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SOLIDWORKSで板金設計をする方法!特長や便利なコマンド「板金フィーチャー」についても詳しく解説

金属板を加工して作る板金部品は、ありとあらゆる場面で使用されています。現代では、工作機械を使って、板金部品を作ることが多いでしょう。その工作機械に用いるデータは、SOLIDWORKSを使用することで設計可能です。

では、SOLIDWORKSをどのように使えば、板金設計ができるのか、代表的な機能などと一緒に確認していきましょう。

SOLIDWORKSに備わっている板金機能の主な特長

SOLIDWORKSには、板金設計に活用できる便利な機能が数多く備わっています。
具体的な設計方法を知る前に、その機能の特長をひと通り把握しておきましょう。

板金ツール

ソリッド状態の部品を元に、自動で板金用のモデルを作成してくれるツールです。ソリッドさえ用意できていれば、少ない手順で板金設計が完了します。そのため、SOLIDWORKSで板金設計を行う機能として、活用される機会は多いです。
SOLIDWORKSで板金設計を行う際の、基礎ツールと考えると良いでしょう。

フォームツールによる加工

板金の一部あるいは全体を曲げたり伸ばしたりする際には、フォームツールが活用できます。板金モデルと組み合わせると、簡単に形を変えることが可能です。
SOLIDWORKSでは、フォームツールのテンプレートが数多く用意されています。標準でも基本的な形状はひと通り揃っていますが、後から追加することも可能です。
そのテンプレートに少し手を加えて、板金部品を加工するようにすれば、曲げ伸ばしをした形状のソリッドモデルを用意する必要がありません。

自動リリーフカット作成機能

板金加工では、切り出した板金部品を曲げて、立体的な形状にすることが多いです。その際には、金属の厚みの関係で、それぞれの面が干渉してしまいます。特に角の部分の干渉が顕著です。
SOLIDWORKSでは、その干渉を避けるためのリリーフカットを、自動で作成できる機能が備わっています。面と面の間にあるスペースを広げ、余裕を持たせる機能です。
そして、角の形状は、四角である矩形と長円形から選択できます。その機能を駆使すれば、角や縁がきれいなカーブを描いた仕上がりになるでしょう。また、角を立たせるための無理曲げを行えるよう、最小限のリリーフカットも選択できます。

マルチボディ板金設計

SOLIDWORKSでは、ひとつの板金モデルを、複数の部品に分けて設計をするということも可能です。それをマルチボディ板金設計と呼び、作業画面に収まりきらないような大型モデルを設計する際に役立ちます。
画面に分割された部品のみを表示させ、より細かな設計が可能です。そして、表示は部品ごとに行われますが、SOLIDWORKS上ではひとつの組立品、アセンブリとして扱われます。
このマルチボディ板金設計は、複数の板金部品を組み合わせて、大型の部品を作成する際にも使用されることが多いです。

SOLIDWORKSを使用して板金部品の設計をする方法

それでは、実際にSOLIDWORKSを使用して、板金設計を行う方法を解説していきます。

スケッチと押し出しで作ったソリッドを元に板金を作成

SOLIDWORKSで基本的な板金設計を行う場合、まずは元となるソリッドを作らなければなりません。シンプルな板金を作る場合、平面を用意して、スケッチで四角を書きましょう。そのままではソリッドとして使えないので、押し出しコマンドを使用し、厚みを持たせてください。
その後で、コマンドタブにある「板金」を選んで、「板金に変換」を選択すると、ソリッドが板金になります。すでにソリッドがある場合は、「板金に変換」を行うだけで問題ありません。

展開スケッチから板金部品を設計する場合

SOLIDWORKSの板金フィーチャーという機能を使用すれば、展開図状態から板金を作ることも可能です。
まずは平面スケッチで、展開図となる閉じたスケッチを完成させましょう。その後で、メニューバーの「挿入」から「板金」「ベースフランジ」を選んでください。すると、展開された板金になるはずです。その後で、折る部分にスケッチで線を入れましょう。
そして、「挿入」「板金」「スケッチベンド」を選択すると、スケッチの線に従って折り上げられた板金モデルが完成します。

