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SOLIDWORKS MBDとは?機能や利用するメリットを解説

製品を作る工程は複雑ですが、それを短縮できるツールとして注目されているのが「SOLIDWORKS MBD」です。SOLIDWORKS自体は知っているものの、SOLIDWORKS MBDがどのようなものか知らない方もいることでしょう。ここでは、SOLIDWORKS MBDとは何かに加え、機能や使用するメリット、最大限に活用するコツをご紹介します。

SOLIDWORKS MBDとは?

SOLIDWORKS MBDとは、3DCADソフトであるSOLIDWORKS向けの統合製造ソリューションです。SOLIDWORKSは3次元の図面を作成しますが、SOLIDWORKS MBDを使うと図面を作成することなくモデルを作成できるという特徴があります。従来の製品作りには設計図面が欠かせませんでしたし、製造情報は図面に記載すべきものでした。それが、SOLIDWORKS MBDの登場により3Dモデルそのものに情報を記載できるようになったため、図面を削減した状態で製造工程を進めることが可能になりました。

SOLIDWORKS MBDの価格

SOLIDWORKS MBDのスタンドアロン版のライセンス価格は税別で473,000円です。それとは別にサブスクリプションサービスがあり、価格は税別で90,000円です。ライセンスに追加する形でサブスクリプションサービスに加入すると、ソフトウェアのバージョンアップやさまざまな特典が1年間利用できます。特典の中には、販売店によるテクニカルサポートも含まれるため、SOLIDWORKS MBDを使うのが初めての方や、使い方に悩んでいる方にとっては魅力的に映るはずです。常に最新の状態で使用したい、価格以上の効果を期待したいという要望にかなうサービスと言えるでしょう。

SOLIDWORKS MBDの主な機能

SOLIDWORKS MBDには3つの主要な機能があります。

製品・製造情報(PMI)を3Dデータに直接定義付けできる

SOLIDWORKS MBDでは、作成する3Dデータに製品・製造情報を直接定義できます。なお、MBDは英語の「Model Based Definition」の頭文字を取った言葉で、日本語では「モデルベース定義」となります。これは、従来の2D図面に記載されていたPMIを3Dモデルに持たせる手法です。3Dデータにそれらの情報を記載すると、設計や評価の意図を盛り込むことが可能になるということです。設計以外の部門やサプライヤーにデータを流通させる際にPMIが付加されていると、連携がスムーズにいき、意思疎通のスピードアップも期待できます。近年の製造業を取り巻く環境はグローバル化しているため、サプライチェーンの隅々まで共通認識を持っておくためには、PMIが付与されたデータが不可欠と言えるでしょう。

3DデータにPMIを定義できると、図面作成コストの削減も可能になります。その効果の度合いですが、最大で開発コストの約半分をカットできる計算です。そのほかにサプライヤーによる見積もり時間を短縮でき、エラー自体を減らすことに貢献すると考えられます。

3Dデータをわかりやすく表示する

SOLIDWORKS MBDには、3Dデータをさまざまな形で表示させる機能があります。構造化して表示したり、注釈を見ながらモデル自体を回転させ、拡大しながら細部を見たり、逆に縮小して設計内容の全体像を把握できるようになっています。また、3D注釈の表示・非表示が容易に切り替えられるため、製品の形自体に注目したい時と、注釈を含めた詳細を確認したい時で使い分けることができるでしょう。誰もが見やすい3Dデータは、ヒューマンエラーを防ぐのにも役立ちます。

幅広く使われているファイル形式で出力する

SOLIDWORKS MBDは、製造現場で採用されているファイル形式にも対応しています。その一つが、eDrawingsでしょう。eDrawingsは無償で配布されているeDrawingsViewerで開くことができますが、モバイルデバイスと相性が良く、現場でよく使われます。加えて、PDFファイルとして開くことが可能で、無料のPDFのビューで簡単に確認できます。使いやすいフォーマットで出力できれば、注釈や関連情報を確認するのに役立ち、検証や分析も容易に行なえます。

