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デジタル人材の育成が本格化!日立製作所の目標や人材不足問題の解決策を解説

デジタルデータやテクノロジーを活用した事業を展開する「日立製作所」が、デジタル人材の早期育成に力を入れ始めました。ではなぜ、デジタル人材の育成を急いでいるのでしょうか。

今回は日立製作所のデジタル人材に関するニュースから、教育を急ぐ理由や目標、デジタル人材の活用について深掘りします。デジタル人材不足の解決策も紹介しているので、新事業に向けた人材育成の参考にしてみてください。

日立製作所がデジタル人材の育成を本格化!

日立製作所がデジタル人材の教育をスタート

日立製作所は現在、自社で提供しているIoT関連のソリューションを強化するために、データサイエンティストといった高度な知識・スキルを持つデジタル人材の育成を本格化すると発表しました。

今回実施する教育の中では、アメリカの大手IT企業「グローバルロジック」が実施している教育手法を活用し、短期集中型で育成を進める予定です。

日立製作所で実施するデジタル人材の育成方法

日立製作所では、効率的にデジタル人材の育成するためにグローバルロジックが利用している「プロフェッショナル人材育成」というスタイルでデジタル人材を育てていきます。

プロフェッショナル人材育成とは、以下に示す方法で社員のキャリアアップを目指していく教育手法です。

  • スキルの習得
  • 既存スキルの研鑽(けんさん)
  • 個人がもつ領域外の学習
  • 実践的な挑戦

ただ座学で学ぶだけではなく、実践的な方法で能力を身に付けてもらうのがプロフェッショナル人材育成のスタイルになります。日立製作所は、この教育手法を参考として、東京都台東区にある日立アカデミーで試験的にデジタル人材育成の研修をスタートするそうです。

日立製作所が掲げるデジタル人材育成の目標

日立製作所では現在、約6万7,000名のデジタル人材が業務を遂行していますが、今回の研修により、プラス3万人の9万7,000名という大規模な人材増加を目指しています。

また、増加した人員には、AI・IoTといった技術活用をサポートするソリューション「ルマーダ」を主軸として、日立製作所の製品やIT技術・OT技術活用しながら業務展開を目指す予定です。

デジタル人材育成のために実施される研修内容

デジタル人材の教育方法

日立製作所が実施するデジタル人材育成の研修では、次のような短期集中教育が実施されるそうです。

コース名称 研修の内容
データサイエンティスト プログラミング言語の「Python」を使ってAIに利用されtる機械学習の基礎知識や設計、モデル構築の学習を実施する
エンジニア クラウドの活用方法やビッグデータの活用の中で素早く分析・判断を下す対応について学ぶ

ほかにも学習支援として、講師や事務局、受講生などと交流できる時間やコミュニティを整備して研鑽(けんさん)しやすい環境を作り出しています。1回当たり3~4ヶ月の研修を人数制限した受講者に対し、2~3年かけて教育を実施する予定です。

他社で実施されているデジタル人材の育成方法

デジタル人材の育成は日立製作所だけでなく、さまざまな企業でスタートしています。
参考として、以下にデジタル人材育成の事例をまとめました。

企業 デジタル人材育成の内容
ダイキン工業株式会社 「ダイキン情報技術大学」という社内講座を創設して、AIリテラシー講習やデータベースの活用方法について学ぶ
キリンホールディングス 「キリンDX道場」という講座を立ち上げ、事業課題の抽出やICTの活用方法の提案、設計検討などを学ぶ
NECマネジメントパートナー株式会社 「ビジネスアナリスト」「データアナリスト」「サービスプランナー」という3つのタイプに分けてデータ解析や課題抽出、提案力アップなどを教育する

どの企業でも、自社独自で教育制度や環境を整備したうえでデジタル人材の育成をスタートしています。中にはデジタルの知識が豊富な外部講師を呼び、自社にはないノウハウや知識を取り入れる研修なども実施されているそうです。

デジタル人材の育成が必要な理由

近年、デジタル人材の育成が急がれる事例が増えてきています。
なぜデジタル人材の育成が急速化しているのか、具体的な理由を整理しました。

国がDX化を推進している

まず国が主導となりDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進しているのが、デジタル人材の育成が加速している理由です。企業経営のニーズがDX化に移行しているほか、少子高齢化を解決するためにDX化に取り組む企業が増えています。

またDX化のゴールは、新たな価値の提供やプロセスの変革、ビジネスの創造です。
既存事業だけでは立ち行かなくなっている企業も増えていることから、現在の日本ではDX化に取り組む企業が増加傾向にあります。