SOLIDWORKSで板金設計なら便利なコマンド「板金フィーチャー」

板金設計を行う場合、モデルは押し出しやラウンドなど、複数の要素で構成されるフィーチャーとして作成します。SOLIDWORKSでは、そのフィーチャーを簡単に作成できる、「板金フィーチャー」という機能を使用可能です。

ベースフィーチャーを元に、コマンドを使用するだけで、様々な要素を追加できます。板金設計の際に、スケッチを描いて押し出すといった作業を何度も行うのは、手間と時間がかかるでしょう。板金フィーチャーを使用すれば、短時間で効率的に設計を行えます。

板金フィーチャーの種類が豊富

板金フィーチャーは、選択できるコマンドの種類が非常に多いです。板金の縁を押しつぶすために180度曲げるヘミング曲げや、Z型に曲げるジョグ、モデルの縁にエッジを追加するといったことは、コマンドひとつで行なえます。
また、補強のために溶接リブを入れる、溶接後に盛り上がる溶接ピードを付け足すなどの実用的な機能も使用可能です。さらに、指定した面でモデルをカットして断面図を見れるようにしたり、展開図状態にしたりするといったこともできます。
その機能を使えば、構造の確認や金属板加工時の配置なども容易になるでしょう。

フォームツールを使用するためには板金フィーチャーが必須

SOLIDWORKSは、板金モデルを曲げたり伸ばしたりすることができる、フォームツールを使えるのが大きな強みです。ただ、フォームツールを使用するのであれば、板金フィーチャーで部品のベースを用意しなければなりません。
したがって、フォームツールを積極的に使用する人にとっては、板金フィーチャーはほぼ必須の機能と言えるでしょう。

オリジナルのフォームを作成することも可能

版金フィーチャーのコマンドの中でも利便性があり、使用頻度が高くなりやすいものに、オリジナルフォームの作成があります。
SOLIDWORKSでは数多くのフォームを使えますが、目的に合ったものが見つからないこともあるかもしれません。そのような時には、板金フィーチャーのベースフィーチャー上で、オリジナルのフォームを作れます。
オリジナルフォームは、登録することで何度も使えるようになるので、特殊なフォームが大量に必要な場面で役立つでしょう。

SOLIDWORKSを使用して板金設計をするメリットとは

SOLIDWORKSを使用した板金設計には、いくつかのメリットがあります。
そのメリットについて、詳しく確認していきましょう。

効率的に板金設計が行える

SOLIDWORKSで板金設計を行う場合、板金フィーチャーの存在が非常に大きな強みになります。
CADソフトによっては、複雑な形状を一から作成しなければならないものもあります。けれど、板金フィーチャーを使用すれば、自動化によって作業の一部を省略できます。そうして、効率的な作業を行えるのが大きなメリットです。

SOLIDWORKS MBDとの連携が可能

SOLIDWORKSには、CADソフトとは別に、設計に関する情報を統合管理できるSOLIDWORKS MBDというものがあります。
板金設計は、ただモデルを作って終わりではなく、実際に金属板を加工することがほとんどでしょう。そして、設計を行う場所とは違う工場に、データを受け渡すこともあるはずです。
そのような時に、板金データの共有が重要となります。SOLIDWORKSであれば、SOLIDWORKS MBDでデータの管理や共有が容易にできるのがメリットです。

無償ビューワーのeDrawingsと連携できる

通常、作成した板金モデルは、3Dソフトが使用できる環境でないと確認できません。けれど、SOLIDWORKSでは、eDrawingsという無償ビューワーを提供しています。無償であるため、SOLIDWORKSの契約をしていない人であっても利用可能です。
当然編集はできませんが、パソコンで3Dの板金モデルを確認できます。そうして、場所を選ばずに3Dモデルを確認して、どういった設計なのかを共有しやすいのも、メリットと言えるでしょう。

効率的な板金設計を行えるSOLIDWORKS

SOLIDWORKSは汎用性が高いですが、元々は機械設計に特化しているCADソフトです。そのため、機械設計で必要とされることが多い、板金設計に関する機能も数多くあります。
板金設計機能を上手に活用すれば、効率的な作業を実現可能です。したがって、ビジネスで大量の板金設計を行わなければならないのであれば、SOLIDWORKSの導入を考えてみましょう。

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