みなさんはWindows専用の「SOLIDWORKS」という3DCADソフトを知っていますか?SOLIDWORKSは高度な多くの機能を有し、直感的に使える使い勝手の良さ、導入コストの低さで高い世界的シェアを誇る人気ソフトです。
この記事では、そんなSOLIDWORKSをMacで使うことを目的として、SOLIDWORKSをMacで動かす方法や、使用するメリット、使う上での注意点などを詳細に紹介します。ぜひ参考にしてください。
SOLIDWORKSをMacで使えるようにする方法
SOLIDWORKS(ソリッドワークス)はフランスのDassault Systèmes(ダッソー・システムズ)が販売しているハイエンド3DCADソフトです。
建設、医療機器、車、機械工学など幅広い分野で活用されていて、CADソフトとして世界シェア率1位、高機能かつ低価格でとても高い評価を得ています。SOLIDWORKSは、使いやすさも評判が高く、設計から検証、コミュニケーション機能まで包括的なパッケージになっています。
SOLIDWORKSはWindows専用のソフトのため、本来Macで使うことはできませんが、エミュレーターソフトを使うなどの方法でMacでも動かすことができます。ここでは、SOLIDWORKSをMacで使う方法を紹介していきます。
BootCampを使う
BootCampは、Intelのプロセッサを搭載しているMacにWindows10をインストールできるMacの標準機能です。BootCampとWindowsをインストールすることで、MacとWindowsを切り替えて起動できるようになります。(対応OSはWindows10のみ)
Windowsで起動した後にWindows対応のソフトを自由にインストールできるので、SOLIDWORKSも問題なく使えます。インストールは少し複雑で手間がかかりますが、Appleのサポートも受けられる安心な方法です。手順は以下の通りです。
WindowsのISOファイルを作成する
- Windowsメディア作成ツールをダウンロードしたのち、そのファイルを実行
- 起動したWindowsセットアップ画面で、「適用される通知とライセンス条項」に同意
- 実行する操作の選択画面で、「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択
- 言語、アーキテクチャ、エディションの選択画面で、「このPCにおすすめのオプションを使う」を選択
- 使用するメディアで「ISOファイル」を選択
- 保存場所、ファイル名を設定し「保存」
- ダウンロード、メディアの作成完了後「完了」をクリック
BootCamp、Windowsのインストール
- アプリケーションフォルダの「ユーティリティ」から、「BootCampアシスタント」を起動
- ISOイメージの選択画面で、用意したISOイメージを選択
- パーティションのサイズを決めたのち、「インストール」
- 「BootCampアシスタントが変更を加えようとしています」のポップアップが出たら、パスワードかTouchIDを選択、入力
- 再起動後、Windowsのインストールがスタート
- Windowsのインストール完了後、BootCampのインストールがスタート
- BootCampのインストール完了後、システムの再起動で完了
SOLIDWORKSのインストール
- PCの電源を入れるときに「option」を押しっぱなしにする
- ネットワークの選択画面で「Windows」を選択
- Windows起動後、SOLIDWORKSをインストールして完了
仮想化ソフトを使う
仮想化ソフトとは、1つのPCの中に疑似的にもう1つのPCを作って動かすソフトです。今回の場合、MacのアプリのひとつとしてWindowsを使うことを指します。
BootCampはMacとWindowsを完全に切り替えて使うもので、切り替える際には再起動する必要がありますが、仮想化ソフトの場合は切り替える必要がなく、MacとWindowsを同時に動かすことができます。
また、BootCampと異なり、プロセッサがIntel以外の場合でも使うことができます。仮想化ソフトには様々なものがあるので、PCのスペックに合わせてソフトを選びますが、負荷は少し重めです。
難しい設定は必要なく、仮想化ソフトをインストールして作った仮想環境にWindowsをインストール、そのうえでSOLIDWORKSをインストールして完了です。
エミュレーターソフトを使う
