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CAEの最適化とは?使えるソフトや最適化の内容・パラメータと構造の違いを解説

CADで設計した構造物を解析するCAEですが、作業の中に最適化というものが含まれることがあります。そして、より良い設計を行うためには、最適化がほぼ必須です。ただ、CAEに詳しくない人は、最適化がどういうものなのかがわからないでしょう。そこで、CAEの最適化について、詳しく解説していきます。

目標や規格を満たす設計を行うための最適化

CADで設計を行った構造物は、CAE機能を使用して、シミュレーション解析することが多いです。ただ、そのシミュレーションの結果が、必ずしも期待したものとは限りません。設計段階で何らかの問題があり、目標や規格をクリアできないということはよくあります。そのような時に行うのが、CAEの最適化です。目標や規格といった、最適な数値や状態に、設計した構造物を近付けていきます。

最適化は基本的に、目標となる数値に、CAE解析の結果が近くなるよう、設定や条件を変更していく作業です。CAEを行うソフトには、解析の条件を色々と変更できる機能が、標準で備わっています。その機能を使って、目標を満たせる設定を探していきます。そして、最適化ができる設定が見つかったら、それを元の設計に反映させます。そうすると、目標や規格の条件を満たした構造物が完成します。

また、最適化は、基準以下の設計を目標や規格に合わせるために行うとは限りません。設計した構造物は、目標や規格を大幅に超えてしまい、オーバースペックとなることもあります。その場合、オーバーしている部分は必要ありません。過剰な部分を抑えることで、コストダウンができる可能性が高いです。そのために、最適化を行うことも多いです。つまり、最適化とは、基準を下回っているもの、あるいは上回っているものを、基準に近付けるための作業です。

最適化は、コンピュータ内で完結するもので、解析の延長として行うことができます。よって、CAE解析の担当者に技術力さえあれば、解析と最適化をまとめて行うことも不可能ではありません。そして、最適化の作業は、CADでの設計が完了してから行われます。CAE解析の結果を元に、設定を変更すべき部分を見つけることになるため、CADデータが必要です。したがって、構造体がひと通り完成した後で、設計作業の仕上げとして、最適化による調整を行うことが多いです。

ただ、必ずしも仕上げとして最適化を行うとは限りません。大まかな設計ができた段階で最適化を行い、その結果をフィードバックさせながら設計を進めていくパターンもあります。これは、設計に不確定要素が多い場合に見られるパターンです。比較的高い頻度で最適化を行うことで、不確定要素が原因による設計ミスを減らすことができます。

CAE解析には、構造解析や熱伝導解析など、複数の分野があります。その複数分野で、それぞれ満たさなければならない目標が設定してあることも珍しくありません。その場合にも、最適化を行います。ただ、一方の基準を満たしたとしても、もう一方の基準が満たされていないという状況になる可能性があります。そのため、複数分野の最適化を行うためには、より高度な技術力が必要となります。

代表的なパラメータ最適化と構造最適化の違い

CAEの最適化にはいくつかの種類があり、その中でも代表的なのは、パラメータ最適化と構造最適化の2通りです。そして、それぞれ最適化を行うための手法が違うため、必要となる場面が異なります。パラメータ最適化は主に、CAE解析のパラメータ、数値を変更することで最適化を図ります。変更する数値は、構造物の長さや、カーブの半径など様々です。また、構造物に使用する素材や、周囲の環境といったパラメータを変更して、最適化を図る場合もあります。

パラメータ最適化は、変更できるパラメータの種類が限られています。そして、そのパラメータも無尽蔵に変更して良いわけではなく、ある程度の制限があります。そのため、パラメータ最適化では、大幅な変更はできません。したがって、CAD設計での最終段階として、調整のために用いられることが多いです。

構造最適化は、設計した構造物の形状を変えることで、最適化を図ります。寸法が変わる部分は、パラメータ最適化と共通しています。けれど、パラメータ最適化ほどの制限がなく、自由度が高いのが特徴です。そのため、色々と形状を変更して、目標や規格に合った設計を模索することができます。そして、早い段階で最適化ができる可能性が高いです。

ただ、自由度が高いので、構造物の形状が大きく変わってしまう可能性があります。そのため、設計の最終段階で構造最適化を行うと、それまでの設計が破綻してしまいかねません。したがって、パラメータ最適化のように、仕上げの調整に用いられることはあまりありません。不確定要素が多いため、高頻度で最適化を行いながら、設計をしていく際に使用される場合が多いです。

そして、構造最適化の中には、トポロジー最適化というものもあります。構造物の表面の形状だけではなく、内部の密度や素材の配置なども変更できる、より高度な最適化の手法です。そのトポロジー最適化を活用すると、内部の密度を減らしてコストダウンを図ったり、内部に耐久力の高い構造を作ったりすることが可能です。

しかし、構造最適化は、設定だけを重視すると、求めていた形状ではない構造物が完成する恐れがあります。さらに、実際に製品として作る際に、技術的なハードルが高くなる形状が仕上がることも考えられます。そのため、破綻なく構造最適化を行うには、高いスキルが必要となります。

最適化ができる代表的なCAEソフトウェア

それではそんな最適化が機能に入っているCAEソフトウェアを紹介していきます。

Fusion360

最適化ができるCAEソフトウェアとしては、Autodesk社が提供しているFusion360が代表的です。CADでの設計や工作機械用のデータを作成するCAMの他、CAE解析機能も備わっています。そして、CAE解析の延長として、最適化を行うことができます。特徴的なのは、ジェネレーティブデザインという機能が備わっている点で、トポロジー最適化として数多くのモデルを作ることができます。最適化を担当する技術者は、ひとつひとつ最適化したモデルを作るのではなく、複数の候補の中から最適なものを選ぶということが可能です。また、設定を変更した上で再解析をするという、パラメータ最適化ソフトとしても活用できます。

OptiStruct

HyperWorksは、Altair社が提供している、構造解析用のCAEソフトウェアです。静的動的を問わず、幅広い解析が可能で、熱伝導や音響などが解析できる機能が備わっています。そして、構造最適化用のソフトとしても使用することが可能です。解析と最適化を統合してあるため、スムーズな最適化ができるのが特徴です。トポロジー最適化にも対応していて、条件を設定することで適切なモデルを作成する機能が備わっています。

SIMULIA

SIMULIAは、Dassault社が提供しているCAEシミュレーションソフトです。構造や電磁界などの幅広いシミュレーションを行なえて、最適化を行うこともできます。特徴的なのは、パラメータ最適化で、一部が自動となっている点です。ソフトがパラメータを変更しながら、条件に合った設計を見つけるために、シミュレーションを繰り返していきます。そうして、数多くの最適化シミュレーション結果の中から、希望に合ったものを選ぶことができます。

効率的な設計に繋がるCAEの最適化を利用しよう

CAEの最適化を行うと、解析段階で目標や規格に合った設計を作り上げることができます。コンピュータ内での変更が可能となり、効率的に設計作業が進むでしょう。そのため、CAE解析を行う人は、最適化についても詳しくなっておいた方が良いです。

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