度を理解していれば、「AIに関して高いスキルを保有している人」と認識してもらうことができ、それを起点とした新たなビジネスに展開する可能性もあります。
E資格の取得がエンジニアにおすすめである理由
E資格はAIに関するエンジニア向けの資格ですが、エンジニアにおすすめの理由は、次のとおりです。
- 成長市場であるAI分野で活躍が期待できる
- 転職により年収アップが期待できる
- 基礎知識を活かして学習を効率良く進められる
これらについて、補足説明します。
成長市場であるAI分野で活躍が期待できる
2022年5月24日にIDC Japan株式会社が発表した「国内AIシステム市場予測」には、次のようなデータが示されています。
- 2021年市場規模:2,771億9,000万円
- 2026年市場規模:8,120億9,900万円(予測)
このデータからわかるように、AIは今後さらに成長するため、エンジニアの寿命としてもまだまだ高まることが予想できます。今からAI業界に挑戦することで、エンジニアとしての価値を高めることができます。
転職により年収アップが期待できる
AI・ディープラーニング分野の求人には「E資格保有者、積極採用」と明言されているようなものもあります。さらに、AIに関係する職種は需要が多く年収も高水準である場合が多いです。そのため、E資格を保有していることで転職による年収アップを期待できます。
基礎知識を活かして学習を効率良く進められる
AI・ディープラーニングは人気の業界であり、エンジニアに限らず様々な人材が参入を目指しています。しかし、エンジニアとしての成果を求められる場合には元々エンジニアである人材が目指す方が自然であり近道であることはいうまでもありません。
また、E資格受講のためには、数学・機械学習・プログラミングに関する基礎知識が必要になりますが、それらの基礎知識はエンジニアであれば元々習得済みであるため、学習効率が高められます。
さらに、E資格向けのセミナーの中には、初学者に向けてこれらの基礎学習をカリキュラムに含めている場合が多く、それによって料金が高くなったり受講期間が長くなったりします。エンジニアであれば、それらの基礎学習部分はスキップできるため、数あるセミナーの中から必要最低限なものを選ぶことができ、学習を効率的に進められます。
E資格の取得が役立つ職業・職種
E資格は現場ではどのように活用できるのでしょうか?E資格を取得することで有利になる職種は、主に次のとおりです。
- データサイエンティスト
- 機械学習エンジニア
- データアナリスト
ここからは、それらの職種の概要について解説します。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データの分析や利活用、上流プロジェクトにおける企画構想からサービス企画までさまざまな仕事があります。求人としては、フルリモートで年収700万円~1,000万円程度のものが多く、年収アップするために転職を目指す人も多くいます。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは、機械学習を活かしたソリューションやサービスの実装などが主な仕事内容です。また、ベンダーやメーカーとの信頼関係の構築からトレーニング・セミナー開催などの活動も多いため、教えることや人前で話すのが得意な人にとっても魅力的な職種です。
求人としては、年収800万円~1,000万円のものが多いでしょう。
データアナリスト
データアナリストは、統計学を用いて複雑なデータから課題解決策を導くことが主な仕事内容です。具体的には、モデリングやクラスタリングなどの機械学習手法を用いて、マーケティングや業務効率化に役立てる役割を担います。
求人には管理職待遇のものが多く、年収1,200万円~1,400万円と高水準となっております。
E資格の難易度
E資格の難易度は、過去の合格率からわかります。
開催回 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018 | 342 | 337 | 234 | 69.4% |
2019#1 | 396 | 387 | 245 | 63.3% |
2019#2 | 718 | 696 | 472 | 67.8% |
2020#1 | 1,076 | 1,042 | 709 | 68.0% |
2021#1 | 1,723 | 1,688 | 1,324 | 78.4% |
2021#2 | 1,193 | 1,170 | 872 | 74.5% |
2022#1 | 1,357 | 1,327 | 982 | 74.0% |
2022#2 | 917 | 897 | 644 | 71.8% |
2023#1 | 1,131 | 1,112 | 807 | 72.6% |
累計 | 8,853 | 8,6564 | 6,289 | 72.6% |
このデータからわかるように、合格率は63~78%です。さらに、職種ごとの合格者数も見てみましょう。
職種 | 合格者数 | 全体の割合 |
営業・販売 | 9 | 1.12% |
企画・調査・マーケティング | 40 | 4.96% |
経営・社業全般 | 10 | 1.24% |
経営企画 | 7 | 0.87% |
研究・開発 | 337 | 41.76% |
情報システム・システム企画 | 202 | 25.03% |