エミュレーターソフトは「emulate(真似する)」という意味の通り、対象のOSそのものではなく、模倣した環境を作るソフトです。
WindowsエミュレーターはMacの中でWindowsを動かすソフトで、仮想化ソフトとの違いは、「Windows」そのものを使うのではなく、「Windowsを模倣したソフト」を使うという点です。Windowsではありませんが、Windows用のソフトをそのまま使うことができます。
手順もシンプルで、PCのスペックに合ったWindowsエミュレーターソフトをインストール後、SOLIDWORKSをインストールすることで完了です。エミュレーターソフトは仮想化ソフトほどの負荷はないので、Macのソフトを使うような感覚でSOLIDWORKSを動かすことができます。
SOLIDWORKSをMacで使用するメリット
SOLIDWORKSをMacで使うメリットについてみていきます。
1台のPCで済む
SOLIDWORKSは本来Windows専用のソフトなので、使うにはWindowsのPCを用意する必要があります。
Macで使用できるようにすることで、PC1台ですべての作業ができるようになり、PCを複数台用意するコストや置き場所の心配もなくなります。
色の再現性が高い
MacはWindowsよりも色ずれが小さくなっています。デフォルトのディスプレイでも色の再現性が非常に高く、ディスプレイに映る色と実際の色が近くなっているので、設計時と完成時で色が異なるという失敗を防ぐことができます。
スムーズなデータ共有が可能になる
SOLIDWORKSはとてもシェア率が高いソフトのため、現場でも多くの人が使用しています。
Macでも使えるようにすることで、取引先や関係者とスムーズなデータ共有が可能になります。データや情報を一元管理できるため、セキュリティの面でも安心です。
市場投入までがスピードアップ
SOLIDWORKSを使うことで、企画、設計、試作、調達、生産、管理等をシームレスにスピーディーに行うことができます。
Macのソフトで作ってからのデータの修正も不要になり、SOLIDWORKSに含まれている情報共有やコミュニケーション機能で検討などもスムーズに行えるため、市場投入までの期間は格段に速くなります。
SOLIDWORKSをMacで使用する時の注意点
SOLIDWORKSをMacで使う際の注意点についてみていきます。
BootCampが使えるのはIntelプロセッサのみ
BootCampを使う場合、Intelのプロセッサを搭載したPCである必要があります。
M1チップなど別のプロセッサの場合は仮想化ソフトを使うことになるので、前もって確認が必要になります。
Windowsのライセンスが必要な場合がある
BootCampや仮想化ソフトを使ってWindowsを動かす場合は、Windowsそのものを使うためライセンスが必要になります。
Windowsのライセンス料は、Windows10の場合、Windows10Homeで19,360円、Windows10Proで28,380円になります。
仮想化ソフトは有償
仮想化ソフトはオープンソースのものは少なく、ほとんどのものが有償になります。有償の場合、ソフトの種類にもよりますが大体10,000~20,000円になります。
PCに負荷がかかる
仮想化ソフトを使ってMacとWindowsを同時に動かす場合、使うPCリソース(CPU、メモリ、ディスク容量)は最低でも2倍になります。大きな負荷がかかるため、インストールする前に使うPCのスペックを確認する必要があります。
エミュレーターソフトの場合はWindowsそのものを動かすわけではないので、負荷は最小限になります。ただし、SOLIDWORKS自体が容量が大きいプログラムのため、どの方法を使って動かすにしてもメモリ消費量を抑えるようなソフト側の設定が必要になります。
SOLIDWORKSをMacで使用する方法まとめ
Windows専用ソフトであるSOLIDWORKSはMacでも使うことができます。使用するにはプロセッサやPCスペックの確認が必要になり、方法によってはライセンス料がかかったり手順が複雑であるなどの注意点はありますが、SOLIDWORKSをMacで使う利点は多くあります。
何より、世界シェア率1位のソフトのため、周囲とのデータ共有が容易になることは大きなメリットです。SOLIDWORKSに興味があるMacユーザーの方は、ぜひこの機会にご検討ください。
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