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無料3DCGソフトBlenderとMMDの特徴や歴史を詳しく解説

2023年現在、巷にはいくつもの3DCGソフトが存在しています。
有料のものから無料のものもあり、どれを選べばいいのかで困ってしまう方もいるかと存じます。
無料3DCGソフトの中でも、BlenderとMikuMikuDance(以下MMD)は、様々な人に幅広く使われています。
無料という共通項はありますが、それぞれのソフトは使用用途や出来ること、得意な事が全く違います。
この記事では、無料3DCGソフトの中でも特に人気なBlenderとMMDについて、それぞれの違い、特徴などを解説していこうと思います。

BlenderとMMDは何が違う?

まず、BlenderとMMDはどのような違いがあるのかについて説明します。
Blenderは、オープンソースで作られている、3DCG製作、2D・3Dアニメーション製作、VFX向けデジタル合成、動画編集ができるソフトです。
MMDは、樋口優氏が製作した、前もって作られた3DCGモデルを操作し、3DCGアニメーションを作ることができるソフトです。
要約すると、Blenderは3Dモデリングからアニメーション製作もでき、その他さまざまな機能の付いた総合プラットフォーム的な使い方ができるソフトですね。
MMDのほうは、アニメーション製作のみができるソフトです。
こう書くと、Blenderのほうが多機能で高性能だと感じるかと思います。
実際、1つのソフトで出来ることでいえば、Blenderのほうが圧倒的に多いと言えます。
しかし、その多機能性は長所であり短所ともなります。
あまりに機能が多いため、覚えることが多く、高度で商業レベルのモデルや作品を作るのであれば、かなりの勉強が必須だということです。
翻ってMMDは、出来ることが限定されているため、覚えることが少なく、Blenderより早く習熟できると言えます。
次の項目では、BlenderとMMD、それぞれの得意な事と苦手な事を比較してみようと思います。

BlenderとMMDの長所と短所

BlenderとMMDには、それぞれ長所と短所があり、それを知ることによりうまく使い分けができます。
BlenderとMMDの長所と短所を箇条書きにし、下にその説明を書きました。

Blenderの長所

Blenderは高機能で開かれたソフトであるので、たくさんの長所があります。

オープンソース

ソフトウェアを構成しているプログラムであるソースコードを無償で一般公開することです。
一般公開することにより、有志のプログラマにより、継続的に改良され続けています。

Windows・Mac・Linuxで使える

全ての主要OSでBlenderが使用可能です。どのPC環境でもBlenderが使えることが強みです。

頻繁な更新

オープンソースで有志の活動が活発であり、更新が数カ月に1度行われることが多いです。寄付で成り立っていますので、余裕がある方は寄付をしてもよろしいかと存じます。

商用利用可能

Blenderで作成したモデルや作品に金銭的な対価を得ることができるので、商業作品にもどんどん使われ始めています。最近の商用利用の例としては、最も注目を集めたもののひとつとして、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が挙げられます。

多機能

Blenderは上述した通り、非常に多くの機能が搭載されたソフトです。

MMDの長所

MikuMiku「Dance」とある通り、ダンスなどの映像作成に特化している尖ったソフトですので、その部分が長所となりえます。

動作が軽い

MMDは起動時、操作時と、とにかく軽いです。
Blenderも起動と操作も軽いほうですが、MMDは必要最小限の機能だからこそ快適な作業が可能です。
しかしMikuMikuEffect(MME)という機能を使うことで動作が重くなる場合もあります。
MMEとはMMDのレンダリングを豪華にしたり綺麗にしたりする機能の名称です。

操作がシンプル

簡単で扱いやすいユーザーインターフェースで、直感的に操作可能です。

動いている様子を確認しながら操作可能

実際に操作している映像とレンダリング後の映像が同じであり、確認が簡単。

ユーザーモデルが豊富

VPVP Wikiというサイトに有志のユーザーが作ったモデルが多数紹介されています。

Blenderの短所

高機能なBlenderですが、それゆえの短所もあります。

操作が複雑で習得が難しい

上述のように、様々な機能がある上、独特な操作性の仕様のため、難易度の高いソフトになっています。

サポートが充実していない

公式サポートはあまり多くなく、ユーザーが動画投稿サイトにアップロードした動画や、記事などを頼りに作っていくことになります。

MMDの短所

MMDは無料ゆえの問題や、独特の性能ゆえの短所があります。

モデル作成が出来ない

MMD本体にはモデルを作成する機能はありません。
また、MMDに互換性のあるPMD(PMX)Editorというソフトがあり、ボーンやメッシュの調整、いわゆる改造はできるものの、根本的にモデル作成が出来るソフトではありません。