人手不足問題について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

人手不足倒産が急増中!業界別の倒産傾向や人材流出対策を解説

業務効率化に対応できる人材を集めたい

日本では人手不足に悩む企業が増えており、少ない人材で効率よく業務を回していく必要があります。そこで必要となるのが、業務効率化に対応できる人材です。

業務効率化を実現するためには、専門的な知識を持っていることはもちろん、システム導入や活用に対応できる人材が欠かせません。デジタル人材がひとりいるだけでも新たな動き方を模索するきっかけができるため、近年ではデジタル人材を求める企業が増えているのです。

人材開発支援助成金を活用できる

デジタル人材の育成に力を入れているのは、厚生労働省が提供している「人材開発支援助成金」も関係しています。

人材開発支援助成金とは、雇用する労働者に、職務に関連する専門知識・技能を習得させることで費用の一部を支援してもらえる制度のことであり、デジタル人材の育成もその中に含まれています。

かかった費用のうち大企業は45%、中小企業は60%も助成してもらえるため、少ない費用でデジタル人材の育成をスタートできるという理由から、教育支援を始める企業が増えているのです。

デジタル人材を育成する効果

デジタル人材の育成をスタートすれば、従業員にデジタル関連の知識・スキルが身に付き、さまざまな面で企業経営の役に立ちます。参考として育成に期待される効果を整理しました。

市場の変化に対応できる

近年では、急速なIT化・グローバル化といった影響により、市場の変化が起こりやすくなっています。そういった状況のなか、変わりゆく市場で優位に立ちまわりたいのなら、デジタル人材の能力が必要です。

例えば、データを収集して市場動向を分析できるほか、ビッグデータを活用して最新の市場に合う取り組みなどを提案できます。

企業として生き残るためにはデータ戦略が必要不可欠であるため「市場が縮小している」「市場変動の波が大きい」といった企業は、デジタル人材を育成するのがおすすめです。

古い組織文化を改善できる

デジタル人材を確保すれば、古い体制のまま事業展開している企業文化の改善が可能です。

アナログで時間のかかる作業をデジタルに移行しやすくなるのはもちろん、業務効率化に役立つシステムや技術を提案してもらいやすくなります。近年では、古い体制でメンテナンスや管理に時間がかかるレガシーシステムから脱却したいと考える企業も増えています。

社内にひとりでもデジタル人材がいれば、経営課題を解決できる施策を検討しやすくなるのが魅力です。

レガシーシステムの課題を詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
レガシーシステムから移行した場合の動向についても解説しています。

レガシーシステムの課題とは?スマート工場の実現に向けた解決策・企業事例

新たなビジネスモデルを構築できる

社内のDX化を進められるデジタル人材を育成できれば、最新のテクノロジーを駆使したビジネスへの参入が可能となります。

効率よく業務を進行できるため、新たな事業をつくるための時間を確保しやすいほか、デジタル技術を使ったソリューションを立ち上げることも可能です。

デジタル技術を活用したビジネスモデルを構築すれば、競合他社とビジネスの差別化ができるほか、新規顧客獲得にもつ長りやすくなります。新しい知識・スキルをもつデジタル人材を取り入れ、ビジネスの方向性を検討してみてはいかがでしょうか。

デジタル人材の不足問題を解決する方法

デジタル人材不足の解消方法

デジタル人材を確保すれば、企業軽々に新しい風を吹き込み、既存のデジタルビジネスを改善しやすくなります。しかし、デジタル人材を確保できないこと自体に課題を抱えている方も多いでしょう。

参考として、デジタル人材を確保するための方法を2つ紹介します。

コンサルティングを活用する

近年では、デジタル技術についてアドバイスやサポートを提供している企業やソリューションが増えてきています。社内にデジタル人材がいないという場合に相談しやすく、課題解決の方法を提案してもらえるのが魅力です。

ただし、相談する回数が増えるほどコンサルティング費用が高額になりやすいことに注意してください。また、相談先によって能力や実績が異なるため、比較検討をして自社に最適な企業を探すことが重要です。

セミナー・講習に参加してデジタル技術を学ぶ

「なるべく費用負担を減らしつつデジタル人材を確保したい」「長期的に相談しやすいデジタル人材を確保したい」と考えているのなら、社内従業員をセミナーや講習に参加させてデジタル人材として教育を施すのがおすすめです。

常に社内で働く人材をデジタル人材へと成長させられるため、コンサルティング費用のような高額な費用がかかりません。また、内部事情を理解したうえで最適なDX化を検討しやすくなるため、ぜひ社内でデジタル人材を教育してみてください。

デジタル人材の育成に役立つセミナー・講習を探している方は、以下のようなセミナーに参加するのがおすすめです。

デジタル人材についてまとめ

日立製作所がデジタル人材の育成を急いでいることから、デジタルソリューション関連の事業にニーズが集まっていることがわかります。

国が企業のDX化を推進しているほか、助成金制度の提供をスタートしていることから、デジタル人材を育成するのは今が最適です。社内育成に役立つセミナーなども開催されているため、この機会に気になるセミナーや講習に参加してみてください。

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