SOLIDWORKS MBDを使うメリット

SOLIDWORKS MBDを使用するメリットは主に3つあります。

品質を向上できる

SOLIDWORKS MBDは、3Dモデルに直接PMIを定義できるため、図面とモデルとの間に生じる食い違いを解消するのに役立ちます。そして、製造にかかわる人すべてが共通認識で持てるような正確なコミュニケーションが可能になり、それが品質向上につながっていきます。

納期を短縮できる

SOLIDWORKS MBDを使うと3Dデータのみで製造現場が回るため、2Dの図面を作成する手間を減らすことができます。また、図面とモデルの両方を使う場合に比べて、ミスや手戻りを極力減らせるようになるため、納期の短縮が実現できるでしょう。実際、製品作りを始めてから市場に投入できるまでの時間を50パーセント程度短縮できた企業もあるようです。

コストを削減できる

感謝者同士の正確なコミュニケーションにより品質が向上し、納期自体を短縮できると、コスト削減も可能になります。確立したデータがあるため、サプライヤーとのやり取りもスムーズになり、より迅速に製品を市場に投入できます。図面を必要としない製造過程では、生産コストを抑え、仕様変更などに柔軟に対応できるということです。なお、2D図面の作成や維持には費用がかかりますが、SOLIDWORKS MBDを使うとそれらのコスト削減にも役立ちます。

SOLIDWORKS MBDを最大限に活用するコツ

SOLIDWORKS MBDを使う製造工程は従来とは異なるため、最大限に活かすためのコツを理解しておく必要があります。ここで、活用のコツをいくつかご紹介しましょう。

3Dビューの活用

SOLIDWORKS MBDでは、3DモデルにPMIの情報を持たせるため、モデルとPMIの表示を切り替えながら見ていく必要があります。その点で役立つのが「3Dビュー」です。2D画面で図面ビューを作成するように3Dビューを作っておくと、通常見ている図面と同様に3Dモデルを確認できるようになります。

無償ビュアーを利用する

SOLIDWORKS MBDで作成した3Dモデルは、eDrawingsや3D PDFを使って出力できます。eDrawingsは、設計情報を共有し、意思疎通を円滑にするために開発されたCADビュアーで、無償で配布されています。3D PDFも無償で使えるビュアーで、設計以外の部署や取引先にデータを見てもらうのにうってつけです。3D PDFビュアーは、専用のエディター機能を使うことにより、画像やテキスト、部品表なども表示できます。工夫次第で見やすくできるため、マスターしたい分野と言えます。

DimXpertで作業効率化

DimXpertはSOLIDWORKS MBDに標準搭載されていますが、マウスによる操作や自動処理により簡単にPMIを追加できる優れものの機能です。記号や注記に加え、テーブルの自動追加もできるため、活用しない手はないでしょう。DimXpertで追加された情報はアノテートアイテムフォルダに表示され、情報をビューごと、あるいはタイプ別にフォルダ分けして見ることが可能です。

盛り込む情報の精査

SOLIDWORKS MBDは有用なアイテムですが、情報を盛り込みすぎで見にくくなる場合があります。そのため、情報のまとめ方や見せ方に注意すると良いでしょう。特に気を付けたいのが、3Dモデルだからと言って2D図面の手法を軽視しすぎることです。確かに、図面で重要視されている点が、モデルにおいては概念すらないということもあります。それでも、特性を見極め、適切な取捨選択をしながら作業すると、作業効率が上がり、わかりやすいデータを作るのに役立ちます。

SOLIDWORKS MBDの機能と利用するメリット

SOLIDWORKS MBDとは図面を作成せずに、3Dモデルを作れるツールです。製造工程を短縮したりコスト削減に役立ち、品質向上のメリットもあります。PMIを付加する機能を持ち、わかりやすく表示するのに役立つツールですが、従来とは異なる方法で製品作りを進めるため、活用のコツを理解しておくと良いでしょう。

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