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Ansys(アンシス)の流体解析・構造解析・応力解析

アメリカのANSYS社が開発したAnsys(アンシス)は、多彩な機能が利用できるエンジニアリングシミュレーションソフトです。
製品ごとに個別の機能があり、どの製品でも利用可能な共通機能も使用できます。

ここでは、Ansysのソフトの中でも流体解析や構造解析、応力解析の機能が利用できるソフトについて、詳しくご紹介します。

Ansys(アンシス)の流体解析について

Ansys(アンシス)の流体解析について

数あるAnsys(アンシス)のシミュレーションソフトの中でも、流体解析ができる機能が搭載されているのは、Ansys CFDというソフトウェアです。

Ansys CFDは数値流体力学に関する問題を解決するための高度な機能をまとめてパッケージした製品です。Ansys CFDには複数の種類の製品があり、製品によって利用できる機能に違いがあります。
その中の1つであるAnsys CFD Enterpriseは、Ansys CFDの中でもフラッグシップモデルのソフトウェアです。CFD Premiumで使用できる機能が全て含まれているだけでなく、Ansysの全ての数値流体力学機能を利用できます。
流動解析機能を利用すれば、高分子の物質やガラスなども分析で、燃焼性能解析を利用すれば内燃機関の性能も分析できます。

Ansys CFDシリーズのソフトウェアには、より高いレベルの解析機能が搭載されたAnsys CFD Premiumという製品もあります。Ansys CFD Premiumには、Ansys FluentやAnsys CFXのような流体解析をするために必要となる機能が搭載されています。
これらの機能を利用することで、高度な流体解析だけでなくモデリングも可能になります。
さまざまな物理現象をモデリングしたい時に利用できるのが、Ansys Fluentの機能です。
乱流や熱伝導の他に、燃焼や空力音響もモデリング可能です。

こうしたモデリング機能を利用することで、さまざまな施設や製品の設計に役立てることができます。半導体の製造や排水処理の設計などにも利用できるソフトです。

Ansys系列の機能

Ansys CFXにも流体解析をするために役立つさまざまな機能が搭載されています。
熱流体解析では圧縮性や層流を解析することもできます。
伝熱の解析や多成分流体解析ができる機能もあります。
Ansys Mechanicalを一緒に使用すれば、連成解析機能を利用することもできます。
片方向連成やマルチコード双方向連成の解析機能を利用できます。

運動エネルギー効果を解析できる機能もあり、各種の運動エネルギーを考慮して解析できるのが特徴です。気体の膨張が原因である温度の低下や、圧縮が原因である温度上昇のような効果を考慮して解析ができます。

Ansys CFXを利用すれば、メッシュモーフィング機能を利用することもできます。
メッシュの変形や移動が発生する解析に利用することが可能です。
容器に入れられた流体の解析や、バルブの開閉に関する問題の解析に利用できます。

インターフェース機能が搭載されていることもAnsys CFXの特徴で、複数のドメインを接続できる機能です。回転機械を使用する時や連続していないメッシュを結合させるために使用できます。流体の領域どうしや固体の領域どうしを接続できる機能の他に、流体領域と固体領域を接続できる機能も搭載されています。

分析したい物理現象の特徴により実際の使用方法には違いがあり、物体が流体圧力の影響で形が変わり、形が変わったことにより流体の動きにも影響を与える時には、双方向の解析をおこなう必要があります。

Ansys FLUENTで双方向の解析をおこなうためには、System Coupling機能を使用する必要があります。この機能を利用することで、Ansys Mechanicalとの双方向の連成解析をすることが可能です。

流体と構造の連成解析は片方向でおこなうこともできます。
Ansys Fluentで計算した圧力分布や温度分布のデータを送れば、Ansysの伝熱解析などのデータとして使用することが可能です。
解析されたデータは互換性があるので、他のソフトウェアなどを使用する必要がないのが特徴です。連成解析の設定をしたい場合には、ドラッグ&ドロップの操作で設定ができます。

