CAEとは、機械設計を行う際には欠かすことのできない重要なプロセスの1つです。コンピューター上でCAE解析を行うと、さまざまな工業製品を製造前にシミュレーションできます。そこで今回はCAEについて、そして各社が販売しているCAEの価格や特徴についてご紹介します。
CAEとは
CAEとは、工業・機械製品の開発工程を支援するコンピューターシステムソフトの事を言います。Computer Aided Engineeringの頭文字から付けられた名称で、日本語に訳すと「コンピューター支援設計」です。
CAEが工業や機械製品の開発で求められるようになった背景は、いくつかあります。まず、CAMが普及したことで、複雑な形状の製品を加工できるようになったという事です。製品の形状が複雑であると、製造予測が困難であるという問題点が発生します。その他には設計のCAD化によって、製品データが簡単に作成できるようになった事が挙げられます。更に製品に対して要求される性能が高まったために、最適な設計条件を求めるようになった事も背景の1つです。このような工業や機械製品の開発ニーズのもとCAEソフトが開発され、事前に製品の完成を予測できるようになったのです。
CAEでできること
CAEを活用すると、製品の完成時の予測、いわゆるシミュレーションを行う事ができます。製品の開発工程の段階でCAE分析を行うと、製品の妥当性や性能、最適な製品の状態などを解析する事が可能です。CAEソフトを用いる事で、製品の問題点などを事前に発見する事ができます。綿密に検討を行いながらCAE分析のフローを繰り返すことで、製品の目標性能を達成する事ができるのです。
CAE分析後に目標性能を達成したら、多くの企業は次の工程として試作品を製造します。そして試作品の完成度を確認した上で、始めて製品を量産することが決まるのです。ちなみにCAE分析の正確性の高さから、企業によっては試作品の工程を省き、すぐに製品の量産を行うケースも見られます。
おすすめCAEソフトの価格や特徴を比較
CAEソフトは様々あり、その価格や特徴もそれぞれです。そこで今からは、おすすめのCAEソフトの価格や特徴を比較してみます。
無料で試せるFusion 360は一番おすすめのCAEソフト
Fusion 360は、無料版で試す事ができるおすすめのCAEのソフトです。3DモデリングやCAD、CAMおよびCAE、PCBのソフトが統合されたFusion 360は、製品の設計において様々なシーンで活用する事ができます。
Fusion 360には幾つかのおすすめポイントがあります。まずFusion 360は、製造工程において製品の外観の美しさを詳細に確認する事ができます。そして製品の形状や適合性、機能なども確実に確かめることが可能です。その為製品の製造開発や解析に自信をもって取り組めます。このように安心して設計やエンジニアリングを進める事ができるので、非常に効率的な製品製造が期待されるのです。
様々なツールを活用し、製品の性能向上を推進できる事も特徴です。Fusion 360に搭載されているシミュレーション ツールやジェネレーティブ デザイン ツールを活用すると、製造工程においての設計やエンジニアリング、またはPCBの変更による影響をより少なくする事ができます。その為確実な製品の設計そして製造を行い、性能を向上する事ができるのです。
CADとCAMが完全統合されている事も、Fusion 360の大きな魅力の1つです。業界初のCADとCAMが完全統合されているため、現在あるフィーチャやモデルに入っている取付器具を直接編集する事が可能です。
一番のおすすめポイントは、やはり無料体験版があるということです。無料体験版を利用すると、豊富に搭載された機能全てを試す事ができます。このように無料体験版を利用すると、納得し安心した上で購入する事ができるので非常におすすめです。無料体験版の利用方法は、まずFusion 360のWEBサイトを開いてください。そして「無料体験版をダウンロード」をクリックして、ダウンロードを行えば利用が可能です。
Fusion 360の価格
Fusion 360の販売価格は、1か月の利用プランでは、通常価格8,800円です。1か月の利用プランは、柔軟にアクセスしたい人や、支払いオプションがいる人におすすめです。最も人気が高いのは年単位プランで、割引率が30％となっています。価格は71,500円です。様々な機能を豊富に使いこなしたいプロの方におすすめのプランとなっています。
長期で利用したい方には、3年プランがおすすめです。3年プランは214,500円で販売しています。ちなみにFusion 360は、カスタムソリューションの問い合わせも受け付けています。
自動車のオイル潤滑ならSimerics MP+
Simerics MP+は、自動車のオイル潤滑に強いCAEソフトです。熱流体解析ソフトであるSimerics MPを基にして開発されたソフトであるため、様々な流体解析が可能です。例えば低中真空状態の流れや自由表面流れ、液体に含まれる空気の圧縮性を考慮した流れや圧力脈動・水撃作用などの解析ができます。他のCAEソフトが苦手としているポンプに特化しているため、µm単位の隙間も、全自動でメッシュ作成することが可能です。価格帯は5,000,000円から10,000,000円となっています。
電動ポンプに特化したPumpLinx
PumpLinxは、電動ポンプに特化したCAEソフトです。熱流体解析ソフトSimerics MPを基準として製作されたソフトなので、Simerics MPに搭載されている機能全てを利用することができます。主な流体解析の内容は、自由表面流れや低中真空状態の流れ、圧縮性流れ（亜音速）などとなっています。価格は5,000,000円から10,000,000円です。
汎用CAEソフトウェアANSYS Mechanical
汎用CAEソフトであるANSYS Mechanicalは、幅広い機能が搭載されています。構造解析に有限要素法解析を用いているため、形状準備から最適化まで行う事が可能です。様々な形状の体積要素を簡単に作成できるANSYS Mechanicalは、複雑な材料構造であるマルチスケールモデリングを行う事も可能です。搭載されているANSYS SpaceClaimツールを導入すると、より効率的に製品の設計を行う事ができます。購入価格は、3,110,000円で、1年間レンタルする場合の料金は1,250,000円となっています。
流体機械解析ならFINE/Turbo
FINE/Turboは、流体解析のシミュレーションを可能とするCAEソフトです。高性能でありながら高速に解析が行える事が特徴です。FINE/Turboに搭載されている主な機能は、先進のローターおよびステーター相互作用技術や完全六面体テクノロジー、設計サイクルの統合解析バッチ処理などとなっています。使用方法が分かりやすいこともFINE/Turboの魅力です。直感的なインターフェースを利用して操作ができるので、複雑な計算も短時間で行う事ができます。希望販売価格は3,000,000円です。
粒子法ソフトウェアのEDEM
EDEMは粒子法CAEソフトウェアです。バルク材や粉粒体、石炭や土、更には繊維や穀物まで正確にCAE分析できます。EDEMのシミュレーションを実行すると、様々な条件の下での粒子と装置の相互作用についての情報を得る事ができます。さらに他のCADソフトと併用する事ができるので、幅広い活用が可能です。1年間のレンタル料金は2,690,000円となっています。重機や鉱業、製鉄の企業に主に使用されているCAEソフトです。
CAEソフトは販売形式と目的、価格で選ぼう
CAEソフトは販売形式と目的、そして価格で選びましょう。CAEソフトはメーカーにより価格も様々で、販売形式も異なります。ソフトを永久的に購入する事ができる場合もあれば、レンタルをすることも可能であったり、さらに1年間のみの購入もメーカーによってはできるのです。機能や特徴もそれぞれなので、目的に合ったより良い価格のCAEソフトを利用することをおすすめします。