生産・製造 | 40 | 4.96% |
総務・経理・人事 | 9 | 1.12% |
学生 | 76 | 9.42% |
その他 | 77 | 9.54% |
総計 | 807 | 100% |
職種としては「研究・開発」と「情報システム・システム企画」が全体の67.2%を占めており、エンジニアがほとんどだといえます。そのような受験者の分布の上で合格率は63~78%となっているので、それほど高い合格率とはいえないでしょう。
合格率が高いからと言って、難易度が低いというわけではないので、しっかりと対策して挑むようにしましょう。
E資格の勉強方法
エンジニアであれば前提知識があるため、E資格はそれほど対策しなくても良さそうだと考える方もいるでしょう。しかし、前述のように難易度は決して低くないため、しっかり対策しましょう。具体的には、下記の勉強によって対策できます。
- 独学
- Webセミナー
- 参考書
これらの中で、何がおすすめなのでしょうか?E資格の勉強方法の種類とおすすめの対策方法を紹介します。
独学
E資格に関する勉強は、独学で行うこともできます。E資格の試験内容であるAIやディープラーニングは、UdemyやYouTubeなどの動画教材も数多くあるので、自分に合ったものをそこから選択して学習することができます。
ただし、学習内容とE資格の試験範囲が一致しているかどうかは、よく確認しておく必要があります。受験する試験日のシラバスを確認し、試験範囲が教材と一致しているのかどうかをよく確認しておく必要があります。
さらに、教材の評判もわからないため、数ヶ月勉強しても身にならないリスクもあります。
そして、疑問に思うことがあっても相談できないので、わからないことがわからないまま放置されてしまう可能性もあります。
これらの理由から、E資格を独学することはあまりおすすめできません。
Webセミナー
E資格は、JDLA認定プログラムの修了が受験資格となっており、必ずセミナーを受講する必要があります。ただし、セミナーの受講料は高額で、数ヶ月単位で10〜40万円程度のため、費用対効果の高いセミナーを選びたいところです。
セミナーの内容やカリキュラムには、初学者に向けて前提知識から丁寧に解説するものや、基礎知識は省略して、実践を重視したコーディングの演習に重点をおいたもの、短期間で修了することを目的としたシンプルなものなどさまざまあります。自身の知識レベルや予算・計画・保有スキルに応じたセミナーを選ぶことが重要です。
最もおすすめなのは、「Webセミナー」を活用する方法です。Web形式のものであれば、場所を選ばずに学習でき、さらにeラーニング形式のものであれば時間も自由に学習が進められるからです。
参考書
E資格に関する参考書も各出版社から販売されており、それらを活用して勉強することもできます。書籍は直接書き込んだり、携帯して外出先で勉強したりすることができるなどの利点があり、学習方法として根強い人気があります。
ただし、シラバスが頻繁に変更になるため、書籍のライフサイクル的に最新版のものを選ぶようにしないと、古い試験範囲のものを勉強することになってしまうことには注意しましょう。
また、プログラミングに関する学習は、本を読むだけでは不十分で、実際に開発環境を構築してコードを書くような学習方法が必要になります。本ではコーディングしたものを実際に動かすことができないので、ミスに気付きにくく、学習効率が悪くなってしまいます。また、本のとおりに動作しなかった場合などは相談する相手がおらず、わからないままになってしまうなどのデメリットがあります。
これらの理由から、E資格を参考書で学習することはあまりおすすめできません。
まとめ
E資格は、AI関係のエンジニアとして活躍する人にとってメリットの多い資格です。また、AIは成長市場であり、人材の需要も高いため、年収アップを含めキャリアアップが期待できます。
ただし、受験資格としてセミナーの受講があるため、確実に合格を狙えるよう、自分の目的やレベルにあったセミナーを選択することが重要です。受講を検討する際には、まずはセミナー選びが重要になる点に注意しましょう。
AI研究所が提供するJDLA認定プログラム「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」は、受講方法は「対面」「オンライン」「eラーニング」の3種類から選択可能です。eラーニングの場合、最短で4日間、対面・オンラインの場合は1ヶ月間でE資格の受験資格が取得可能です。
また、他のJDLA認定プログラムと比較して割安であり、「対面」「オンライン」「eラーニング」のいずれの受講方法でも、20万円以内で受講可能です。
さらに、現在割引キャンペーンを行っており、対面・オンラインは138,000円、eラーニングは78,000円で受講できます。
形式 | 対面 / ライブ配信 / オンライン |
費用(税込) | 会場受講:206,800円
オンライン受講:206,800円 Eラーニング:184,800円 |
受講期間 | 対面・ライブ配信:1ヶ月
オンライン:1年間 |
JDLA認定プログラムの選択にお悩みの方は、AI研究所の「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」を検討してみてください。
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