Ansys(アンシス)の構造解析・応力解析について

Ansys(アンシス)には構造解析や応力解析の機能が搭載されたソフトウェアもあります。
その中でも構造解析と伝熱解析機能を全て搭載しているのが、Ansys Mechanicalというソフトです。Ansys Mechanicalには、

  • Mechanical Enterprise
  • Mechanical Premium
  • Mechanical Pro

という3種類のソフトがあります。
基本的な解析からより高度な解析まで、さまざまな構造解析や応力解析ができるシリーズです。

Mechanical Enterprise

Mechanical EnterpriseはAnsys Mechanicalのフラッグシップモデルで、Ansysの構造解析や伝熱解析の機能が全て含まれています。Ansys AIMという機能を利用すれば簡単に連成解析をすることも可能です。

Mechanical Premium

Ansys Mechanical Premiumを利用すれば、さらに高度な解析ができます。
線形動解析や非線形応力の解析など、複雑な応力を解析したい場合にも利用しやすい機能です。

Mechanical Pro

Ansys Mechanical Proの機能を使用すれば、線形構造解析や接触解析などが可能になります。
疲労解析や伝熱解析もAnsys Mechanical Proで利用できる機能です。


Ansys Mechanicalを利用すれば、容器に入った液体が外部からの長周期な振動により揺動する動きを解析することもできます。

実際の使用方法としては、容器内に入れられた流体の振動を考慮したスロッシング解析をおこない、容器の固有振動数や固有モードを計算することで解析をおこないます。
流体の振動の影響を計算に入れるために使用するのは、音響流体要素です。
音響流体要素を使用することで、容器内の流体を正確にモデリングすることが可能になります。

モデリングをすることによって、流体の質量の他に、流体内の圧力が伝わることによる剛性の変化についても考慮できるようになります。
表示される解析結果を見れば、変位の分布や圧力の分布について確認することができます。

周波数が高くなることによって、流体と容器が一緒に振動するケースや、周波数が低くなると流体の振動が中心となるケースも解析できます。
なお音響流体要素は、Ansys Mechanicalのライセンスがあれば利用可能です。

アルミ缶の耐圧性能に関するシミュレーションも、Ansys Mechanicalを利用すれば正確に解析できます。
耐圧性能に関するシミュレーションをする場合には、まず2次元軸対象モデルの非線形構造解析をおこないます。材料特性も入力する必要があり、アルミ材のポアッソン比や接戦係数、ヤング率などを入力していきます。
Ansys Mechanicalの機能を利用することで、缶の内部から圧力をかけた時の相当応力と変位を、アニメーションで表示することが可能です。
実験結果などのアニメーションを同期させれば、解析の結果と比較しやすくなります。

他ソフトとの比較

他ソフトとの比較

Ansys(アンシス)以外にも、流体解析や構造解析・応力解析ができるソフトは数多く販売されています。それらのソフトとAnsysを比較することで、Ansysの特徴がよりわかりやすくなります。

他の解析ソフトと比較した場合のAnsysの特徴としてあげられるのは、基本的な解析から高度な解析まで幅広い種類の解析機能が利用できる製品が揃っていることです。

熱流体解析のソフトウェアであるAnsys CFDにも、構造解析や応力解析ができるAnsys Mechanicalにも、複数のシリーズがあるので、利用する人の解析技術や利用目的に合わせて、最適なソフトを選べるようになっています。

さまざまな物理現象の解析に利用できるAnsys(アンシス)

流体解析や、構造解析・応力解析ができるAnsys(アンシス)について、ご紹介してきました。

Ansysシリーズの製品にはさまざまな種類のソフトウェアがあり、流体解析ができるのはAnsys CFDです。Ansys Mechanicalの機能を利用すれば構造解析や応力解析ができます。
利用する目的に合わせて、最適な種類のソフトを選んでください。

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