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伝統とテクノロジーの融合!3Dモデリングを活用した伝統工芸のかたち

陶器や漆器のような伝統工芸の制作と聞くと、熟練の職人が手作りする姿か、あるいは工業用機械による大量生産を思い浮かべるのではないでしょうか。最近になって、モデリングソフトや3Dプリンターを導入して、今までにはなかった形や質感を追求した伝統工芸品が現れました。以下では、そうした伝統工芸と最新テクノロジーが融合した事例を紹介します。

secca

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引用元 http://secca.co.jp/works/ascel-_-wave/

石川県・金沢市にアトリエを構えるseccaは、陶器のプロトタイピングや製造そのものに3Dツールを多用しています。seccaは数種の3DCADを駆使し3Dデータをベースに器を造形していることで、3Dプリンターによる素早い形状検討や独自ツールの制作、また、3D切削機を使い自社で精密な型を製造し、本物の素材での検証から製品の製造までを短期間で行うことができます。こうした3Dデータに基づくプロトタイピングは、着想したアイデアを素早く実物として見ることができ、具体的な検討履歴が残るという利点があります。この利点を生かして、seccaは優雅なデザインと重ねて収納できる等の実用面が両立した陶器作りを確立しました。

URISHI

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引用元 https://www.rinkak.com/jp/urushi

3Dプリンターで制作されたプロダクトを出品できるオンラインマーケット「rinkaku」では、2015年4月より3Dプリント漆器シリーズ「urushi」を販売しています。同シリーズは、伝統工芸に携わる若手職人と3Dプリティングに精通したデジタルクリエイターのコラボレーションから生まれました。こうして制作された漆器は、漆がもつ温もりがある光沢と、3Dモデリングによって実現した現代的なフォルムが見事に調和しています。

rinkakuでは、日本刀の鞘を3Dプリンターで制作した「SUMISAYA」も発表されています。同作品は、刀鍛冶師が鍛えた短刀の刃紋が鑑賞できるように、鞘が透明になっています。「urushi」と「SUMISAYA」は、2015年10月23日から11月8日に開催されたAutodesk Gallery Pop-Up Tokyoに展示されました。

Digital陶芸

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引用元 http://d-tougei.jp/index.htm

企業と大学が協力して、伝統的な陶芸の製法に3Dプリンターの導入を研究しているグループがDigital陶芸です。同グループが考案した陶芸製法とは、3Dモデリングで設計した陶器を、土パウダーとデジタル陶芸用接着液を3Dプリンターにセットして成形します。こうして制作されるDigital陶芸作品は、土を焼き固めたことによる独特の風合いと、3Dプリンティングならでは独創的な形状の両方を兼ね備えています。

Digital陶芸では、最近になってガラスアートの制作研究も進めています。ガラスアートは、素材を土からガラス片に変えることで陶芸のノウハウを流用できるそうです。しかし、焼成時の温度管理が陶芸より難しく、現時点では製法を模索中、とのこと。

以上のような伝統工芸と最新モデリング技術の融合作品に共通しているのは、伝統工芸のもつ美しさを生かしながら、テクノロジーの力を使って新しい形状や質感を表現することに挑戦していることです。3Dモデリング技術の低価格化・多様化が進んでいるため、今後も伝統工芸とテクノロジーのコラボ作品は制作され続けるでしょう。

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