開発が停止している

公式には、MMDの開発は2011年5月にVer.7.39をもって終了とされています。
しかし、その後も2014年10月11日のVer9.24までは更新されています。
それ以降はもう更新がありません。

以上のように、それぞれ長所、短所があります。
どちらが優れているかということより、用途に合わせて使うことが肝要ですね。

BlenderとMMDの歴史

さて、ここでは話題を変えてBlenderとMMDの成立過程や、その展開について解説していこうと思います。

Blenderの成立過程、展開

1988年、トン・ローセンダール氏はオランダのアニメーションスタジオNeoGeoを共同設立しました。
NeoGeoはすぐにオランダで最大の3Dアニメーションスタジオになりました。
トンは、NeoGeo用の現在の社内3Dツールセットは古すぎて保守が面倒であり、一から書き直す必要があると判断しました。1995年にこの書き直しが始まり、Blenderとして知られる3Dソフトウェアが生まれました。
1998年、Blenderをさらに売り込み、開発するために、トンは、新しい会社を設立することを決めました。
その会社の中核は、フリーで、コンパクトなクロスプラットフォーム3Dアプリケーションを作成して配布したいという願望でした。
2001年10月、最初の商用ソフトウェア製品Blender Publisherが発売されました。
この製品は、インタラクティブなWebベースの3Dメディアの新興市場を対象としていました。
売上げは期待外れとなり、Blenderも開発中止になりそうでしたが、有志の支援により、2002年3月に非営利組織BlenderFoundationを設立しました。
トンは、Blenderをオープンソースとしてリリースしようとする独自のBlenderFoundation計画を、投資家に同意させました。
Blenderをオープンソースコミュニティにリリースできるように、10万ユーロを集め、2002年10月13日、Blenderは GNU GPL の条件の下で世界にリリースされました。
Blenderの開発は今日も続いており、Blenderの最初の作成者であるトンが率いる世界中からの献身的なボランティアチームによって推進されています。

MMDの成立過程、展開

元々は樋口優氏が自分自身で初音ミクを用いた3D映像を作成するために作ったもので、当初は公開を予定したものではありませんでした。
樋口はBlenderと、あにまさが無償で公開していた3Dモデルを使って3Dの動画を作成しようとした際の苦労から、自分でプログラムを組んで動かすことにし、2007年に作成されました。
初音ミクの権利を持っているクリプトン・フューチャー・メディアが規約変更を行い、プログラム作品が許可されたことによって、MMDは公開されました。
MMDはニコニコ動画で大きな反響を呼び、以後数多くの作品が作られることとなりました。
MMDにあらかじめ用意されているキャラクター以外にも、ユーザーの手により東方ProjectやTHE IDOLM@STER、その他既存商業作品のキャラクターなどを元にした、ユーザーモデルと呼ばれるMMD対応の3Dモデルが多数公開されました。
MMDは実質的にはVOCALOIDだけでない、より汎用的な3Dツールとしての発展も見せています。
MMD公開直後より、ニコニコ動画にはMMDを利用して作られた動画が多数発表されユーザーコミュニティーも形成されてニコニコ動画を舞台に有志により「MMD杯」という動画コンテストも開催されるようになっています。
MMD杯は回を重ねるごとに発表作品が増えていき、2015年の第14回MMD杯が最大で、投稿数844、総再生数1700万再生を達成しました。
しかし、それ以降縮小していき、MMD杯は2018年の第20回で終了しました。
理由としては、恒心教という疑似宗教団体の動画が蔓延したことにより、運営側と投稿者側との対立が生まれ、それが視聴者を減らす結果となり、最終的に終了することになりました。
その後、MMD杯ZEROというという後継イベントが一度開催されましたが、それ以降はMMDの大きなイベントは開催されることはありませんでした。

BlenderとMMDの違いを理解して使おう!

以上、BlenderとMMDの特性やその成立過程など多岐にわたり解説しました。
それぞれ無料でありながら、その性質の違いはとても大きく、使用に当たってはどの3DCGソフトを使えばいいのかわからないという方に対して、お答えできたかと存じます。
BlenderとMMDの他にも、無料3DCGソフト、有料3DCGソフトは沢山あります。
BlenderとMMD以外は紹介できませんでしたが、また機会があれば紹介したいです。
それでは、自分の用途に合うソフトを選んで3DCGライフを楽しみましょう!

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